眠たげ制裁者(ジャッジメント) ep1   作:イノヤン

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第2話

「おぉ~...ここがその」

「えぇ、父が私のために残してくれたお店、『メイト・コメット』です!」

俺の横にいるめっちゃピョンピョンしている不思議な生き物、個体名ルリア。彼女は数年前に父親を亡くしたのち、自分を生んだ一年後に出ていった母親が残した莫大な借金を、こんな小さな体で少しずつ返済していたらしい。

 

「3分の2はお父さんが返済してたんですけど、過労で倒れちゃったんです...。」

 

「店のほうは回っていたのか?そんな状況で。」

 

「何とかやりくりしてました。値段の調整とか、売り込みに行ったりとか。あとは~...人件費ですかね?」

 

「...まじか。」

 

どうやら店を継いでからずっと一人で切り盛りしていたらしい。

 

「まぁ立ち話もなんですし!どうぞ中へ!」

「お おい!押すな押すな!」

 

中はまるで喫茶店...とも違う、洋風な和食屋っていう表現が一番しっくりくる。

 

床はフローリング、だがカウンターの椅子の座る部分は畳で、竹に花が活けてある。でもキッチンにはコーヒーメーカーとかバリバリ見えてる。

 

「お腹空いてませんか?何か作りますよ!」

「あぁ~...じゃあ...」

机のメニューを開く...っておいおいおいおい」

 

「ど...どうかしましたか?」

「...あ、いや、何でもない。」

いかんいかん、心の声が漏れちまったようだ。それにしても何だこのメニュー...和洋中、古今東西の飯が目一杯載っていやがる。てかよく見たらメニューだけで20~30ページあるぞこれ。

 

「お客さんが食べたいものを食べさせたくてメニューを増やしていたら...いつの間にかその...そんな風になっちゃって...」

「…厨房にレシピ本が無いようだが、まさか」

「えぇ…前はあったんですよ?でも作るたびに覚えていっちゃって、もう奥にしまってあります」

「まじか…じゃあ、チャーハンで頼む。」

「?遠慮なさらなくてもいいんですよ?」

「いや、遠慮とかじゃ無いんだ、チャーハンが好きなんだ、俺」

「わかりました!じゃあうんと美味しいチャーハン作らせてもらいますね!」

 

もちろん、そのチャーハンがクソうまかったのは言うまでもない。

今まで色んなやつに手を伸ばしたが…まさか引っ張られるとは、いやはや思いもしなかったなぁ。

 

 

「ご馳走さん。こんなに美味いチャーハンは久しぶりだ。」

「ふふっ、喜んでいただけて何よりです。」

 

きゅるる〜…

 

「…」

「…」

 

「も、もう!ユウリさんったら〜まだ食べ足りないんですかぁ!ハハッ、ハァ…」

「…いや、すまない。そりゃあんまし動いてない俺が腹が空くんだ、ルリアがお腹空いていないわけがないさ…。」

 

「わ!私何か作ってぇぇ〜…食べ…ま…」きゅるる〜

「…座ってな、俺が作る」

「え!?そんな悪いですよぉ〜…」

「そんなフラフラな状態のやつに包丁持たせれるか…いやさっきまで持ってたんだけどよ」

「えっと…じゃあお願いしますね…」

「おう、冷蔵庫の中身少し使うぞー」

 

ユウリはそういうと、冷蔵庫の戸を開けた。冷蔵庫から放たれる光と冷気を浴びているユウリは、まるで朝の日の出をじっと見ながら黄昏る、一羽の鳥のようだった。空腹の中、カウンター席のテーブルに顔をつけて見ていたルリアは、そう心の中で思ったのだった。

 

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