ボク、朝倉
今日は日曜日、ということで図書館へ行っている。
そして今、面白そうな本を探している最中で…
「ん?四聖武器書?」
そこで見つけた本は四聖武器書というやけに古ぼけた物であった。
パラパラとページをめくっていくと、なんともまあ…ひねりのないストーリー。
簡単に説明すると、異世界から召喚された勇者がただ『波』っていうものから守って世界を救う物語だって。
しかも剣、槍、弓は武器として認識はされるよ。でも、盾が武器書に書かれてるってどういうこと?
ボクは苦笑して『四聖武器書』を棚に戻して他の本を借りた。
ん?さっきの借りないのかって?
借りないよ。あまり興味引かれなかったし。
思っていたよりも時間が過ぎていたみたいですっかり外は暗くなっている。
で、家に帰るのだが、流石に遅くなってるからちょっと近道でもして帰ることにしようと裏道から通って帰っているけど、何かさっきからものすごくイヤな予感がするな…
…気のせいだといいんだけど。
と、そんな気がしたけど、無事に家の前に着いた。
「ボクのイヤなよく予感はあたるけど、まさか帰ってから母さんの説教が待っているだなんてやだよ?」
そんなことを呟き玄関へと足を進めたそのとき、ガラッとヤな音が聞こえた。
何となくまたあのイヤな予感がして振り向くと、後ろには夜の今はやっていない建築中の家があり、その前には鉄骨を積んだトラック。少し上を見るとその鉄骨を束ねていた紐が切れてこちらに向かって崩れ落ちて来ていた。
「…は?」
何とも間抜けな声を出す間にも鉄骨は自分に向かってどんどん落ちてくる。
そして頭に一瞬鈍い痛みを感じ、ボクの視界は暗転した…
今日借りた本、まだ読んでないのに…
そんな落胆した思いを抱きながら…
「おお…」
感極まった声に目を開いた。
そこにはローブを纏った人たちがこちらを見ている。
「ここは?」
ん?何か他にもいるな。男が4人。
しかも皆何か持ってる。
えーと…剣と槍と弓と盾…
ってあのときの本と同じ設定じゃん!
「おお、勇者様方、どうかこの世界をお救い下さい!」
「「「「「はい?」」」」」
うん…これは夢だね。
ボクは思いっきり太ももをつねる。
訂正。夢じゃない。すっごく痛かった。
これって俗にいう『異世界召喚』って王道なやつだ。
ちょっとワクワクするかも!
この人たちは、世界の存亡の危機にあるからって古の儀式で勇者を呼んだらしいんだけど…
「「まあ…話だけなら──」」
「嫌だな」
「そうですね」
「元の世界に戻れるんだよな?話はそれからだ。」
ボクと息が合ったジャージの男が話を聞こうとしたのに他の3人が遮る。
彼らを見ると、皆笑ってる。…異世界だからかな?何か嬉しそう…
「ま、まずは王様と謁見して頂きたい。報奨の相談はその場でお願い致します。」
そう言ってローブの一人が重そうな扉を開く。
それにボクたち5人は付いていく。
そーいえば、ボクいつの間にか棒を持ってるんだけど…これがボクの武器なんていわないよね?
「こやつ等がが古の勇者達か…」
そしてボクたちは王様のいる謁見の間についた。
「ワシがこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世だ。勇者共よ顔を上げい!」
…下げてないんだけどな。
うーん、何かあの王様やな目だな。すごいジロジロ見てくる。…特にボクと隣にいるジャージの人。
「む、1人多くないか?確か呼ばれる勇者は4人ではなかったか?」
すると、謁見の間にざわめきが起こる。
周りにいる人々はボクたちを見て、やがて視線が1人に集中する。
「……ボクですか?」
思ってた通り、ボクだった。
だって、あのときの本の通りだったとしたら、武器って剣、槍、弓、盾のはずだもん。棒なんてないよ。
…異世界来て早々ピンチかも。
偽勇者の烙印押されてここから放り出されたらヤバイよ?
「まあよい、偽物かはすぐにわかるだろう。さて、まずは事情を説明せねばなるまい。この国、更にはこの世界は滅びへと向かいつつある。」
そう言って話始めた王様の話はすごい長いから簡潔に説明するね。
この世界には終末の予言が存在し、世界の破滅を導く『波』が何度もくる。それを退かせないと世界が滅びるらしい。
波がくる1ヶ月前に『龍刻の砂時計』の砂が落ち始める。全ての砂が落ちきると波が始まる。
波を退かせるとその1ヶ月にまた波がやってくる。
つい最近1回目の波が起きたらしい。
そのときはなんとかなったらしいけれど、次はもっと強力になるみたい。
「だから勇者を呼んだ…と。」
「話は分かった。で、召喚された俺たちにタダ働きをしろと?」
「都合のいい話ですね。」
「……そうだな。自分勝手としか言いようがない。滅ぶのなら勝手に滅ぶがいい。俺達にとってどうでもいい話だ。」
「確かに、助ける義理も無いよな。タダ働きした挙げ句、平和になったら『さようなら』とかされたらたまったもんじゃないし。というか帰れる手段あるのか聞きたいし、その辺りどうなの?」
おっ、皆同じ気持ちか。しかも聞きたかったこと、言いたかったこと皆言ってくれた。
「ぐぬ……」
王様が唸って臣下を見る。
視線を受けた臣下が話す。
「もちろん、勇者様方には存分な報酬は与える予定です。」
皆ぐっと拳を握る。もちろんボクも。
タダ働きなんてボクだってやだからね。
「では勇者達よ。それぞれの名を聞こう。」
まずは剣を持ったボクと同じくらいの人が立った。
「俺の名前は天木錬だ。年齢は16歳、高校生だ。」
同じくらいどころか同い年だ。
クールな印象だね。カッコいいし。
「じゃあ、次は俺だな。俺の名前は北村元康、年齢は21歳、大学生だ。」
元康は面倒見のいいお兄さんな印象だね。
何か二股、三股してそうな感じがするけど…
「次は僕ですね。僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です。」
ザ優等生な雰囲気がする。
大人しい印象を受けるね。
「俺だな。俺の名前は岩谷尚文。20歳、大学生だ。」
何か少しだらしない感じがするな。
でも、雰囲気的に優しそう。
王様が尚文を睨んでいるような感じだな。
「最後はボクだね。ボクの名前は朝倉歩。年齢は16歳、高校生。」
次はボクを睨んでいるような…確かにボクだけ余分だったみたいだけど…
「では皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい。」
「はっ?」
いきなり何の話!?
ステータスってゲームでよくいうアレだよね?
「えっと、どのようにして見るのでしょうか?」
樹が聞く。
当たり前だよ。ゲーム世界じゃあるまいし。
「なんだお前ら、この世界に来て真っ先に気が付かなかったのか?」
錬が呆れながら言う。言い方が腹立つな。
「視界の端にアイコンがないか?」
視界の端を見てみると…ホントだ。なんかあった。
アイコンに意識して見ると、ピコーンと音がしてゲームみたいなステータスの画面が目の前に現れた。
朝倉歩
職業 魔法の勇者 Lv1
装備 魔筒
異世界の服
スキル なし
魔法 なし
など、その他諸諸
ゲームっぽいな。
魔法の勇者、ねえ…
装備が筒ってこれ…戦えるの?
棒ならまだわかる。筒って…筒って!?
「で、これ見てどうするの?」
「勇者様方にはこれから冒険の旅に出て、自らを磨き、伝説の武器を強化して頂きたい。」
「強化?最初から強い武器じゃないのか?」
「はい、伝承によりますと召喚された勇者自らが所持する伝説の武器を育て、強くしていくそうです。」
へえー剣とか槍とか弓なら戦えるけど、尚文の盾とボクの筒ってどうするんだ?
パーティー組んで協力して戦えばいいのかな?
「伝説の武器は互いに反発し、成長を妨げる性質を持っていますので、勇者様方には我々が用意する者達を仲間として頂きたい。」
ホントだ。ヘルプがついてた。
「今日はもう日が傾いておる。勇者殿、今日はゆっくり休み、明日旅立つがよかろう。明日までに仲間となりそうな逸材を集めておく。」
「ありがとうございます」
「サンキュ」
こうしてボクらは謁見の間を後にして今日休む部屋へ案内された。
以後不定期で更新していきます。