2人が村へ戻ると途端に静かになった。
「ヴェネラ大丈夫かな……?」
メルガの様子からヴェネラが見つかったということを思い出し、ボクが呟くと、
「彼女なら無事でごじゃるよ」
「ふぉわぁ!」
人生(一度死んだ?けど)で一番驚いた、心臓一瞬止まった。
いや本気で。本気と書いてマジで。
メルガの時より驚いた。
まさか後ろか、気配なしで喋りかけて来るとか本当ビビる。
自分でも不思議な声が出てきたのがわかる。
ってか今更だけど誰!?
「魔法の勇者殿でごじゃるな。安心して欲しい。拙者は女王の影、そなたの敵ではないでごじゃるよ」
「ご…ごじゃる?」
ごじゃるってあの歴史関係の漫画で出てきそうな『麿は〇〇でごじゃる』っていうやつの?
この世界で使う人がいるとは思ってもいなかった。
「いつからいたの?」
「つい先程、数刻前に洞窟に着いたでごじゃる」
ついさっきだったのか。
「というかヴェネラは本当に大丈夫なの!?」
「拙者達が保護しておいたのでごじゃる」
信用できるのかな…?
とボクの考えを読んだのか
「一応彼女から言伝を託されているでごじゃる」
「なんて?」
「『メルガに貴女のことを頼んでおきました。私のことは気にせずにお願いします』とのことでごじゃる。彼女は女王の権限で拙者達が引き取ったのでごじゃる。ちなみにこれを…」
そう言って取り出したのは1つのブレスレットだった。
紫の宝石があしらわれた綺麗なもので、
見るとステータスみたいな表示が出てきた。
魔石のブレスレット
守備 5
魔法耐性 10
付与効果 攻撃魔力UP・闇耐性 +8
「…これは?」
「彼女の両親からでごじゃる。正確にはヴェネラ殿からで、会えたら渡して、お守りとして付けていてほしいとのことでごじゃる」
ヴェネラの両親からも?
「ヴェネラ殿の母殿からは『あのオムレツの作り方を教えて欲しい』、父殿に関しては『ヴェネラの婿にしてやってもいい』と言っていたでごじゃるが…魔法の勇者殿は女性と聞いていたでごじゃるよ?」
叔父さんのことは放っておくとして、オムレツのことも知っているのか…
言伝だけじゃ信用できないと思ったけど、ここまで知っているのなら信用してもいいかもしれない。
「うん、女で合ってる。おじさんは本気で言ってはいない…………と信じてる」
何度も訂正したからね。さすがに…
そういえばなんか気になることを言ってたような…
「ねえ、女王ってどこの国の女王?」
「メルロマルクの女王でごじゃるが?」
えっ!?メルロマルクに女王が…というか后じゃなくて女王?
詳しい話を影に聞くと、メルロマルクは女王が統治する国であり、エリミア女王が実権を握っている。
現在のメルロマルクはその女王が国に不在のため、オルトクレイが仮初めの統治者であるという。
「その女王がなんでボクの味方をしてるの?一応メルロマルクのおたずね者だけど」
「拙者達影は気配を隠したり変装したりして対象者を追尾しているでごじゃる。マルティ王女を見張っていた影はマルティ王女の行動をしっかり見て記録していたでごじゃるよ」
マルティも監視してたんだ。全然知らなかった。
つまりボクの危機を見過ごしたということだ。
「そうであるなら罪を被せられる前に何でやらなかったの!」
思った途端、ボクの口から思ったことが飛び出してしまった。
「…あのオルトクレイ王が影と娘のマルティ、どちらを信用すると思うでごじゃるか?」
そう言われたら…娘なんだろうな……でも女王の方が立場的に上だし…
「オルトクレイ王は基本的に親バカであるために娘であるマルティ王女はやりたい放題。そのため女王は監視をつけているのでごじゃる」
仮にも王である人物にずいぶんはっきりと親バカといったね。
手を出さずに監視だけということにはなっているが、と付け加えた。
どうせだったら止めて欲しかったと思ったが、影がまた喋り始めたので黙っていた。
「しかし、そろそろ女王も限界かもしれないでごじゃるな…」
「さすがに仮にも勇者のボクにいわれのない罪を被せて指名手配犯はやり過ぎたんだろうな」
「それだけでないでごじゃるよ」
え、まだあるの?
そして次に聞いた言葉はボクにかなりの衝撃をもたらした。
「盾の勇者がマルティ王女に陥れられたのでごじゃる」
「あのときの伝言は伝わってなかったの!?」
確かにあのとき『マルティに気を付けろ』というメモ帳をドアの隙間に挟んだはずだ。
それに誰も気づかなかったはあり得ない。
4人ではない誰かに気づかれたのか…
「いや、入ったときに弓の勇者殿がまず気づいていたでごじゃる。しかし誰もマルティという名には心当たりがなかった様子。マルティ王女は冒険者としての偽名を名乗っていたでごじゃる」
そうか、偽名という手段があったか。
それじゃあ、あんなことやったとしても防げないか。
「魔法の勇者殿に伝える事項はこれで以上でごじゃる。拙者はここで失礼するでごじゃる」
そう言った途端、ボクが止める間も無く消えてしまった。
魔力感知も多少出来るようになったけど影の魔力が感じられない。
だから意識せず、思わずこう呟いていた。
「…まるで忍者だ」
影が消えてから2時間、村を見に行ったメルガがようやく戻ってきた。
こんなに時間が掛かったのは何でもあの闇の檻からどうにか抜け出したらしい樹がリユートにいるのではないかと仲間と共に時間をかけて一件一件調べ回ったかららしい。
村の方々、本当にご迷惑をお掛けしました!
メルガに影からの話を伝えると、もっと警戒しろ、と叱ったものの、どこか安心した風な顔をしていた。
やっぱりあんなこと言ってても心配だったんだね。
村に帰るときにモンスター(バルーン系、卵系)と何回か遭遇したからそれらをメルガの協力も得て倒し、レベルアップした。
そしてバルーンシリーズとエッグシリーズを解放した。
ちなみに、モンスターの残骸って伝説の武器の宝石の部分で吸えるってことをこの時初めて知った。
シリーズがあることも。
伝説の武器を成長させるって多分この事なんだろうな。
キャラクターランキングでいうと影は僕の中では第4位くらいかなぁ
喋りが好きでごじゃる