魔法の勇者も成り上がり   作:叶麻直

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活動報告を見た方もいると思うのですが、もう一度、

『申し訳ありませんでしたァ!』( ノ;_ _)ノ

それでは、半年(七ヶ月)ぶりの投稿、どうぞ。


お忍び

「ここがアード村だ」

「へぇー」

 

ボク等は今、アード村という村へ来ている。

ん?指名手配の件はどうしたって?

もちろんあの時のままだよ。

今はお忍び……というべきなのかな…?

まあ、フード被って歩いてるからまじまじと見られない限り大丈夫だろうね。……大丈夫だよね?

逆に怪しまれたりとかありそうなんだけど。

 

ずっとやな予感がするんだけどな…

 

 

…と思ったけどそんな心配は杞憂だったらしく、皆気づかず素通りしていく。

 

まあ、そんな通る人いちいち見ることなんて普通はしないからね。

ボクを躍起になって探している国の兵士以外は。

 

幸運だったのはその兵士たちが割りとサボり気味であることだ。

 

追われる立場のボクが言うのも何だけどさ、国の安全のために巡回ちゃんとやれ!とは思う。

 

別にここで暴れようとは思ってないけどさ。

一応犯罪者が国から脱走したんだよ?それって不味いと思わない?

住民、不安になるよね?

 

ああだとちょっと国が心配になるよ。

国のトップがあんなんだから行く末まで心配なんだけど。

 

まあ、お陰で簡単に村に入れたからいいよね。

 

 

 

そんなことより、ちなみになんでこんな所に来ているのかというと、

 

「ここでモンスターの素材を売るんだ」

 

これからこの世界で生きる上で町や村などに行く機会があるだろう。

しかし、ボクは冒険者としての町の利用の仕方を知らない。

 

この世界の常識を知っていないと逃亡生活などをする以前にこの世界で生きて行けない。

 

だからメルガに教えてもらっているのだ。

 

「へい、いらっしゃい!」

「これを売ってくれ」

 

そう言って出したのはつい昨日倒したバルーン系とかウサピルとかその他諸々の残骸だ。

 

「あいよ。このくらいなら銅貨80位だな」

「そうか」

 

メルガは売ったお金を受けとるとそのままボクに渡してきた。

 

「お前の金だ」

「メルガの分は?」

「俺はいい。これはお前が倒した魔物を売って手にいれた金だ。お前が受け取れ」

「はあ……」

 

半ばメルガに押し付けられるように銅貨の入った袋を受け取った。

 

……ま、いっか。

多分これ以上言っても無駄だと感じたため、銅貨入りの袋を受け取り 腰のポーチにしまった。

 

このポーチ凄いよ。

あんなパンパンな銅貨入り袋の他にも色々(薬草とか魔物の素材とか)入れてるのにまだまだ入りそう。

 

「ところでそこの坊っちゃん、どっかで見たことねえか?」

「へっ?き、気のせいですよ」

 

あれっ、勘づかれたッ!?

フード被って見られないようにしてたのに?

 

「…かもな」

 

ふー。

ビックリしたぁ。

案外あっさり引き下がってくれたから良かったけど、そうじゃなかったらどうしようかと思ったよ。

 

まさかこんなところで気絶させるわけにもいかないし。

 

姿変える魔法でもあったら便利だけどきっとないだろうなぁ…。

 

「バレる前にさっさといくぞ」

「うん」

 

考えていても仕方ない、要はバレなきゃいいんだ。

バレる前に消える、バレそうだったらうまく誤魔化す。

 

今晩誤魔化し方、考えとかないと。

逃亡生活、想像してたより大変だ。

 

にしても、『坊っちゃん』ってちょっと複雑。

確かに目を欺くために男の格好してるけど…一応ボク、女だよ?

 

 

 

さてお次は必要な物資を買いそろえる。

まずは回復ポーション。

回復の魔法でも使えれば良かったんだけど一切使えないらしいからね。

 

…なんでだろ。

あれかな、魔法使いは攻撃魔法だけ、僧侶が回復魔法のみって言うやつ?

賢者なら両方とも使えるからあれいいよね。

 

って今はそんなことじゃなくって回復ポーションだ。

そういえば昨日倒した中に目利きのスキルがあったから試してみよ。

 

…思ったより質は良いわけではないみたい。

ほとんどの品質が『少し悪い』くらい。

良くても『少し良い』くらいで…ビミョー。

 

でもまあ店で売るならこんなものなのかな。

と思っていると…

 

「何だこれは」

 

メルガが顔を歪めて店主に詰め寄った。

 

「何のことでしょう?」

「こんな品質でよくその値段で売ろうと思うな。どう見ても正当な値段より高いじゃないか」

 

あ、メルガも鑑定出来るんだ…ってあれ正当じゃなかったの!?

 

「…お客様、値下げも冷やかしもお断りしております。お引き取り下さい」

「上手く色で品質を誤魔化しているみたいだがこんなもの、精々軽い擦り傷までしか治せん」

 

品質って色でわかるものなんだ。

良いものだと濃いとか?

 

因みに『良い』ポーションはどのくらいの効果があるのかと後に聞いたところ、『少し深い傷ならすぐに治る』とのこと。

 

「ですから、お引き取り下さいと言っていますよね?」

「…こんな見た目を詐称したものなどいらん。行くぞ」

 

あれ、出てっちゃった…そしたらポーションどうすればいいの?

 

「話は聞きました。詐称した商品を売るとは見過ごせない悪です!」

 

 

脳裏に弓を持った癖毛の少年が浮かぶ。

……この声って、あの人だよね?

何でここいるの?

 

もう振り向いたらアウトだよ、というか逃げるとこないから詰んでない?

 

「そこの貴方、まだその商品を買っていませんよね?先程の方が言った通り確かに詐称されたものです。ああよかった、もう少しで騙されるところでしたがもう大丈夫ですよ」

 

いやいやいや、大丈夫じゃないから!

確かに買いそうになったけどね?

詐欺も危なかったけどそれよりボクのこの後のことがすごく危ないからっ!

 

「おい貴様、イツキ様が危ないところを助けてくださったのだ。この御方に感謝しろ!」

 

いや、メルガが言ってくれたから買わなかっただけで助けてもらったなんて思ってないよ。

 

取り敢えず言わないと解放させてくれないよね?

でも言ったら言ったでバレて袋叩きじゃない、これ?

 

「何やっているんだ?」

 

やっときたあ!

 

「早く来い。ここには用はない。別のところで買うぞ」

「ええ、そうした方が賢明ですね」

 

何故か樹が話に乗ってくる。

とここで、

 

「あああ!」

 

今度は何だ!?

 

と思っているとさっきのモンスターの残骸を売ってくれた人がボクを指差して…この反応、どう見てもバレてるよね!?

 

「コイツ、手配書の奴じゃねえか!」

 

そうだよね!そりゃバレるよね!フードで隠してるだけだもん!

 

「…ちょっと失礼します」

「あっ…」

 

顔が露になる。

そして樹たちは顔を険しくする。

 

そのうち騒ぎが大きくなり、兵士も大慌てでやって来る。

 

「…歩夢さん、あの時はまんまと逃げられてしまいましたが今度こそは!お縄についてもらいますよ!」

「遠慮します!」

 

はい、村来た時に言ったあのフラグ、回収しました!

最悪だ!

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