眠る前にも夢を見て   作:ジッキンゲン男爵

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#105 それぞれのプラン

 蛾身人(ゾーンモス)のリシ=ニアはその背に生えた肉厚な羽を数度羽ばたかせ、光の神殿の前に降り立った。羽は背側が白で、内側は竜の目のような模様になっている。

 絹のようななめらかさを感じる羽が綺麗に畳まれると、まるで人が髪をそうするように、頭に生えるブラシ状の触覚を整えていく。腕は全部で四本あり、二本で触覚を整え、もう二本で首元に襟巻状に生えるふわふわとした白い毛を広げた。

 

「やれ、やれ。ほう。」

 

 評議員になり六十年を超えるリシ=ニアから見ても、この神殿は見事だった。白く燦然と輝く上質な大理石の柱、象牙を彫って出来た像達、見事な浮き彫りの施された大扉は見上げるほどで、どんな種族の者でも入れるように設計されている。

 

 青空の下、何にもまして美しいその神殿の扉へ進む。果たしてどのような種族がいればこれほどの建物を建てられるのだろう。

 

 扉の前に達し、手を掛けようとする前に、扉は死の騎士(デスナイト)によって滑らかに開かれた。リシ=ニアではとても敵わないように見えるアンデッドは、何か残酷なことを期待するような瞳をしているように見えた。

 ――信用ならない。それがリシ=ニアの感想だ。

 

 微光を放つ永続光(コンティニュアルライト)が照らす礼拝堂へ進む。

 中には死者の大魔法使い(エルダーリッチ)の他に、立足兎(パットラパン)達と数人の蛾身人(ゾーンモス)がいた。

 彼らは神官と言うわけではない。立足兎(パットラパン)は給料がもらえるからと言う理由で神殿の掃除や雑務に従事していて、蛾身人(ゾーンモス)は客が来るのを待っているのだ。患者の多くは蛾身人(ゾーンモス)の持つ工房や診療所に行くが、診療所に入れない大きな種族や、街に馴染みのない者が光の神殿に来ることもあるというわけだ。

 

 立足兎(パットラパン)はちょこちょこと小さな体で神殿内を駆け回っていたが、リシ=ニアを見ると近付いてきた。

「評議員さま!わざわざ来てくれたの!それで、どうするか決まった?」

 使者ではなく、評議員が自ら来るのが珍しいのか何匹も群がってくる。立足兎(パットラパン)に囲まれ、リシ=ニアは思わず顔を綻ばせた。命の長い蛾身人(ゾーンモス)から見れば、立足兎(パットラパン)など命の短い種族は赤子同然だ。それに、彼らはどことなく蛾身人(ゾーンモス)の子供に似ている。二本の触覚があり、白くてふわふわだ。

 

「やあ、やあ。方針は決まったとも。治癒の力を持つ我ら蛾身人(ゾーンモス)族が神聖魔導国のその――なんだったかな…。」リシ=ニアが首を傾げると、立足兎(パットラパン)が「エ・ナイウルだよ」と助け舟を出した。「――そう、そのエ・ナイウル市へ出向き人魚(マーマン)族の治療に当たることにした。フロスト便で明後日の夜には着くと返事を一足先に送ってくれたまえ。」

「はぁい。評議員さまも国を出るの?」

「我は治癒屋ではない。行かぬとも。」

「そっかぁ!じゃあ、お手紙書くから僕達は行くね。」

「任せよう。では我も治癒隊の編成といこうか。」

 

 毛玉達がぱたぱたと短い足で離れて行き、リシ=ニアもこちらの様子を見ている数名の同胞の下へ向かった。

「そなたら、聞いておったな。」

「えぇ、聞いておりましたとも。リシ=ニア殿。」

 皆がそれぞれうなずく。

 

「猛病なる病に罹った人魚(マーマン)の治癒を行う者を募る。どうだ、神聖魔導国のエ・ナイウル市に行かぬか。」

「あちらの国は治癒費に定めがあるのでは?割りに合いませぬ。」

「いいや。我らには関係がない。好きな報酬を取るが良い。彼らは人魚(マーマン)を治せぬだろうし、患者はわんさかいる。――どうだ?稼ぎどきぞ?」

「であれば、是非に。」

 

 数名が立ち上がり、立ち上がらなかった者が静かに手を挙げる。触覚をそちらへ倒すことで発言を促す。

「失礼。リシ=ニア殿、何故人魚(マーマン)をこちらへ連れ帰らぬので?そうした方が金になりましょう。」

 

「ふむ。確かにそなたの言う通り、一番儲かるのは、評議国に患者を連れ帰り、まだ健康な人魚(マーマン)(オグル)まで感染を広げることであろうが――あまり派手にやっては持ちつ持たれつの関係も崩れよう。それに思い至らぬ我らではないと(オグル)も分かっておるわ。一部の種族だけが力を持つ構造は最終的に誰にとっても――ただの毒よ。」

 

 リシ=ニアは自らの羽を軽く撫でつけた。ふわふわと柔らかな触り心地は、行き届いた手入れと正しい生活習慣が生み出す努力の賜物だ。

 鱗粉の量も非常に良く、一粒一粒がきめ細かい。白や緑、黄、茶を基調としていながら、それぞれが複雑な色に輝いている。鱗粉は治癒薬を練金するのに使用する為、良質なものが取れれば良い薬も――当然毒も――作れる。

 しかし、リシ=ニアは治癒屋や錬金屋にはならなかった。

 リシ=ニアが評議員になるまで蛾身人(ゾーンモス)の評議員はおらず、この国を良くしたい、自らの種族の生きやすい国にしたい――そう思い、必死で勉強をして評議員となった。蛾身人(ゾーンモス)は治癒や錬金に秀でた力を持つ為、誰もがその道に進んでしまいがちだったのだ。

 

 リシ=ニアは評議員になって良かったと思う。

 

 今回のような情報をいち早く手に出来るし、国の舵取りについての話し合いに参加ができる。蛾身人(ゾーンモス)の地位向上、繁殖繁栄にも大きく寄与した。

 それに、竜王達はその長命さから多くの知を修め、世界の構造すらもその手の内だと言うのに、神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導王、ひいてはその子息の事となると判断を誤りがちなので、時に諫めることができる対等な立場に立っていなくてはならないだろう。

 以前、竜王の一人がその身分を顧みずに(くだん)の王の命を奪おうとした事によって評議国が属国になってしまったのは記憶に新しい。あの時ばかりは全評議員から非難の声が上がった。

 

「――政治のことは解りませぬ。ともあれ、理由あってのことだと納得しました。ここで患者を待つより良いのは確実。我も行きましょう。」

「うむ、うむ。移動は一日がかり。必要な足代は国費から出そうぞ。皆準備もあろう。明後日、天を突く山の麓に太陽が昇る頃、光の神殿前に集まるように。」

 その後、数分程世間話をするとリシ=ニアは光の神殿を後にし、他の者を誘いに出かけた。

 

+

 

 聞こえるのは誰かの、もしくは自分の咳ばかり。

 寝かされているジーマは自らの判断と、見通しの甘さを後悔し、その愚かさを嘆いた。

 漁師のジャンド・ハーンがこの病に罹った時、人魚(マーマン)から貰わないようにばかり気を付け、人から人への広がりの可能性を一切考えなかった。今、人魚(マーマン)達と関わりを持たなかった神官達にすら、猛病――いや、新猛病は広がっていた。

「も、もるがー…さま……。」

 旧王都より来てくれている高位魔法を使える応援の神官の名を呼ぶ。

 慌しいような足音が聞こえ、すぐに手を取られた。

「クラスカン様、モルガーはここにおります。――<病気治癒(キュア・ディジーズ)>。」

 モルガーの詠唱とともに体の痛みや咳が一時的に和らいだ。

「今は魔力が不足しておりますので、明日にはきっとクラスカン様も治癒いたします。」

 ジーマは静かに首を振った。

「ありが…とう、ございます…。もるがー………さま。ど、どうか…わたしより…さきに……若いしんかんを……。ららいくんを……。」

 最初からラライは旧王都に応援を要請しようとしていた。呼べない理由を話した後も、納得しきれないような顔をしていた。ジーマに彼ほどの若さや、真っ直ぐさがあれば、ここまで病が広がることはなかっただろう。

「ラライ君ですね。ではラライ君も明日治癒します。――明後日には評議国の光の神殿から治癒隊が来てくれるそうですから、すぐに収束しますよ。」

「……あ、あさって…。そ、そうでしたか……。」

「えぇ。評議国の光の神殿にも書状を送られたのは大英断です。ですから、さぁ、クラスカン様もすこしでもお眠り下さい。」

 病の床で自らを責め続けていたジーマはモルガーの言葉に一粒涙を流した。

「あり…がとう…。ありがと…う……。」

「……とんでもありません。息苦しくなったら、いつでもお呼びくださいね。<病気治癒(キュア・ディジーズ)>なら、まだ数回使えます。」

 ジーマの顔に希望を見出した笑みが浮かぶと、モルガーは静かにそのそばを離れた。

 

 多くの神官達が青い顔でケンケンと咳をしている。

 

 モルガーには本当は後一回だけ<病気中治癒(トータルキュア・ディジーズ)>を使える魔力が残っているが、その事を決して口にはしなかった。

(…すごい勢いで患者が増えていく…。私も不調を感じればすぐに自らに<病気中治癒(トータルキュア・ディジーズ)>を掛けなければ…。)

 ここでモルガーが倒れれば、大変なことになるだろう。モルガーは決して倒れることはできない。しかし、人によっては出し惜しみだとモルガーを責めるだろう。

(そろそろ神殿にいる患者達の様子も見にいかなければ…。)

 モルガーは苦しそうにしている者がいないことを確認すると、神官達が寝かされている修道院を出た。併設されている光の神殿に向かう。病に罹っていない神官達とすれ違いざまに頭を下げ合うが、非常事態のため、お互い立ち止まって礼儀正しい挨拶を交わしたりはしない。

 

 神殿に戻ってくると、数え切れない街の人と人魚(マーマン)が寝かされており、その光景だけで目眩がしそうだった。

 旧王都の同僚や部下に助けを求めた方がいいかもしれない。本日中に手紙を書いて旧王都に送るべきだろう。それでも手に余るようなら神都にいる光の神官長、イヴォン・ジャスナ・ドラクロワ宛にも手紙を送るべきなのかもしれない。

 それから――モルガーは最もやらなければいけない事を思い出した。

 

 近くを洗い立てのシーツを持った神官が通ると、それを呼び止める。

「君、忙しいところすみません。少しいいですか。」

「――は、はい!モルガー様!」

「私は闇の神殿へ行き、祈りを捧げて来ます。神王陛下に死のお力を弱めていただくよう、お願い申し上げなければなりません。」

 神とは時に人を試すのだ。そして、生と死について深く考え至らせるようにし、光と闇、どちらも抱いて生きるように教え導いてくれる。しかし、この試練は少しばかり難易度が高そうだった。

 

「誰かが私を探すことがあれば、代わりに<病気治癒(キュア・ディジーズ)>を掛けて差し上げるようにしてください。」

「かしこまりました!皆にも周知しておきます!」

「お願いします。それでは、行って来ます。」

「行ってらっしゃいませ!」

 

 この都市中の光の神殿から応援は来ているが、全ての神官が魔法を使えるわけではない。

 モルガーは急ぎ廊下を行き、礼拝堂に出た。

 礼拝堂には多くの人々が祈りを捧げに来ていた。

 

(皆光神陛下へ真摯に祈って………。これなら収束も早いはず。)

 

 確信を持ち、光の神殿を後にする。昨日の夜に調べておいた道を思い出しながら一番近い闇の神殿を目指した。

 途中魂喰らい(ソウルイーター)乗合馬車(バス)に乗り、二十分ほどで闇の神殿に辿り着いた。

 

 扉は開けられており、多くの参拝者で賑わっている。

「失礼、すみません。私は神官です。お通しください。」

 光の神官服に身を包んでいるため、すぐに道は開けられた。

 参拝者達が座る椅子の間を進み、闇の神の像へ真っ直ぐ向かう。

 

 一番前には死者の大魔法使い(エルダーリッチ)がおり、神聖なる神の像に勝手に参拝者が触れたりしないように見ている。

 そのそばには神官や司祭が説教を行う聖書台があり、ロープを渡したポールも何本かきちんと置いて人々が近づきすぎないようにしてある。

 

 モルガーは脇目も振らずに前へ進み、ポールの間すら抜ける。

「そこの光の神官様。」

 闇の神官に声をかけられるが、今はとにかく時間が惜しい。本来であれば来た理由を告げ、共に祈りを捧げてほしいと頼むべきだと分かっているが、そうなると神官達が集まるまでに時間がかかるだろう。

 

 像の横に立つ死者の大魔法使い(エルダーリッチ)から厳しい視線を送られる。

「光の神官。御方の像の御前なるぞ。」

死者の大魔法使い(エルダーリッチ)様、どうか神王陛下へ我が祈りを捧げさせて下さい。どうか、なにとぞ。」

「……お前はこの都市の光の神官ではないな。」

「おっしゃる通り、私は旧王都リ・エスティーゼ市の光の神殿より参りました。」

「お前が治癒の応援に来ている神官か。また多くの死者が出たのか?」

「…そうなってしまいそうです。ですので、陛下にお祈りを。」

 朽ちかけの顔の表情は読めないが、モルガーには死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が笑ったように見えた。祈りを捧げることの大切さを感じる。

「そうか。死の支配者たるアインズ様だけは全ての者に平等だ。好きなだけ祈るがいい。」

「感謝を。」

 

 死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が受け入れたところを見ると、闇の神官達は無理にモルガーを像から引き離そうとしたりはしなかった。

 モルガーはいつも祈りの前に歌う聖歌を一節だけ歌い、膝をついて胸の前で手を組んだ。

「神王陛下――。我々は命を失うこと、得ること、(ながら)えること、全ての意味を知りました。誰かの痛みの中で人は生きていることを学びました。どうか、死の手を少しだけでも緩めていただくよう、心よりお願い申し上げます…。」

 その祈りはどこまでも真摯で、この街の光の神殿で何が起きているのか理解している闇の神官達も共に祈りを捧げた。

 

+

 

 ナザリック地下大墳墓、第九階層にあるアインズの自室。

 間取りの中で最も廊下に近い、リビングと兼用されている執務室には書類をめくる音と、クレヨンを走らせる鈍い音が響いていた。

 

 アインズは今、フラミーが楽なようになるべくナインズの面倒を見ている。つわりの山は越えたが、なるべくゆっくり過ごして欲しかった。それまでは保育園感覚でナインズ当番や部屋付きメイド、コキュートス、セバスに任せていたが、それがナインズの人格形成にまずい影響を与えているのではないかと言うフラミーとの話し合いの結果、ナインズはひとまずアインズと過ごすことになった。

 

 ナインズの日中は基本的に夢中でお絵描きをしており、たまに絵を見せて来た時に構ってやる。昼食にはフラミーも呼んで皆で食卓を囲み、それを済ませると執務の場所を第六階層に変えて一郎太とコキュートスと遊ばせる。

 何でも見てほしいお年頃なのか、呼ばれた時にすぐに返事をしないとぐずる。――それも可愛かった。

 

 フラミーにはペストーニャや戦闘メイド(プレアデス)、第八階層守護者であるヴィクティムが付き、穏やかに過ごしてもらい、なるべくストレスを溜めないように気を付けている。

 

 時にはテルクシノエとヒメロペー、ラナー、ドラウディロンを呼び出してお茶会をしていた。ラナーはナインズのちょうど一歳年上の女の子、クラリスも連れて来るので、その時ばかりはナインズをフラミーに任せたりしている。

 今お茶会で最もホットな話題はジルクニフとロクシーの間に男児が生まれたと言う事だ。名はサラトニク・ルーン・ファーロード・エル=ニクス。戦友という意味の名を与えたらしい。

 生まれる前からロクシーが胎教に勤しみ、恐らくジルクニフの側室達が産んだどんな子供達よりも優秀に育つだろうと専らの噂だ。ジルクニフは帝位を継がせるのにふさわしい子供なら何でも良いと子供達にたいした愛情も持っていなかったらしいが、帝国がなくなった今、ロクシーの子には不思議と強い愛を注いでいるらしい。

 

 アインズは穏やかに過ごすフラミーを想い、短い現実逃避を終えた。

 

 謎の王位に就いて丸五年。依然続く勉強会のおかげで、なんとか書類に書いてある事がわかり始めて来ていたが、所詮鈴木悟は単なる会社員である。

 書いてあることが分かっても、それが国に良いものなのか悪いものなのかの判断がつく程ではない。

 

 ギュッと国璽を押し、次の書類を手に取る。

(………リ・エスティーゼ州で発生した病気のことが書かれているんだな?さっさと魔法で治せば解決するだろうに…。しかしこれは死者の大魔法使い(エルダーリッチ)から上がって来てる報告………なんだよな。奴らはとことん親に似ないな。なんでこんなに難しい言葉で報告書を書くんだよ………。)

 

 アインズだったらもっと分かりやすい言葉で報告書を書き上げられる自信がある。報告書の書き方を教えてやりたいくらいだ。

 しかし、そんな機会には今のところ恵まれていないし、優しく書いてくださいなどと言えるはずもない。

 どうしたものかと悩み、つい口から「ふーむ…」と声が漏れる。

 

 ――そして閃いた。

(ナインズがもう少し大人になったら、ナインズにも分かるように書けって言おう!!そうだ!!)

 

 アインズはジルクニフが息子に"戦友"を意味する名前を付けた意味がよくわかった。ナインズもアインズにとっての戦友になるだろう。ジルクニフとは近いうちに息子を持つ男親同士、楽しい飲み会など開きたい。

(サラトニクか。エル=ニクスは中々ネーミングセンスが良いな。ま、"ナインズ"ほどじゃないけど。)

 我ながら素晴らしい名付けを行ったものだ。

「ふっふっふ。」

 一人楽しげな笑いを上げていると、アルベドと視線が交錯し、微笑まれた。

 

「――やはりアインズ様もその件についてお考えでしたか。一番集中してご覧になられていらっしゃいましたし。」

 

 突然のアルベドの言葉に、アインズは何が起きたんだと一瞬目を白黒させかけた。こういう時、毎度骨で執務をしていて良かったと思うものだ。

 

「…………その通りだよ、アルベド。本当にその通りだ。」

 

 何もわかっていないと言うのに、こう答えてしまう自分が情けなくなる。

「流石アインズ様。午前中の分が終わり次第お伝えしようかと思っていたのですが、その件について本日中に神都大神殿へ出向き、最高神官長、神官長達と話し合いの場を設けようかと考えております。」

「…それは私も出向く必要があるか?」

「とんでもございません!配下のものとして、この程度のことで御身のお手を煩わせるなど言語道断。――ですが、私一人の手には余るかもしれません。念のため、パンドラズ・アクターかデミウルゴスを連れて行ってもよろしいでしょうか?」

 アルベドの手に余ることなどアインズに処理できるわけがない。先手を打ってやんわりと断れて良かった。

「もちろんだ。好きに連れて行くがいい。ただ、デミウルゴスはアルバイヘームの所でロッタ・シネッタとか言う軍人に市長を任せるために出かけているかもしれん。全くあそこは手数ばかりがかかる。裁きの後に滅ぼせば良かったな。」

 

 やれやれと息を吐いていると、アルベドは女神もかくやと言う笑顔を見せた。

「今からでも滅ぼしますか?」

 

「――いや、いい。ここまでやったのだ。今更手放す方がもったいない。」

 あそこはもはや経費を注ぎ込みすぎて後戻りできない案件だ。

「かしこまりました。――話は戻りますが、大神殿へ行く前に人種の融和方針と評議国支配に関するプランニングを行いますので、本日の昼食はパンドラズ・アクターの下でとらせていただきます。」

「………なんだと?」

 今アルベドは評議国支配と言わなかっただろうか。アインズは恐る恐る自らの手の中の書類に視線を落とした。

 

 そこには、確かにリ・エスティーゼ州エ・ナイウル市で発生している病について書かれていた。

 

「まぁ!アインズ様ったら!やはり、昼食はアインズ様とフラミー様、ナインズ様とご一緒いたしますわ!」

 アルベドが両手を紅潮した頬に当て、くねりだす。

 

(……評議国、気のせいか……?)

 

 一人幸せそうにする統括からアインズが視線を外す頃には「お!おとうた!おとうたま!」とナインズが今日かけた作品を見せつけている所だった。




久しぶりに勘違いされてる!!
いやー、ついにジルクニフの息子も生まれたなぁ!
ベビーラッシュだなぁ!

次回#106 治癒隊

サラトーニク、カラシニコフ社が発表した新型のAI兵器の名前ですねえ。
ロシア語で「戦友」を意味するらしいっすよ!
賢くなるであろうジルの息子にぴったりだね!

ユズリハ様からサラトニク君いただきましたよ!!

【挿絵表示】

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