眠る前にも夢を見て   作:ジッキンゲン男爵

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#140 呪われた兵士

 巨大竜巻が消え、辺りは再び広陵とした砂漠が広がった。

 バーリヤ大司教は、無事に主神へ宵切姫を届けられたことに大層安堵していた。

 透光竜(クリアライトドラゴン)はどうやら神の従者だったらしいが、それはもはや神と言ってもそう違いはないだろう。

 しかし、今後は透光竜(クリアライトドラゴン)の上にいるという神々の事も祀るべきだ。

 神々がいっぺんに姿を現してくれるなんて、やはり今年の宵切姫は素晴らしい存在だった。

「もし。私は大司教、バーリヤ・コトヌィール・ヒノノヤマヤ・アバリジャィールです。お二柱は本当に生贄はよろしいのですか?」

 アンデッド姿の神と、その腕の中にいる神は頷いた。

「いらん。それから、すでに露出が多いようだがそれ以上服を脱いだりしたら怒るぞ」

 燃える赤い瞳は魔人(ジニー)達と違って、光だけが眼窩の窪みにあるようだ。死人特有の生き物を震え上がらせる赤。

 服の意味はよく分からないが、バーリヤはすぐさま頷いた。意味など問える存在ではない。脱ぐなと言うなら脱がないべきなのだ。

「心得ました。では、ヴァイシオン様。宵切姫をどうぞよろしくお願いいたします」

「うん。まぁ、良いタイミングで助かったよ。だけど、もし宵切姫がアーグランド文字を読めるようにならなかったり、使い物にならなかったりしたら帰ってもらうことになるかも知れないことだけ心得ておいてくれるかな。」

「え!」と、宵切姫は顔を青くした。「ヴァイシオン様!必ずやアーグランド文字を覚えてみせると誓います!!ですから、どうか、どうか宵切姫を帰らせるなどと仰らないで下さい!!」

「そればかりはやってみなければ分からないだろう。何をするにしても文字は必要だよ」

「ですが……」

 二人のやりとりを見て、バーリヤは宵切姫はアーグランド文字の習得が必須であると心のメモにしかと刻んだ。

「次の三十年後の姫には先んじてアーグランド文字なる文字を教えるようにいたしますので、今年の宵切姫のことはどうかお許しください」

「……次はもういらないよ。これで終わりでいい」

「え!?い、生贄は…もういらないのですか……?」

「いらないとも。用意されても、次は連れて帰らないと覚えておいてくれるね。――ところで宵切姫、君は何年ほど生きる生き物なのかな」

「はい!私は八十年ほど生きられます!ですので、一番長くて五十年はお仕えできます!」

「そうかい。そしたら、六十歳にもなればもう働くのも大変だろうから、六十歳になったら君は帰ると良い。もちろん、休みにも故郷(くに)に帰って構わないよ」

「い、嫌です!!私は帰りません!!それに、休みもいりません!!」

「……君が良いなら僕は構わないけど…。だけど、決まった休みを与えろとアインズがうるさいからね」

 ツアーは困った様子でアインズを見た。

「休ませろ。嫌だと言っても休ませろ。それが上に立つ者の役目だ。週に一日は安息日を決めろ。」

「……だそうだよ。休んでくれるね」

 宵切姫は不満げだったが頷いた。

「ヴァイシオン様の神が仰るなら……」

「それじゃあ、よろしく」

「はい!よろしくお願いいたします!」

 バーリヤはその様子に嬉しそうに頷き、他の司教達と護衛の蠍人(パ・ピグ・サグ)達を呼び寄せた。

透光竜(クリアライトドラゴン)様のお名前は"クリアライトドラゴン"ではなかったと言うことと、その上にさらに神がいることは早急に広めなければいけませんね。ララク集落で何日かその話をしてからスルターン小国に帰るつもりではありますが、蠍人(パ・ピグ・サグ)の皆さんも協力していただけます?」

「もちろんでございます」

 バーリヤは一度頷くと、再び透光竜(クリアライトドラゴン)――いや、ツァインドルクス=ヴァイシオンに向き合った。

「ヴァイシオン様、それでは本年の儀式と……生贄の儀式はこれにて終わりとさせて頂きます。ですが、生贄を必要とされた際にはいつでもそのように仰いくださいませ。そちらの神々についても、今後は祀るようにいたしますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします」

「うん、よろしく」

 ツアーは尊大に頷いた。

 続いてバーリヤが行わなければならないのは、新しい神々の名前を聞く事だ。

 神々は互いについている砂を払っていた。

「恐れながら、神々のお名前を頂戴してよろしいでしょうか」

「わた――」

 と、アンデッドの姿の神が言うと、四人で揃いの鎧を着ている人間が一人一歩前へ出た。

「よーく聞いておけよ。こちらは闇の神である神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導王陛下と、光の神である神聖フラミー魔導王妃陛下にあらせられる。はっきり言って全員頭が高い!」

「ははぁ!」

 バーリヤと後ろにいる司教達は平伏し、頭を下げた。

「この弱き魔人(ジニー)蠍人(パ・ピグ・サグ)が、神々を祀る事をどうぞお許しください」

「…どうぞどうぞ。でも、ツアーさんを一番に祀ってくれて構いませんから」

 フラミーが告げると、バーリヤは一層額を深く砂につけた。埋もれていた。

「広き御心に深く感謝いたします!」

 やはり熱烈すぎる。神と言うのは、ただの王よりも余程熱烈に歓迎されるものだ。

 アインズはまた一歩この世界が汚染されたと思った。

 そして、「――話の途中に悪いが、何かが近付いて来ているようだぞ。お前達の仲間か?」

「我々の仲間は儀式の間は来ることはないはずですが、おかしいですね…」

 見つめる先には何もいない。

「何が来るんです?」

「アンデッドみたいですよ。ゆっくり近付いてきてますね」

 神々の会話に、バーリヤは再び目を凝らした。すると、陽炎が踊る中、一つの黒い滲みのようなものが見えた。遠くのものは熱が生むもやのせいで水中の如く揺れている。

「アンデッド……まさか!今度こそ呪われた兵士か!?」

 イビルアイが叫ぶ。

 近付いて来る陰は、確かに剣を二本下げていた。

 バーリヤの背をゾクっと悪寒が走る。これは冗談ではないかもしれない。

「ヴァイシオン様!忌まわしき狂乱の兵だった場合、我々は狂ってしまいます!」

「確かにさっきのアインズへの反応から言ってそんな気がするよ」

 ツアーは苦笑する。もちろん、あの姿でいるアインズが一番悪いとも思っている。

 フラミーはアインズの腕から降りると、またここの人々が恐慌に陥る前に、向かってくるアンデッドを打ち取ろうと決めた。

「じゃあ、私がちょっと叩いてきますね」

 しかし――

「光神陛下!あれは恐らく精神支配系の魔法を持つインテリジェンス・ソードを持っています!生身の御身では危険が!」

 イビルアイからの言葉に動きを止めた。

「…それって危険なんですか?」

「危険です!私達が行くので陛下はこちらでお待ち――」下さい、と言い掛けたところで、アインズが割って入った。

「インテリジェンス・ソードだと!<飛行(フライ)>!」

 なんとしても欲しいと言う気迫を残して、アインズは一気に黒い陰へ向かって飛んでいった。

「っあ!アインズさん待ってください!!」

「陛下!!――っわぶ!!」

 フラミーも翼を広げると地を蹴り後を追う。ドッと後ろで砂が吹き飛んだ音がした。

 アインズの本気の飛行速度は流星のようで、あっという間に獲物の下へ辿り着いた。

「…死神か?数えきれない同胞を殺した俺をようやく迎えにきたか。今年は随分人がいると思ったが……大司教様はいないようだな……。だが、これで解放される……」

「何の話をしているのかは知らんが、お前の剣を私に譲ってくれないか?」

「……これは特別な魔法の剣でしてね。人に簡単にゆずれるもの(・・・・・・)ではありません」

 もったいつけた言い回しだった。

「何が欲しい。私が用意できるものなら何でもやろう。金か?マジックアイテムか?それとも、カジッチャンのように最古図書館(アッシュールバニパル)に入りたいのか?」

「………俺の望みはこの剣で殺される事。死神にならできるでしょう」

 剣を差し出した男の手は骨と皮だけのミイラのものだった。

「いや、アンデッドとは言え無駄な殺生はしないと決めている。困ったな。どうするべきか」

 アインズが悩み始めると、男はアインズに剣を押し付けた。

「死神!殺せ!俺を殺せ!!」

「ええい、アンデッドのくせに死にたがるな!今考えているから少し待て!」

 押し問答をしていると、追いついたフラミーが二人の横に降り立った。

「あれ?アインズさんいらないんですか?」

 そして剣を受け取ると――フラミーの心の奥深くに声が聞こえた。

 ――素晴らしい…。素晴らしい悪魔の力!!

 頭の奥深くに響く声にフラミーはじっと剣を見つめた。

 ――悪魔の王よ!!あなた様の中を流れる悪の気配に、この魔剣スペクター感服いたしました。世界を血祭りに上げる死の行進に、どうぞこの魔剣スペクターをお使いください

 フラミーは鞘から刀身をぬくと、薄い唇で笑った。

「ふふ…ふふふ」

「フラミーさん?」

 ――世界の覇権は今、この手に!!

 魔剣スペクターの柄は緑色をしていて、まるで悪魔の肉そのもののようだった。いや、まさしく剣の形をした悪魔なのだろう。

 柄は動いたかと思うと、カッと目を見開いた。ギョロリとアインズを見上げる瞳は刀の側面に一つづつついていた。

 ――王よ!まずはこのミイラ男から抹殺してしまいましょう!!

「ふふ、面白ぉい。アインズさん、この子おしゃべりできますよ!」

 ――あれ?

「ん?あぁ、インテリジェンス・ソードのはずですもんね。でも、目とかついてるしアイテムじゃなくて魔物なんじゃないかな。鑑定して良いですか?」

「どうぞどうぞ!」

 フラミーは全く精神支配を受けていなかった。

「<道具上位鑑定(オール・アプレイザル・マジックアイテム)>」

 魔法を唱えると、ユグドラシルでは分からなかったようなことまで、アインズの頭の中に綿密に情報が浮かび上がる。

「……魔剣スペクター。なるほど。確かにインテリジェンス・ソードらしいです。細かい区分はデーモン・ソード。ここまで来ても自分で動けなきゃ魔物じゃないんですね」

 刀剣鍛冶屋ホフート・ギュ・ジャラムによる一振り。

 対個と対範囲の精神汚染魔法を使うことができる。特に、持ち主への精神汚染は死への恐怖を強く刺激するもので、一度狂乱状態に陥ると襲ってくる者を抹殺するまで止まれない。

 効果は魔物や亜人種にも発揮されるため、この剣を手にした者は孤独になる。

 ※所有権保存・専用アイテム・取引不可・魔法エンチャント可能

「うーん、微妙なアイテムだな。俗に言う呪いの剣か」

 しかも、持ち主の生気を吸い上げてミイラ化させると言うおまけ付きだ。

 ちなみに所有権は持ち主が死ぬと、最初に剣に触れた者へと移る。

「ちょっと欲しかったけど、やっぱりいらないかなぁ…。もったいないけど仕方ない」

 アインズが呟くとミイラ男は「えっ!?」と声を上げた。「そ、そう言わず!一振りすれば気にいるに決まっているのだから!」

「うーん。剣は戦士化しないと振れないしなぁ。でも、ほっといてどこかで殺戮が始まっても困るか…」

「私も鑑定してみて良いですか?」

「どうぞどうぞ」

 フラミーも魔法を唱えて内容を確認する。

 ――悪魔の王よ。このミイラ男を殺し、私を手にして下さい

「やですよぉ。捨てられないアイテムなんて邪魔ですもん」

 ――…お、王よ!!

「はい、お返しします」

 ミイラ男はそれを受け取らなかった。

「あ、あなたのものです!どうしても俺に返したいと言うなら、俺を殺してそれを墓標に――」

「それじゃ私のものになっちゃうじゃないですか!」

「あぁあ、フラミーさん受け取った〜。お片付けしてくださーい」

「えー!じゃあもう捨てちゃいますからね!」

 ――王よ!!

 スペクターは砂の上に捨てられた。

「………く。死神と天使を持ってしても…俺の呪いは解けないのか……。ふ、ふふ…お笑いだな…」

「ふむ。お前の感覚は生きてる頃の感覚にずいぶん近いみたいだし、お前も中々レアかもしれんな。野良のアンデッドは大抵殺したがりなんだが」

「……はい?」

「決めた。お前、うちの国で働かないか?皮膚もあるし、ちょっと痩せすぎな人間みたいで人間種から評判が良いかもしれん。動死体(ゾンビ)と違って腐ってないから臭くもないしな。乗合馬車(バス)の運賃受け取り係はどうだ?代わりにスペクターはここで破壊してやろう」

「お、俺が…また人間種の中で……?」

「あぁ。ただし生者に変な気を起こさないように私の支配は受けてもらうがな」

 ミイラ男は自分の手のひらを見つめ、戸惑った。

「で、できるのでしょうか…。魔剣の破壊は試みましたが、とても無理でした……」

「できるできる。どれ、破壊してやろう」

 そう言い、アインズはフラミーが捨てたスペクターを拾った。

 ――おぉ…!おぉ…!死の王よ!悪魔の王と共に歩む死の王よ!!

「分かった分かった。ちょっと勿体無いが、お前はもう破壊するからな」

 ――……え!?お、お待ちください!!何故でしょう!!私は必ずや世界に死と恐怖をばら撒けます!!

「いや、困るんだよね。そう言うの」

 ――こ、こまる…?

 剣は汗をかいているようだった。

「お前の効果は動物や魔物にも効いてしまうだろう。精神汚染に対抗できる者は少ない。万が一何かの種が絶滅したりすれば迷惑だ」

 ――で、では精神汚染の魔法は使いません。誓います

「できるのか?だが、このミイラ男に持たせたままにしておくこともできん。ミイラ男が死ななければお前は毎晩この男の下に転移するんだろう?ミイラ男が死ぬか、お前が死ぬかの二択なら、私はお前を破壊する方がいい気がする。多少勿体なくはあるけどな」

 ――だ、え、いえ!私がいればこんなミイラ男くらい作り放題ですよ?

「国民をわざわざミイラ男にするより年貢を払ってもらう方がナザリックの為になる。それに、お前は一体ミイラを作るのに何十年もかかるだろう。あ、シュレッダーに入れてみるか。金貨三枚くらいにはなるんじゃないか?」

 ――お、お考え直しを!お考え直しをー!!

「あーもー、子供じゃないんだから」

 スペクターがわんわん言い始めると、フラミーもスペクターに触れてその泣き言を聞いた。

「何か可哀想ですねぇ。持って帰って飾ってやります?」

「ナザリックに持って帰るのは子供達やメイドのことを思うと危ないですし、かと言って神都に持って帰っても所有権保存の呪いの効果で夜になるとミイラ男のところに転移するんですよねぇ」

 流石の呪いの剣とはいえ、ナザリックから転移して出ることは不可能だろうが、どこに置いておいても何かの拍子に子供を精神汚染されると大変なことになる。始原の魔法を半端に持つ子供達の暴走は核爆弾のスイッチのようなものだ。

「うーん、危ないかぁ。夜にだけ転移魔法が発動するって言う効果はとっても良いのにねぇ。これに似た効果を持つアイテムを作れれば便利になりそうなんですけど。夜だけ利用可能な転移帰還書とか、もしくは夜にだけ使える転移の鏡の下位互換みたいなものとか。転移できるアイテムって、この世界ではまだ見たことないですし」

「………それは確かに便利ですね。夜の転移門(ナイトゲート)夜の帰還書(ナイトテレポートスクロール)ってところですか」

「わ〜おしゃれぇ!」

 ――お、お手伝いいたします!我が知識と我が身はきっとお役に立つでしょう!

「じゃあお前はフールーダ行きだな。フールーダなら精神支配を受けないだろうし、万が一受けてもナザリックは無傷だ。あぁ、しばらくはミイラ男も魔導省にいてもらうことになるが、お前は良いか?」

「か、構いません!人を殺さずに人の中にいられるなら、どこだって!」

「本当に変わったアンデッドだな。長い時間をかけて生身のままアンデッドになると精神の変異が少ないのかな?もしくはアンデッドになった時に感じてる無念の形が異質とか?まぁ、なんでも良いか。とりあえずお前のことは支配させて貰うぞ」

 アインズはアンデッド支配の特殊技術(スキル)を使った。

「どうだ?」

「……変わりありません。我が主よ!」

「うん、変わったな。喋り方とか。じゃあ、しばらくスペクターを持ってろ。後で神都に帰るときに一緒に行くから」

「は!!」

 アインズとフラミーは呪われた兵士と呼ばれた男を背に引き連れて、宵切姫たちの下へ戻った。

 

 のちに魔剣スペクターを用いた、夜に月が昇っている間だけ潜れる場所指定型転移門が完成する。

 それは月夜の転移門(ナイトゲート)と呼ばれ、最初のものは最古の森と神都を繋ぐようになる。

 月夜の転移門(ナイトゲート)設置と同時に神都と最古の森の神殿を繋いでいた転移の鏡は回収された。盗まれることを危惧して七十レベルにもなるアンデッド、地下聖堂の王(クリプト・ロード)を二体も配備していたのもコストパフォーマンスが悪かった為、素晴らしい発明となった。

 月夜の転移門(ナイトゲート)はスペクターの呪いの刀身の破片と、ミイラ男の心臓の破片を用いた。それぞれの引かれ合う力を利用した複雑な魔法機能を果たす。この二つの他には、月の石と呼ばれるマジックアイテムを砕いたものを混ぜて焼き、ルーン文字を刻むことで作った。そのときには、妖精(シーオーク)達と、ルーンを十全に使えるようになっていたナインズが随分活躍したらしいが、これはまだ先のお話。

 月夜の転移門(ナイトゲート)は石造りの丸く平べったい形状をしており、床に設置して使う大規模なマジックアイテムとして完成する。ルーン魔法陣の描かれた床を取り囲むように三本の柱が生えていて、柱にもぎっしりとルーン文字が刻まれる。一度に二十人もの転移を可能とし、魔法技術の一大革命品だと持て囃される。位階魔法とルーン技術を組み合わせる事ができた初めてのアイテムだ。

 月の出ている夜にはルーンが月と同じ色に光り、別の月夜の転移門(ナイトゲート)に転移する事ができる。三箇所に設置すれば行き先は二箇所。十箇所に設置すれば行き先は九箇所から選べると言うわけだ。ただ、出口と入り口が一緒になっているので、月夜の転移門(ナイトゲート)に配備された死者の大魔法使い(エルダーリッチ)達が行き先の月夜の転移門(ナイトゲート)上に人がいないことを確認し合いながら利用しなければいけないのが玉に瑕だ。もちろん、料金は徴収される。

 月夜の転移門(ナイトゲート)はスペクターの刀身が材料として必要だった為、何十個も作ることはできなかったが、何十年も経つと様々な大陸の要所要所に月夜の転移門(ナイトゲート)が配備されるようになる。総数で十八箇所だ。

 スペクターはアイテムなので回復魔法は効かず、<修繕(リペア)>の魔法は耐久限界が下がる為、最後は修復できなくなった。

 つまり、最後の月夜の転移門(ナイトゲート)が完成した頃には可哀想な魔剣スペクターは刀身を失い、柄と鞘だけになる。ミイラ男の腰に下げられ、二人は乗合馬車(バス)の運賃受け取り係をしたらしい。

 

 ちなみにスペクターは、「搾取されているとも知らずに愚かな生き物どもめ、ふふふ…」とミイラ男に楽しげな独り言を聞かせているとか。

 

+

 

「この呪われたミイラ男はうちで引き取ることにした」

 アインズがミイラ男の背を叩く。ミイラ男は久々にたくさんの人間に囲まれて少し浮かれているようだった。アインズへの態度は明確なる主従へと変わったが、彼の中の人への憧れは変わっていなかった。

「だ、大丈夫なのですか…?」

 イビルアイの問いに「当然」と答える。ミイラ男はソワソワとテスカの隣に立った。テスカは剣士として興味があるようで、じっくり魔剣スペクターを観察した。シズと双子猫も観察するが、すぐに興味を失った。

「それで、私たちの名前を知らなかったと言う事は、お前達は神聖魔導国を一切知らないと言う事で良いんだな」

「冒険家の皆さんがその神聖魔導国からいらしていると聞いております」

 宵切姫の言う冒険家という聞き慣れない言葉からいっても、この集団は神聖魔導国と一切の関わりを持たない者達だ。

「私とこちらのアインズさんが一緒に治めている国なんですけど、良かったらうちの国に入りませんか?」

「……ヴァイシオン様のお国はアーグランドと聞いたのですが…」

 宵切姫が言うと、ツアーは肩をすくめた。

「そのアーグランド州の母体が神聖魔導国だよ。今ではね」

「では、入らなければなりませんね!」

「いや。別にそうしなければいけない訳ではないよ。好きに選ぶと良い。無理に征服される必要はないと僕は思っているとも」

「……お前は本当に……」

 世界征服を全く手伝う気のないツアーをアインズは恨めしげに睨みつけた。

「では…一応、集落の長老衆に聞かせてください」

「それなら、私達をその集落まで案内してくれ」

「それはもちろん!あ、ヴァイシオン様、よろしいでしょうか?」

「良いんじゃないかい。僕はどうせアインズかフラミーが送ってくれなければ新しい従者を連れては帰れない」

 

 この地で産まれた変わった狂信者はうっとりとツアーを見上げた。

 

 一行はぞろぞろと列をなして蠍人(パ・ピグ・サグ)のララク集落を目指した。

 ちなみに、蒼の薔薇は神々の馬車に近付こうとすると、番犬のような顔をした紫黒聖典にそれを阻まれた。

 

「……また陛下方にご迷惑をお掛けしてしまった……。生贄文化を止めにいらしてたのに……」

 イビルアイはガックリと肩を落として進んだ。

「まぁまぁ……。ね、ほら、王の乗る馬車にお声をかけるなんてそもそも無礼だから……。着いたら改めてお目通りさせていただけるようにお願いしましょう……」

「……あぁ。話せると思うか?」

「……五分五分ね」

「あぁあああ!またツアーのせいでぇえ!!」

 聖書にどんな風に名を残すことになるかと思うと卒倒しそうだ。

「ツアー様と言えば、宵切姫を害したりはしないよな?どう思う?」

 ガガーランの問いにイビルアイは神々の馬車の後をラクダでついていく宵切姫を見つめた。

「多分、大丈夫じゃないか。私もまさかツアーがとは思ったが、どうもあいつも透光竜(クリアライトドラゴン)ではなかったようだ。まぁ、念のためたまに様子を見に行って宵切姫が生きているか確認するさ」

「そうしてくれると安心できるな」

 宵切姫については一件落着だが、イビルアイの胸中はもやもやと黒雲に覆われたままだ。

 

 ちなみに、絶望感を味わったのはイビルアイだけでなく、蠍人(パ・ピグ・サグ)の村人達も同様だ。

 一行が村に着いたのは日没後だった。

 一度眠ってスッキリした蠍人(パ・ピグ・サグ)達は宵切姫の護衛隊を温かく出迎え、宵切姫の成したことを聞こうとし――その場に宵切姫が戻ってきているのを見ると悲鳴を上げた。

 村を出た宵切姫が村に戻ってくるのは初めてのことだった。

 村は一時パニックに陥った。が、それも間もなく落ち着いた。

 

「それで、そちらの方が透光竜(クリアライトドラゴン)様なのですか!!」

 ユーセンチ魔法神官は輝く瞳でツアーへ迫った。

「…いや、僕は竜だけどそう言う名前の竜ではないよ」

「ユーセンチ君!そうなのです!真なるお名前はツァインドルクス=ヴァイシオン様と言う竜王陛下だそうなので、ヴァイシオン様とお呼びしてください!どうやら、遊牧民に伝わっていたお名前は少し違ったようです。白金のお姿をしているそうなので、勝手に名付けてしまったのでしょう!」

 バーリヤ大司教と宵切姫はいい笑顔だ。

「そうですか!そうですか!!竜王様でしたか!!しかし、聞き及んでいたお姿とは些か異なりますねえ?」

「ヴァイシオン様には竜としてのお姿もあるそうですが、あちらにおわす、神王陛下と光神陛下と言うお二柱の警護をなさる際にはこちらのお体でお過ごしになるそうです!」

 ユーセンチはその件に関しては「そうでしたか」とは言わない。

「どうも信じられませんねえ?透光竜(クリアライトドラゴン)様の上にさらに神々が存在するなど。ヴァイシオン様、それは真実で?」

「真実だよ。言っておくけど、僕は竜王であって神ではない。神はあの二人しかいない」

「……ユーセンチ君、あまり疑えば神々のみならずヴァイシオン様にもとても不敬な真似をしている事になってしまいます。我々の祈りに応えてお仕えする神々をせっかくお連れくださったと言うのに。下手をすると魔法を失ってしまいますよ?」

「あぁ!分かっておりますとも。失礼いたしました。しかし、お力は見せていただけるとありがたいですねえ。人間の冒険者の話では――確か、光神陛下が風を司る神だとか…?」

「なんですと!それは知りませんでした!ではお力を見せて頂きましょう!」

 バーリヤはアインズとフラミーに振り返ると、悪徳商人のように両手を揉んだ。

「光神陛下、ヴァイシオン様がお連れになった風の精霊の神よ。どうかお力をお見せいただけないでしょうか。例えば…竜巻を呼ぶとか。小さなものでも構わないのです。どうか、伏してお願いいたします。うちの無礼な神官は些か疑い深いものでして」

 そう言われても、フラミーは竜巻を呼ぶ魔法を覚えていない。

 アインズほど大量の魔法を覚えている魔法詠唱者(マジックキャスター)の方が珍しいため、ウルベルト・アレイン・オードルなどは最強の魔法火力を有していたにも関わらず、その多彩な種類の魔法を羨ましがっていた程だ。

 他方、紫黒聖典はそんな事できて当たり前と言う顔をしている。

「え……と……」

 たらりと背を汗が流れる。主神のツアーが神だと言っているのに力を見せろとは何事だろう。

 大して崇められておらず、双子猫の尻尾をシズと共に弄んでいたアインズは骨の口の中で小さく呟く。

「<魔法無詠唱化(サイレントマジック)>」

 そして、そっと街の外を指さした。

 ――<魔法効果範囲拡大化(ワイデンマジック) 大顎の竜巻(シャークスサイクロン)>

 ゴォッと大気が震え、砂が一気に巻き上げられる。高さ二百メートル、直径百メートルにもなる竜巻が突如として作り出された。

「おおぉぉ!!」

 その驚嘆はもはや誰が上げたかも分からない。

 昼間に自然発生していた竜巻よりも大きさはずっと小さいが、大地を巻き上げて夜の空に立ち上がった竜巻は、殺傷を目的とした魔法により生み出されているため先程の竜巻とは比べ物にならない威力だった。

 離れた場所に生み出されたというのに、凄まじい吸引力。豪風の中、一番街の外に近い家の屋根はバラバラと崩壊して吸い込まれていってしまった。

 何人かとラクダは飛ばされそうになっていて、必死に堪えている。

 他者を吸い込み、天罰を与えんとする明確なる意思があった。

 普段ララク集落とスルターン小国は砂嵐が囲っているし、砂漠にいれば砂嵐に遭遇するなど日常だ。砂嵐が近くで吹き荒れるくらいでラクダは動じない。しかし、吸い込まれそうになっているわけでもないラクダ達すら死の恐怖を感じているようで、座っている足がカタカタと震えていた。

 竜巻は何匹かの鳥を吸い込むと徐々に勢いを衰えさせ、ついには消えた。

「いやーフラミーさん!さすがです!!これにはあっぱれだなぁ!!」

 アインズの白々しい拍手が響くと、周りの人々からも喝采が起きた。

 しかし、ツアーだけはアインズを見ていた。魔力の発生源がバレている気がする。アインズは無視して心の中で舌を出した。ツアーがそもそも神聖魔導国に入れと言ってくれていれば必要なかった猿芝居なのだから。

「……でも!!皆さん、こっちの人は夜の神様ですからね!!夜の加護が欲しかったら、ちゃんとアインズさんを崇めないとダメなんですよ!!」

 フラミーの一言で蠍人(パ・ピグ・サグ)の村人の視線は一気にアインズへ集まった。

「……え!?」

「おぉ!夜の陛下!!」

 蠍人(パ・ピグ・サグ)から熱い視線を送られ、更には取り囲まれる。

 フラミーはごめんね、と呟くとそっとその場を離れた。

 

 後ろには双子猫がたかたかと追従し、レイナースと番外席次も続いた。

 月明かりを映すオアシスには、ワニやヘビ、トカゲとカエルの合いの子のような生き物、岩陰に暮らす小さなネズミなど、様々な生き物が集っていた。

「はービックリしたねえ?」

「お疲れ様でした!」「疲労はいけません!」

 双子猫はササっと駆け寄ると並んで地面に両手と膝をついた。

「お座りください!」「僕たちお役に立ちます!」

 番外席次はそんな方法があるのかと目を丸くした。

「……皆、それ誰に習うの?」

 妖精(シーオーク)の隠れ里に行った時、ソリュシャンも自分に座るように勧めてきた。

 コキュートスも訓練をしている時にナインズが疲れたと言うとすぐにその背に座るように勧める。すぐにやめさせられたようだが。

 猫達は何を習う?と顔を見合わせて首を傾げた。

「まぁいっか。皆座ろ。アインズさんは立派な神様だから、少し休憩してても許してくれるはずだからね」

 フラミーが地面に直接座ってしまうと、猫達は残念そうな顔をし、その両隣に座った。

「ほら、レイナースさんとルナちゃんも」

「早く早く」「マスターを見下ろしちゃいけないんだよ」

 そう言われては座るしかない。

 紫黒聖典二人娘もその近くに座った。夜は冷えている為、着込んでいる防寒着で少しだけ身動きが取り辛い。

「綺麗だねぇ」フラミーの視線の先を追うように、二人と二匹は水鏡に揺れる月を眺めた。「今回の旅はとっても楽しかったし、いいものもたくさん見られました。国と集落も見つけられたし、紫黒聖典はお手柄でしたね。二人は、最近続いてた訓練の気分転換になりました?」

 気分転換にはなったが、疲労は訓練の比ではなかった。

 しかし――「なりました!素晴らしい体験をありがとうございました。またフラミー様のお力の一端を目にすることができ、とても嬉しく思います」レイナースの返事は早かった。

「私もとっても楽しかったです。前に砂漠に来た時よりも楽しかった。色々学んだ気がします」

 番外席次も満足げだ。

 女子三人で笑っていると、後ろの茂みが揺れた。

 レイナースは剣に、番外席次は戦鎌(ウォーサイズ)に手を掛けた。

「そこの者達、姿を見せなさい」

 鋭い声で言うと、申し訳なさそうに蒼の薔薇が姿を見せた。

「あ、皆さんも休憩ですか?一緒にこっちに来て良いんですよ」

 フラミーが近くの地面を叩くと、ラキュースはワッとその身に駆け寄った。

「へ、陛下!!本当に申し訳ありませんでしたぁ!!」

「い、いえ。何も気にしてませんから。私も昔アインズさんが生贄捧げられてるの見た時ウワァ…って思いましたし」

 蒼の薔薇は申し訳なさそうに小さく正座をして長い謝罪を口にしたが、フラミーにはほとんど興味はなかった。

 イビルアイもざりざりと地面に仮面を擦り付けている。

 長い謝罪を右から左に聞き流していると、再び茂みは揺れた。

「……フラミーさん、助けてあげたのに…」

 その恨みがましい声の主は夜闇によく溶け、とてもホラーだった。

「あ、えへ。神様と言ったら私よりアインズさんなんですもん。それに、蠍人(パ・ピグ・サグ)は夜行性だそうですし!向こうは良いんですか?」

「……ツアーとバラハ嬢に任せました。スルターン小国では覚えておいてください……と言いたいところですが、どうやら向こうは太顎砂蜥蜴人(サンドリザードマン)を家畜にしてるそうなんですよ。結構な割合のタンパク質を太顎砂蜥蜴人(サンドリザードマン)に頼ってるみたいなんで、毒抜き(・・・)しないと取り込めなさそうなんですよね」

 蠍人(パ・ピグ・サグ)にネイアが闇の神のなんたるかを語っている横で、スルターン小国とはどのような国なのかを魔人(ジニー)に軽く聞いた。魔人(ジニー)達は「お分かりになります?」と言いながら様々な文化について教えてくれたが、中でも食文化はアインズの手に負えるものではなさそうだったのだ。

 太顎砂蜥蜴人(サンドリザードマン)蜥蜴人(リザードマン)と付くだけあり、知能があって喋る生き物らしい。砂色の肌をしていて、顎が大きく、小さな髭が生えているとか。

 彼らは自分たちは家畜であるとはっきり認識しているそうだ。家や食べるもの、着る物まで用意して貰えて、更には繁殖して種を残させてもらえて幸せだと思っているそうで、解放されたいと思っていないうえに、進んで食卓に上がりたがる。ミノタウロスの国にいる人間達とは違う方向性の家畜だった。

 下手をすれば毒抜きは百年かかるかもしれない。

 しかし、デミウルゴスが聞いたら喜びそうな国だ。

「と言うわけで、毒抜きが終わるまで覚えておいてください」 

 アインズの赤い瞳は一際強く光り、フラミーはふぃ…と目を逸らした。

「首を洗って待っててくださいよ!」

 頬をムニッと挟むとフラミーはタコのような顔をした。

「はひぅ〜」

 側から見ているとただいちゃついているようにしか見えない。

「――さて、女神の処遇はこれでいいが、あとは蒼の薔薇だな」

 蒼の薔薇はビクッと肩を揺らした。

「アダマンタイト剥奪とか言われたりしてー」などと、クスクス笑い声を上げたのはアインズの後を付いてきていたクレマンティーヌだ。

「…クレマンティーヌ、あんたネイアはどうしたの?」

「あー。盛り上がってるから置いてきた。シズ様がいるから平気っしょ」

 神の護衛の方が大事なので、それならそれで良いだろう。

「あ、あの…へいか……」

 イビルアイは不安そうにアインズを見上げていた。

「お前たち、今回も――」

 続く言葉を想像し、蒼の薔薇はギュッと目を閉じた。

「――良くやったな。新しい集落と国を見付けるなんて素晴らしい手柄じゃないか。神殿に報酬を渡すように伝えておくから、帰ったら受け取るが良い。なんと言っても二種族分だからな。受け取る神殿はエ・ランテルで良かったかな?それとも帰り道のエリュエンティウか神都にするか?」

 ワッと双子同士は抱き合い、ラキュースとガガーランも抱き合った。

 イビルアイはアインズの足元に駆け寄ると、胸の前で手を組み、感激したように見上げた。

「へいか!!感謝いたします!!広いお心に、心から、心から感謝いたします!!」

「うんうん。で、どこで受け取る予定だ?」

 ガガーランと抱き合って苦しそうにしていたラキュースが手を挙げる。

「エ・ランテルで!!私達の愛すべき故郷、エ・ランテルの光の神殿で頂戴いたします!!」

「そうか。では、蒼の薔薇。ザイトルクワエ州エ・ランテル市第一区の光の神殿にて今回の報酬を受け取るが良い!ご苦労だった。下がって良い!」

「はい!!失礼致します!」

 蒼の薔薇は頭を下げ、陛下陛下と鳴き声をあげるイビルアイを引きずってオアシスを離れて行った。

「っちぇ。つまんねーの」

 クレマンティーヌが呟き、レイナースは苦笑した。

「まぁ、蒼の薔薇もお手柄よね。だけど、フラミー様が紫黒聖典もよくやったって。素晴らしい旅だったって仰ってたわ」

「まじ?あんま何もしなかったのに?」

「まじも大まじよ。あんたも後でお褒めいただきなさい」

「ひゅー。さすが見てらっしゃる!」

「当たり前。クインティア、その言い方少し上から目線よ」

 番外席次がふん、と鼻を鳴らす。

「い!?ち、違うってー。違うんだってー。ねールナちゃぁーん」

「ちょっと、気安く呼ばないでって言ってるのが分かんないの!」

 三人娘は楽しげに戯れあった。

 

 アインズは神様としての役目を終えるとフラミーの隣に座り、水面に揺れる月を眺めた。

 

「次はどこに行きましょうか」

「どこまでもついて行きますよ」

「じゃあ、次は――」

 

 神々の旅はまだまだ続く。

 

 次の日、アインズ達はここに陽光聖典と神官達を呼び出し、スルターン小国へ発った。神官達は夕暮れから夜が更けるまでの短い時間、蠍人(パ・ピグ・サグ)と話し合いをした。生きる時間が違う者同士のやりとりは中々大変だったそうだ。

 その後蠍人(パ・ピグ・サグ)の集落はもう砂嵐に包まれることは無くなり、死の騎士(デスナイト)達が歩いて巡回するようになったらしい。ごく稀に砂漠長虫(サンドワーム)が入り込もうとすると、集落中から死の騎士(デスナイト)が集まってくるとか。その方が怖いと集落の子供達はよく言っている。ちなみにこの集落に砂漠長虫(サンドワーム)があまり来ない理由は、夜蠍人(パ・ピグ・サグ)達が活動する時間、基本的に砂漠長虫(サンドワーム)は眠っているからという単純なものだ。

 さて、同じく集落で一夜を過ごした蒼の薔薇。

 イビルアイが出発を大層拒んだそうだが、アインズ達が出発すると途端に行く気になり、当初の目的地を目指してララク集落を後にした。




蒼の薔薇報われて良かったー!!
とっても大変な旅だったもんね。
竜巻の発生原因はわからなかったけど、たんまり報酬は貰えそうだ!

そして神様と崇められても大して動じないツアー
さすがこの世界最強

次回#141 姫の決断
28日を目指して書きます!

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