「いやー申し訳ないね!私としたことが取り逃がしてしまって、、、」
「い、いい、い、いえいえ!と、ととと、とんでもございません!!?」
突然の超大物トップヒーローとエンカウントした緑谷の慌てようはすごく、「こいつ大丈夫か?」と道行く人に思われそうなレベルだ。
まあそうなって当然かもしれない。なんせ彼は「オールマイト」である。彼は雄英高校出身で最もヴィランによる犯罪が多いアメリカでヒーロー活動を行い、それからまた日本に戻ってきたという経歴を持つエリートヒーローである。
又経歴以外にも彼の事件解決率は非常に高く、彼が当たった事件はほぼ100%解決している。そのすごさから彼が滞在する国では犯罪の発生率が異常なレベルで下がるのだ。そのおかげで彼がアメリカから日本に戻ると公言した際は、アメリカ政府これを何とかしようといろいろ策を講じたらしい。
そんなとんでもないヒーローである彼が目の前にしかも突然現れたのだ。ましてやオールマイトが現れたのは一般人ではなく、緑谷出久である。彼は無類のヒーローオタクであり、しかも最推しのヒーロがオールマイトである。そんな彼の前にオールマイトが来ればこうなるのは当然である。
そしてそんな緊張と歓喜でぶるぶる震える緑谷をしり目に何か作業をしていた。
何をしているのかと思えば彼は、先程自分が粉微塵に不っ飛ばしたヘドロ男の破片をなんとペットボトルに詰めていた。ようやっと震えから解放された緑谷もその光景を見てぎょっとしている。すべての破片を詰め終え、ペットボトルをポケットに入れた彼に向かって緑谷は聞いた。
「あ、あの、なんでそのヴィランをペットボトルなんかに詰めてたんですか?」
「ああ、このヴィランの個性の影響でね。完全に密封できるものでないとすぐに逃げられてしまうんだ。だから一度捕まえて警察に受け渡したら、逃げたって報告が後から来たもんだから私は急いできたというわけさ。」
「な、なるほど。そう、だったんですね。」
震えから解放されたとはいまだ緊張が残っているようで、緑谷の言葉はつっかえつっかえになってしまっている。
—————ぐらっっ
「??」
今一瞬、オールマイトの体がらついていた。その様子に疑問符を緑谷は浮かべる。
「っん!それでは私はこれにてお暇させていただくね。それじゃ!!」
「え?!あっ、ま、待って!!」
そんな緑谷の様子をみてオールマイトは慌てて背を向けて立ち去ろうとしていた。急な出来事に緑谷は慌てて止めに入る。
しかしオールマイトは緑谷を無視し一気にかがみこみそして、これまたちょっとした爆弾ぐらいの威力を詰め込んだジャンプを繰り出した。するとオールマイトの体は空高くへ飛びあがり人間が出してはいけない速度で空中を移動していた。
「ふぅ。危ない所だった、、、危うくあの少年にばれてしまうところ」
「ず~~び~~~ばぁ~~~~ぜ~~~ん~~~!!!」
「うえぇぇぇ?!なんで君ついてきてるの?!」
空高く飛び上がり宙を移動し続けているのは自分だけだと思っていたのだろう。しかし彼の右足に緑谷はしがみついていたのだった。さすがにこのことにオールマイトも驚いたようで、普段出さないような声を出している。
「ちょ、少年!!困るよ!!そんなついてこられたら!!」
「ずびばぜん!!どぼしでもききたいことがぁぁ!!!」
「そういいっても———あっ。まずいこれホントにまずいぞ。ちょ、少年!ちょっと衝撃来るよ!気を付けて!!」
「はひ?———グェ!!」
宙を滑空していたオールマイトは急に近場のビルの屋上に白い煙を出しながら着地した。その衝撃で緑やビルの屋上に投げ出されてしまった。
いったいどうして止まったのだろう。彼はヴィランを警察に届けるために警察署かどこかヴィランの受け渡しが行える場所に行かなければいかないはずだ。いくら片足に中学生一人を乗せていても彼ならば関係無く動けるはずだ。
しかし経験したことのない空中を生身で滑空するということにさらされた緑谷は興奮状態にあり、その理由を詳しく考えることなく、いまだ白い煙に身を包んだオールマイトに問いかけた。
「あの、ずっと聞きたかったことがあるんです。僕、無個性で気も弱くて良くいじめられてるんです。」
「——————」
「でも、昔からあなたのようなヒーローになるのが憧れで、、、だからあなたに聞きたいんです。—無個性の僕でもヒーローになれます、、、」
緑谷がオールマイトに問いかける最中でオールマイトを覆っていた白い煙が晴れる。そしてその中から現れたのは身長200ほどありそうな筋肉ムキムキマッチョな体ではなく、、、空気が抜けたようにしぼんで病弱そうなまるで骨のような体であった。
それを見た緑谷は、
「ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、、、」
「———————」
「ギィィィィャァァァァァ!二・セ・モ・ノ~~~!!」
「違う。私は偽者ではない。オールマイト、ブゴッハァァ!!」
緑谷にオールマイト?が弁明するがその途中で吐血してしまいそれにより一層、緑谷に不信感を与える。オールマイトが血を吐くなんて、ヴィランとの戦闘時でもなかなか見ないのだ。それがこんなに大量に出すのはおかしい。
緑谷は吐血した彼にまたもや絶叫し、そんな緑谷にミニオールマイト(仮)は「気にしないで。いつものことだから。」と緑谷をなだめた。吐血して大丈夫なはずがないが緑谷は、話を円滑に進めるためにその言葉を飲み込んだようだった。
「とにかく聞いてくれ。私はオールマイトだ。ほら、ヒーロー免許にもそう書いてあるだろう。」
「ホ、ホントだ!じゃあ、あなたは本当にオールマイトなんですね!?で、でもなんでそんな姿になってるんですか?」
「ああ。この姿を見られてしまったからには話すが、、、ここから先の話は、間違っても、ネットで話すなよ。」
いつも人を楽しませるためのユーモアあふれる言葉遣いとは違い、強く、真剣なものがこもった言葉に緑谷の表情が硬くなる。
「まずこの傷を見てほしい。」
そう言ってオールマイトは自分の着ていたシャツをたくし上げた。すると彼の左わき腹にまるで弾丸がうち込まれたかのような傷跡が痛々しく存在していた。
「この傷は五年前、あるヴィランとの戦闘時に付けられたものだ——呼吸器半壊、胃袋全摘、度重なる手術によって憔悴してしまってね、、、今の私のヒーローとしての活動限界は3時間といったところだ。」
「そ、そんな、、、」
驚愕の事実だった。まさか平和の象徴とすら言われたオールマイトが怪我を負い、三時間しか活動できないだなんて、確かにネットに出回れば飛んでもない大パニックとなる。
「そう言えば、五年前って『どくどくチェーンソー』と戦った時?」
「詳しいね。だがあんなチンピラにやられた訳ではない。まぁともかく、この傷のことは世間に公表しないでくれと私が頼んだ。——人々を笑顔で救い出す!平和の象徴は決して悪に屈してはいけないんだ。私か笑うのは平和の象徴ヒーローとしての重圧と、内から沸く己の恐怖心を欺くためなんだ。ヒーローはいつだって命がけなんだよ。」
「————っ」
オールマイトが今までずっとNo1ヒーローだった理由の一つである、彼の心の在り様をみた緑谷はそのあまりにも硬い信念に圧倒されていた。
「さて、先程の質問にも答えないとね。」
そんな緑谷にオールマイトは語り続ける。
「先ほども言った通り、ヒーローはいつだって命がけなんだ。個性—力無くして勤まる仕事とは、、、到底言えない」
そう言った彼は、緑谷に背を向けビルの屋上の出入り口に向かって歩き始めた。
「もう語る必要性はない」
暗に、そう語っている。
「人を救うことに憧れるというならば、警察という手もある。『ヴィラン受取係』なんて言われるけど、あれも立派な仕事だよ、、、夢見ることは悪くないが、しかし——相応の現実も見なければな少年」
自分の憧れであった者から、夢へと向かうことを否定され、絶望に打ちひしがれる緑谷。
そんな彼を置いてオールマイトは屋上の扉から出ていった。
ビルの階段を下りる途中オールマイトが自身のポケットに手を当て独り言ちる。
「さてと、早くこいつを警察に届け、な、い、、、と?」
ポケットに自身が求め居ていた感触がないことに驚いたオールマイトは、全身をまさぐり始める。
「あれ?おっかしいな?あっれ~?」という何とも間抜けな音声付きだ。
すると突然大きな爆発音が聞こえてきた。音の下方向を階段の横についている窓から確認する。
そして奇しくもそれは先程オールマイトが飛んできた方向だった。
「まさか、、、」
彼はとても慌てた様子で階段を駆け下りていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おい!どうなってんだ?状況を説明してくれ!」
町中の商店街で爛々と燃え盛る炎に自身の指から水を出し、消火活動を行っている「消火ヒーロー・バックドラフト」からそんな声が飛んだ。
「ヴィランの奴が中学生を自身の体に取り込んでその子どもの個性を使ってる!んでその子どもの個性が優秀なのと、なんとか主導権を取り返そうとヴィランの中その子が暴れてるせいで、ヴィランが個性使いながらのたうち回って危険—」
「端的に言うと!?」
「やっべぇ状況!!以上!!」
その声に商店街を炎で彩ったヴィランと交戦している「デステゴロ」が必死に応えている。そんな会話が現場に急行したオールマイトの耳にも届いた。
ちなみに、先程到着したMt.レディは道幅が二車線未満だった為、避難誘導係に徹している。また同時に到着したシンリンカムイは樹で出来た体に引火しやすいためMt.レディと共に避難誘導を行っている。
先程、バックドラフトの質問に答えていたヒーローがヘドロの体に殴りかかるが、ヘドロの流動する体に彼の拳の勢いは消されてしまい有効打を与えることができない。あのヘドロの体を相手取るならば一発で吹き飛ばすようなパワーが必要なようだ。
遅れてやってきたオールマイトは彼らの置かれた状況に歯噛みした。「ファンを諭しておいてこの様か」と彼は心の中で自分を罵る。緑谷に掴まれようと普段なら、落としたことを気づかないなんてことはない。
しかしあの時オールマイトはあの有名な方の姿での活動限外ぎりぎりまで来ており、そちらに気を取られすぎていた。そのせいで今彼は相当な無理をしなければあの姿になることはできないのだ。
有効打がなく立ち尽くすヒーローと自分。騒ぎを聞きつけてやってきた一般市民たち。皆誰もが誰か新たなヒーローが来るまで待つしかないと、それまでは何をすることもできないと、思った。
だがそんな中、ただ一人野次馬の中から飛び出してきた者がいた。制服を着た見たところ中学生に見える少年。もじゃもじゃ髪を生やした童顔な少年を見たオールマイトは驚きの声を漏らした。
「み、————緑谷少年?!」
そんな彼の言葉を背に緑谷出久はヘドロヴィランへと駆けていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
野次馬から飛び出して来た少年の来ていた服を見て剣と花は驚愕に目を見開く。あの制服は
そんな野次馬から飛び出して来た彼は、背負っていたリュックサックをヘドロヴィランへ投げつける。その拍子に彼のリュックの中身が飛び出した。飛び出したのいくつもの勉強道具だった。その中のうちの一冊のノートにがヴィランの大きなぎょろ目に突き刺さりヴィランの動きを止めた。
ヴィランが動きを止めてる間に彼は爆豪の顔が少しだけ見えているところから、ヘドロの体を掻き出すようにして爆豪を救い出そうとしているようだ。しかし、ヘドロの体は予想以上に掴みにくいらしく、一向に爆豪を掻き出す作業は進んでいない。
すると、目に異物が入ったことでヴィランからの拘束が弱まったのか爆豪が顔出して、自分を掻き出そうとしている少年に目を向けた。そして彼は
「—なぁにしてんだ!この糞デク!!てめぇ如きが俺を助けようだなんてしてんじゃねぇ!!!」
その少年に罵声を上げた。自分を助けようとしている人物に向かって何という言葉だろうか。
あまりの物言いに剣は憤慨し背負っていた竹刀を取り出しヴィランの方へ駆けていこうとした。しかし、そんな彼を置き去りに後方から怒涛の勢いでヴィランの元へ向かう影が一つ。その影を見た剣は一瞬呆気に取られてしまう。
その人影は捕らわれている爆豪の大体胴体部分のヘドロに向かってこともあろうか手刀を繰り出したのだ。しかし、先のデステゴロや飛び出していった少年を見ていれば分かるが、あのヴィランにはそういった類の攻撃手段は通用しないのだ。当然その手刀では何の効果もないだろう。
しかし、その手刀はヘドロの体を切り裂いた。そのおかげで爆豪の拘束が一瞬解かれる。しかし即座にヘドロの体は修復されまた爆豪の体はヘドロの中へ消えていってしまう。そのことに手刀を繰り出した少女は悔しそうな顔になる。
そんな少女に少年は困惑した顔を浮かべる。何か言いたそうにしている彼に、先んじて少女が少年に言い放った。
「ぼーっとしないで!早くこの人を引っ張り出さなきゃ!」
「は、はい!!」
動きが止まっていた少年に激を飛ばし爆豪の救出を二人掛で行い始めた。そんな中、少年が爆豪に向かって言葉を投げかける。
「かっちゃん、言ったよね?なに助けようだなんてしてるんだって。でも、助けるのなんてあたりまえじゃないか、、、だってそれは——それは君が「助けて」って顔してたから。」
「————っ!」
少年の答えに爆豪の顔が大いにゆがんだ。おそらく少年は少しだけ見えていた爆豪の顔を見ていてもたってもいられずに飛び出したのだろう。爆豪の発言から以下に少年が彼に虐げられてきたのかがわかる。それでもなお爆豪を助けようとした少年の心の在り様が剣にはこの場にいる誰よりもヒーローじみていると思った。
そして少年と後から飛び出して来た少女の頑張りにより少しずつ、しかし少女が加わったことで着実に爆豪からヘドロを引き剥がしている。胴体部分の拘束ははがれ残りは四肢のみのところまで進んでいる。—しかし、ヴィランもずっと動きを止めいるわけがない
少年と少女二人係で爆豪の肩を掴んでこちらの方へ引っ張りだす。爆豪はそれに逆らわず少年へと引き寄せられていく。そしてついに爆豪がヘドロの体から解放された。だがその間にできた隙をヴィランは見逃さなかった。
目の痛みから解放されたヴィランは爆豪引っ張り出すことに集中していた少女にヘドロの腕を振り上げ向ける。少女は爆豪に気を取られすぎていてヴィラン攻撃に気付いていない。そして彼女に腕が届き今度は彼女が捕らわれて——
「全く情けない。少年たちが危険な状況に我が身をさらしながら、大人たちヒーローが指をくわえて眺めてるだけだなんて、、、全く持って情けない!!!」
「お、お前、、、!」
少女とヴィランの間に割って入る巨大な影。金髪を二つ逆立たせ身を挺して少女をヘドロの腕から守っている男。その男を目見入れた瞬間周りの人々の顔に光が差し込んでいる。それほどの存在なのだ彼は。
「オールマイト、、、!」
予想だにしなかった登場人物に剣は彼らしからぬつぶやきを残す。おそらく周りに居る人々の中にもそんな人物はわんさかいるだろう。それだけに彼の登場は驚愕的なものだった。
「デトロイトォォォォォ——!!」
「なっ!ま、待て!!ま」
「スマァァァッッシュ!!!!!」
力を溜めた右のストレートをヘドロのヴィランへ打ち込む。
しかし、あの流動する体に打撃系の攻撃は一切と言っていいほど効かない。
彼の拳もヘドロの体に吸収されて終わりだろう。
だが、もしそうなら疑問が残る。
彼の体は流動し物理攻撃を飲み込む。
それはその個性の持ち主であるヴィランの方がよほど分かっているはずである。
ならばなぜ彼は「待て」などと口にしたのだろうか。
それはこの場にいる全員が知っているからだ。
オールマイトが平和の象徴と言われ続ける理由の一端を
——何物にも負けぬ彼の常軌を逸した超パワーを
「———————っ!——————っく!!」
一発のパンチでヘドロの体を爆散させただけでは飽き足らず、拳を放ってから数十秒間もの間辺りに暴風が吹き荒れる。
Mt.レディが避難誘導していた一般市民が吹き飛ばされないように盾になるほどの風圧。
人一人で叩きだしていい威力ではない。
ようやっと風が収まり顔を上げるとそこには、無事に助け出された爆豪と少年、それから剣を置いてきぼりにし、一人少年を助けに行った少女——
まぁ、花の髪は暴風の影響で乱れてしまっているが。
だが、ヴィランが去ったとしてもまだ事態が片付いたわけではない。
商店街は爆豪の個性の「爆破」によって建物のガス管に引火し、商店街は炎に包まれていたはずだ。
いくらオールマイトの攻撃の余波で火の勢いが弱まったとて完全の沈下は難しいはずである。すぐにバックドラフトが消火をしなければ——
—ポツン
「、、、なんだ、、、?」
急に降ってきた水滴に剣が顔を上げると、先程まで快晴だった空に黒々とした雨雲が立ち込めていた。
しかし、今日の天気予報では洪水確率はとても少なく雨など降らないはずである。
それに不自然なことに雨雲は商店街の上空の限られた場所にしか発生しておらず、少し向こうの空は先程までの晴れ晴れとした空が広がっている。
まるで、
「っ!まさか、、、!!」
周りの野次馬たちがざわめきだす。
どうやら剣と同じ解に至った者がいたようだ。その野次馬たちがその解を呟く。
「拳の風圧だけで上昇気流が作りだされて、ヘドロの水分がそれに乗って雲が出来た、、、?!」
あり得るはずのない仮説。
しかしそれ以外に考えることのできない状況。
それを認めてしまえるほどの超常性。
それをあたりにいた者たちは理解していった。
そして、瞬く間に大きな歓声が上がった。
「すげ~!拳一発で天候を変えちまった!!」
「これがオールマイトか~!!ありえなすぎるぜ!!」
その自分に対する歓声にオールマイト高らかに拳を上げて答える。
少しよろけたことが気になるが見事なスタンディングである。
その姿により一層野次馬たちのボルテージは上がっていく。
No1ヒーローの人気のすごさわかるというものだ。
だが、そんな光景を前にしても、剣の胸に去来する、途方もない無力感は消えていなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この後散ったヘドロはヒーローや警察によりひとつ残らず回収され事件に幕が閉じた。しかし———
「全く!!無茶にもほどがある!あの時君たちが危険を冒す必要は全くなかったんだ!」
と、このようにシンリンカムイやデステゴロに花と少年——聞けば緑谷という彼はこっ酷く叱られた。
花が「でもあの時、、、!」やらなんやら反論したが、ヒーローたちの正論にすぐしゅんなり、叱られた子供のように小さくなっていた。
その姿があまりにも愛らしく、剣はその姿をスマートフォンで撮影し、それを眺めて剣は小さく微笑んだ。
そしてヒーロー達にこってり絞られた花は肩を落としてとぼとぼとこちらへ歩いてくる。
そんな花に剣は、ため息をつきながら言った。
「ヒーロー達にも言われたがと思うが、無茶しすぎだ。それに前へ出て戦うのは俺の役目だろ。」
「だって、、、あの爆豪って子の言い草、聞いててなんかムカムカしたんだもん、、、」
「だとしても、なぁ、、、ちと危険すぎる。」
花の言うことには同意見で、何よりそれに憤慨した剣も花と同じく飛び出そうとしていたのだ。
あまり強くは言えない。
それでも、花が危険な目に合うのは看過しがたい。
「それは、ごめんなさい。でも無事だったわよ?それに、、、ね?」
「それになんだ?」
花の少し発言が気になり剣が聞き返す。すると花は、
「——本当に危険だったらあなたが必ず助けてくれる。でしょ?」
不安など全く感じさせない微笑みと共にそんなことを言い放った。その微笑みがとても綺麗で剣は、顔を下に向け花の頭をポンと撫で、
「当たり前だろ、そんなこと、、、」
ぶっきら棒に言って家に向かって歩き出した。それに花は小走りで追いかけて万遍の笑みを浮かべて言った。
「、、、っうん!ありがとヴィルヘルム!!」
彼女がこの世界でも自分に全幅の信頼を置いてくれることが嬉しくて、そして何より彼女の顔が綺麗で、そのことに気を取られていて名前を訂正する余裕も今の彼にはない。そんな彼に、
「ふふっ。もしかして照れてれるの?ヴィル?」
「うるせぇ。というかまた名前間違えてるぞ。いい加減直しとけ。」
「あら、ごめんなさいね。それよりも。ねぇ?剣。」
「ん?なんだ?」
名前を間違えたことを悪びれもせず、花はこちらに手を差し出しながら何かを問いかけてくる。いったい何のか剣は問い返す。
「今日私はあなたを長い間待ち続け、何なら迎えに行き、更にヴィランから爆豪くんを助け出すのにも尽力しました!なので剣にご褒美としてこれを所望します!!」
「???」
「えぇ?!なんでこんなにヒントがあって気づかないの?!剣もそう言うところ為した方がいいと思うんですけど?!」
上機嫌で何かをねだった時から急に驚愕の表情を、浮かべる花。相変わらず忙しい奴だと思いながら、本なところにも惚れたんだったなと剣は心の中で言った。
「手を継ぎたいの!いつもは付き合ってることがばれないように、手を繋いで帰れないじゃない?だから今日ぐらいは手を繋いで帰れたらなぁって、思い、まし、て、、、」
最初の方は威勢よく言っていたが最後の方は羞恥でぼそぼそと顔を真っ赤にして言った。どうやら照れ屋なのは剣鬼も元剣聖も変わらないらしい。そんな彼女に剣は堂々と言い放った。
「そんなことでいいのか?」
「そんなことって、、、」
「別に手を繋ぐくらいならしたいって言ってくれたらすぐしたぞ。俺も繋ぎたかったしな。」
「——————っ///!う、うん。あ、ありがとう、、、///
事件で予想以上に時間がとられ夕日が差し掛かるころ、剣鬼と剣聖はようやっと本当にただの男女として並んで——手を繋いで帰路についた。
そこには、二人が求めてやまなかったモノが確実に二人のそばにあったのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「もしもし?アーチャーさん?どう想定通り?」
「ああ、君の想定通りだよ。オールマイトはこの世界でも緑谷出久に「ワン・フォー・オール」を継承するようだ。」
「良かった。そこの大筋外れてないなら良かったよ。他にイレギュラーなことはありました?」
「いや特にはない。だが、聖蓮花がヘドロ事件に介入した。これはもしかしたら当たりかもしれんぞ。」
「マジっすか!!??よっしゃ!これで終わってくれればいいんですけどね~。」
「全く、自分のことだというのに他人事だな。本当にこれで終わってくれることを願うよ。」
「えぇ。願っててください。これで終わらせます。何としても。これ以上ヒーローを無駄にはできない。だから必ず————————」
このルートで俺を殺す。確実に。
この作品の1話1話の長さ(文字数)について
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もう少し少ない方がいい
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もう少し長い方がいい
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ちょうどいい