「ハァ....ハァ...誰か...助けて!」
いつの時代にも、人は理不尽な理由で不幸の道を選んでしまう。持病、発作、事故、親の離婚、借金、第三者による加害、ねつ造...
「いい加減諦めなぁ!もう終わりだ!お前も!お前の親父の店も!ハッハッハッハァァァァァァ!!!」
光があれば闇があるとはよく聞く。だが、人はだれしも勇者ではないし、魔王でもない。地位と財産がモノをいうのである。
「借金は先日!すべてお支払いしたはずです!」
「バァカ!利子だよ!利!子!一日につき20%の上乗せ!ここにそう書いてあるんだよなぁ!裁判所の印鑑付きだぜぇ!!(ニタァ」
「そんな!そんなこと...書いてないはず...」
厳正なる審判は、上にある立場の者ほど、そちらに白が向けられる。弱いが黒なのだ。
「それならぁ...もう方法は一つだよなぁ...」
「嫌...嫌だァ...」
でも必ず、そこには必ず現れる。
「そう、方法は一つだ。」
厳正ではない、正当な審判を告げる者。制裁者(ジャッジメント)が。
「お前らみたいなやつに金渡すのは癪だが...まぁこれが手っ取り早いだろ。ほれっ」(ぽいっ)
けだるい表情をした青年は、ナイフを持った借金取りに小さい袋を投げ渡した。
「うぉ!...ッ!?丁度120万...てってめぇ!こいつのなんだ!ほらっと渡せる額じゃねぇぞ!」
「何言ってんだ、お前の目的はそれだろうが。わざわざ借用書をコネ使って新造したくせによ。」
「なっ...なんでそれを...」
「おおよそ、その子を好き勝手するつもりだったんだろうがな。だが、もう終わりだ。」
「くっ...ふざけんなぁ!こうなったら!お前をぶっk」
「ろしてやる...てか?お前、俺の後ろが見えてないのか?」
「何!?...ほわあぁあ!?」
ビルとビルの間、薄暗く、廃棄されたゴミの臭いが充満した裏路地で行われていたやり取りの後ろでは、静かに、警察が犯人を逮捕する準備を進めていたのであった。
「いくらコネを使っても無駄だ。さっきまでの会話は録音してある。それに、お前の親父の会社も、ここみたいになってるだろうしな。さっき渡した金は...あぁ~釈放された後の路銀にしとけ。」
「取り押さえろおおおおおおおおおお!!!!」
離せ離せ、壊れたおもちゃのごとく同じ言葉を繰り返す犯人は、見事に手錠をかけられ、最後に見た姿は、萎れた植物の茎のようだった。
「あっ...あの!」
「ん?...あぁ~さっきの子供か...」
「あの...ありがとうございました...。それと、なんで私を助けてくれたのですか?」
「別にお前だから助けたって訳じゃねぇよ。俺にとっちゃ、今回の件も、落とし物を届けんのも同じだ」
「どこかの...貴族の方ですか?」
「んぁ?ちげぇよ...ふわぁ~...俺は旅人だ。さっき渡したのは俺の財布の中身だ。どうやら丁度だったようだな」
「へ...ええええええええええ!?」
「まぁ~また働いときゃ貯まるだろ...。」
「そそそ、そんな大金!な、何で、私なんかのために...」
「嫌って言ってたじゃねぇか。」
「え?...」
「本気で嫌だったんだろ?なら、お前がその運命を辿る必要はない。」
「...!」
少女は、いつかのことを思い出した。幼少期の、祖父との会話。
(ルリア...一つだけ覚えておきなさい。辛いとき、悲しいとき、嫌だと思ったときは、必ず光が訪れる。わしは、お前に幸せに暮らしてほしい....ただ、必ず忘れてはいけないことがある。)
「んじゃま、後は頑張れよ~...さてと、確か警備のバイトはプレハブで休憩できるんだよな...」
「あ...あの!」
「ん?」
「私のお店!飲食店なんです!父が残してくれた!大切なお店!」
「お?...おう?」
「もし寝泊まりの場所にお困りでしたら、うちに来ませんか?」
(受けた恩は、きちんと返すこと。それが、互いに幸せになれる近道じゃ。絶対に忘れるんじゃないぞ。)
「ところで、お名前は?」
「俺の名前、言ってなかったっけか?」
「ユウリだ、遠慮なくご厄介になろう。」
これより始まる物語は、ルリアとユウリ、その他諸々にて生まれる運命の絡み合い。
この話は、その始まりにしか過ぎないのである。
どうも、イノヤンと申します。
これから不定期な更新予定です。どうぞよろしく。