「絞まんねェ顔だな」
「フフッ…そう?」
「いつもの数倍アホ面に見えるぞ」
「勝己は相変わらず怖い顔してるね!」
「あ”ァ!?」
「今は気分がいいから、勝己の暴言も許してあげる〜」
「なら、何気に言い返してんじゃねェよ!」
現在放課後、帰りの身支度をして少し話をしていただけで、あっという間に1-Aの周りには他クラスの人々が集まり、ざわめき始める。
「見て!あの人だよ、うわぁスッゲー綺麗」
「あの柊空が、1-Aに編入したって本当だったんだ」
空の名前が出たことで、クラスメイトたちはなんだそういうことかと、口々に言うが、爆豪だけはそれを否定した。
「違ェ、
爆豪の言う通り、これは体育祭に向けて敵の襲撃を耐え抜いた同級生を見ておこうという生徒たちによる押収だ。空目当てに訪れた者もいることは確かだが、編入初日に空の存在知る者は少ない、多くの者が敵情視察目的に訪れ、その流れで彼女が編入したことを実際に目にして知ったという方が正しい。
「そんなことしたって意味ねェから、どけモブども」
爆豪にとっての自然な態度は大抵多くの者には理解できない。暴言はそのまま暴言に聞こえ、彼の態度は他のクラスメイトの目には大変横柄に映るであろう。
「噂のA組どんなもんかと見に来たが、随分と偉そうだな」
多くの生徒たちを掻き分けて、前に出てくる少年。口調は好戦的そのものだ。
「ヒーロー科に在籍する奴らは、みんなこんなんなのか」
「とりあえず知らない人のことモブって呼ぶのやめよ、勝己」
爆豪のことを諌めようとする空に対して、その少年はより鋭い目つきで睨んだ。
「スゲェよな、有名人はさ。二年のブランクなんて関係なく編入できるんだから」
「!」
「また優勝しようってか?自信満々なのは結構だが、足元すくわれるなよ」
突然移った非難の矛先。空は驚いたが、何も知らない人にとっては、そういう考え方もあるのは仕方ないと言い返しはしなかった。
が、爆豪は少年の胸ぐらをグイッと力強く掴むと、殺気付いた目で視線を合わす。
「空は二年間意識不明だった病み上がりのクソ雑魚女だ。そんな奴、眼中に入れてんじゃねェよ」
通常よりだいぶ低い爆豪の声だ。
(かっちゃん…空姉のこと言われて完全に怒ってる)
キレるたびに怒鳴ることが印象的な爆豪だが、空関係で怒っだ時には冷静であることを緑谷は知っている。
同時に二年間の意識不明を全く知らないクラスメイトたちは、爆豪の言葉を聞いた直後、顔を見合わせて不思議がっていた。
「勝己、私は大丈夫だから行こう」
未だ噛みつきそうな爆豪の手を無理やり取り、引っ張っていく空。
「出久ー!クラスのみんなに私のこと適当に話しといて!」
「えっ!?」
「ごめん!お願いねー」
バレてしまったのなら仕方ない。これから三年間過ごすクラスメイトたちだ、知る権利は大いにある、と空は思い、緑谷に頼みごとをした。爆豪を引っ張りながら、付け加え忘れたこと_「気を遣わせないように、全治したってことをちゃんと説明して」と携帯を使って緑谷にメールを送る。
今度出久の好きなものでも奢ってあげよう
などと埋め合わせを考えながら、空は歩いた。
それから二週間後の雄英体育祭まで、生徒たちは訓練に励んだ。活躍すればプロヒーローになる可能性がより高くなることは間違いない。当日まで、どんな種目かわからないが、各自準備を始めていた。
そして、本番当日の朝を迎える__
「あなた柊空ちゃんよね?」
「あ、はい…」
「本当だったのね、編入したって話。二年間何してたの?噂によると…」
襲撃事件のメディア露出と二週間前雄英ほぼすべての人々に編入を把握されたことにより、報道陣たちは情報を得たのか、登校してきた空の周りに殺到した。
「あ、あの…」
人がごった返す中、困っている空の手を誰かが掴み、生徒用入り口に向かって引いていく。荷物検査をする報道陣と違い、生徒たちはいつものようにすんなりと中に入ることができ、人混みを抜けた先に、自分の手を引いている人物を確認する空。
「ありがとう、轟君」
「大変だな有名人は」
「あの人たちは私ってより、二年間ブランクに何があったのかを知りたいだけ」
轟の雰囲気がいつもよりもどこか、研ぎ澄まされているように感じる空。
「というか、轟君の方が注目度高い有名人でしょ」
「何がだ」
「だってエンデヴァーさんの息子さんじゃない。きっとみんな轟君に注目しているよ」
「……。知ってたのか」
「うん、轟って名字を聞いた時からね」
エンデヴァーの名を出した瞬間、轟の表情が一瞬強張ったのを空はすぐに気づいた。きっとこれは地雷だ、そう分かっていても空はあえて質問を続ける。
「職場体験で私がエンデヴァーさんの事務所に行ったのは知ってる?」
「あぁ」
「その時頻繁に轟君のこと聞かされたから、実を言うと入学前から轟君のことも知ってたんだ」
「………」
「焦凍は誰をも超えるヒーローになるって、事ある毎に言ってたよ………愛されているんだね、轟君は」
「!…愛されてなんかねェよ。あのクソ親父は俺なんか見ちゃいない」
空のこの言葉で、轟の態度がわかりやすいほど一変した。視線は冷たく冷め始め、苛立ちによる眉間のシワが現れる。
それに気づいても尚、空は質問を続けた。
「じゃ何を見てるの?」
「……柊、悪いが俺の前でその名前を出さないでくれ」
轟はこれ以上入ってくるな、という雰囲気を顕著に出したつもりだったが、それでも突き進んできた空に、最後ははっきりと告げその場去った。その際、轟と入れ違いになって緑谷が空の元に訪れる。
「ちょっ、空姉何やったのさ!轟君凄い怒ってた顔してたよ!?」
「いいんだよ、あれで出久」
「え?」
「“その人のことを知りたかったらその人が何に怒るかを知ればいい”…ある人からの請け売り」
昔教えたよね、と空は口元に笑みを浮かべながら言う。
「…………空姉は轟君のこと気に入ってるんだね」
「え…?」
「空姉今まで家の事情とかで誰かと関わろうとしてこなかったから、元気になってから友達を作ろうと周りと自分から接し始めて…その、僕嬉しいよ」
「…!」
だって、轟君のことを知りたいって思ったのは、轟君と関わりたかったからでしょ?
緑谷の言葉は空自身も気づいていなかったことを気付かせた。
「そっか…。そうだね」
そして自分が緑谷の成長を陰ながら喜んで応援している間に、その少年は自分を陰ながら大切に思い、心配していてくれた。その思いを知れてなんと嬉しいのだろう。
「轟君って私にちょっと似てると思うんだ。だからほっとけないのかもね。私凄いお節介だよね、嫌われちゃうかな、ははっ」
「お節介はヒーローの本質だよ!空姉」
「……そっか、だよね!!」
選手控え室にて、皆初めての晴れ舞台を前に緊張気味でパイプ椅子に腰をかけていた。
「わぁ、空のポニーテールカワイイ!」
「ありがとうお茶子。体育祭には邪魔だからねぇ」
「全然緊張してないわね、空ちゃん。凄いわ」
「まぁ二度目だからね。あ、ずっと思ってたんだけど、梅雨ちゃんのリボン型の髪型かわいいよねぇ、どうやってるの?」
各々が緊張を和らげるため、世間話やら意気込みやらを会話していた中で、一人の意外な人物の声がその場を静寂に包んだ。
「緑谷」
「轟君、なに?」
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
「え…うん」
「けどお前、オールマイトに目かけられてるよな。それと…」
轟の目線が一瞬だけ、空に注がれる。何かを言おうとしてしていたが、その先は彼女から視線を外すと共に口は閉じられ、語られることはなかった。
「お前には、勝つぞ」
敵意ある戦線布告に、喧嘩腰はやめろと肩に手をかける切島に、仲良しごっこじゃねェんだと、その手振り払う轟。
彼の言葉に緑谷は一度は同意するものの
「皆、他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ」
緑谷の心には全ての始まり、あの海浜公園での出来事がチラつく。
「僕だって遅れを取るわけにはいかないんだ!僕も本気で獲りに行く!!」
覚悟を決めた顔つきが、緑谷の常時の優しげで少し頼りない表情を凛々しいものにする。
襲撃事件を凌いだことで今年大注目の一年ステージ。観客と選手たちの熱は最大限に膨れ上がっていた。
雄英の敷地内にある専用の施設『体育祭会場』。収容可能人数12万人、会場は当然の如く、熱狂に包まれている。
「緊張してないね、勝己」
「しねぇよ、ただただアガるわ」
ソワソワしているクラスメイトの中で一人、相変わらず凄い精神を持っている爆豪に、空は苦笑いをした。
選ぶ仕事を間違えたのではないかと思うほど、実況がうまいプレゼントマイク。彼の実況に導かれ、観客たちの熱気は最高潮だ。生徒たちは持ち上げられた紹介に緊張が止まらない。
「選手宣誓!1-A爆豪勝己」
「えっ〜〜、かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試一位通過だし」
「あ、そうか。そういえば空姉もやっていた気がする」
「やってたねー、懐かしい」
(選手宣誓…相澤先生に勝己が変なこと言わないように先輩として教えてやれって言われたけど、まぁ結局話し合っても無駄でしょう…)
「せんせー」
ゴクリッと誰かの生唾を飲み込んだ音が聞こえる。
「俺が一位になる」
(ほら…全く勝己らしいや)
大ブーイングが当然のごとく避けられない。続いて跳ねのいい踏み台になってくれ、なんて言うものだから、他クラスの不満は増加するばかり。
客観的に見ればただの自信過剰な男に見えるであろうが、空と緑谷はいつもの爆豪とは違うところに気づき、それが己を追い込んでいる一貫であろうと思った。
「ねぇ、勝己。本気で来てね、私本当に身体問題ないから」
批判が飛び交う中、爆豪が壇上からA組生徒待機場所へ戻ってきた際、空はより一層真面目な視線を彼の視線と交わらせて、そう言った。
心配をかけることは悪いことではない、そう思えらようになった最近だが、今日だけは全力でぶつかってきてほしかった空は、戦い前に伝えておきたかったことを真剣に語る。
「ったりめぇだ、その言葉後悔すんなよ」
「おう!」
「さーて、それじゃ早速第一種目行きましょう!」
毎年多くの者が予選から落選するように作られている第一種目。これよ!と盛大にスクリーンに映し出された“障害物競走”の文字。
「計11クラスの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周4km。我が校は自由さが売り文句、ウフフフ…コースを守れば何をしたって構わないわ!」
何をしたって構わない、それは同時に個性使用を意味する。
空は自身の身体の不調が出ない範囲の個性使用時間をどう使うかを考えながら、スタートラインについた。
「スタート!!」
スタート直後、押し競饅頭になる出口で、空も他と同じく身動きが取れずにいる。
(なるほど、これが初めのふるいってわけか…なら!)
空の個性発動より早く、噴射する氷の塊。空は個性発動を一度取りやめ、氷の足場を避けるべく、数メートル先に飛んだ。
「甘いわ!轟さん!」
「そう上手くはいかせねぇよ、半分野郎!!」
1-A組を中心に氷の足場を回避し、突き進む。個性を温存する者や、全面的に使い、上位を目指す者。
(クラス連中は当然として、思ったより避けられたな…)
初めのふるい分けで落選する者は、轟の予想よりも大分少ない。
「ターゲット…大量!」
《さぁ!第一関門_ロボ・インフェルノ!》
はやくも生徒たちの前に第一関門が現れる。
「入試の時の0P敵じゃねぇか!」
「マジか!ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」
「多すぎて通れねぇ!」
慄く他と違い、余裕ありどころか手応えがなさそうな轟が呟く。
「せっかくならもっとすげぇの用意してもらいてえもんだな、クソ親父が見てるんだから」
先頭を走り、いち早く反応した轟はわざと倒れる体制になったところを狙い氷結。ロボットは粉々に崩れ落ちる。
《1-A轟!攻略と妨害を一度に!こいつぁシヴィー!!》
崩れ落ちたことにより、ロボットの足元の隙間を駆け抜けることは困難になる。
(先行かれてたまるかよ!)
轟に続き、爆豪が個性を器用に使い、攻撃をかわしながら空中を飛び、仮装敵の頭上を通り抜けていく。
《1-A爆豪、下がダメなら頭上かよ!クレバー》
爆豪の切り開いた空中の道を常闇と瀬呂が上手く使い、轟と爆豪を追いかけていく。
空はその様子を地上から見上げながら、無抵抗に構える仕草も見せず、仮装敵の攻撃範囲内に足を踏み入れる。
《目標…捕捉》
ロボットは、彼女にターゲットマーカーを合わせると、金属の塊である腕を振り上げた。その様子を間近で見ても、空はまだ動く気配がない。あいつ、死ぬ気か!?なんて悲鳴も背後から聞こえて来た。
「死なないよ」
次の瞬間、生徒及び観客の全てが何が起きたのかわからず目を見開いた。空めがけて振り落とされた腕は、彼女に当たる寸前で消え、その直後、振り上げたロボット自身の頭部分が凹み、電気がビリビリと鳴り出し故障する。
《今年大注目の一人!異例の二度目出場となった_1-A柊空!序盤早々やりやがったァァァ!!、ロボットの腕がロボットの頭上に移動した…?ぜっぜんわけがわからなぁぁい!!》
一瞬で再起不可能となった状況をプレゼントマイクは説明できない。そんな彼を呆れた様子で、説明し始める相澤。
《あいつの個性の一つは空間操作、ロボット自身の腕を含めた空間とロボットの頭上の空間を結合し、自爆させたってことだ。要は振り落とされた腕をロボット自身の頭横にワープさせ、攻撃を避けるのと同時に反撃した》
《ミイラマン、ナイス解説!》
破壊されたロボットを器用に渡り、第一関門を難なく超えた空は先頭集団に追いつくべく走った。
《オイオイ、第一関門はチョロいってよ。んじゃ、第二関門はどうさ!?》
崖から崖へ細いロープ一本の綱渡り障害物。皆その高低差に恐怖を隠せないが、一度敵と対峙し、命の危機間近に体験した生徒たちは足を止める時間は少なく、直ぐ渡り始めていく。
「あんまり関係ないかなぁ」
空は崖に生えていた極小さな植物を見つけると、それらを増殖させ、それを何枚にも重ね合わせ丈夫さを織り交ぜつつ、草のの橋を作り上げる。
無論、他の皆まで渡らせてあげるほど優しくはない。これは競争、空は自分が通ったら直に解けていくように調整をする。
(氷とこの匂い…)
ものの数分で第二関門を突破すると、ロープに残るまだ新しい氷の跡を見つけ、鼻には爆発臭が臭ってきた。その個性持ち二人を意識しながら空は走った。
《先頭一抜けて下はダンゴ状態!そして、早くも最終関門!怒りのアフガンだ!!》
実況が流れてから少し遅れて最終関門に到着する空。妨害し合う爆豪、轟の二人を視界に収めながら彼女は地雷が待つ土へ足を踏み入れた。
(二人で足の引っ張り合い…あの中に参戦するのは気がひけるなぁ)
そういいながらも、彼女の口元は弧を描いている。
「なら、二人まとめて止まってもらいましょう」
とても立地に恵まれていると、初めから思っていた空。
この障害物競走は4kmも長いコースをわかりすくするため、フェンス形どられている。空が注目したのはその外側、両側にフェンスに沿うように植えてある木々だった。
「空間操作で植物を他から持ってきてから、それを植物増殖で操る…って予想してたけど。その必要はなさそうだね!」
木々は大木へと変わり、それらはあり得ない方向へと成長し始める。空の個性により、両側に植えてあった木々が急成長を起こし、フェンス内へと進出していく、その異様な光景に先頭の二人は一瞬でも恐怖心を覚え、妨害と進む足が止まる。数十秒後、彼らが見た光景は、自分たちを阻む分厚く高い、大木が絡み合った壁であった。
《先頭二人を同時に足止めー!!草の橋に、大木の壁、柊なんて女だァ!?なんでもアリかよ、ズリィィ!!》
「んだこの壁はァ!?」
「来たか、柊」
驚く爆豪と、背後に迫る空の存在にいち早く気づく轟。
揺れ動く大木に腰をかけ、二人を見下ろす空がいる。どこか現実離れをしていて幻想的に見えてしまう情景。
「「…………」」
対戦相手ながら、そして競技中でありながら、それらすべてを美しいと思い、数秒間動くことを忘れる少年二人。
だが直ぐに己のやるべきことを思い出し、妨害されている大木の壁へと攻撃を開始した。
「そんな小さな爆発、氷結じゃ壊れないよ」
彼女の言葉通り、今までの訓練で見せてきたような攻撃規模では、これほど大きな大木を焼き払うことも凍りつかせることも出来ない。
「氷結させれば成長はできないし、焼き払えば植物はたまったもんじゃない。二人とも私の個性の弱点個性を持ってるのに、勿体無いなぁ」
二人自身わかっている内容を空はわざわざ強調して話している。言っているのだ、その程度の攻撃では私の個性は壊せない、と。
「前がダメなら…」
「上だ!」
両者考えることは同じだった。壁のせいで突き進めないのなら、上を飛び越えて行ってしまえばいい。
「だよね、そうだよねぇ。普通はそうくるよね」
轟は氷結、爆豪は爆発を利用して上へ飛んだが、それを予測していた空は植物をさらに増殖させ、単純な行動パターンを読み、彼らの身体を大木を使って拘束させた。
「上を飛び越えようとした人間って単純でさ、その位置から飛び越えるまではほぼ一直線に移動するんだよね、だから行動パターンを読めて捕まえやすいってわけ」
《轟ィ爆豪、柊に捕まったァ!あいつスゲェな全部お見通しみたいだったぜ。流石本来上級生、これが経験の差かァァァ!?》
「クッソ!硬ェ…っ!!」
巻きついた大木は腕の力どころか、個性を一発ぶつけてみても傷は数個つくのみ、巻きつく力が緩まる気配はない。
「あと何回か爆発と氷結繰り返したら束縛してる木々はダメなるかもね!じゃお先に…」
動けない二人を置いて、空は成長し続ける大木に座りながらその場を離れようとした。
しかし、その時
後方で大爆発音が聞こえ、彼女の意識はそちらへと向かった。
「えっ!?出久!!?」
(緩んだ…!)
空が緑谷の爆風による飛行に目撃し、驚愕した瞬間、身体に巻きつく木々たちが緩んだのを感じる轟と爆豪。
強力な個性を一発をかまし、束縛から脱した二人は、緑谷と空を前にして、本気で追い抜くことしか頭にない。
「空、デクぁ!俺の前を行くんじゃねェ!!」
爆豪は爆発で加速し、轟は後続を気にすることをやめ、氷の道を作っていく。ゴールはもう遠くない、ラストスパートをかけた戦いに、空も他二人のように個性を勢いよく使い、進んでいく。
(この三人の前に出られた一瞬のチャンス!掴んで離すな!)
爆豪と轟はほぼ同じ位置、僅差ではあるがその少し前に空が居る。緑谷は減速したまま止まってはいけないと、空の少し後ろにいる二人の背中に足を置き、そのまま地雷目掛けて、鉄鋼の塊を両手を使って振り下ろした。
強烈な音と視界不良の煙が広がる。緑谷はそれらを利用し遠くまで再び飛び去るが、妨害を食らった三人は失速する。
《さァさァ!序盤の展開から誰が予想できた!?今一番にスタジアムに戻ってきたその男…
緑谷出久の存在を!!!》
第一種目_障害物競走
1-A柊空、結果_____二位。