眠る前にも夢を見て   作:ジッキンゲン男爵

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Re Lesson#41 幕間 穏やかな国の場合 後編

 リーゼロッテは手を引かれて城を出た。

「セ、セオドア!あれは一体どう言うことだ!!一体誰があんなことを!!」

「良いから走れ!!」

「っく!!離せ!!私はナインズと戦う!!」

「腰が抜けてたくせによく言う!」

 

 二人で夜に落ちた中庭を抜け、隠し門を開けて城を出る。

 

「っはぁ!っはあ!!」

 外は酷く冷えたし、ドレスを着ているせいで晒された肩が震える。

「止まれ!」

 セオドアに腰を引っ張られ、マントの中に隠される。

 ヒュン、ヒュン、と幾つも矢が飛んでいった。

 マントの中はあたたかく、セオドアの鼓動を感じた。

 

 火を持った男達が馬に乗り駆け寄るのがマントの隙間から見えた。

「確かにこの辺りに見えたと思ったんだが。王女がいないな」

「セオドア様が連れ出しているはずだ。お声を上げられないと言うことはまだなんだろう」

「待て──信号確認!お、う、は……王は破られた!!」

「すぐにリーゼロッテが出てくる!!戻るぞ!!首を晒せ!!──ッハァ!!」

 馬の尻で鞭が弾かれる音がする。

 ドカッドカッドカッと雪を蹴る音が聞こえなくなると、リーゼロッテはセオドアのみぞおちに向かって渾身の力で肘を突き入れた。

 

「──ッグ!!」

「痴れ者が!!貴様の計画だったか!!」

「っふん、お、俺は──ッンブ」

 顔を蹴り上げ、リーゼロッテはドレスの裾をたくし上げて小さなナイフを取り出すと、大の字に伸びた喉元に突きつけた。

「恥を知れ!!王陛下を弑虐し、私を殺せば王位が手に入ると思ったか!!私は殺されない!!貴様の喉元、今この手でかき切ってくれる!!」

 セオドアはリーゼロッテを冷めた目で見ると鼻で笑った。

「やれよ。そしてお前は逃げ出せばいい」

「っく……!!」

 

 

 城の中庭。秋の訪れ。

「ねぇ、お従兄様。どうしたら草木は枯れなくなるのかしら」

「そうだねぇ。魔法を覚えないといけないかもね」

 セオドアは優しくリーゼロッテの頭を撫でた。

 

 

 母が倒れた春爛漫の中庭。

「お母様、お母様ぁ!」

「リ、リズ!王妃様!!ひ、人を呼んで来るから!!」

 

 

 塞ぎ込む父の背に泣いた冬の夜。

「……リズ、一人じゃないよ……」

「お従兄様ぁ……ふぁ、はぁーん!」

 

 

 父が少しづつ前を向いてくれた夏。

「ね、お従兄様。この夏は何をする?」

「……俺に話しかけるな。リーゼロッテ」

 

 

 ナイフを持つ手をセオドアに引き寄せられる。切先が喉に触れると、ぷつりと血が滲み出た。

「やらないのか」

「……ッ」

 次の瞬間、ヒュンッと顔の横を矢が飛んでいった。

『──王女がいたぞ!!』

 

 トーチを持って馬にまたがる男達が来る。リーゼロッテは慌ててドレスの裾を抱えて駆け出した。

(……戻るべきではないわ!!お父様は……っく……!ナインズ……!あなたは生きているの……!)

 涙が溢れる。

 優しい父が破られた。

 あのクズのせいで。

 同じ血が流れているなんて信じられない。

 リーゼロッテは涙を拭い、大きな倒木を跨いでずるりと足を滑らせた。

「ッキャア!!」

 そして、横から伸びた手に引き寄せられ、口を塞がれた。

「っし、姫様」

 木の影には共に訓練をしてきた、リーゼロッテを守ることを命とした配下の騎士達。騎士のベアトリス・ウエルタを見上げ、リーゼロッテは涙を堪えて頷いた。

 馬が迫る。

 

「っくそが!!また見失った!!」

「セオドア様!大丈夫ですか!!」

 

 顔が照らされる。二つに割れていた派閥の、王弟派閥の者達だ。王弟は穏やかな人だったので、派閥が割れていても大した問題はなかった。

 リーゼロッテは驚愕に目を見開いた。

 

『いたぞー!!王女がいたぞー!!』

 

 遠くで声がする。

「ドレスのくせに逃げ足が早い!ッハァ!!」

「行け!行け!!ッハァ!!」

 

 馬をかけ王弟派閥が去っていく。

 ベアトリスに手を引かれ、リーゼロッテは走り出した。

「べ、ベアトリス!どうやって私がここだって!!」

「セオドア様──いえ、逆徒に手を引かれて王家の避難口を潜られたのを見たのです!ここへお迎えにあがればと思い、急ぎお探ししていました!」

「あ、ありがとう!!だが、私は、私はどうしたら!」

「今はお逃げください!ここにいては殺されるだけです!!」

 背を押され、次々に配下の騎士達が合流してくる。

「姫様!上着を!!」

「ありがとう!」

 騎士達のマントがかけられていく。

 深雪に足を取られながら汗をかきそうだった。

 だが、ドレスを隠すためにもこれは取れない。

「っはぁ!っはぁ!!──だ、誰か城の中のことを知らないか!父王陛下は、ほ、本当に……。それに、神聖魔導国やランダルダ公国、ユルバーモン合州国の皆様は……ぶ、無事に……ナインズ……!」

「……分かりません……!ですが、ナインズ殿下と神聖魔導国の聖典と呼ばれる部隊の力は圧倒的でした!そう簡単にやられるはずがありません!!」

「……ナインズの大切な王陛下達に手を出されていたら……!私達ラ・オーケルベリ王国は何をお返ししたら……!!」

「全ては明日を迎えられてからです!!──危ない!!」

 火のついた矢がドンっと木に刺さる。

 後ろからは追っ手の声が聞こえ始めていた。

 

 水を吸ったドレスが重くて思うように歩けない。

 それに、この暗い雪の森の中だ。重く冷たい鎧を身につける騎士達にも疲労が見えてきている。

 リーゼロッテは自分を落ち着かせるように息を吐いた。

 そして、今一番必要なことを皆に伝える。

「皆!森を越えトロホヴスキー閣下の領地まで堪えろ!!閣下は城だが、そこまで行けば私兵に助けを求められる!!」

 

 騎士達が「おう!!」と返事を返す。

 

「よし!!足を止めるな!!」

 森の中を振り返ることなく進む。

 皆の切れる息が荒い。

 馬で追えない道を選んでいるため過酷さは増すばかりだ。

 リーゼロッテは何度も涙と汗を拭った。

 だが、振り返らなかった彼女の泣き顔を見た者はベアトリスだけだ。

 

『──火だ!!もっと火を焚べろ!!』

『あっちだ!あっちへ逃げたぞ!!』

 

 さらに声が近付いて来ている。次々に火矢が飛んでくる。

 

「っく、急げ!!一人も欠けるな!!」 

「姫様!!伏せて!!」

 ベアトリスのガントレットを付けた冷たい手が頭を抑える。

 その瞬間、矢が前を歩いていた騎士に突き立った。

「っぐぅ……!」

「大丈夫か!!リンドブラン!リンドブラン!!」

「だ、大丈──っゴブ──大丈夫です!!姫様、早ぐ!早ぐお逃げくだざい!!」

「置いていかれるか!!」

「姫様!!お早く!!」

 リーゼロッテはまだ十ニにも満たないような幼い騎士見習いに背中を押されると、ギュッと涙を払った。

 

「──ックソ!!」

 

 足を止めずに行く。

「いたぞ!!もう少しだ!!」

 追っ手の声に振り返る。

 リーゼロッテの後ろには数えきれない騎士達が横たわっていた。

「っあぁ……!っくそ……!!」

 騎士見習いに手を引かれ、ベアトリスに背を守られ進む。

 

「──姫様、後は頼みます」

「ベア?」

 

 トン、と背を押され、ベアトリスはスラリと剣を抜いた。

「い、いやだ!!ベアトリス!!」

「姫様、行きますよ!!」

 騎士見習いは止まらずリーゼロッテを引っ張った。

 

「逆徒!!そこまでだ!!」

「──まだこんな所にいたか。のろまが」

 

 その冷たい声は「──セオドア!!」

 セオドアはリーゼロッテを見下ろし、剣を抜いた。

 

 騎士見習いも小さな訓練用の剣を抜き、ベアトリスの横に立つ。

「姫様はお逃げください!!トロホヴスキー閣下の領地はすぐそこです!!」

 ザクザクと雪を踏み、セオドアが近付く威圧感にリーゼロッテはごくりと喉を鳴らした。

 そして、ベアトリスの腰に下げられたもう一本の剣を抜き払った。

 

「──私もここで戦う!!こいつを切り、王位は譲らぬと教えてくれる!!二度と、二度と躊躇いはしない!!」

 

 仲間達の呻き声が夜中の森の向こうから聞こえてくる。

 彼らのためにも、この男はここで殺さなくては。

 

 震えそうになる手を堅く握りしめる事で切先を定める。

 

 ドッと後ろの木にまた一つ火矢が打ち込まれる。

 セオドアの顔を踊る火がよく映し出していた。

「それが悪魔の顔だな」

 さらにセオドアの後ろに二人の逆徒が見えた。

 三対三──いや、二対三で、こちらは見習いを守りながら戦うのは──。

 リーゼロッテはギリリと剣を握りしめた。

「……姫様、私が引き付けます。お逃げください。あなたが倒れれば、全ては終わってしまいます。だから……お願い。お願いよリズ。私は怖くない。行って」

「……ベア……」

 二人で話していると、セオドアが笑った。

 

「戦場で馴れ合う暇があれば逃げてみたらどうだ。うさぎのように──」

 

 ヒュンッとセオドアと逆徒の横を光が抜けた。

 リーゼロッテの後方でドゴォォン……と着弾したところに雪が舞う。

 

「──なんだ?魔法を込めた矢を使う奴がいたか?」

 

 セオドアが振り返る。

 闇の向こうから声がした。

『動かないでください!!この程度の暗さなら、私はあなたを正確に射ることができます!!』

 女の声だ。誰の声か分からない。

『私達は神聖魔導国、紫黒聖典!!武器を捨て、投降しなさい!!』

「ほほーう!面白──」

『返事はいーから早く武器捨てろっつってんだろ!!』

『その言い方はやめてちょうだい。殿下の名に傷を付けないで』

『殿下、クインティアって不愉快よね。切れる前に腕輪いります?』

『平気、怒ってないよ』

 

 その声が誰のものなのか理解すると、リーゼロッテは声を張り上げた。

 

「ナインズ!!」

 

 連れられていた二人の逆徒達がざわりと振り返る。そして、血の匂い。

「──っぐぶっ」

 リーゼロッテは不可解な事態に「は?」と声を漏らした。

 セオドアは近くにいた逆徒を切り捨てていた。

「セ、セオドア様!?あなたは──」

 もう一人も切り捨てられる。崩れ落ちたところはこの闇夜だと言うのに真っ赤に染まっていた。

「お、お前何を」

「逃げろ。後ろにはまだ三十人近くが包囲網を張っている。神聖魔導国の者達の声で一斉に集まってくるだろう。気を取られている今のうちだ」

「……なんで」

「早く行け。みっともなく敗走しろ。トロホヴスキーの領地はすぐそこだ。そして──あちらでトロホヴスキーの私兵を引き連れて戻れ」

「意味が分からない。貴様、ナインズに追い詰められて観念したか」

「そうだ。命乞いをする。お前を助けたと言って見逃してもらうのさ」

 

「──助けたなら、命までは奪わないよ」

 

 セオドアの向こうには杖を持ったナインズがいた。

 

「足が速いようで。あの三十人の中をよく超えてきましたね。殿下」

「皆もう座って待ってる。城に戻って話をした方がいい」

「……座って?」

 

 ナインズの後ろから姿を見せた聖典がそれぞれ武器を担ぎ上げる。

「無力化してきたよー?じゃ、お姫様帰ろー」

「ご無事で何よりでした」

「騎士達も、ナインズ殿下の喚んだ天使達が回復と運搬をしてくれています」

「遺体もすぐに城に集まるでしょうね」

 

 リーゼロッテはベアトリスと目を見合わせた。

「ふん。どこまでが真実かは分からないが、まぁ良い。リーゼロッテ、逃げないで良いらしいぞ。こいつらが本当にお前の味方ならな」

 セオドアがポイと剣を捨て、両手を差し出す。

「──捕えるんだろう」

「そーさせてもらう」

 紫黒聖典の隊長が縄をかけ、次の瞬間鳩尾に膝蹴りを入れ、セオドアは一瞬吐き気を催したような顔をして意識を失った。

「はい、オッケー。首謀者其の二、生捕り完了ー」

「い、いや。ま、待ってください。その者は本当に首謀者だったのか──」

「陛下方の所に連れて行けば分かるから、今は容疑者でいーよ」

 リーゼロッテに有無を言わせず、四人は馬の小さな人形をポイと取り出し、それは着地すると同時に大きな馬型のゴーレムに変わった。

「じゃ、殿下これ一個あげる」

「ありがとう。セオドアと、一、二、三人だね。どうやって乗っていくか……」

「ネイアはそっちのチビ騎士と。番外はそのボロボロ騎士。レーナは私と首謀者。殿下はお姫様。いーですか?」

「クレマンティーヌさんがいいと思うなら」

「へーい。じゃ、全員動いて」

 

 瞬く間にゴーレムの馬に乗せられ、馬が走り出す。

 生きた馬と違い、馬達はこの夜道、この森の中を何の躊躇いもなく進んだ。

 途中途中で、本当に回復された騎士達が笑顔で手を振ってくれ、リーゼロッテは戸惑いながらも皆に手を振り返した。

「姫様、お気をつけて」

「良かった。姫様、ご無事で」

「すぐに我々も戻ります。我らの女王陛下」

 

 あっという間に皆を取り残して城が見えてくる。馬の上でナインズに抱き寄せられるリーゼロッテは森に入ってから初めて寒さを感じた。

 ぶるりと震えると、ナインズが上着を着せてくれた。

「冷えるね」

「……ありがとう。これは信じられないくらいあたたかいのね……」

 城に着くと、ナインズだけが馬から降り、馬はそのまま城の廊下を進んだ。

 

 広間に向かうと、廊下の向こうから血の匂いが漂って来た。

 

「……ナインズ、父は……」

 馬を引きつれるナインズは肩を落とした。

「ごめん……亡くなったよ……」

「……そう……」

 混乱の広間に着くと、父の遺骸が寝かされていた。

 カッときた。生まれてこれほど怒りを感じたことはなかった。

 

「──この!!逆徒共が!!殺してくれる!!」

 リーゼロッテは馬を飛び降り、ナインズの腰の剣の縛めを解いて抜剣した。驚くほど軽く、持つだけで体に力が漲る。リーゼロッテを見た叔父は見たこともないような鬼の形相になっていた。

「リーゼロッテ!貴様……!!セオドアはどうした!!」

「それならこっちー」

 後ろから入って来た馬の上で伸びるセオドアがクレマンティーヌに引き摺り落とされる。

 セオドアは「……う……父上……助けてください……」と声を上げた。

 弱りきった姿に叔父が駆け寄り、胸ぐらを掴み上げた。

「目を覚ませ!!この役立たずが!!今すぐその女を──ッデュ」

 ズブリと叔父の胸を剣が突き抜けた。起き上がったセオドアの眼光は弱ってなどいなかった。

「……助けに応じて頂いたことと育てて頂いたことには感謝する」

「──な、なに……?」

「だが、あなたに王位は務まらない。身を引け」

「ち、父に……!!父に貴様──ッガ──ッゴ──」

 剣が回されていく。

 内臓が破壊され叔父が絶命すると、セオドアの鋭い目からは涙が一つだけ落ちた。

「……っク……!」

 抜かれた剣からは血が弧を描いて飛び散った。

 

「……リーゼロッテ、愛なんて腑抜けた理想論を掲げる女に国は率いれない。お前はもっと学ばなければいけない事がある。良かったな、良い国と手を取り合えそうで」

 そのまま向きを変え、剣はセオドア自身の首に当てられた。

「セ、セオドア待て!やめろ!!」

「俺の役目は終わった」

 冷めた瞳のまま、剣が引かれようとした時「──<時間停滞(テンポラル・ステイシス)>!」セオドアの時は止まった。

「じ、時間の魔法……?」

 それを放った神王をリーゼロッテは畏怖に彩られた瞳で見た。

 

「ナインズの前で自刃は許さん。王弟は下らん祈りを捧げる男だと分かっているから目をつぶったが。……三、二、一……──<魔法遅延化(ディレイマジック)><武器破壊(ウェポンディストラクション)>」

 セオドアに更に魔法が掛けられていく。

 それから、幾秒が経過し、セオドアが動き出した瞬間剣はバラバラに砕け落ちた。

「──な、なんだ!?」

 セオドアは目を丸くし、自分に起きたことを理解できずにいた。

 

 ナインズから奪った剣をリーゼロッテは押し付けるように返し、セオドアの前に立つ。

 そして、思い切りセオドアの頬を打った。

「恥を知れ!!貴様は叔父上の計画を知っていながら、何故相談しなかった!!」

「……話したところでお前には解決できなかった。俺にも出来なかったんだからな。父上の派閥も、協力する山小人(ドワーフ)達の存在も大きかった。しかも父上の壊れた姿を見た事がある者は少ない。時間の無駄だ」

「そんな事、相談してみなきゃ分からなかっただろうが!!私はきっと解決できた!!父上が死ぬことも、貴様が実の父親を殺すこともなかったはずなんだ!!」

「無理だ。それより、泣くなよ。殿下が見てる」

 

「うるさい、私が、私がどれほど貴様をいつも見ていたか……!」

「異変に気付かない程度の観察力だ。そんな暇があればお前は勉強でもすることだな。剣なんか振れた所で王になれば何も意味はない」

「貴様だって王になる資格がある者のくせにいつも剣を振っていただろうが!!」

「俺はいつか父を殺すと分かっていたからな。王妃様に父が毒を盛った十年前から決まっていたことだ」

「た、たった十一やそこらだった頃に……」

「当然だろう」

 

 リーゼロッテがセオドアを睨んだままぼろぼろと泣くと、セオドアは剣を収めていたナインズの前に立った。

「──殿下、あれは王になるにはまだ無能だ。助けてやってほしい」

「あなたが助けた方がいい。僕には荷が重い」

「俺は前王を殺めることに加担し、王女を殺めようとし、更には新王を殺めた。もはや死ぬかしかない」

「あなたたちの法は僕は知らない。僕の誠正しい法はただお二人だけだ。じいにそう習っている」

「……神王陛下と光神陛下か」

「そうなる。だけど、ここは神聖魔導国じゃない。新しい女王陛下に処遇は決めていただくことだね」

 

 ナインズが剣を縛め直す。

 アインズは魔法で作った椅子に掛け、フラミーの羽を撫で付けて事態を眺めていた。

 

 泣いていたリーゼロッテは目元を拭った。

「……セオドア。セオドア・レドルド・マキャベリ。貴様からは王位継承権を剥奪する。女王、リーゼロッテ・イコレット・マキャベリの命だ」

「それから?」

「……数日投獄する。死ぬことは許さない」

「……甘すぎる。死ぬまで牢獄にいれるくらい言ったらどうなんだ」

「……貴様は牢に入りたいのか」

「入りたいわけじゃない。だが、それで貴族連中が納得するのか。王陛下弑虐に加担しているんだぞ。お前は小娘で、これから奴らを御して生きていくと言うのに、従兄だからと言って俺を助けたと言われる。騎士達は多くが貴族の子だ。お前を守って倒れた者達も。誰も納得などしはすまい」

 リーゼロッテはジッとセオドアを睨み黙ったまま動かなかった。

「思う事があるなら何か言え、リーゼロッテ。そう言う亀裂は同じことを呼ぶんだ。お前の首が再び狙われ──」

 

 襟を掴み、引っ張ったリーゼロッテがセオドアに口付け、すぐに突き飛ばした。

「な、何を……お前、正気か」

 口を拭うセオドアが目を白黒させていると、リーゼロッテはアインズの下へ歩き跪いた。

 

「……神王陛下、あなたは本当に神なのですか」

「そうかもしれないし、違うかもしれないな」

「……生き物の時間を止められる存在など、私は神か時の天使しか知りません。もしあなた様が本当に神だとするならば……どうか、父を生き返らせてはいただけないでしょうか……」

「その見返りに、お前は何を差し出せる」

「……信仰を」

「信仰は示されなくては届かない。もう一度聞こう。お前は何を差し出せる」

 

 リーゼロッテが答えに窮すると、微笑むデミウルゴスが告げた。

 

「──州となり、完全なる庇護の下に生きますか?」

 呆然としていたセオドアが声を上げた。

「ま、待ってください。それではここはもう王国ではなくなります!王を蘇らせる意味がない!それに、女王も我々も貴国を一度も見たことなどないのです!!聞けば貴国は身分制を持たない、貴族の混乱は果てしない!!」

「まぁ、そうでしょうね。少し言ってみただけです。これ以上の混乱はアインズ様も望む所ではありません。──と言う点を思えば、属国化ならば信仰を示すにはちょうど良いのかも知れませんねぇ。無論、フラミー様が復活させて下さる王をあなた達二人がそのように説き伏せなくてはなりませんが」

「……属国化なら……」

 セオドアは本当にそれで良いのか分からなかった。

 だが、リーゼロッテは頷いた。

 

「属国となります。それで父を生き返らせていただけるのならば」

「ふふふ、そうか。そうかそうか。だが、頼む相手が違うな。こちらの私にすら座する女神に跪き、もう一度望みを告げることだ。私は死の支配者にすぎない」

 リーゼロッテが深々と頭を下げる。

 

「光神陛下……。あなた様のお力をどうぞ、お貸しください……。父の復活を……」

 ナインズは母の反応を静かに伺った。

「──良いですよ。ただし、騎士も皆、誰も彼もと言うのは頷けません。いいですね」

「はい」

 安堵にナインズの口からふぅ、と息が漏れた。

 フラミーはアインズから降りると、手を組んで静かに眠らされる前王に杖を向けた。

 

「──<真なる蘇生(トゥルーリザレクション)>」

 

 代価など不要。

 フラミーの翼が魔法に呼応するようにドッと光を放ち、前王は静かに目を開けた。

「お父様……?」

「……りず……。何故ここに……ないんず殿下は外に逃げたと……」

「に、逃げました!セオドアに庇われて!!今はもう戻ってきたのです!!」

「……何。セオドアが……そうか……。良かった……。不詳の弟が怖い思いをさせた……。いや、それより、他国の皆さまは──」

 マキャベリが起き上がる中、セオドアは静かに数歩下がり、くるりと背を向けて広間を後にする。

 

 雪で湿ったローブのフードを被り、足早に進む。

 

「──どこへ行くんです」

 ふと、背にかかった声にセオドアは足を止めた。

「……ナインズ殿下。ふ、俺はもうここには不要だ」

「王弑虐の罪がなくなり、王女を守り、叛逆の王弟を打ったと言うのに。リズの求めに答えてもバチは当たらない」

「……それは、……神の子としての意見かな」

「一般論さ。部屋に戻った方がいい」

「……いい。父や、俺を仲間だと思っていた父の派閥の者達を殺した感触が手に残っている。リーゼロッテの隣には殿下みたいな男が似合う。マキャベリ陛下も再びお立ちになる。俺があのまぬけにあれこれ教える必要もない」

「勝手に僕を引き合いに出されても困る。だいたい、彼女はあなたがいないと生きることすら難しく感じている。それの代わりは決していない」

「俺の代わりなどいくらでもいる。殿下はリーゼロッテでは不服か」

「不服だよ。僕には好いた人もいる」

「……女は何人か持てる文化なんだろう。公妾にでも側室にでも持てばいい」

 ナインズは眉を顰めた。

「……じゃあ、僕は彼女を妾か愛人にでもするよ。妃を持つつもりはない。それであなたは満足なわけだ。彼女の幸福だけを心から祈り続けているくせに」

「……まぁ」

「そうかい。じゃあ、今日もう抱くとする。どこへなりと行け」

 

 背を向け、広間に入る。

 広間の中では説明を受けたらしいマキャベリ王が跪き、フラミーに礼を言っているところだった。

 リーゼロッテはその後ろで涙を拭っていた。

「──リズ、悪いんだけど少しいいかな」

「あ、ナインズ。ありがとう……。全てに感謝しているよ……」

「はは、僕は何もしてないけどね。ごめん、それで、君の部屋を少し借りたい」

「部屋を?休みたいの?用意させようか?」

「いや、君の部屋じゃないとダメかも」

 訝しむような顔をされるが、よいこらせとリーゼロッテを抱き上げた。ドレスはボロボロだった。

「あ、え?な、何?」

「おかしな真似はしないから。少しの間信じてくれる?」

「ナインズ?」

 とっとこ広間を後にしようとすると、「──ナインズ、どこに行くんだ?」と父に聞かれた。

「すみません、すぐに戻ります。ちょっと二人に──いや、えーと、彼女あんまりボロボロだから。着替えさせてきます」

「お、おう。うん。えーと……節度を忘れずに。レオネちゃんを泣かせないでくれ」

「はーい」

 感動している扉の前の女騎士が扉を開けてくれる。

「リズ、行ってらっしゃい」

「あ、ベア、あの、違うのよ」

「うん、違うんです。すぐに戻りますから。多分」

「はいはい、ごゆっくり」

 ナインズは居心地の悪さを感じたまま部屋を出た。

 廊下にはもう誰もいなくて、内心悪態をつく。あの野郎どこに行きやがったなどと柄にもなく。

 

「……はぁ。君、部屋はどこ?」

「上だけど……」

「上ね。上、上。はいはい」

 階段を登っていき、「次は?」と言うと、リーゼロッテは突き当たりの部屋を指差した。

「あれだけど……」

 ナインズは何者かに見られている気配を感じると笑顔になった。

「ふふ、じゃ、行こう」

「……ナインズ、本気か?」

「本気さ!君、僕のところに来るといいよ!僕は妻は持たないから愛人だけど!」などと、少し大きな声で言ってみる。

「……そんな性格だった?」

「いいや。さて、どうかな」

 抱えたまま部屋の前に着くと、リーゼロッテがノブを回して扉を開けてくれた。

 そのまま部屋に入り、足で扉を閉める。メイドや一郎太がそばにずっといってくれない時の不便さは時に心地いい。

「ふふ、本当に行儀悪いわね」

「まぁね」

 

 暗い部屋のベッドにリーゼロッテを下ろすと、ナインズは隣に座った。

「すぐに来るかな」

「……えっと、メイドを呼ぶならそこの鈴鳴らさなきゃ」

「着替えは少しだけ待って──あ、来るな。ちょっとごめん」

 リーゼロッテの体を持ち上げ、ベッドの真ん中に寝かせると、ナインズは上着を放った。

 その後、彼女を見下ろすように手をついた。

「ちなみに叫ぶなら今だし、叫んでもいいよ。叩いても構わないけど」

「……ナインズ。私はあなたが何考えてるのかよく分からないんだけど」

「はは、これでも君の恋を応援してるつもりなんだ」

 意味がわからないという様子のリーゼロッテに笑い、頭の上に肘をつくと顔を寄せた。

「な、ないんず……あの……」

「静かに」

 リーゼロッテがギュッと目を閉じると、扉がそっと開いた。

 明るい廊下から暗い部屋に影が差し込んでくる。

 

「……ナインズ殿下。俺を試そうと言うのか」

「ノックもしないで無作法だね。そんなに気になるなら、大切にしまっておくか、隣にちゃんと置いておきなよ」

「……それができる人間じゃない。だから殿下に頼みたいと言っているのに」

「だから今頼まれてるだろ。何が不服なんだよ」

「……愛人だとか妾だとかじゃなく、きちんと側室として迎えてくれ。傷付くような関わりは望んでいない」

「公妾なんて言葉もさっき聞こえたけどね。だけど、愛しているならそう伝えろ。彼女はあなたにもう十分伝えた。女王になる覚悟もしたはずの彼女がマキャベリ陛下の復活を願ったのは、国を売ってでもあなたの罪を減らしたかったからだ。分かっているくせに」

「だから俺は人を殺しているから伝えられないと──おい、リーゼロッテ。お前──リーゼロッテ?」

 

 リーゼロッテはベッドから起き上がるとポロポロ涙を落とした。

「ナインズ殿下!!何をした!!」

「さてね、まだ何もしてないと思うけど。でも、悪いけど僕は疎いからな。側仕えによく言われる」

「貴様、言うに事欠いて!!」

 セオドアが拳を握ると、リーゼロッテはセオドアに抱き付いた。

「セオドア!貴様私を愛しているなら早く言え!!もうナインズに九割以上は恋してた!!ナインズと生きる覚悟をしかけた!!」

「や、やめろ!!それで構わないって言っているだろうが!!だいたい赤ん坊の頃から知ってるお前なんか、まともに女としてなんか見れない!!キスも下手クソだし!!」

「嘘をつけ、命をかけて私を守ったくせに!」

「王妃陛下の事の罪滅ぼしだ!!俺が本当に好きなのは王妃陛下だった!!」

「なんだと!?あーそうか!!じゃあ出て行け!!ナインズと続きをする!!今すぐドレスも脱ぐ!!私は体には自信があるんだ!!」

「な、小娘のくせに!!」

「私はもう十六だ!二十一に比べれば若いけれど、十分女なんだから!!」

「そうかよ!そんなに女だって言うならもういい!!遊ばれて捨てられるくらいなら俺がそうする!!」

 セオドアがリーゼロッテを掻き抱くようにキスをし、ナインズは上着を持って部屋を後にした。

 ずっと愛していたとか、二度と離れてくれるなとか、いつまでも守ってくれとか聞こえる扉を閉める。

 

「やれやれ、見てられないよ、四六時中ひっついてる父様達を見慣れてる流石の僕でも。ねぇ、皆」

 

 付いてくる八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジアサシン)達に苦笑しながら話しかける。

「あーなんかやだなぁ。勘違いされる前に早く戻りたい。父様と母様には皆が話してくれるよね?」

「お任せください!」「お任せください!」「お任せください!」「お任せください!」「お任せください!」

「良かった〜」

 

 ナインズは肩にジャケットをかけ、子供の頃と変わらない純朴な顔をして広間に戻った。

 一人で戻る様子を見ると、皆「なんだ、本当に着替えか」と苦笑したようだ。

 

 かくして、王の戻った王国は王の命と引き換えに属国となり、数年の後、さらに美しく育った王女に全権が渡る際には当然のようにオーケルベリ州へと変わる。

 その王女──いや、州知事の隣にはいつもどこが冷めた目でため息を吐く夫がいたとか。

 

 国営小学校(プライマリースクール)も神殿の創設も拒絶しない優良国家の併呑は穏やかに進んだらしい。

 

+

 

 神都。カフェ・マスコンパス、テラス席。

 

「どうだった?」

「すごく楽しかった!昨日のエ・ランテルも、今日の神都も!感動したわ!!」

 リーゼロッテはナインズに太陽のように笑った。彼女はまた男性の正装のような格好をしていて、腰には剣が下げられている。

 その隣でマキャティアなる飲み物に口を付けていたセオドアは相変わらず冷めた目をしていた。

「殿下──じゃなくてキュータ殿はそんな事を聞いたんじゃないだろう。全種融和の街の感想くらい言えないのか」

「ふーん。そうね。あなたが不可能だの無理だのごちゃごちゃ言っていた街だわ」

「神の力がなければ成り立たないのだから、人間達しかいなかったオーケルベリでは不可能だ」

「そう。そうやって早々に何でも諦めて神を失望させるのも人間達じゃないかしら。特にあなたのことよ」

 二人がバチバチと火花を散らし始めると、一郎太は苦笑した。

 

「ナ──キュー様、この二人またやってるよ」

「ふふ、仲良しだよね。二人とも大好きなんだって」

 黒髪を払い、机に頬杖を付く。

 二人は毒気を抜かれたように互いを見合わせ、すぐにフンと顔を逸らした。

 

「キュータ殿、心変わりがあればいつでもこのじゃじゃ馬を引き取ってくれ」

「また言ってる。僕が引き取ると愛人だけどいいの?」

「……だから、せめて側室で」

「最悪一晩や二晩泊めるくらいなら構わないけど、一生は嫌。だいたいリズも女の子なのにこんな話されて嫌でしょ」

「私は構わない。お父様と国の恩もあるし、正直キュータの事は好き。愛人だって本当に呼んでくれるなら喜んで行くわ」

「……やめてよ。そっちの人の顔見なよ」

 リーゼロッテはナインズの向かいに座る従兄を見るとおかしそうに笑った。

 苛立ちか何かが隠しきれないような様子で腕を組んでいた。

「何よ。お望みじゃないの」

「あぁ、あぁ。お望みだよ。ただし、愛人なんて馬鹿げた関係じゃなくな」

「強がって。毎晩飽きもせずにあんなに愛していると言うくせに」

 リーゼロッテが笑ってマキャティアに口を付ける横で、セオドアの握りしめた拳は震えていた。

「お、お前は……!」

「ふふ、いいね」

 ナインズもシナモンたっぷりのチャイに口を付ける。冬晴れにはもってこいだ。

 

 全てのカップの中身が空になる頃、四人は大神殿へ向かった。

「キュータ、また誘いに来てね」

「もちろん。二人揃って遊びにおいで」

「私一人でもいいわ」

「はは、君も心にもないこと言わないの」

「本当よ?キスして見せる?」

 くるりと首に手を回し、リーゼロッテは挑戦的な目をした。

「……やっぱりリズは思ったよりとんでもない女王になりそうだ」

「これはお礼と、求愛と、友情と、全てよ」

 グィと首を引かれ、ナインズの頬に唇が触れる。

 

 ナインズは苦笑混じでポンと背を叩いてやると離れた。

 

「えーと、キュー様。あのさ」

「何?」

「あれ」

 一郎太が指差す先にいた本を抱いたレオネは、目が合った瞬間にパッと顔を逸らした。

「……嘘でしょ」

 キョロキョロした後にレオネがどこかへ行こうとすると、ナインズはやましい事をしていたわけでもないというのに何か無性に罪悪感にかられ、そちらへ走った。

 なぜか逃げるようにレオネまで駆け出すとスピードを上げる。

「──レオネ、レオネ!」

 すぐに追いつき手を取ると、レオネは白々しく今気がついたかのような顔をした。

「あ、えっと、ごきげんよう。盗み見するつもりはなかったんですけれど、あんまり白昼堂々だから」

「いや、隠れないといけないようなあれじゃないから……。あの子はラ・オーケルベリ王国の姫殿下なんだよ……」

「外交の一貫ですわね。でも、お育ちも確かですし、身分もある方ですし、よろしいんじゃなくて?」

「よ、よろしいって君ね……。何言ってるの」

「……わたくしも、あなたが何を言いたいのかいまいちよく分かりませんわ」

「……だから……えーっと、つまりだね。僕は君しか見てない。本当に」

「そんな事おっしゃらないで別に何人とお付き合いされてもかまいませんのよ。ご結婚もちゃんとした方とされて。わたくしあなたの幸せが一番ですもの」

 

 と言っていると、レオネの両肩にポンッとセオドアの手が乗った。

「こんにちは。お嬢さん、俺と少し散歩しませんか?」

「……おあいにく様ですけれど、わたくし男性と二人では出かけませんの。手も退けていただけます?」

「あらら、なるほど。これはガードが固そうですね、キュータ殿」

「……何か勘違いしてないか。レオネにあんまり触らないで」

「じゃ、ご挨拶くらいにしましょうか!」

 レオネの手を取り、セオドアが甲にあっという間に口付けを送るとナインズは思わずセオドアの胸ぐらを掴んだ。

「……あんた遊び半分で何してんだよ……!怒るぞ……!」

「そんなに気になるなら、大切にしまっておくか、隣にちゃんと置いておきなよ、でしたっけ。キュータ殿。──はい、どうぞ」

 

 口付けたレオネの手をポンと渡される。

 ナインズはセオドアを渋い顔をして睨んだ。

「そんな顔してないで、どうぞ?」

「……どうぞじゃない」

「いやいや、どうぞどうぞ」

「……なんですの。わたくしで遊ばないでいただけますこと。いくら身分のある方達でも女性でそんなことされて、怒りますわよ」

「遊んでない。でも、消毒だけ」

 ナインズはレオネの手を持ち上げると、それに唇を落とし、そのまま数秒止まると離した。

「ごめんね、やっぱり君にはお嫁に来てもらいたいな。他人に触られるとこんなに不愉快だとはびっくりする」

「……も、もー!なんですの!!遊ばないでって言ってますのに!!」

 

 レオネはそのまましばらくジタバタし、一郎太はリーゼロッテと嬉しそうに笑い合った。




あらま!めでたしめでたし!
穏やかときたら、次は苛烈な感じに行きたいんですけど、破壊してもいいような国を建設していますのでしばしお待ちください(?
も〜〜裏の書きすぎて本編書きだめ失うとかいう大失態!!!
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