確かに
香霖堂でいつものように
本を読んでいた筈・・・
『え?』
それが
何カ月振りに発した言葉?声だった。
どう言う事だろう?
確か、香霖堂で本を読みふけっていた筈
だがどうだろう?
異様な量の本棚に囲まれ
カウンター席に座り
本の貸し出しカードをカウントしていた。
まぁ、本があればいいか
他は、空腹さえ解消できればいい。
あの巫女が居ないなら、
邪魔される心配は無いだろう。
この脇に居る3人のちびっ子を除けば。
『何の用?』
私から声を態々かけてみる。
『え?そう言うあんたこそ?』
オレンジの髪に左右で結びを配する
蒼い瞳の“ちび”が、
生意気に返事を返して来た。
『別に。』
そう、声を掛けてみただけなのだ、
それ以上に会話を広げるつもりはない。
『いやいや、
この状況に違和感ないの?』
今度は“栗の様な口”で、
ブロンド?風な髪で
ドリル巻き髪の“チビ”が
違和感などと言って来た。
『さぁ。』
邪魔しないで欲しいのに。
『でも、快適な場所ね?』
淡い茶色の入った黒髪で
床にこする程に長い
頭に青いリボンを付けた
“ち、ちび?”が
同意出来る事を言った。
『それは同意。』
そして、本に目線を戻す。
『じゃなくて、
はい、これ。』
手紙だ?
『私に?』
『えぇ、
金髪の長い髪のお姉さんからね。』
“金髪の長い髪のお姉さん?”
正直、思い当たる節が無い。
『読まない選択は?』
柄にもない、会話を広げようとしている。
『無いでしょうね、
この相手に、
“暫くお世話されなさい”って、
言われてるから。』
は?
私は本と食事さえあれば、
特に何もいらない。
邪魔されるなんてもってのほか。
『兎に角、読む・・・
読めない。』
おい、
大抵の読み書きぐらい出来るだろう?
精々の“小学生”?
まて、この知識は何だ?
“幻想郷”と、“現代”?
なんだこれは?
『あ、やっと違和感に気付いたね?』
八重歯が目立つ“ちび”に
言われた、カチンとくる。
『それで、
お家はどこかしら?
せめて
落ち着いた所だといいけれど?』
ドリル巻き髪が
妙にもじもじしながら家がどこだと?
私が知りたいんだが?
『手紙、頂戴。』
『どうぞ。』
青いリボンが手紙を渡して来る。
※初めまして“名無しの妖怪”
八雲 紫と言う、
“今の幻想郷の管理者よ”
申し訳ないんだけど、
今暫く、
その“3人”を預かって欲しいの
勿論、報酬もあるし、
“弄った記憶の通りに”
その世界で必要な物は準備してあるから、
“香霖堂”の、
森近 霖之助も、
落ち着いたら、
そっちに行くから、
“部屋は掃除しといてね?”
追伸・巫女には要注意
『げ、店主もこっちに来るのかい。』
めんどくさい
私の本も返してくれなかったし
関わりたくないのに
『・・・ぁ~、
兎に角、“家”に帰るか。』
一人だけではなく、
3人共もじもじし出した。
渋々、カウンターの裏手にある
休憩室とトイレに案内する。
『あ、あぶなかった~。』
ドリル巻き髪“チビ”
『ほんと、あと一歩遅かったら。』
オレンジ髪“ちび”
『・・・そうね。』
おや?青いリボンは
間に合わなかったのか?
『逆にじらしプレイみたいで
興奮したわ///』
あ、この幼女は
頭にウジが沸いているのだろう
可哀そうに。
さて、
家(うち)にある本を読もう
出前・・・あ、
ラーメン屋なら開いてたな
とりあえず本
本が先
帰ろう
本を読みふける為に
てか、こんな名無しの妖怪にすら、
“謝罪する妖怪”って、
幻想郷に何があったのだろうか?
まぁ、本さえ読める環境なら
良しとしよう
仕方ない、けど
図書館の職員として働こう
本が読めるから
本を買える金額を稼げるから
『『『こわっ。』』』
どうやら、全てをブツブツと
喋っていたようだ。
気よ付けよう、
たぶん。
小話
『てか、ここ?』
タワーマンションの
30階の角部屋
『う、うわぁ~ぃ。』
おや?青いリボンが苦笑いしている
『ほえぇ~。』
オレンジ髪は外の景色を眺めている
『ぅ~・・・。』
ちらちらと、トイレを見ている
『先に入れば?』
ばたん、と、素早く入った
近い子なんだな
『ふぅ。』
丁度いい椅子に座り
本を手に取り
『・・・ふふっ。』
最高の空間ね!