【三次創作】HITMAN『世界線を超えて』-Alternative Edition- 作:◆xXUOeG5OIg
今回は別アプローチではなく新しいロケーションに向かってもらいました。
『こんばんわ、47』
『今回はブルーと一緒にホウエン地方のおくりびやまに向かってもらうわ』
『ターゲットは、ホウエン地方の伝説や伝承について研究している学者のフミオという男と、その助手であるマモル。考古学を専門とするこの二人は、その筋では良い意味でも悪い意味でも有名な二人なの。研究者としては一流なんだけど、調査や学説の証明のためには強引な手法を用いての調査を行ったり、現地での傍若無人な行動が問題視されているわ。これまではその功績で何とか目を瞑られていたけれど、どうやら最近は落ち目らしいの。学会からの追放さえささやかれているほどにね』
『そんなターゲットが一発逆転のために目を付けているのが、ホウエン地方のおくりびやまに保管されている「あいいろのたま」と「べにいろのたま」の二つ。この二つの宝玉は、ホウエン地方の伝説に伝わるポケモン「グラードン」「カイオーガ」の二体に密接にかかわるとされているの』
『けどこの宝玉は以前強奪されたことがあった。そのしばらく後にはホウエン地方全体で異常気象が発生し、大きな被害が出たわ。明確な因果関係は不明だけれど、この二体のポケモンが片方もしくは両方とも眠りから覚めたのが原因ではないかと言われているわ。事態はとあるポケモントレーナーがジムリーダーやチャンピオンたちと共に収束させたというけれど、この宝玉を使えばまた同じようなことが起こるかもしれない』
『けど、彼らはそんなことで止まるような人間ではないわ。おくりびやまの管理者でもある老夫婦に掛け合い、この宝玉を調査させてほしいと頼み込んでいるの。どんな力が秘められているか調べるつもりだわ。けど、そんな事件があった後だから老夫婦は拒否しているのだけど、最近では悪癖が出て恐喝まがいの行為までやっているとのことよ。彼らの手に宝玉が渡れば、学術的興味のために何が起こるか分かったものではないわ』
『クライアントはこの老夫婦の孫娘であり、ホウエン地方のポケモンリーグ四天王の一人、ゴーストタイプのポケモン使いのフヨウ。何時ターゲットが暴力的な行動に出るか分からない上に、下手をすればホウエン地方の危機が再び起こりかねないと、この二人を隠密裏に排除してほしいと依頼してきたわ』
『現地は野生のゴーストタイプのポケモンたちが多くいるほかにも、ターゲット自身が手持ちのポケモンで抵抗してくる可能性があるわ。そうならないのが最善だけど、もしもの時はブルーに対応してもらってね』
『準備は一任するわ』
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『おくりびやまへようこそ、47、ブルー』
『ここは寿命を迎えたポケモンたちが眠る場所。ここで浄化された魂はこの地方のルネシティにある目覚めのほこらという場所に向かい、再び目覚めるという伝承にかかわりがある場所ね。多くのポケモンたちの霊がいるという噂から、その手のオカルトマニアやサイキッカーなどからは霊的なスポットの一つとしても有名だわ』
『その為か、出現するポケモンはゴーストタイプが多いことでも有名ね。ここにしかいないようなポケモンもいるそうだから、意外と腕自慢のトレーナーやポケモンを求めるトレーナーたちも訪れている。そういうわけだから、意外と人は多いスポット、目撃されないように注意を払ってね」
『ターゲットの二人はつい先ほど最寄りのミナモシティを出発したのが確認されてる。ほどなくそちらに到着するはず。ターゲットが複数名いるから、ブルーと相談したうえで任務を遂行してね』
『作戦は任せるけど、老夫婦に危害が加えられないうちに始末してしまいましょう』
『健闘を祈るわ』
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ホウエン地方に駐留しているICAのインフォーマントの操るボートで私とブルーはおくりびやまへと到着した。霧に囲まれたこの山は何処か俗世とは隔絶された、神秘的な雰囲気をまとい悠然としている。なるほど、その手のオカルトマニアがここを好む理由もなんとなくだがわかるような気がする。
「うわぁ、雰囲気あるわねー」
到着して一番にブルーは感心したような声を上げる。あまり怖がっているようなそぶりは見えず、むしろ興味津々のようだった。
「ここは怖くないのか?」
「カントー地方にもポケモンタワーっていう似たような場所があったから、あんまり怖くはないわね。
あそこもゴーストタイプのポケモンが多く集まっていたし、ここみたいにお墓もたくさんあったから」
「なるほど」
「多分他の地方にもこういう場所ってあると思うのよ。でも、まさか伝説にかかわりのある場所だなんて思わなかったわ」
考えることはどの地方でも同じ、というわけか。おまけに出没するポケモンのタイプまで一緒なのは、ポケモンの習性というものなのだろうか。ともあれ、場所が何処であろうともやることに変わりはない。
「まずは現地の状況を確認するぞ。ポケモンへの対処は任せた」
「了解!」
一歩おくりびやまの内部に入ると、そこは一面の墓やモニュメントで埋め尽くされた光景が広がっていた。おくりびやま、ポケモンたちが眠りについた墓場、なるほど正しく共同墓地のような場所であった。
「案外人が多いわね……」
墓参りに来ている人の数はそれなりの数見受けられた。眠っているポケモンの大きさにあまり関係はないのか、墓のサイズは一定で、人が屈んでぎりぎり隠れられる程度の大きさしかなかった。他に遮蔽物となりそうなものはあまり多くはなく、空間が大きく開けているので見通しが良すぎた。
「47、ここだと人目が多すぎるかも」
「そうだな」
依頼では秘密に、騒ぎにならない様に始末してほしいとのことであるため、ここでの暗殺は難しいだろう。天井に空いている穴から物が落ちてきて「不幸な事故死」というのも考えられるが、上の階も同じように墓が並んでいるというのは事前の資料で判明している。つまり上の階も人がいるということだ。それを含め、ブルーも地形や障害物などをよく観察していたようで、暗殺を行うエージェントとしては悪くない。
途中に飛び出してきたポケモン、ヨマワルやカゲボウズをブルーが対処しつつ、私たちは普段クライアントの老夫婦がいるという山頂を目指して移動を始めた。外壁部は濃い霧が漂い、潮風が軽く吹き付ける場所。ところどころに草むらがあり、内部と同じように墓が置かれている。人の気配も少なく、これだけ視界が悪ければ暗殺には向いているだろう。
だが、ターゲット二人を如何に静かに始末するのか問題だ。ターゲットはまっすぐに山を登ってきて、老夫婦のところに向かうと予測される。この外壁部分でうまく足止めをして始末するのが一番目立たないだろう。たとえば、「うっかり」足を滑らせて転落だとか、霧で足元がよく見えずに転落、というのがいいかもしれない。
先行して山頂の方を見てきたブルーが戻ってきたので状況を尋ねる。
「山頂の方はどうだった?」
「あんまり人はいないし、霧が濃くて障害物が多いからいいかもしれないわ。老夫婦が近くにいるってことと、たまに物好きな人が登って来る以外は大丈夫かも」
「そうか」
仕掛けるのは外壁部がよさそうだと判断した私はブルーを伴って歩いていく。
途中、何やらオカルトチックな格好をしたグループが話しているのが耳に届いた。
「今日も来るのかな、あの二人?」
「あの学者とその助手のことか?多分来ると思うぜ。毎日毎日ご苦労なことだよなぁ。
管理人の老夫婦が折れるまで絶対にあきらめないって鼻息も荒く言ってたしな」
「迷惑かけてないといいんだけどなぁ、あの老夫婦、もう結構な年だろ?そんな相手にムキになってどうしようってんだか」
「まったくだよなぁ」
どうやらクライアントの祖父母、このおくりびやまの管理をしている老夫婦とターゲットたちに関わることらしい。ブルーに合図し、私は立ち止まって耳を澄ませる。
「聞いた話じゃ、あんまりこのおくりびやまの環境が好きじゃないってな。ポケモンが苦手なんだとよ」
「そりゃまたどうして?」
「学者様はデスクワークばっかしだからな、ポケモンを育てるより重要なことがたくさんあるんだろ」
「なるほどなぁ」
####情報を入手####
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『話によるとターゲットの二人は学者肌なせいなのか、トレーナーとしてはあまり腕が良くないようね。もしポケモンに絡まれてしまったら、困ったことになるかもしれないわ』
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どうやらターゲットたちはトレーナーの腕は良くないという。暗殺に利用できるかどうかは分からないが、それを頭に入れておいても損はないだろう。そのまま私たちは簡易ながらも整備されている山道を歩いていき、丁度良いスポットを探す。
霧に紛れてターゲットに襲い掛かるというのも手として考えられるが、そこまで視界が悪いわけではない。やはり目立たない程度の何かで目を引いて、その隙に仕留めるのがいいかもしれない。
「ブルー、何か案はあるか?」
「ええっ、私が考えるの!?」
「ターゲットが来るまであまり時間はない、急げ」
いつもはブルーとシルバーがコンビで活動しているのだが、今回の任務ではブルー単独で計画を立案し実行する能力を評価するというのも仕事の内となっている。勿論このことはブルーには伏せられていたことだ。エージェントとしての能力は常に高いものが求められる。即興でアプローチを組み立てるのもその能力の一つ。
しばらく考えていたブルーだったが、やがてリュックサックの中から手のひらに収まるサイズのケースを取り出した。薬を入れるタブレットのようにも見えるそれは、先端の部分がモンスターボールの形をしており、中には何やら四角いものが複数入っている。
「それは?」
「ポロックっていうの。この地方に自生している木の実を使って作るポケモン専用のお菓子みたいなものなの。これを使うと野生のポケモンを臭いでおびき寄せることができるって聞いたわ」
####アプローチを発見####
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『バトルではなく、そのかっこよさや美しさを競うコンテストでコンディションを整えるために使われるポロックにはそういう使い方もあるのね。ポケモンをおびき寄せることが出来れば、うまく足止めをすることができるかもしれないわね。それにしても、ブルーはいつの間に手に入れたのかしら?』
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「いつ調達した?」
「ミナモシティでちょっと……こ、こういうこともあると思ってね!?」
そういえば、ミナモシティの近くにはサファリゾーンという珍しいポケモンを捕まえることができるエリアがあると事前の資料で読んだ覚えがある。そのポロックがサファリゾーンで使われるということも。まあ、今は追及するまい。
ともあれ、とブルーはポロックとやらの入ったケースを手にしてあたりに撒き始めた。
「これでうまくポケモンたちが寄ってきてくれれば、ターゲットは隙を晒すと思うのよ」
「他の方法では無理なのか?」
「そういうポケモンのわざもあるって話だけど、それだと香りにつられたポケモンが襲い掛かってくることが多いらしくって。けどその分ポロックをまくだけなら、安全にポケモンをおびき寄せられるわ」
「なるほど」
ブルーは手際よくポロックを撒き終えると隠れるように合図をする。人間の嗅覚ではあまり感じ取れないのだが、どうやらこれでポケモンたちはつられてくるらしい。本当に効果があるか分からない所だが、ここはブルーのトレーナーとしての知識を信頼するしかないだろう。
####アプローチ完了####
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『ポケモンの習性をうまく利用してターゲットを陥れる。悪くないわね。でも油断だけはしないでね47。
丁度ターゲットの二人は入り口に到着したようだし、間もなくそちらに向かうわ』
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ポロックを撒いてポケモンたちをおびき寄せた状態を作り上げてから数分後。私たちが通った道をたどって二人組の男が歩いて来た。どちらも軽装だが山を登るのにちょうど良さそうな格好をしている。少々荷物が多い様にも見えるのは気のせいだろうか。
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『あれが学者のフミオとマモル。マナーのなっていない学者にはここで退場してもらいましょうか』
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ターゲットの二人は通い慣れているのか、霧が濃く、足元が見えにくい状況でもすいすいと登って来る。
だが、ブルーがポロックをばら撒いたことでポケモンたちが集まっているのを見ると、明らかに顔をしかめて足を止めた。
「おいおい、こういう時に限ってこんなトラブルが…」
「落ち着きましょう。確かにポケモンに関して我々は不得手ではありますが、かと言ってどうにもならないわけでは…」
「時間が惜しいんだ!ともかく、さっさとあの邪魔者を追っ払うぞ!」
何とも呑気なものだ。一応ポロックに夢中になっているとはいえ、刺激し過ぎれば野生のポケモンに襲われるかもしれないというのに。そんなターゲットたちを観察する私たちは、ブルーの手持ちであるメタモンの影に隠れて岩場と同化している。傍目にはほとんどわからないであろう。
「準備はいいか?」
「いつでもいいわよ」
私はいつもの通りシルバーボーラーを、ブルーはICA19を持ち込んできている。ターゲットたちは眼前のポケモンに目が向いている状態。また、姿だけでなく気配も殺していた私たちを察知することは出来はしなかった。
そして、タイミングを合わせて二丁の拳銃から放たれた弾丸はポケモンを出そうとしていたターゲットたちの脳天を見事に撃ち抜いた。サプレッサーを付けているので、音もほとんどない。
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『二名ターゲットダウン。良い手際ね。さあ、そこから脱出するだけよ』
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「早いとこ片づけちゃいましょ」
拳銃を仕舞うと、てきぱきとブルーは死体を崖の下へと突き落とす。何度か壁面にその体をバウンドさせながらも、二人分の死体は海深くへと沈んでいった。ポケモンに頼っていたころとは違い、もう銃器の扱いにも慣れているのを見ると、だいぶブルーも変わってきたと感じる。かわいらしさなどは相変わらずだが、エージェントらしく非情さを獲得しつつあるようだった。
ともあれ、これでターゲット二名は排除が完了したし、死体や暗殺の証拠の隠滅も終わっている。ここにとどまる理由はない。私たちは静かに山を下りると、入り口で待機していたインフォーマントの操るボートですみやかにおくりびやまを後にした。
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---3日後
「サファリゾーン、あんまりめぼしいポケモンがいなかったー…カントーだと割と見るポケモンばっかり」
『ホウエン地方では珍しいポケモンという触れ込みだけれど、他の地方では珍しくないこともおかしくはないわよ。事前の調査が甘かったわね』
「ふぇぇ…バーンウッドさん辛辣」
『サファリゾーンでの結果は振るわなかったようだけど、今回の任務の評価は90点といったところね。ぎりぎりまで伏せられていて、あの状況から計画を組み立てて実行に移せたのは評価されたわ。おまけに証拠もほとんど残していないから』
「やったー!」
『ただし、残り10点の分の減点は何処か、ちゃんとわかっているわね?』
「……はい、次からはちゃんとします」
『よろしい。ICAのエージェントとして以前に、ちゃんとした大人にもなって頂戴』
ミッションコンプリート
評価:☆ ☆ ☆ ☆ ☆:サイレントアサシン
・タイプ:ゴースト +3000 『ターゲットと老夫婦に姿を見られない』
・努力値を振り分けよう +1000 『ゴーストタイプのポケモンを5体以上撃退する』
・サファリのテクニック +2000 『ポロックでポケモンをおびき寄せ、ターゲットを足止めする』
・息を合わせて +5000 『サプレッサー付きの拳銃で、47と同時にターゲットを殺害する』
お久しぶりです。まさか、1万文字足らずの小説に一カ月近くかかってしまうとは…(白目
ちょっとリアルが忙しかったのと、季節の変わり目で体調を崩しちゃったのが原因で遅れてしまいました。ちゃんと自己管理しなくてはいけませんね。
さて今回の話についてですが、ロケーションをおくりびやまとするのはすぐに決まったのですが、アプローチにあれこれ悩んでしまいました。事故死に見せかけるとか、ブルーの手持ちポケモンを使うとかいろいろ考えていましたが、結局シンプルに仕留めることに。簡単そうで実はかなり苦労しまして、ご本家様のすごさを改めて感じいった次第であります。
また今回は複数の世界線の存在する(ルビサファエメラルド時空とORAS時空)ホウエン地方を舞台としていますが、話の都合上おくりびやまの老夫婦が健在な方が良いため、ルビサファエメラルド時空を採用させていただきました。
次回は別アプローチに挑戦してみようかなと思いますので、気長にお待ちいただければ。