自由な空   作:蓮薇

8 / 18
七章_終結

 

 

 

 

「待ったよヒーロー。社会のゴミめ…」

 

 

死柄木が会いたくてたまらなかったように、より一層憎悪を込めた声でそう呟いたのを空は聞いていた。

 

オールマイトの登場に敵たちの士気が一気に下がる。敵の中にはオールマイトを殺し名を上げようと意気込む者も少なく無いが、行動に移す前に彼の拳が通る。反応する前に気絶し、あっという間に入り口地点から相澤の倒れている場所に降り立つ。

 

                                                                          

「相澤君…すままない」

 

 

彼は悔しそうに自分を律するように血だらけの相澤を担ぎながら、謝罪をした。

 

そして、敵の姿を確認するように死柄木たちを視界に入れた瞬間__

 

空の体は宙に浮いていた。

 

 

「みんな、入口へ。相澤君を頼む、意識がない」

 

 

みんなといわれてから気づく空、一瞬のうちに救助されたのが、自分だけではなく、緑谷、蛙吹、峰田のあわせて四人だということに。

 

 

「助けるついでに殴られた…フフッ、国家公認の暴力だ…さすがに早いや、目で追えない、でもけれど思ったほどじゃない…やはり本当の話だったのかな、“弱ってる”って話」

 

 

死柄木はオールマイトに会えた興奮を抑えきれないらしく、震えた声で何かを呟き、大きな笑みをオールマイトに向けた。

 

「こんなところで再会をしたくはなかったんですが、オールマイトさん。やつら二年前のことを知ってます」

「なに…っ」

 

 

再会、その単語を確かに聞いた緑谷は

 

 

(空姉とオールマイトが知り合い?)

 

 

と一瞬深く考えそうになったが、後で聞けばいいとすぐに答えを出し、敵に向き合う。

 

 

「オールマイトダメです!あの脳みそヴィラン、ワン…僕の腕が折れない程度の力だけどビクともしなかった、きっとあいつ…」

「緑谷少年」

 

 

大丈夫、と言いながらオールマイトは笑顔を緑谷と空に見せる。

 

その言葉に緑谷は完全に納得し切ってはいないものの、相澤を担いだまま避難しようと行動する。空も緑谷と同じ反応を見せるが、オールマイトの言葉通りその場を離れようとした。

 

 

「死柄木弔、あの少女は確実にあの方の言っていた柊空。速やかに捕まえなければ」

「っるさいな…わかってる。脳無、その子供を捕まえろ」

 

 

空は、その子供が自分のことだと分かり反射的に思い振り返ると、あの化け物が、自分めがけて向かって来ていた。しかし、彼女の前に大きな人影が立ちふさがりそれを阻止する。

 

 

「空少女には…手を出させないぞ」

「ちっ…」

 

 

イラついた様子の死柄木の舌打ちが響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空姉身体は大丈夫!?」

「うん、歩くくらいは全然大丈夫だよ」

 

 

フラついた足取りで立ち上がる空は、緑谷たちと入り口ゲートに向かった。

 

空たちが逃げる背後ではオールマイトと脳無が激戦を繰り広げている。客観的に見てオールマイトが圧倒しているよう見えるが、不思議にも死柄木に焦る様子は一切無い。安心し切った生徒たちとは違い、空の目には怪物にオールマイトの攻撃が全く効いていないように見えた。

 

緑谷も空と同じように嫌な予感が頭をよぎり、不安そうな表情をしている。激闘の末、見事なバックドロップが決まり、さらに浮き足立つ生徒達がいるが、それでも彼の表情は変わらない。

 

 

「出久?」

 

 

緑谷の思い詰めたような表情に気づいた空が声をかけた。段違いなパワーによる攻撃で、爆発後のような土ぼこりが舞っている。

 

 空と緑谷の嫌な予感が当たったのは、土埃が晴れ、視界が良好になった後。

 

 

「「「!!!」」」

 

 

皆が己の目を疑ったことだろう。

 

オールマイトの攻撃を受けた化け物は、黒い霧_ワープの個性を利用し、オールマイトの腹部を握りつぶそうとしていた。彼の左腹のシャツを自身の鮮血が汚していく。

 

 

「相澤先生担ぐの変わって」

「まさか…出久」

 

 

その光景を見て直ぐ、空が緑谷を止める前に、緑谷は彼女の話を聞く素振りも見せず走り出していた。力不足だと分かっていても緑谷がオールマイトを助けに行くであろうことは、空の予想範囲内、空も迷わず緑谷の後を追う。

 

 

「オールマイト!!!」

 

 

身動きの取れないオールマイトに手を伸ばす緑谷。しかし、彼の前に突然ワープゲートが出現した。

 

このままでは、緑谷がワープゲートの中に吸い込まれてしまう。いや、その途中でゲートを閉じ、即座に殺してしまうつもりなのかもしれない。

 

そんな考えを一瞬で出した空は、何が何でも緑谷を救おうと自分の身体の不調を完全に無視して、二つ目の個性を発動させようとした。

 

が、

 

 

「どけ!邪魔だデク!!」

 

 

爆発音とともに、聞きなれた幼馴染の声がそれを止める。

 

ワープゲートの触れられる箇所をつかみ、黒霧を地面に叩きつける爆豪。間髪入れず、地面を冷気と氷が伝い、脳無の足元から手首までが氷結する。

 

 

(これなら…)

 

 

脳無に掴まれた腹部の力がだいぶ弱まったのか、オールマイトは自身だけの腕力でその場から脱出する。

 

 

「みんな無事だったんだ…」

 

 

ほぼ無傷で現れた爆豪、轟、切島の三人。まだまだ危険な状況は変わらないが、空は三人の姿を見て少し安堵する。緑谷はオールマイトが窮地を脱したことを確認すると涙目の瞳を拭った。

 

脳無は半身凍りつき停止状態、ワープゲートは爆豪が押さえている。唯一自由な状態の死柄木は、その光景を何をするわけでもなくただ見つめている。

 

 

「攻略された上にほぼ無傷…すごいなぁ最近の子供は。恥ずかしくなってくるぜ、敵連合」

 

 

そう言っている割にやはり焦りは見受けられない。とても虚言には見えない自信のありよう、警戒レベルを保ったままにする空。

 

 

「脳無」

 

 

死柄木が呼びかけると脳無はワープゲートから抜け出す。その際、凍結によってちぎれた足と腕、ほぼ半身を失っても尚命令に忠実に動き出そうとする。

 

異様な光景に皆驚愕するが、最も驚くべきはその後直ぐに再生し始めた足と腕。

 

 

「複数持ち…」

 

 

厄介だなと空は顔を歪ませた。

 

脳無はオールマイトの100パーセントにも耐えられるように改造された、と自慢げに語る死柄木。

 

 

「まずは出入り口の奪還だ。行け脳無」

「勝己離れて!」

 

 

出入り口は確実にワープゲートのこと。奪還とはそれを押さえている者の排除を意味する。空は直ぐに警告を爆豪に向けて叫ぶが、警告があっても無くても脳無の速さに反応できる者は生徒の中に一人として居ない。

 

凄まじい衝撃があたり一面に撒き散らされる。

 

 

「かっちゃん!!!」

 

 

幼馴染を心配し、名を呼ぶ緑谷だったが、既に彼の背後にいる爆豪の存在に気づき驚く。爆豪自身も何が起こったのか分かっていない様子だ。

 

 

「ナイスアシストだ。空少女」

 

 

そして現る、少しだけ擦り傷を増やしたオールマイトの姿。

 

 

「はい!」

 

 

周りの状況にいろいろとついていけない少年らが一番初めに注目したのは、右手を突き出し、息切れを起こしている空。それとオールマイトの周囲に散らばる粉々になった大量の木の幹。

 

そして次に目にしたのは巨大な岩に身体のほとんどを潰されている脳無の姿。

 

 

「あれは柊がやったのか」

 

 

轟が空に質問をした。爆豪、切島、緑谷の三人も皆、空に視線を送っている。視線の意は轟と同じ内容だろう。

 

 

 「私の個性は植物増殖と空間操作って言ったよね。空間操作は簡単に言うとあのワープゲートの人間転送できないバージョン的な感じ。今のはその両方を同時に使ったの。植物増殖ではオールマイト先生の前にいくつもの大木を生やして少しでも威力を軽減させようとした。そして空間操作は土砂エリアに大きな岩がある空間とあの脳無とか言う化け物の頭上の空間をくっつけて岩を落としたの」

 

 

まだ言葉足らずで分からないことはあるが、彼女の個性の予想以上の強大さを目の当たりにした轟と切島は単純に驚いていた。元々彼女の個性を知ってはいたが戦闘において使うのを見るのは初めてだった爆豪、緑谷の二人も同じ反応をしている。

 

 

「す、すげぇ個性持ってんだな」

「ありがとう、切島くん。でも今は少し身体に堪え…」

 

 

空は吐血をしてその場にひざをつく。やむ終えない状況だったとはいえ、個性を併用させたことの代償だ。

 

 

「空姉!」

「空…お前」

 

 

緑谷が声を上げて空に近づく。爆豪ら三人も当然ながら酷く驚いているが、空は近寄ってくる緑谷を制した後、直ぐに大丈夫だと笑って見せる。個性発動の負担で体内部のいたるところが痛み出していること、右手は震えが止まらないことなどを隠しながら、立ち上がり、まだ動けると少年たちに目線で知らす。

 

脳無は自身の半身を潰す岩を残った腕で叩き悪と、数秒程度の短い間内に全身を再生させた。

 

 

「三対六だ」

「うん、モヤの弱点はかっちゃんが暴いた!」

「あぁ、とんでもないやつらだが、俺らで、オールマイトのサポートすれば…」

「だめだ!逃げなさい」

 

 

オールマイトは自身をサポートすると意気込んでいる生徒たちに強い口調で言い放つ。

 

 

「さっきのは俺がサポートに入らなきゃヤバかったでしょ。今のだって柊が…」

「それはそれだ、轟少年。それに空少女、君は得にここにいちゃいけない、君は狙われているんだ」

「狙われている…?」

「狙いはオールマイトだけじゃなかったのかよ!?」

 

 

何故という少年に空自身もわからない答えを与えてはやれない。四人に対して首を横に振る空。

 

 

「ありがとうな、しかし、大丈夫、プロの本気を見ていなさい」

 

 

先生は親指をたてる。本気で生徒達の力は一切借りないようだ。

 

 

「能無、黒霧やれ。俺は子どもを捕まえる。さぁ、クリアして帰ろう」

 

 

死柄木は敵二人に指示を出すと、両手を広げ空をめがけて走り出す。戦いもいよいよ大詰めというわけだ。

 

 

(まずい…私のせいでみんなが危険な目に…っ!!みんなよりずっと戦闘経験もある歳上のくせに情けない…絶対に守らなくちゃ、いけないのに)

 

 

何故自分を連れて行こうとしているのかは未だにわからないが、そのせいで近くにいるクラスメイト四人を巻き込む形になってしまっていることに空は申し訳なさでいっぱいだった。

 

しかし、そんな考えを吹き飛ばす聞き慣れた怒号が響き渡る。

 

 

「空!!、テメェ歳上だからって俺らを守ろうとだなんてふざけたこと考えんじゃねェぞ。たまには守られてろ!クソが!!」

 

 

初めから空の身体の不調を隠した事実も心情も察したように爆豪がそう言い放ちながら彼女を庇うようにして前に立った。緑谷、轟、切島もそれに続き、彼女の前に出て戦闘態勢を取る。

 

 

「勝己…みんな」

 

 

信じられない、と空は驚愕した。同時に走馬灯のように脳裏で蘇る過去の鮮烈な思い出。

 

 

 

強くなりなさい。お前を守ってくれる者などこの世界に一人としていないのだから。私たち一族は他人に弱みを見せてはいけない、決して____

 

 

 

その一言が、世界から隔絶された孤独感を強烈に幼い頃の空に深く深く刻んだ時から、ずっと助けなど求めたことはなかった。求めてはいけないことだと思っていた。

 

守られるのは初めてだ、と空は初めて胸に込み上がった気持ちを言葉にできない。しかし、それを代弁するかのように瞳は潤んでいく。

 

 

「かっこいいじゃないか爆豪少年!女性をいち早くかばうとは、かっこいいぞ少年たち。だが…」

 

 

その必要はない、とオールマイトが言った直後、一気に空気が激変する。どんなに鈍感な者でもこの変わりように気づかぬものはなどいるはずがない。

 

それほど、力強いパワーが先生の周囲を包み込んでいた。尋常でない、爆発的に膨れ上がったエネルギーが風を巻き起こし、周囲に流れる。

 

オールマイトは先ほどとは比にならない速さで、脳無と呼ばれる化け物に近づき、拳を交える。力と力の交じり合いから生み出された強力な疾風は、少しでも気を緩めれば飛んで行ってしまいそうなものだ。

 

 

「正面からの殴り合い!?」

 

 

おかげで周囲にいる空たちは近づくことさえ、叶わない。だが、それは敵も同じ、誰一人として脳無とオールマイトの激戦に近づくことすらできるはずがなかった。

 

 

「君の個性がショック無効化ではなく、吸収ならば!限度があるんじゃないか?」

 

 

遠くで見ている空はその言葉に同意したよう話す。

 

 

「そうだ、どんなに強力な個性でも休み無しに永遠に使える者なんてないはずだ。先生の与えるダメージが化け物の吸収限界を超えられるなら…」

 

 

血を吐きながらも筋肉が激痛を訴えようとも、オールマイトは手を止めない。勢いは増していくばかりだ。

 

 

「私の100%を耐えるなら、さらに上からねじ伏せよう!!」

(やたらに打ち込んでいるんじゃない、一発一発が全部100%以上の…!)

 

 

オールマイトの何百発の連打の押収が続き、ショック吸収容量を超えたのか脳無は反撃の手が徐々に少なくなっていく。

 

 

「敵よ…こんな言葉を知ってるか!、さらに向こうへ…っ!!

 

 

PLUS ULTRA!!!!!」

 

 

最後の一発はマグマが破裂するような色を放ち、究極の一撃として敵を空の彼方へ吹き飛ばした。

 

衝撃で周辺のモノは吹き飛び、塵と消える。

 

共闘を提案した少年たちはその圧倒的であり、遠すぎるチカラの差を前に言葉を失い、飛んで行く敵の姿をただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、敵(ヴィラン)、お互い、早めに決着つけよう」

 

 

オールマイトの周りには煙が立ち込めている。

 

脅威は去ったと、言いたいが何故か安心ができない、本能的な妙な危機感が空から離れない。

 

 

「主犯格はオールマイトが何とかしてくれる。俺たちは他の連中を助けに行こうぜ」

 

 

切島の言葉を筆頭に、爆豪、轟がオールマイト背を向ける。

 

先ほどの戦い振りを見てオールマイトにサポートなど必要あるのか、いやあるはずがない。彼は間違いなく無敵のヒーローだ、助けなどいるはずがない。

 

嫌な予感を消し去ろうと、自分に言い聞かせる空。

 

 

「出久……」

 

 

だが、憧れのヒーローの晴れ舞台を見て興奮していても良さそうな幼馴染の、心配そうな表情を見た瞬間、空の不安は確信に変わった。

 

 

「空姉はすぐにここを離れて」

「“は”って……」

「ごめん…僕行かなきゃ」

 

 

緑谷は空にそう告げた次の瞬間、全力の個性を発動させ、彼女の前から姿を消した。

 

空の視界から消えた緑谷は、瞬きほどの時間の後、今まさに残りの敵二人と対峙しようとしているオールマイトのすぐ側の方向へ空中を飛んでいた。

 

 

「オールマイトから離れろ!」

 

 

全力の脚力による移動の上、拳に力を集中させワープゲートの弱点である部分を吹き飛ばそうとする緑谷。

 

緑谷の速さに驚いてはいる敵であったが、彼らも相当の強者。直ぐにワープゲートを使い、死柄木の崩壊を個性にもつ腕を緑谷の顔直前に出現させ対処する。

 

 

「出久!!」

 

 

確実に間に合わない、そう先読みできてしまっていても、自分の個性を発動させようとする空。彼女の悲鳴にも似た悲痛な緑谷を呼ぶ叫び声が響き渡る。

 

幼馴染の命が崩れ行く…そんな光景が彼女の脳裏に鮮明と現れ始めた時____

 

 死柄木の手が緑谷を捉える前に、銃の弾丸が彼の手を貫いた。

 

 

「来たか!」

 

 

オールマイトの言葉を発した方向を見ると学校中の幾人もの教師陣_プロヒーローたちが立っていた。

 

 

「1-Aクラス委員長飯田天哉、只今戻りました!」

 

 

そのそうそうたる顔ぶれに生徒たち全員の心には、久しい安心感が生み出される。

 

各々の個性で次々と敵を駆逐していく教師陣。生徒たちが倒すよりもより簡単に早く、排除していく彼ら。一見、オールマイト一人に注目が集中してしまいがちだが、プロヒーロー一人一人の実力も計り知れない。これがプロの世界なのだと、生徒たちは助けられている最中に実感していた。

 

 

「今回は失敗だったけど、今度は殺すぞ。平和の象徴…オールマイト!」

 

 

死柄木と黒霧は流石にこの状況をひっくり返すことは不可能と判断し、ワープゲートの中に消えていく。

 

オールマイトから空へ視線を変える死柄木。

 

 

「今度はあの人も連れてくる…楽しみにしているといいよ、柊空。元々君は“そっち側の人間じゃない”…………だろ?」

「!」

 

 

死柄木はそう言い残し、黒霧と共に完全に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

USJ襲撃は完全に終わった。生徒たちには早すぎる経験ではあった、しかし、それでも皆生き残った。

 

 

「………………ふぅ」

 

 

そんな安心を胸に、空は気が緩んだのかその場に崩れ落ちるように座り込む。

 

目覚めてからの戦闘による個性使用はまだ早過ぎた。精神的にも肉体的にも力を使い果たしたといっても過言ではない。

 

 

「柊、保健室まで運ぶから、俺の背中に乗れ!身体辛いだろ?」

「え、いやいや。大丈夫だよ切島くん」

 

 

座り込んでいる空に近寄って来る切島。轟も避難指示が出ていても直ぐに退却はせず、空の身体を気にしてその場をまだ離れていない。

 

 

 「どけ」

 

 

爆豪は空の前で背負う準備をしている切島にそう言うと、黙ったまま空を軽々しく抱き上げた。

 

 

「ちょっ…勝己、大丈夫だって。私歩け…」

「黙ってろ!…………昔っからなぁ、テメェの“大丈夫”は大抵信用できねェんだよ。安心しろ、万が一暴れたりしたら容赦無く落とす」

「…………それ安心しろって言わないよ。フフッ…でもありがとう勝己」

 

 

二人が掛け合いをしながら、歩いていく後ろ姿を見ている轟と切島。

 

 

「仲良いよなぁ、あいつら」

 

 

轟の視界には爆豪と話し合い笑っている彼女の笑顔。優しい笑顔には変わりない、しかし、自分と話した時は無論会ったばかりの人間に向ける種類の笑顔であった。心の底から慕う親しい人間に向ける今のような笑顔ではなかった。

 

 

「………どうやったらあぁなれるんだろうな」

「え?」

「なんだ。何かおかしなことでも言ったか」

「………いやいやおかしくはないけどよ…轟がそんなこと言うってなんか、意外っつーか…」

 

 

友達を作ろうとする気配どころか、誰かと関わろうともしない轟が言った言葉に驚く切島。

 

 

「意外?」

「だってそれ、柊と仲良くなりたいってことだろ?しかも男女の仲的なやつ」

「は?なんでそうなる」

 

 

確かに仲良くなりたいと代弁できる言葉を口走った、轟自身も珍しいと思っている。しかし、誰が恋愛ごとの類だと言ったのだろうか。

 

理解できずにいる轟に切島が助言しようとする。

 

 

 

 

 

 

ーー轟お前、自分では気づいてないっぽいから教えるけど、さっき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全に男の顔をしてたぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。