季節の空に、見た幻想   作:北上キリナ

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俺と優雪姉 ~俺と姉 その2~

 俺の学校は中高一貫で、緩い校則と校風で有名な普通の学校だ。

そこにごく普通に通っている俺には、姉がいる。

 

「おや、我が愛しき弟じゃないか」

 

季空 優雪。季空家の次女にあたり、俺のもう一人の姉である。

 

「こんな時間に生徒会室に来るなんて、何かようかな?」

 

「逆に聞くがそれ以外でくるとでも思うのかねゆー姉」

 

「ハハハ、愛しき弟なら何時でもウェルカムだ」

 

イケメンな笑顔を見せながらテキパキと仕事をこなしていく優雪姉。

優雪姉はこの学校の中等部の生徒会長を勤めている。

それ故に、常に生徒会室に籠っているのだ。

 

「追加で予算案の資料持ってきただけ。」

 

「ぐぬ、また予算案か。最近多いな…出費が嵩む」

 

書類を優雪姉に渡すと、「さぁどうしようか」といった顔で書類とにらめっこを始める。

会計委員なる委員会がこの学園には無いため、

常日頃から運用等の仕事を請け負いで行っているのだ。

流石は優雪姉、大した集中力である。

 

「俺も何か手伝おうか? 何なら色々俺でもできるが___」

 

「…む? 手伝ってくれるか、弟よ。 ではそうだな、此方に来てはくれないか?」

 

俺が聞くと、彼女は「此方においで」と手招きする。

 

「おう、そっちに行けばいいんだな?」

 

優雪姉の元へと近づく。

 

「そうだ、こっちこっち…もっと俺に近づけ」

 

「えっ、あっ、このままだと結構近いが…?」

 

「いいんだよ。 …こうしたいんだから。」

 

ぴとっ、と優雪姉の額に俺の額をくっ付けられる。

…顔が近い。物凄く近い。恥ずかしいんだけどこれ。

 

「これは俺の仕事だ。 お前は俺の側でのんびりしながら見守っていてくれ。それだけで俺は今の数十倍働けるから」

 

「…わ、わかった」

 

カッコいい捨て台詞を言われて、顔が熱くなってくる。

至近距離でその台詞は男でも自信失う位のイケボだぞそれ。

 

「うむ、それでいい。」

 

ニコリと笑うと、優雪姉は額を離して仕事にもどる。

…腰が抜けている。 してやられたようだ。

 

常に弟の前ではかっこよく。

彼女はそれをモットーにしているらしく、俺の前では何かクールに振る舞っているそうだ。

でもこれは反則だと思う。幾らなんでも男が自身無くす程のイケメン振り撒くのは反則すぎる。

 

渋々立ち上がり、生徒会室の庶務の机に座って優雪姉を眺めていると、

途端に生徒会室のドアが開く。

 

「ゆーくんー!! 助けてよぉぉ!!」

 

高等部生徒会会長の…お姉ちゃんだ。

 

「ゆーくんのとこ来ようとしたら下の学年に絡まれてぇ!!」

 

「はぁ…何度言えばわかる、姉さんはここに来てはならないんだぞ?」

 

「高等部の次期生徒会会長を育てるには必要だよ?」

 

「ぐぬ…」

 

「さー、この面倒くさ…コホン、難しい状況を解決したまえよ!」

 

「結局それが本題だろう!?」

 

…この姉妹は何処でも変わらないな。


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