『仮面ライダー鎧武』『艦隊これくしょん』の基本設定をベースに独自要素、解釈を詰め込んでおります。
本作における艦娘の設定は公式ノベライズ作品『陽炎、抜錨します!』及び『鶴翼の絆』を参考としております。
※今後、分量が多い話は複数パートに分けて投稿します。
貴虎達は艦橋へ向かう際に何人かの船員とすれ違った。全員が首から双眼鏡をかけており、鬼気迫る様子で走っている。その中には、先程まで艦橋内で観測を行っていたと思われる者達もいた。
(ただならぬ緊迫感が漂っている。やはり、深海棲艦とはそれ程に驚異的な存在なのか……)
深海棲艦についての知識が、夕張らより聞きかじった程度にしか無い貴虎にも伝わるほどに、船内の空気は緊迫していたのだった。
貴虎と龍田が艦橋内にたどり着くと、そこでは輸送船の船長や船員達が慌ただしく各所への指示を飛ばしていた。
「来たか」
「敵さんの襲撃ですかぁ?」
「いや、どうやら敵はまだこちらには気づいて無いようだ。だが進路上でぶつかる可能性が極めて高い。それに可能性としては低いだろうが、向こうが囮の陽動部隊という事もありうる。船長には念のため甲板にも、観測の船員を増やしておくように指示させたが……」
そう言うと提督は口を噤み、考えを巡らしだす。同時に貴虎へ双眼鏡を手渡し、船の進路上のとある地点を見る様に促した。
貴虎が倍率を調整しながら双眼鏡を覗きこむ。すると、遥か遠方で黒い点の様な物が、船の進路と垂直に交わる様な進路をとって移動しているのが見えた。
「多分駆逐艦ねぇ。この進路だとT字戦の形になるわねぇ」
龍田も双眼鏡を覗きこみ呟く。
「……よし」
考え始めて一分と経たないうちに提督は決断を下し、無線を手に取ると護衛艦娘達に向け指示を飛ばす。
「交戦を許可する。直ちに進路上の敵艦へ向け先制攻撃を仕掛けろ」
《了解!》
《了解です!》
《了解よ!》
無線からは、護衛艦娘達の勢いの良い返事が響いてきた。
「龍田、お前はそのまま索敵を続けろ。貴虎は念のため安全な部屋へ行っていろ」
「了解しました~。」
そうして龍田は窓際に近づき双眼鏡を構え、索敵を開始する。と、その隣へ双眼鏡を手に持った貴虎が近づいてきた。
「何をしている」
「私にもお手伝いさせて下さい。こんな状況で一人じっとしているのは、性に合わないもので。それに、観測の目は一つでも多い方が良いでしょう」
貴虎は振り返り、真剣な眼差しを以て提督に告げた。
「好きにしろ」
「はい」
ぶっきらぼうに提督が返答する。それを聞くと貴虎は窓の方へ向き直り、双眼鏡を覗きこむ。
暫く視線を彷徨わせると、前方二時の方角に小さな黒い点が二つ見えた。それは時間と共に少しずつ大きくなっていき、その輪郭を露わにさせていく。その姿は艦というよりも何かの生物、いや怪物じみていた。
「あれが、深海棲艦……この世界の脅威……」
――――――――――――――――――――――――――――――
「了解!」
《了解です!》
《了解よ》
夕張の声に続くように吹雪、叢雲の返事が無線に入ってくる。
提督から交戦許可が下されれば、次は夕張の番である。旗艦である彼女が、戦場においては指揮官となるのだ。
伝えられた情報を頭の中で素早く整理し、指揮下の艦娘に命令を下さねばならない。夕張は無線を通して二人の駆逐艦娘に言い放つ。
「敵は恐らく駆逐艦二隻。でも他に敵が出現する可能性も考えて、二手に分かれるわよ。私が輸送船の護衛と周囲の警戒を引き続き行うわ。吹雪と叢雲は前方二時方向の敵を迎撃して」
「はい!」
「わかったわ」
二人の駆逐艦娘は返答と同時に主機の出力を上げ、遥か前方の敵の方へと向かっていく。
輸送船の右側から直進していく吹雪の後ろに、左舷の警戒をしていた叢雲が大きく回り込むようにして付いて行く。そして、十分な距離をとって“単縦陣”の陣形を組み、最大船速で激しい水しぶきを立てながら進む。
暫くの時間を経て彼女達の視線の先では、二隻の深海棲艦“駆逐イ級”が、その目を青く輝かせる。それは、深海棲艦たちが獲物を発見し、攻撃態勢へと移る合図であった。しかしながら、既に攻撃準備の整っていた二人の駆逐艦娘を相手にするには、その反応はあまりに遅い。
「砲雷撃戦開始します!」
その声と共に、吹雪が手に構えた12.7cm連装砲を、後ろに着く叢雲も艤装から伸びるアームの先に取り付けられた12.7cm連装砲を一斉に発射した。
狙いすまして発射された砲弾が駆逐イ級の傍に着弾し、水柱を吹き上げた。直撃はしなかったものの、衝撃によって駆逐イ級は二隻とも損傷を負う。すると二隻の敵艦は、陣形を崩し大きく進路を変更し始めた。一方は面舵をとり輸送船から見て十二時の方向へ、もう一方は取舵でUターンし、元来た航路を引き返そうとしているようだった。
「逃げるつもりのようね」
「私が前に逃げる敵を追いかけるから、叢雲は引き返そうとしてる敵をお願い!」
「了解!」
吹雪と叢雲も二手に分かれ敵艦を追い始めた。
吹雪は速度を維持し、駆逐イ級へ向け連続で砲撃を浴びせかけた。だが、ジグザグに動き攻撃を回避する“之字運動”を繰り返す敵に対し決定打を与える事は出来ない。吹雪の狙いは悉く外れ、先程の様に至近距離での爆発による衝撃でダメージを与える事も敵わなくなっていた。
「意外と素早いな……」
吹雪は若干の焦りを抱き始めていた。そこで一瞬後ろを振り返る。輸送船が大分小さくなっていた。どうやら思っていた以上に深追いをしてしまっていたらしい。
「これ以上追うと船と距離が離れ過ぎちゃう。……だったらコレに賭ける!」
吹雪は連装砲での攻撃を諦め腕を降ろすと、腰を落として魚雷の発射体勢をとる。両脚に取り付けられた61cm三連装魚雷が九十度回転し、敵駆逐艦に向けて発射された。
「当たってぇ!!」
扇状の軌道を描き計六本の魚雷が海中を進んでいく。之字運動を繰り返す駆逐イ級へ向けて。
一本……二本と発射された魚雷は、駆逐イ級の傍を素通りしていく。しかしそのうちの一本が、駆逐イ級の軌道とピッタリ重なり直撃した。敵艦は大爆発を起こし、黒煙を吹き上げながら海中へとその姿を消していった。
「やったぁ!」
吹雪は両手の拳をギュッと握りしめ、喜びの感情を露わにする。それと同時に減速をする為に主機の出力を落とし、輸送船の元へと戻る為の体勢を整え始めた。
叢雲は、別方向へ逃亡を図る駆逐イ級が方向転換しきる前に撃破しようと、速力を保ったまま攻撃体勢を整えた。すれ違いざまに砲撃を浴びせて、一気に決着をつけてしまおうと考えていた。その狙いを察したのか、駆逐イ級が一足早く叢雲に対し砲撃を開始した。むき出しにされた歯の生えた口を大きく開かれる。すると不気味な咆哮と共に、砲弾が放たれた。
叢雲は敵の狙いを見極め、左へと進路をとる。彼女の横、少し離れた場所に敵弾が着弾し、海上に水柱が出現する。
その後も飛来する砲弾を巧みにかわし続けた叢雲は、敵艦とすれ違う直前に一斉砲撃を浴びせかけた。
「沈みなさい!!」
大音量を発しながら、両脇の連装砲から砲弾が発射される。駆逐イ級の周りに一瞬にして多数の水柱が立ち上がった。
「よし!」
その水柱の脇を抜けた叢雲は、後ろを振り返り着弾点を確認する。手ごたえは十分であった。勿論敵は仕留められたものと思われた……が
「ちっ!……生意気ね」
敵駆逐イ級は水柱を飛び出し、後方へと抜け去っていた。様子を見る限りダメージはあったものの、中破クラスに収まっていたようである。叢雲の攻撃は直撃には至っていなかったのだ。
「逃がさないわよ……」
戦い慣れていた駆逐イ級を、至近距離での砲撃で撃沈する事が出来なかった事に、プライドの高い叢雲は我慢ならなかった。経験を積み練度の上がった自分が、たかが駆逐艦の一隻を沈め損ねるなどありえない。そう思った叢雲は直ちに進路を変え、中破状態の駆逐イ級を追撃し始めたのであった。
《叢雲!何してるの!?深追いは厳禁よ!戻りなさい!》
無線に乗って夕張の声が響いてくる。
「大丈夫よ!あの程度すぐに沈めて戻るわ!」
叢雲はその呼びかけを無視し、速力を上げ敵艦への砲撃を開始した。
「もうっ!何やってるのよ、あの娘は!」
《夕張さん!私が叢雲を連れ戻します!》
「吹雪!あなたはすぐに輸送船の護衛に戻って!私の方が距離が近い、だから私が連れ戻すわ!」
吹雪に指示を下すと夕張は面舵をとり、敵艦を追う叢雲の方へ全速力で向かっていった。
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「困ったものね叢雲ちゃんにも……」
双眼鏡を覗きこむ龍田は、無線の内容を聞いて溜息混じりに呟いた。
「龍田、貴虎」
不意に後ろの席に座る提督が、索敵を行う二人に声をかける。その声を受け二人は後ろを振り返った。
「何か嫌な予感がする。今まで以上に警戒を強めろ」
二人に向かって言うと、提督自身も気を引き締める様に軍帽をかぶり直し、まっすぐに前方を見据えた。
「了解です~」
相変わらずのゆったりとした声で返答する龍田。しかしながら、外の光景をを見つめるその表情は真剣そのものであった。
貴虎も同様に、真剣な面持ちで双眼鏡を覗きこんだ。
「何か根拠がおありなのですか?」
貴虎がそのままの状態で提督に話しかける。
「勘……だな」
提督は静かに、だが確信めいた口調で返答した。
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一発、また一発と叢雲は狙いすまして連装砲から砲弾を発射していく。依然として之字運動を繰り返す駆逐イ級に対し、未だに直撃弾は無かったものの、至近弾の衝撃でその装甲は確実に削られていた。
黒煙を吹き出しながら逃げ続ける駆逐イ級が沈むのは、最早時間の問題であった。イ級の之字運動も動きの幅が小さくなっていき、遂にはただ一直線に進むだけとなってしまった。
「ふふん、もう回避運動する元気も無いみたいね。じゃあ楽にしてあげるわ!!」
叢雲は左腕に装着した魚雷発射装置を構え、狙いを定めて発射した。勢いよく発射された三本の魚雷が着水し、白い軌跡を描きながら速度を上げ一直線に敵艦へと向かっていった。
大破状態で速力も落ち切っていた駆逐イ級に、これを避ける術は無い。しかして魚雷の直撃を受け駆逐イ級は爆散する。
「まあ、こんなもんね」
敵の撃沈を確認すると叢雲は、服に着いた煤を手で軽く払いながら速度を落とし始めた。
しかし、叢雲は気付いていなかった。魚雷が当たる直前、その一瞬。駆逐イ級が僅かに叢雲の方を振り向き、彼女を嘲笑うかのようにその眼を細めた事を……
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(これがこの世界の、彼女達の戦いか……)
貴虎の視線の先では駆逐イ級が、叢雲の放った魚雷により爆散する光景が見えていた。
艦娘の戦いに目を奪われていた貴虎だが、同時に深海棲艦のおぞましさも、彼を驚愕させるものであった。
海上を跋扈する異形の怪物。
今までに貴虎はインベス、オーバロードといった怪物らとの戦いを経験しており、常人よりもそういった存在については馴染みがあった。
しかし深海棲艦はそれらとは似て非なるものである。それが漂わせる何処か異質な雰囲気を、貴虎の本能は感じ取っていた。
夕張が言っていた“沈んだ船の怨念”が関わっているという話も、まんざらただの噂話では無い様にと思われる。
そんな事を考えながら、ふと貴虎は叢雲の後方を見やる。すると、海中に黒い影の様な物が揺らめいているのが見られた。影は徐々にその大きさを増していく。
「龍田、あれは何だ?」
貴虎がそう言って指し示した所へ、龍田が目を向ける。
瞬間、龍田の顔が青ざめる。そして無線に向かって咄嗟に叫んだ。
「叢雲ちゃん後ろ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――
《叢雲ちゃん後ろ!!》
無線から龍田の声がこだました。
その声を受け、叢雲が後ろを振り返る。するとその先には、叢雲へ向け伸びてくる三本の白い筋。魚雷が迫ってきていた。
(魚雷攻撃!?一体何処から!?)
心の中で声を上げると同時に叢雲は、停止しかかった主機の出力を再び最大まで上げ始めた。
そして魚雷の描いた軌跡の先へと、更に視線を伸ばす。そこには、黒い長髪を不気味に水面に漂わせた、女性の水死体の様な物体が浮かんでいた。その眼は青い光を鈍く輝かせながら、叢雲の方をじっと、恨みがましく見据えていた。
(潜水艦!?待ち伏せされていた!?)
潜水艦型の深海棲艦“潜水カ級”から発射された魚雷は、確実に叢雲の位置を捉えていた。このまま今の場所に留まれば、被弾は避けられない。たかだか小型の船の攻撃といえども、魚雷攻撃は戦艦クラスの装甲をも壊す程の威力を持っているのだ。それを駆逐艦娘である叢雲がまともに喰らえば、大破は免れない。場合によっては轟沈、すなわち死に至る可能性すらあった。
「早く動きなさいよ!!」
焦りのあまり思わず声を荒げる叢雲。一度停止しかかった上で速度を上げるのは、少々時間を要する。その僅かな時間に魚雷との距離は確実に縮まっていく。
魚雷をぶつけ相殺する事も考えたが、再装填は間に合いそうにない。叢雲は連装砲の装着されたアームを後方へ向け、魚雷を破壊しようと一斉砲撃を始めた。だが身体を前に向けながら首をひねり、後方を見ている状態では狙いが上手く定まらない。おまけに焦りのせいもあってか、砲撃は魚雷をかすめる事すら無かった。弾も尽きた所で砲撃を諦め叢雲は、回避のための姿勢制御に意識を集中する。
「ああああああーーーーっ!!!」
自らを奮い立たせるように雄叫びをあげ、姿勢を制御し叢雲は面舵をとる。その叫びに呼応するかの様に主機が大きく唸りをあげ、足元に激しく水しぶきをまき散らす。身体が大きく横滑りしながら右方向へ旋回する。
完全に方向を転換したその瞬間、彼女の真後ろを数本の魚雷が通り抜けて行く。魚雷は近接信管が作動しなかったのか、そもそも搭載されていなかったのか定かではないが、爆発する事は無かったのだった。
後ろを振り返り魚雷が通り過ぎて行くのを確認し、叢雲は安堵する。が、その刹那
《叢雲!前だ!!》
無線から貴虎の声が響き渡る。それに反応し前方に向き直ると、叢雲の進路上に黒い影、別の潜水カ級が海上に出現した。その周囲には、魚雷発射管への注水完了を意味する水泡が点々と浮かび上がっていた。
二隻の潜水カ級と駆逐イ級が、この海域に同じタイミングで出現したのは、完全なる偶然であった。
付近の海域において他の艦娘達と交戦し、大きく損傷していた二隻の潜水カ級。かろうじて逃げ延びたものの、航行能力も失われ、もはや海中を漂うばかりの状態であった。
だが、二隻のはぐれ駆逐艦が艦娘達と交戦をし、そのうちの一隻が偶然にも二隻の潜水艦のもとへやってきた。潜水カ級の存在を感じ取った駆逐イ級は、敢えて討たれる事で叢雲に隙を作らせた。自分を痛めつけた艦娘へ一矢報いてやろう、という憎悪のこもった最後の抵抗であった。
潜水カ級らもまた、艦娘への憎悪を抱いていた。そして、自分をこんな姿にした艦娘どもの同胞を葬り去る事が出来る、その喜びに打ち震えていた。運悪く自分の真正面へと躍り出た、哀れな艦娘を沈められる喜びに。
今のこの距離、全速力で進路変更をした直後の叢雲へと、魚雷を命中させるのは容易い事であった。それが唯一残された、一発の魚雷であってもだ。魚雷発射管へ注水を開始すると同時に、かろうじて生きていた浮上機能を使って、海面へゆっくりと姿を表す。注水が完了し、その眼に捉えた艦娘へ向け魚雷を発射する刹那、潜水カ級の意識はプツリと途絶えていた。
叢雲の前方で爆音と共に、巨大な水柱が立ち上がる。その位置にいた潜水カ級は、爆発に巻き込まれ消滅していた。
打ち上げられた海水が頭から降り注ぎ、叢雲の身体を濡らす。
「叢雲、大丈夫!?」
叢雲が声のした方へ振り向くと、そこには夕張の姿があった。その左腕に装着された武装からは、噴射煙が立ち上っている。その武装こそが、夕張が出港前に装備していた対潜武装“三式爆雷投射機”であった。
「もう一発!!」
夕張は左腕に装着した三式爆雷投射機に再装填すると、もう一隻の潜水カ級へ向けて爆雷を投射する。
大きく放物線を描いて飛び、着水した爆雷の爆発を受けて、潜航しようとしていた潜水カ級もまた、海の藻屑となったのであった。
「どう?他に敵艦はいそう?」
《大丈夫そうよ~それらしいものは、もう見えないわ~》
龍田が無線で応答する。少し間を空けて
《……他の船員達の報告でも敵艦の姿は、もう見られないとの事だ》
輸送船内からの情報を集めた提督からの返答があった。
「それにしても、貴虎お手柄ね」
《いや、敵を撃破したのは夕張だ。私は大したことはしていない》
「そんな事無いわよ。あなたのおかげで二隻目の潜水艦を見つけられたんだから」
《そうですよ!貴虎さんのおかげです、叢雲が助かったのは!》
吹雪も、無線の向こう側で歓喜している様子であった。
叢雲の後を追いかけていた夕張は龍田の声を聞き、爆雷投射機の照準を一隻目の潜水艦に合わせ発射しようとしていた。そんな時、貴虎から二隻目の潜水艦発見の報が入った。それを聞いた夕張は即座に狙いを変更し、叢雲の正面の潜水カ級に向けて爆雷を投射したのであった。
そして間一髪、敵が魚雷を発射する直前に仕留める事が出来た。結果として損害を出す事無く、戦闘を終わらせる事となったのである。その事実に艦娘一同、輸送船の乗組員の誰もが喜びの声を上げていた。
しかし……
「……っ!!」
叢雲だけは、悔しさを顔に滲ませながら海上に立ち尽くしていた。