鬼滅の隻狼   作:たい焼き屋台

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炭治郎の修行日記

 

丸月×日

 

 禰豆子に向けて今日から日記をつけることにした。お堂で鬼を斬った後、鱗滝さんに連れられ狭霧山に到着した。

 

 まず初めに、鬼の殺し方を教わった。鬼は首を落としても死なない。太陽の光か、鬼殺隊がもつ日輪刀という特別な刃で首を斬らなければならない。狼さんが持つ赤い刀に鱗滝さんがとても興味を持っていた。

 

 それから俺は毎日山を登っては下りての繰り返しだ。山の中には罠がたくさん仕掛けてあって降りる頃には体のあちこちが痛む。空気も薄くて呼吸するのも精一杯だ。

 

 明日も朝から山へ行く。今日はもう寝よう……

 

 

 

 

 

丸月△日

 

 最近罠の難易度がどんどん上がっている。俺を殺す気満々だ。体力が上がって、鼻も前より利くようになっていなかったら危なかった。

 

 最近は狼さんも罠作りに協力しているらしい。狼さんはあまり喋らないが人付き合いが得意なのかも知れない。夜遅く、鱗滝さんとともにお酒の匂いがよくする。

 

 俺も大人になったら混ぜて欲しい。

 

 

 

 

丸月□日

 

 今日は刀をもって山下り。これが本当に邪魔で、前まで簡単に避けることが出来ていた罠にかかりまくってしまう。

 

 狼さんは刀を二本履いているのでコツを聞いてみたら、見て学べと山から下りてきたばかりなのにまた走らされた。

 

 足が棒になった。

 

 

 

 

丸月丸日

 

 今日は刀の素振り。今日は、というより今日もだけど。山下りの後、毎日腕がもげそうになるほど素振りをさせられる。

 

 最初は重く感じていた刀も大分ましになってきた気がする。鱗滝さんに狼さんとの鍛錬の仕方を聞かれたので話したら、お前は忍びになるつもりかと言われた。

 

 確かに、狼さんの戦い方は剣士と言うより忍びに近い。どちらがいいかと鱗滝さんに尋ねれば両方やれと返ってきた。

 

……禰豆子、兄ちゃんは死んだかもしれない。

 

 

 

 

△月×日

 

 久々に日記を書く。ここしばらくは日記を書く元気が残らないほどの訓練内容だった。

 

 朝起きて山に登る。空気が薄い中、狼さんとの鍛錬が始まる。狼さんにぼこぼこにされた後は山を下る。もはや、罠が置いてある場所のほうが少ないのではと思う道をひたすら走り抜ける。刀を持って走ることも気づけば苦にならなくなっていた。

 

 山を下りたら刀の素振り。刀を折ったりしたらお前の骨も折るからな、と低めに脅されてから素振りの精度が上がったのは言うまでもない。

 

 こんな生活に漸く慣れて日記も書けるようになった。後で鍛錬の仕方を纏めておこう。

 

 

 

 

△月△日

 

 今日は転がし祭り。どんな体勢になっても受け身を取って素早く起き上がるための訓練だ。

 

 俺は刀を持って素手の鱗滝さんに向かっていく。丸腰の鱗滝さんは馬鹿みたいに強い。気づけば俺はいつも地面から空を見上げている。

 

 体勢を崩さないために、狼さんからは葦名流という流派の技を教わっている。葦名というのは國の名で、その國は源の水?と縁が深いそうで、水の流れのように相手の攻撃を受け流す術に長けているのだとか。

 

 当然、狼さんとの鍛錬なので実戦形式。今日、俺が地面に転がった数は百に近い気がする。

 

 

 

 

△月□日

 

 今日は呼吸法と水の型を習う。腹に力が入ってないってお腹をバンバン叩かれて叱られる。

 

 鱗滝さんは数ある呼吸の中でも水の型の使い手で、葦名流も水の流れと関係があったのですんなりと覚えることができ、鱗滝さんにも珍しく褒めてもらえた。

 

 狼さんからは水生の呼吸術といって、なんと水の中でも息が出来る方法を教えてもらった。……禰豆子、兄ちゃんのほうが人間やめてるかもしれない。

 

 

 

 

□月丸日

 

 禰豆子が目覚めなくなって半年経つ。医者に診せても問題はないと言われたけど、ある朝コトンと死んでしまいそうで怖かった。

 

 訓練は厳しさを増している。山下りはもっと険しく、空気の薄い場所で、転がし祭りは二対一に。何度も死ぬかも知れないと思った。

 

 でも、俺は諦めない。

 

 今日、夜遅く。鱗滝さんと狼さんが試合をしていた。

 

 ――ただ、凄かった。

 

 鱗滝さんは老人と思えない動きで相手を翻弄しようとし、狼さんはそんな全ての攻撃を受け流し、時に反撃していた。まるで舞のような二人の剣戟。

 

 いつも無表情な狼さんの眉間の皺が薄くなっていたのは気のせいじゃない。……俺もあの人達みたいに強くなりたい。

 

 

 

 

 

×月×日

 

 狭霧山に来て一年後。

 

『もう教えることはない』

 

 突然、鱗滝さんに言われた。

 

『この岩を斬れたら”最終選別”に行くことを許可する』

 

 そこにあったのは俺の体よりも大きな岩。……岩って斬るものだっけ。刀で斬れるものなのか?

 

 鱗滝さんは何も教えてくれなくなった。狼さんは変わらず鍛錬の相手をしてくれる。岩を斬れない……とは思えない。

 

 ただ、今の自分には何かが足りない。その何かさえ掴めば岩を斬れる。

 

 

 

 

×月○日

 

 鍛錬の相手が増えた。錆兎と真菰だ。

 

 錆兎は狐の面をした少年で、全集中の呼吸を教えてくれた。頭で理解していたことを体に教え込ませると、容赦なくぼこぼこにされた。

 

 真菰は小柄な可愛らしい少女で、俺の無駄な動きや癖を矯正してくれた。

 

 二人がどこから来たのか、どうして俺に色々教えてくれるのか。聞いても何も教えてくれなかった。

 

 ただ、二人のおかげで俺はもっと強くなれる。明日は、錆兎に勝とう。

 

 





鬼滅のアニメ最高ですね……
呼吸のエフェクトだけでご飯三杯はいける()
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