眠る前にも夢を見て   作:ジッキンゲン男爵

130 / 426
Twtr閑話をハーメルンでと言って頂いていたので、ついに公開を始めました。
R18と全年齢が半々です。大人の皆様よろしくお願いいたします。
https://syosetu.org/novel/195580/


#60 閑話 ダークエルフ

「え?森妖精(エルフ)の国の人達が?」

「はい。アウラ様。是非一度御目通りしたいと言っております。」

 アウラとマーレは法国を手中に納めた後にさっさと手に入れた元闇妖精(ダークエルフ)国――現在はスレイン州エイヴァーシャー市にいた。

 かつて森妖精(エルフ)の王国を治めていた邪王はニューロニストの下、聖歌隊として活躍しながら日々スクロールを生産している。

 邪王の皮は中位の魔法を込める事に成功した為、第五位階までのスクロールの使用は許可なく行われるようになった。

 闇妖精(ダークエルフ)達も森妖精(エルフ)達もアウラとマーレを生み出した神が、最恐の森妖精(エルフ)の王の祖先を遥か昔に生み出した者と同一だと信じて疑わなかった。

 神の手によって生み出された混じりっけのない双子の守護神は、邪悪に育ってしまったかつての被造物を討ったのだ。

 闇妖精(ダークエルフ)達はこの無垢なる存在を遣わされた闇妖精(ダークエルフ)の方が森妖精(エルフ)よりも祝福された存在だと信じている。

 一方解放されたはずの肝心の森妖精(エルフ)達は同じオッドアイの双子を逆に畏れ、将来的に再び同じ惨事に見舞われるのではと従いもせずに森妖精(エルフ)の王国から、森妖精(エルフ)の国として名を変えて国家運営を行っていた。

 法国が行なっていた戦争を引き継ぎ、無理に従わせるかと言うデミウルゴスの提案は有ったが、当時はまだ支配者が自分達の中で世界征服を決める以前の話だった為放置されてきた。

 

「なんで?ずっとオッドアイとは関わらないとかなんとか言ってたんじゃないの?」

「はい。ですが、あの黒竜との戦いにアウラ様とマーレ様が参加されていたのを見たそうで、心を入れ替えたとかなんとか。」

「そ!じゃ、アインズ様にどうしたらいいか聞いてみてあげる!少し待たせておいて!」

「ありがとうございます。」

「まずはマーレを探してくるね!ついてこなくっていいから!」

 ここエイヴァーシャー市は国ではないが、アウラとマーレは象徴王として君臨している。

 が、世話を焼こうと闇妖精(ダークエルフ)達がどこにでも付いてくるのが鬱陶しいので、実を言うと双子達はあまりここに来るのは好きではない。

 しかし激戦の後、労いたいと呼ばれてしまった為今は渋々二泊三日の出張に来ていた。

 

 アウラはぴょいとツリーハウスから跳び下りると、いつもマーレがいる場所に向かった。

 それは第六階層の大樹に少しだけ似ている――この市で一番大きな木のてっぺんだ。

 サササと慣れた手つきで登っていくと、下から声がかかった。

「アウラ様!またそんな風に登って!いけません!!お嬢様なのですから――」

「あーもーうるさいなー!あたしはこうあれって創られたの!!」

「しかしそんな事では神王陛下と光神陛下に呆れられてしまいますよ!!」

 アウラはウッと声を上げると、これまでよりもほんの少しおしとやかに登った。

 頂上に着いて草の中からポンッと顔を出すと、マーレはそこで本を読んでいた。

「マーレェ〜。またこんな所でぇ。」

「あ、お、お姉ちゃん。」

 マーレは訪問者を確認すると、途端にキョロキョロしだした。

「大丈夫。あたし一人で来たよ。」

「よ、良かったぁ。み、皆すごく鬱陶しいよね。」

 分かる分かるとアウラは頷いて見せると少しだけ真剣な顔をした。

「あのさ、それよりアインズ様に連絡してほしいことがあるんだけど――」

 

+

 

「ほう?良いじゃないか。私も会ってみよう。少し待っていなさい。」

 冒険に出る前になるべく執務を片付けようと机に噛り付いていたアインズは機嫌良さそうに応えて伝言(メッセージ)を切った。

「アインズ様、お出かけでございますか?」

 秘書として控えていたアルベドは共有していた書類から視線を上げ様子を伺っていた。

「あぁ。森妖精(エルフ)が双子に会いたいと言って尋ねてきたそうだ。これまで頑なに会わないと言っていたと言うのにな。相手の気が変わらんうちにさっさと会っておいた方が良い。私は少し出る。」

「かしこまりました。では私が護衛として――」

「向こうには双子がいるんだぞ。護衛はもう十分だ。」

「しかし――」

「アルベド…。お前にはナザリックを任せたいと言っているというのに。何度言ったら分かるんだ?」

 アインズは立ち上がるとアルベドの前でやれやれと腰に手を当てた。

「しかし、御身に何かあってはいけません!アウラとマーレでは盾として不十分でございます!」

 常闇と戦ってから、アルベドはまたアインズとフラミーを外に出したがらなくなった。

 余程怖い思いをさせてしまったと思う。

 アインズは親を失う辛さを誰よりも分かっていた。

 あの時は一歩間違えれば、義理ではあるがいわば両親を揃って失う所だったのだ。

「すまなかったな。お前にはいつも心配をかけていると私もわかっている。しかし私はお前より強い。いや、誰よりも強い。私こそがナザリック地下大墳墓の主人、お前の主、アインズ・ウール・ゴウンその人だ。」

 アルベドはそれを聞くや否やプルプルと震えだし、アインズはこんな言葉ではダメかと怒られる事を覚悟し――

「――っぐはぁ!」

 ――視界が一気に流れると背をカウチに叩きつけられた。

 痛みは皆無だったが脊髄反射でいててと漏らしながら起き上がろうとすると、異様に柔らかい感触が自分を拘束しようと全身を這いずり回っていた。

 アインズは移動困難や捕縛に完全耐性を持っているため完全に捕らえられればその瞬間解放されるはずだというのに、自分の上の軟体動物――アルベドは余程高度な捕縛技術を有するようだ。

 

「アルベド!!やめないか!!」

「アインズ様!もう、もう我慢しなくても良いですよね!!」

 アルベドがぐわっと金色の瞳を見開くと、アインズは背筋を凍らせた。

「な、何を言ってるんだお前!!ダメに決まってるだろ!!早く降りなさい!!」

 聞こえないとばかりにアルベドはアインズのローブをはだけようと動き出した。

「ふ、服を脱がすな!!腰を動かすな!!え、ちょ…、待て待て待て!!」

「アインズ様が悪いのです!!我慢できないことを言うから!!フラミー様にお掛けになったご慈悲を、どうかちょっとだけ!ほんのちょっとだけで良いのでこのアルベドに!!なんなら先っぽだけでも構いません!!天井の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジアサシン)を数えている間に終わらせますから!!」

 アインズが兎に角一度冷静にならねばと人化を解こうとするとノックと同時に扉が開き――

「こんこーんアインズさん、今アウラから――」

 パタリと閉められた。

 近頃はこんな感じで互いの部屋を出入りしていた。メイドにいちいち訪問者の確認をするのが面倒な二人は「勝手に入ってくれ」と言い合っている。とは言え、親しき仲にも礼儀ありだ。ノックは一応続けていた。

「フ、フラミーさん!!おい!お前たち何をしている!早くし、うわぁ!ちょっとやめろって!!」

 相変わらずいやらしい腰付きで自分を拘束するアルベドをアインズはようやく押し返すことを決意した。

 が、どこを押しても柔らかい部分をグニっと押してしまい本気を出すことができない。

「アルベド様御乱心!」「アルベド様御乱心!」

 アインズは今度こそ人化を解くと伝言(メッセージ)をパンドラズ・アクターに送った。

 息子は指輪を持つため召喚から参上まで早いはずだ。

 デミウルゴスもそうだがあれは腕力がなさ過ぎて救助を期待できない。

 通信が繋がったのを感じると叫ぶように声を上げた。

「私だ!!私の部屋に今すぐ来い!!今すぐに!!」

 八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジアサシン)達はアルベドに吹き飛ばされ、孤軍奮闘しているとノックが響いた。

 アインズは揺れているアルベドの腰をなんとか押さえつけると、後はこれで連れ帰らせれば良いと勝利を確信した。

 押さえつけても微妙にもぞもぞと動いているが、目一杯動かれるよりは良いだろう。

「入れ!入れ入れ!!」

 ガチャリと扉が開くと、アルベドはパンドラズ・アクターに止められる未来が見え抵抗した。

「あぁん!アインズ様嫌です!!嫌です!!」

 しかし、扉からは気まずそうにフラミーが顔をのぞかせた。

 

「あの、先に行ってますね?」

 フラミーはアルベドの腰を押さえつけているアインズを見ると、頭痛がした。

 嫌がるアルベドに何故ここでスルのか。

「え!?フラミーさん!?ま、待って!待ってください!誤解だ!!」

 最後まで話は聞かれず、再び扉が閉められると部屋の中に直接息子は転移してきた。

「父上、いかがなさいましたか?」

「見ればわかるだろ!早くこのビッチを退かせ!!」

「パンドラズ・アクター、あなた今すぐ弟が欲しいんでしょ!!私はたった一滴頂きたいだけなのよ!!」

「なるほど…。これは難しい問題ですねぇ。父上、一滴くらい宜しいのでは?」

「宜しいわけがあるか!!!」

 孝行息子は襲われる父を暫く眺めたが、ちっとも人の身になろうとしないので渋々アルベドを引き剥がした。

 

+

 

「あうらぁ〜!まぁれぇ〜〜!」

 フラミーは膝立ちになって双子にひっつくと顔をぐりぐり二人に押し付けた。

「わぁ!フラミー様どうされたんですか?」

「え、えへへ。フラミー様ぁ。」

 二人はそれぞれ嬉しそうにフラミーを抱きしめ返した。

 フラミーはしばらく優しい感触に浸り、さっき見たやらしすぎる光景を頭から追い出していく。

「はぁ…いつか二人にも好きな人ができて…恋人ができたりするんだろうなぁ…。」

「え!ちょっと早すぎますよフラミー様!あたし達はまだ七十代なんですから!」

「うーん、そうかなぁ。」

 フラミーは二人からゆっくり離れるとアインズの伽が終わるのを待とうと部屋にあるベンチに座り、自分の左右をポンポン叩いて双子に席をすすめた。

「ちなみに二人のタイプは?ナザリックの中なら誰が好き?」

「あたしはアインズ様とフラミー様が大好きです!」

「ぼ、僕もアインズ様とフラミー様が大好きです!」

「ふふ、嬉しいなぁ!」

 

「あ、あの!フラミー様は、その、アインズ様の次には誰を愛してらっしゃるんですか!やっぱりデミウルゴスさんですか?」

 フラミーは何故デミウルゴス?と思ったが、もしかして普段デミウルゴスばかり構い過ぎたかなと少し反省し目の前の子供も目一杯可愛がらねばと思った。

 アルベドにもデミウルゴスだけ弁当なんてずるいと言われたばかりなのだ。

「私はマーレが大好きだよ。」

「――え?」

 可愛らしい質問をしてくるマーレの頭を撫でくり回すとサラサラした髪が手の中で流れた。

「「――え!?」」

 マーレも少し髪が伸びてきたようだ。後でお父さんカットをアインズにお願いしようとフラミーは勝手に決めた。

 近い将来二次成長期を迎えるなら、ぶくぶく茶釜は嫌がるだろうが今までよりも短くカットして段々慣らし始めた方が本人のためかもしれない。

「「えー!!」」

 突然二人が大きな声を上げると、フラミーはピクッと肩を揺らした。

「わ、びっくりしたぁ。ねぇマーレ、将来の話なんだけど――」

「しょ、将来ですか!」

「う、うん。いつかはやっぱりマーレも男らしくなっていくわけじゃない?」

「は、はい!!ぼ、僕きっと立派な男の人になります!!フラミー様!!」

「はは。楽しみだなぁ、それでね――」

 転移門(ゲート)が近くに開くと、三人は黙った。

「フラミーさん…。お待たせしました…。」

 骨だというのにげっそりして見える支配者は現れた。

 フラミーはそんなに激しかったのかと内心苦笑すると何と声をかけるべきかなと少し考えた。

 早かったですねというのは何となく貶すみたいだし、かと言って遅かったですねというのも何となく貶すみたいだし、フラミーは何を言えばいいのかわからなかった。

「あ、あの、アインズ様!」

「はぁ…どうしたマーレ。」

「ぼ、僕、立派な男になります!!」

「そうか。それは楽しみだな。アウラもいつか素敵な女性になるんだぞ。」

「はい!あたし、最近少し気にしてるんですよ!」

 アウラはさっきも少しおしとやかに木を登ったし完璧だと胸を張った。

「そうか。偉いな。お前ならきっとアルベドやシャルティアと違って側において落ち着ける女性になると信じているよ…。」

「――え?」

 アインズはフラミーと目を合わせるのが気まず過ぎてアウラの隣に座った。

「「――え!?」」

 何と謝ろうか考え始めると、アウラの背の後ろにフラミーの翼があるのが見えた。

 アインズは二人で少し話したいと思ってアウラの背中に手を回すとフラミーの翼をちょいちょいとつついた。

「えー!!!」

「ど、どうしたアウラ、声が大きいぞ。」

「あ、す、すみません!!」

 フラミーは気まずそうにモジモジしながら手元に視線を落としていた。

「良い。謝ることはない。それよりフラミーさん、少し話したいんですけど良いですか?」

 フラミーは悩んでから頷き、双子から少し離れた所で何かを話し始めた。

 

「マーレ…。」

「お、お姉ちゃん…。」

「あたし達ってもしかして…。」

「う、うん。」

「それぞれ御方々の二番目に愛されてる…?」

「うん!!」

 二人は瞳をパァっと輝かせるとキャー!と喜んで足をバタバタさせた。

 

 一方問題を抱え続ける夫婦は気まずい話し合いを始めた。

「あ、あのフラミーさん…。」

「大丈夫大丈夫。全部わかってますから、気にしないで下さい。大丈夫ですよ。」

「いや、絶対わかってませんよ。その目を見ればわかります。」

「わかってますもん。」

「わかってないですよ!!」

 フラミーは伸びてきた骸骨の手に、今は嫌だと思いくるりと体の向きを変えた。

 双子の下へ戻ろうとすると途端に引き寄せられ、抱き締めようとするその手を懸命に振り払う。

「そ、そんなに嫌がって…俺が何してたと思ってるんですか!」

「……えっち。」

「な…。えっちって…まさか俺がアルベドを抱くと…?」

 フラミーは何故こんな事をわざわざ言うんだろうと真意を確かめようと目を細め、アインズをじっと見た。

「……抱かないの?」

「抱くか!!馬鹿野郎!!」

 アインズの怒りの声にフラミーも双子もびくりと肩を揺らした。

 アインズはそのまま鎮静され、数秒沈黙がその場を支配する。

 途端にフラミーの目にはじわっと涙が浮かぶと溢れ始め、アインズは流石に言いすぎたかと骨の背に汗が流れたのを感じた。

「あ、あの、すみません。俺、言いすぎました。あ、あああ。本当、すみませんでした。俺がちゃんとしてないのがいけないのに怒鳴ったりして…すみません、泣かないで、泣かないで…。」

 背中をポンポン叩いていると、フラミーは呟いた。

「……だいすき…。」

「え…あ…おれも…。」

 アインズは涙を落とすフラミーの背をしばらくさすった。




ベドちゃんめっちゃ風紀乱れてる!!止まるところを知らない!
が、アインズ様に抱くかと言わせるいい仕事っぷり!
アンケートは明日の0時で締め切らせて頂きます。
三期はドラちゃんの結果を出すために頑張るゾィ!

次回 #1 旅立ちの準備

ハムスケとフラミー様の日常をユズリハ様より頂きました!!
尊きかな。君は天使だよフラミー様!三枚漫画ちゃんです!

【挿絵表示】


【挿絵表示】


【挿絵表示】


常闇討伐のその頃
https://syosetu.org/novel/195580/28.html

ドラちゃんの運命や如何に…!

  • このまま死ぬまで幸せな夢を見続ける
  • アインズ様にちゃんとまっすぐ振られる
  • 他に好きな人ができる(宰相かなぁ
  • 紆余曲折してアインズ様を諦める
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。