空気読めない野郎は夢を見続ける   作:燕尾

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ども、燕尾です。
久しぶりに青ブタを書きました

プチデビルは……どうしましょ? www







空気を読めない野郎はバニーガールの夢を見続ける・エピローグ

 

この世界に桜島麻衣という少女が戻ってきてから次の日、あたりまえのことだが、咲太と麻衣のことは学校中に知れ渡っていた。

咲太と麻衣というより、主に咲太の行動についてだが。

 

全学がテストに集中しているなか、校庭に立ち、愛の告白する。

 

なんだかジンクスが生まれそうな話だが、当の本人立ちからしてみれば恥ずかしいことこの上ないだろう。

 

現に隣にいる咲太は平然を装いながらも若干どこか疲れたような表情をしていた。

それでも今までの噂以上のインパクトを与えた咲太の学内の評価は変わっていた。

 

「やっぱり咲太の心臓は鉄で出来てんだな!」

 

そんな中で、佑真が追い討ちを掛けいた。

 

「どういうことだよ」

 

「いや、どういうこともなにも…あんなことする奴は鉄の心臓の持ち主じゃないと出来ないって」

 

「私だったら恥ずかしくて死んでる。さすが梓川、青春ブタ野郎だね」

 

「なんか、不名誉なあだ名をつけてるな」

 

「妥当なところでしょ。"病院送り"の噂が学校中に流れたとき、"空気と戦うなんてバカバカしい"とか言ってたの忘れた?」

 

「あー、咲太言ってたな。それ、俺も聞いた」

 

「そういや、そんなこと言ってたな」

 

「自分のために本気になれなかったくせに、美人の先輩のためになら、どんな恥もかけるやつが青春ブタ野郎じゃなくてなんなのよ」

 

確かに、理央の言う通りだ。

大人でも、人間だれしも自分が可愛いもんだと思うのだが、高校生が他人のためにそこまで頑張れるというのなら、理央の言っていることは間違いでもないのだろう。

しかし、夏樹も理央も、それを馬鹿にするつもりはない。誰もできないことをやってのけた咲太に対しての最大限の賛美だ。本人は不本意だろうけど。

 

「まあ、鉄の心臓を持ってる咲太は、見知らぬ他人の戯れ言なんてスルーできてるじゃん。なら問題もないだろ?」

 

「そう言ってますけど夏樹先輩も大概というか、咲太以上というか……? 前に鋼鉄って言いましたけど、最早ダイヤモンドっすよね」

 

「おいまて、どういうことだ」

 

詰め寄る夏樹に佑真はいやだって、と仰け反らせながら続ける。

 

「あのとき誰もが戸惑ってるなかで、一人だけ大爆笑してたじゃないっすか。しかも謎とはいえ真剣な告白の。あれは誰もできないっすよ。夏樹先輩も裏ではかなり噂されてますよ? 俺も不思議に思いますけど」

 

「国見。秋月は絶望的に空気が読めないんだよ。この世で一番空気が読めない男だよ」

 

「おいこら理央、俺だって空気読めるっつーの。具体的には理央の気持ちを――」

 

「――っ!! くたばれっ! このKY野郎っ!!」

 

「ちょっ、それはやばい! それにKYってもう死語――おごっ!!」

 

腹に蹴りを入れられ悶絶する夏樹。そんな夏樹を理央は追い討ちを掻けるように何度も踏みつける。

 

「なるほど、理解したよ。やっぱり夏樹先輩、ダイヤモンドっすね」

 

「秋月って俺以上に地雷を踏み抜くよな。ま、自業自得だろ」

 

それを尻目に咲太と佑真は改めてそう夏樹を評したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつつ…骨が砕けるかと思った……脇腹にまで思いきり蹴りいれてくるとは」

 

理央の制裁から解放された夏樹は脇腹を押さえながらフラフラと廊下を歩く。

ボロボロの夏樹をすれ違う生徒たちは凝視するが、夏樹は目もくれずに進み、教室にたどり着く。が、

 

「遅い」

 

「……なに仁王立ちで待ち構えてるんだ、お前は」

 

教室の入り口前で不機嫌そうに立っていた麻衣に、夏樹は呆れた声を出す。

 

「夏樹に話があるから待ってたのよ」

 

「勝手に待っていて遅いっていう麻衣さん、マジパネェっす。その傍若無人ぶりが咲太に受け入れられて良かったな」

 

「うるさい」

 

「いっ!!」

 

言葉のトーンとは裏腹に勢い付けて夏樹の足を踏み抜いた麻衣。

 

「ついてきて」

 

再び悶絶する夏樹の事なんかお構いなしに何処かへ麻衣は向かう。

くそぅ。と呟きながら足を引き摺って麻衣について行った先は誰もいないいつもの空き教室。

 

「おいおい、咲太という恋人がいるっていうのに。俺と逢引きでもするつもりか?」

 

「逢引き言うな。それに、咲太ともまだ恋人じゃないわよ」

 

「今更取り繕うなよ。咲太が一か月告白することもわかってる上に、そうじゃなくても受け入れるつもり満々のくせに」

 

「……夏樹って、たまに怖いわ」

 

「ちょ、マジで引くなよ。お前らが分かりやすいだけだから」

 

俺が特別とかそういうのではない。麻衣や咲太が分かりやすいだけだ。

 

「で、それよりも一体何の用だ? 今までだったら、あんな人の前で待ち構えたりしないだろ」

 

「それはそうだけど、これは私なりのけじめよ」

 

話が見えてこない夏樹は頭に疑問符を浮かべる。

 

「今回のことで、夏樹には色々と助けて貰ったから」

 

「麻衣を助けたのは俺じゃない。咲太だろ」

 

「そこじゃないわよ――夏樹が覚えてくれていたお陰で、あんたが居てくれたお陰で、私は本当の一人にならなかった。それがどれだけ安心できたか、わかる?」

 

「……俺は麻衣じゃないから知らん。それに前にも言っただろう。俺は絶望的に空気が読めないって。ただそれだけ。別に麻衣のことを覚えてようなんて思って行動してたわけじゃない」

 

夏樹はいつも通りの日常を過ごしてただけだと言い張る。しかし、その口調はどこか早くなっていた。

それを人はなんというか夏樹は知らないが、麻衣は理解したように笑みを深めた。

 

「それは照れ隠しかしら?」

 

「事実を言っただけだ」

 

「そう」

 

短く相槌を打つ麻衣の顔に夏樹は少しイラっとした。なんだか麻衣の言ったことが正しいかのように感じてしまって。

 

「ま、夏樹がそう言うのならそれで良いわよ。でも最初にも言ったけど、これは私のけじめだから――」

 

そう言って麻衣は懐から装飾された小袋を取り出し、夏樹へと差し出す。

 

「お礼よ。受け取って」

 

「……最初からわかってたら面倒って断ってたんだがなぁ」

 

「予想しないでついてきた夏樹が悪い。諦めて受け取りなさい」

 

反論のしようもない夏樹は麻衣の手から小包を受け取る。中身はクッキーだった。

その後、食べてる最中に咲太がやってきて、麻衣から貰ったクッキーだと知られて一悶着あったが、鳩尾に思いきり蹴りを入れて黙らせる夏樹なのであった。

 

 

 

 

 







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