翡翠の仮面ライダー   作:鹿島 雄太郎

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秘匿されしαGITΩ

石で造られた部屋の中で、女性を背に青年が立っている。その周囲には岩石で造られた人形が二人を取り囲む。

青年が左腰で手を交差させ、そこから腕を伸ばし引きつける。

その瞬間に金の装飾が施された黒のベルト-オルタリングが現れた。そのベルトは渦巻くような音を鳴らし、神秘的な輝きを中心部から放っていた。

そこから息を吐きながら右手をゆっくりと伸ばしていき-

「…変身」

一瞬胸の前で交差させた両手が、左右の腰にある円をカチリと押し込んだ。

瞬間、金髪の少年の姿が揺らぎ、シルエットを変えた。

黒の体、金の装甲に身を包んだ赤き眼の戦士━アギトへと。

「下がってて、フェイト。」

それだけ言っててアギトは目の前の遺跡兵器の小群へと歩み寄る。ゆっくりと、しかし警戒は解かずに。

そしてゴーレムの拳が放たれ-

「ふっ!!」

当たることなくいなされ、カウンターの一撃を当てた。

 

ことの発端は数時間前、フェイトの仕事の立会人としてユーノが遺跡に足を踏み入れるところから始まる。

「ここが反応のあったロストロギア、その遺跡…」

金色の髪の少女-フェイト·T·ハラオウンが遺跡を見上げながら呟いた。

彼女は執務官としてこの遺跡に来ていた。JS事件が終わってからの初仕事、ロストロギア反応のあった遺跡の調査に来ていたのだった。

「外側の大まかな探知は終わったよ。入り口にも周りにも罠はなかった。」

そこへ眼鏡をかけた私服の青年、ユーノ・スクライアが戻ってくる。

「分かった、じゃあ調査開始だね。」

そして足を踏み入れた。

幾つの罠を回避しながら歩み続け、幾多ある部屋の一画に近づき、フェイトは手に持っていた小型探査機器を掲げた。そして左右対称な紋章が描かれた扉の前で掲げていたものを止めた。

「 この部屋だね、ロストロギア反応の大きいのは。」

「まさか少ない罠でここまで来られるなんて なんでこんな構造に…」

そう言いながらより一層の警戒を待ってドアを開ける。その部屋には一本のベルトが安置されていた。それはまるで、石のような灰色のベルトだった。

「これがそのロストロギア…記録にもないけど …」

「フェイトも本局も知らない…無限書庫の資料書物にも描かれていないロストロギア…」

「とにかく、回収しよう。」

そのベルトを回収しようとフェイトは手を伸ばし、

「っ!危険だ!」

その手よりも先にユーノの手が伸び、

ベルトに触れた、触れてしまった。

そこに安置されていたはずのベルトは、一瞬の揺らぎと共に消えた。

「なんっ!?」

直後、体中に電撃が走ったような刺激が彼を襲い、頭を押さえてのたうち回る。

「あがあっ…ぐ…うぅういっ… !」

そこへ、数体のゴーレムが現れる。そのゴーレムは岩のような表面とは裏腹に、人間のような伸長とシルエットを持っていた。

「ユーノ!待ってて、すぐ倒すから!」

そう言ってバルディッシュでゴーレムに肉薄する。

一閃、また一閃とゴーレムを斬っていくが、すぐ後には元通りになっていた。

「嘘!そんな..!」

それでもなお弾き飛ばしたり斬ったりを繰り返すが、ゴーレムは止まらなかった。

不意に、後ろからじゃりっ…と音が聞こえた。思わず振り返ると、そこにはユーノが立っていた。

「ユーノ!もう大丈夫なの?」

「うん、だから… 」

ユーノはそのまま歩みだし、フェイトの前で止まった。

「後は任せて。」

「え…?」

困惑するフェイトを後ろにユーノは、記憶に流れてきた構えを取る。現れたベルトは様相を変えて、岩のような表面はすでに剥がれ落ちたかのように色を変え、黒と金の本来の姿を取り戻していた。

 

時は戻り、アギトに変身したユーノはゴーレムに打撃を与えていた。

(これが…アギト …)

研ぎ澄まされた感覚が後押しするように、的確なダメージを与えていく。

そして一体、また一体と機能を停止させる。

そして最後の一体と向かい合う。

ゴーレムが腕の形を変える。人間の腕を放棄し、まるで光線銃のノズルのような形へと。

紫の稲妻を放ちながら、ノズルの先に魔力の球体を作る。

それを見たユーノは構えを取った。

「…スゥゥゥ…」

深い呼吸を共として手を広げていくと角が開き、足元に紋章が浮かぶ。

「ハァァァ…」

片足を下げた瞬間、その紋章が足へと吸われていく。

ゴーレムがユーノに向かって球体を放つ。その球体はぶれることなくまっすぐに飛んでいき━

「はっ!」

ユーノはそれを飛び越えた。そして一度体を丸めたかと思うと、その瞬間に腕を広げて右足を前に出す。

「ハァァァ!」

ゴーレムの胸部分にその蹴りが命中した。勢いを利用しユーノは回転しながら後ろへ飛んで着地をし、残心を取る。

ゴーレムは再生することなく崩れて行った。ユーノも残心を解き、フェイトの方を見た。一瞬の揺らぎと共に眩い光を放ち、その刹那でユーノの姿へと戻っていた。

「ユーノ···さっきのあれは一体 ?」

フェイトにそう間われたユーノは右手を顎に当てながらゆっくりと答えた。

「わからない…でも…分かったことは…ある。」

「分かったこと…?」

右手を軽く開き、自身の下へと持ってくる。

「この力は…アギト…進化と覚醒の果ての力…世界から秘匿された古代文明の…残滓…。」

ユーノは弱く広げられた自身の右手を見下ろしながら、フェイトからの質問に答えた。電流が流されたような刺激の中で流れ込んだ知識から、一つ一つ抜き出して。

その瞳にはユーノ・スクライアの右手と…

薄くアギトの右手が映っていた。

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