ふたつのステラ   作:ねことも

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今回、別作品のイメージを連想させる表現があります。
別作品の専門用語やその表現を不快に思う方はあまり読む事をお勧めしません。
  


少年少女の宣誓

「ステラ、行こう」

「うん!」

 

ジョナサンと一緒に並んで、ソラはトコトコした足取りでいつもの川辺へ直行する。

二人を追うように、ダニーも後ろからついていく。

彼らの背中を見送りながら、ジョースター卿は向かい側に立つ男性の方へ向きなおる。

 

「お初にお目にかかります。どうぞ、屋敷へお入りください」

「じゃあ…お言葉に甘えて」

 

赤毛の青年…アクセルは複雑そうな表情を浮かべつつも、屋敷へ通された。

 

 

 

 

 

ソラが遅れないように、ジョナサンは彼女の歩幅に合わせて移動する。

 

「ステラ、今日は何して遊ぼうか?」

「ごろごろー」

「アハハハ、じゃあ、今日は森の花畑がある所まで行こうか」

 

ジョナサンは、ソラが言いたい事をすぐに解るようになった。

例えば、“ごろごろー”は芝生に横になって日向ぼっこしたいという意味。

“ぱしゃぱしゃ”といった場合は、川で水遊びしたいという意味だ。

 

「あっ、エリナ!」

「ジョナサン、ステラ!」

 

先に待っていたエリナが手を振ってくれる。

駆け足で近づくと、エリナは二人に微笑みかける。

 

「エリナ…ごめん!」

「えっ、どうして謝るの?」

 

いきなり謝罪するジョナサンに、エリナはきょとんと首を傾げる。

 

「一週間前、ディオ…僕の家に住んでいる子なんだけど…彼が、君に対して酷い事をしてしまった。ステラ、君にも謝りたいんだ…凄く怖かったはずだ」

 

女性の頬をぶつなんて、紳士としてあるまじき行為だ。

ジョナサンは、未だにディオに対して怒りの気持ちが拭いきれない。

ステラに対しても、暴力を振るおうとしたのに、彼は少しも反省の態度を示そうとしない。

 

同時に、自分の所為で、エリナとソラに危害が及んでしまった。

その事実が胸を貫き、とても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

「僕が不甲斐ないばかりに…二人に迷惑をかけてしまった。

許されるとは思っていないけど、本当にごめん…」

 

目をきつく閉じて、深々と頭を下げて謝罪するジョナサン。

 

「じょーちゃん、いーよ」

 

そんな彼を見て、一番最初に声をかけたのは…ソラだった。

 

「ふーたん、へーき」

「ステラ…」

「そうよ。ジョナサン…貴方は悪くないわ」

 

続けて、エリナも目尻を下げて彼の肩にそっと優しく触れる。

 

「ジョナサン、あのディオと言う子が、貴方にどんな事をしているのか…聞いたわ」

「えっ…だれに…?」

「アクセルさん。ステラのお迎えにくる赤毛の男の人よ」

 

アクセル―――ステラの保護者代理の人の名前だ。

今頃、養子縁組の件で父と話をしているあの男の人が、まさか自分の抱えている悩みを知っているとは…ジョナサンは思いもよらなかった。

 

「貴方は…味方のいない茨だらけの環境に、ずっと耐えてきたのね」

「うん…正直に言うとね、今も辛いな…って思う事があるんだ」

 

眉を下げて、自分の事のように辛そうな表情でいるエリナに、ジョナサンは目を伏せて本音を少し言う。でも…と彼は面を上げると、キリッとした顔でこう続けた。

 

「今の僕は独りじゃあない! 僕には…小さな親友がいる」

 

ジョナサンの視線は、ソラへ向けられる。

ソラは呼ばれたと思ったのか、ニパッと笑って「あい!」と小さな手をあげた。

 

「幼い頃から、僕の傍にいてくれた家族がいる」

 

次に、彼の視線は愛犬、ダニーを捉えた。

ダニーはご主人の意向に答えるように「ワンッ!」と元気よく吠える。

 

「そして…僕の味方でいてくれて、この身に変えても守りぬくと誓った【大切な人】が

ここにいる!」

 

そして、ジョナサンはエリナの両手をぎゅっと握りしめると、声高々に言う。

あまりにも熱烈なプロポーズともとれる、彼の大胆な発言に、エリナは顔を紅潮させる。

 

 

「じょ…ジョナサン…」

 

「エリナ……僕は、ディオみたいに賢くない。

世間知らずなお坊ちゃんだって陰口叩かれる事もある。けれど、僕は必ず強くなる!

エリナもステラもダニーも…僕の大好きな皆を守れるくらいに強くなってみせる!」

 

 

ジョナサンは力強く、自らの誓いを信頼できる二人と一匹の前で宣言した。

ソラには見えていた。

ジョナサンから、キラキラと輝く無数の白い光の鳥が飛び交っている。

 

「きりぇー…(きれい…)」

 

ジョナサンの身体から流れ出ている力…これは、ソラがいる天界ではオーラで

《生命の源》と言われている。

 

別の世界では《覇気》《ルフ》《マナ》とも呼ばれている。

この清浄で力強いオーラは、その持ち主である本人の本質を表わすもの。

もし、この場にソラ以外のエクレシアがいて、ジョナサンのオーラを見たら必ず

こう告げるはずだ…ソラの代わりに。

 

 

『貴方は遠い未来……子孫や志を共にする仲間とその一族、敵となる人でさえも…

生きとし生けるものに希望を与える《光》になるでしょう』

 

 

 

【少年少女の宣誓】

 

 

 

「ああ…ジョナサン! 貴方にそう言ってもらえるなんて…」

「エリナ…」

「私も…貴方に言いたい事があるの」

 

エリナは優しい眼差しと、彼に対する愛を含んだ言葉をジョナサンへ送った。

 

 

「私は…ジョナサン・ジョースターの味方となります。

幸せや喜びを共に分かち合い、悲しみや苦しみを共に乗り越える友になります。

そして…貴方の心身を支えるパートナーとなる事を、エリナ・ペンドルトンはここに誓います」

 

 

ジョナサンは感激した。

心から好いた女の子が、告白を受け入れた事に。

さらに、彼女から愛のメッセージを贈られるなんて思いもよらなかった。

 

「エリナ、大好きだよ」

「ジョナサン…愛してる」

 

ジョナサンは、エリナと寄り添うように抱きしめる。

そして、上目づかいで見つめてくる彼女にゆっくりと顔を近づけていき、唇を合わせた。

 

キスを交わす二人を見上げ、ソラはある事に気づく。

二人の人差し指に《赤い糸》が結ばれていた事に。

 

「いとぉー」

 

男女の間に赤い糸がつながっている事は、凄くいい事だ…と、親友の母であるコゼットが

教えてくれたのを、ソラは覚えている。

 

『ジョナサンとエリナは将来、家族になって一緒に仲良くお家で暮らす』

 

漠然とだが、幼いこねこにんはそう感じた。

 

 

“ おめでとう ”

 

 

初々しい少年少女のカップルを、祝福するように、ソラはぱちぱちと手をたたいた。

 

 

 

【To Be Continued… ⇒】

  

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