ふたつのステラ   作:ねことも

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主人公(ふーちゃん)sideとディオsideで、交互に話が展開する回。
ダニーのその後も判明します。
  


石仮面の秘密

エリナと一通りの話をした後、ジョナサンは父親がいる書斎へ赴いた。

 

「…ジョジョ。おかえり」

「父さん、ただいま帰りました。それから…」

 

ジョナサンの右肩から、ひょっこり顔を出した小さなこねこにんを目にして、ジョースター卿は

大きく眼を見開いた。

 

「ステラ…!」

「おじたん、たらいま(ただいま)~」

 

七年ぶりに姿を現したソラを目にした、ジョースター卿は目を大きく見開き、おおっ…と

感涙を流す。

 

「ステラ…ステラなのだね」

「うん!」

「ああ、こっちにおいで…」

 

ジョースター卿の呼びかけに、ジョナサンはソラを両手で抱き直すと、ジョースター卿に手渡す。

 

「おおっ…ステラ。神よ、感謝いたします…」

「おじたん、どしたん?」

 

涙を流しながら、神への感謝の言葉を言うジョースター卿を不思議がるソラ。

ジョナサンはその様子を微笑ましそうに見つめていたが、真面目な顔へ切り替えて、

父の元へ歩み寄る。

 

「父さん、僕がいない間…ディオはこちらにきましたか?」

「いいや…用事があって数日ほど外出しているが?」

 

返ってきた言葉に、ジョナサンはホッとした。

あのディオの事だ。

執事長ではなく、他の使用人達に演技をして騙して父に何か仕掛けようとする可能性も

視野に入れていたが、杞憂に終わったようだ。

 

「父さん…お願いがあります」

「なんだい? ジョジョ…」

「僕の話を聞いて下さい」

 

 

 

◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇

 

 

 

遡る事、三日前。

ジョナサンが乗ったロンドンへ向かう馬車を、屋敷の窓から眺める一人の男性がいた…ディオだ。

今回の黒幕はにやりと冷笑を浮かべていた。

 

「ジョジョが薬の証拠を掴むのに三日とみた」

 

毒殺の一件がバレても、ディオは計画を止める気はなかった。

むしろ、彼の脳裏にある殺害する人物のリストに、改めてジョナサンを追加したのだ。

 

普通にナイフや銃を使って殺すなんて真似はしない。

そんな事をすれば、疑いの目が自分に即座に降りかかるのは明白だし、何より誰一人として

《殺し》だと疑われない完全犯罪にしなくてはならない。

 

ディオには策があった。

ジョナサンが出かけたのを見計らい、彼はジョナサンの部屋へ侵入した。

 

「さすがに、親父の手紙と東洋人から手に入れた毒薬は持って外出したな」

 

しかし、それは想定内の事。

ディオの本当の探し物は別にあった。

デスクの三番目の鍵のかかった引き出しの隙間に、鋭利なナイフを突きつけてこじ開けた。

 

そこには…ジョナサンが論文のために研究している《石仮面》があった。

さらに、ジョナサンが書いている研究用のノートの数冊を本棚から取り出すと、パラパラと

捲って読んでいく。

 

「ジョジョの奴、こんなところまで仮面を研究をすすめている!

フハハハハハハ!」

 

七年前、ソラとエリナに暴力を働いた事で殴り合いになった時の事だ。

当時、二人の喧嘩していた場所に…石仮面は壁に設置されていた。

ディオは殴られて唇を切ってしまい、そこから血が飛び散った。

その血が石仮面に付着した瞬間、それの形状が変化したのをディオは目撃していた。

ジョナサンもそれを見ていて、彼が石仮面の謎を探求するきっかけにもなったようだが…。

 

「古代人が何のためにこの仕掛けを作ったのか?

そんな事はどーでもいい事…。知った所でコインの一枚の得にもならん事だからな。

だが今…! 俺はこの仕掛けの思わぬ利用法を思いついたのだ!!」

 

ディオは針で指先を傷つけると、そこから流れ出た血が石仮面へと落ちていく。

血に反応した仮面がガシャァアアンと音を立てて動き出し、後ろから何本もの骨組みが

伸びていく。

 

「この骨針が、ジョジョの脳味噌にくいこめば、間違いなく即死ッ!」

 

この石仮面を被り、誰かの血を注げば骨組みが脳味噌を傷つけてしまい、一瞬で死んでしまうだろう。この仕掛けはディオを除くと、ジョナサンだけしか知らないし、研究材料として記録をノートに残している。

 

つまり、これを使ってジョナサンを亡き者にすれば、警察も研究中の「事故死」と判断し、

殺人容疑もディオにかからない…という筋書きだ。

 

「ジョジョ! お前の研究でお前自身が死ぬんだ!」

 

ディオは高笑いしながら、己の勝利を確信した。

 

 

 

 

 

「あれ、スピードワゴン?」

 

父と話を終えて、ソラを肩に乗せたジョナサンが階段を降りていると、暖炉で座る

スピードワゴンを見つけた。さっきまで着ていたスーツからバスローブへ着替えており、

その上から毛布を被っている。

 

「すまねえ、ジョースターさん。

使用人の兄ちゃんがこのままじゃ風邪ひくってんで暫くこの姿だ。

許してくれるか?」

 

「勿論だよ。僕のために協力してくれたんだ

…客人としておもてなしをさせてくれ」

 

ジョナサンが笑ってそう返すと「ジョースターさん、なんて心優しいんだぁ…」と

スピードワゴンはまたしても感動している。

すると、ソラがキョロキョロと屋敷内を見渡している事に気付いた。

 

「ねぇねぇ、じょーちゃん」

「なんだい?」

「だにーは? だにー、どこなん?」

 

七年前に、ジョナサンの一番の相棒であった犬のダニーを彼女は探している。

彼にも「ただいま」の挨拶を言わないと…という気持ちからだろう。

 

「ごめんね、ステラ。ダニーは…もういないんだ」

 

ジョナサンは哀しそうに笑みを浮かべてそう言った。

ダニーは、二年前に天へと召された。

犬にしては長生きしたと、獣医が語っていた…今でも鮮明に覚えている。

辛かったけれども、最後まで傍にいてくれた事を…ジョナサンはよかったと感じている。

 

「だにー…」

 

ソラはしゅん…と寂しそうにダニーの名を呟く。

ダニーはソラにも懐いていたし、ソラもまたダニーの事をジョナサンと同じくらい

大好きな友達だと思っていた。別れの言葉すら言えないのは、とても悲しい事だ。

 

「ステラ…ちょっと待ってて」

 

ジョナサンはそう言うと、戸棚に飾っている小さな人形を手にした。

 

「これはね、ダニーがいなくなった後に父さんが買ってくれたものなんだ。

ステラが帰ってきた時に…ダニーの事で悲しんだらいけないからってね」

 

ダニーとは全く違うが、かわいらしい作りの子犬のぬいぐるみだ。

ソラはそれを受け取ると「だにー」と呼びかけてギュッと抱きしめる。

二人のやり取りを間近で見ていたスピードワゴンは感極まってしまい、持っていた

手拭いで涙をごまかすように顔を拭いた。

 

「ジョジョ」

 

名を呼ばれ、その方へ目を向けると二階にいたエリナが階段を下りてくるのが視界に入った。

 

「エリナ…」

「ジョジョ…お聞きしたい事があるの」

 

エリナは凛とした態度で、ジョナサンに歩み寄るとさらに言葉を紡ぐ。

 

「この家で…何が起きているのですか?」

「それは…」

 

「他人様の家庭事情を詮索するのが失礼なのは分かっています。

でも…何か虫の知らせを感じたのです。

これから、ジョースター家では恐ろしい災いが降りかかるのではないか…と」

 

エリナの言葉に、ジョナサンとスピードワゴンは驚きを露わにする。

 

 

「貴方のお父様から言われました。

『ジョジョの心の支えになってほしい』と。

私自身も貴方と再会した時に強く感じました。

ジョジョ、『貴方の力になりたい』と!

だからお願いします…説明してください」

 

 

エリナの強い懇願を聞き、ジョナサンの心は揺らぐ。

 

(エリナを…僕とディオとのいざこざに巻き込みたくない。

でも、彼女の譲らない眼差し…拒否するなんて…ああっ、どうしたらいいんだ!)

 

「じょーちゃん」

 

心が葛藤していたジョナサンを、ソラが呼びかけた。

ハッと小さなこねこにんを見ると、む~と頬を膨らませて怒っているようだ。

 

 

「けんか、らめ(ダメ)!」

 

――――‟喧嘩しちゃダメだよ、素直に理由を教えてあげて”

 

 

舌足らずな口調で、ソラはジョナサンに叱咤し、そして助言したのだ。

このまま理由を教えなくても、エリナはもう巻き込まれているのだ。

それなら、事情を説明してあげた方がいい。

 

(ああ、こんなに小さいステラにまで注意されるなんて

…僕はなんて未熟者なんだ)

 

ジョナサンはそれに感銘を受け、己を恥じた。

ソラに言われるまで、そういった心配りができないなんて、まだまだ紳士になるには

修業が必要だと痛感した。

 

「…分かった」

「ジョースターさん! いいんですかぃ!?」

 

「今夜辺りに、ディオは帰宅するんだ。

事情を知らないまま、エリナを危険な目にあわせたくない」

 

戸惑うスピードワゴンをそう説き伏せると、エリナと向き合う。

 

「僕の話を聞いてほしい。エリナ…」

「…はい!」

 

 

 

 

 

一方、同時刻…ディオはジョースター邸近郊の港町をふらりと歩いていた。

店で購入した酒の瓶を片手に、ディオは落ち着かない様子だ。

 

「最近! 俺はどうもおかしい! 気持ちが荒れている!

なぜか?――――ジョジョの所為だッ!」

 

オウガストリート(食屍鬼街)にジョナサンが入ったという知らせを受けた時、

ディオは嘲笑った。

 

あの場所に入った人間は、生きて帰れる保証がない。

住民に身包み剥がされて殺されるか、のたれ死んでしまうからだ

わざわざ、石仮面を使う手間が省けたと思っていた。

 

しかし、その余裕も徐々に焦りに変わってきた。

圧倒的に有利な立場のはずなのに、何故か追い込まれるような逼迫感に苛まれていく。

 

確証はない…けれども、七年前にジョジョが見せつけた、あの常人には考えられないほどの

爆発力が彼を奇跡へ導くのではないか…。そんな恐怖感が纏わりついているのだ。

 

「酒っ、飲まずにはいられない…!」

 

大量のアルコールを摂取しながら、ディオは自己嫌悪に陥っていた。

酒にはいい思い出がない。

働かず酒ばかり煽り、暴力で自分と母を支配していた父親…ダリオを彷彿とさせるからだ。

 

(くそっ…!)

 

時々だが、貧しかった頃の夢を見る。

まだ、母親が生きていた頃の事だ。

母親は優しかった、家族だけでなくあの貧困街に住んでいた人々に対しても。

例え、他人から嘲られても父から暴力を振るわれても、あの人は誇りを捨てなかった。

 

当時のディオにとったら、あまり良い母親とは思わなかった。

…貧困街では一般の常識は通用しないのだ。

言っても聞かない父に意見するから、格好の憂さ晴らしの相手にされたのだ。

度重なる暴力で、本来生まれるはずだった弟か妹の命も奪われたのだから。

 

 

ふと、脳裏にあの子どもが浮かび上がった。

 

―――――『ステラ』

 

七年前に突如行方をくらますまで、ジョナサンの親友であり、よき理解者であった幼女。

ディオに暴力を振るわれそうになっても、最後まで屈しなかった数少ない存在。

いい印象を持つはずがないのに、彼女は仲直りの印に、メイドからもらったクッキーを

ディオに分けたのだ。

 

あのあどけない笑顔を見て、心に温もりを覚えた事は…今でも忘れられない。

 

(もしも…奇跡的に母が妹を生んでいたなら、俺は違った生き方をしてただろうか…)

 

いつもの自分なら「くだらない」と一蹴するはずなのに、今はこの仮説を想定したくなった。

その時、ドンッと擦れ違いざまに誰かとぶつかった。

 

「気をつけろィ! どこ見て歩いてんだ、このトンチキがァ~!」

 

ガラの悪い中年二人組の酔っ払いだ。

そのまま相手にせずに去ろうとするが、やたらと因縁を吹っかけてくる。

 

「ケェッ! ヨタヨタしやがってママに付き添ってもらいな!」

 

その酔っ払いが、下品に笑いながら侮辱の言葉を投げたその瞬間、ディオは持っていた酒瓶で

その男の顔面を殴りつけた。

 

「こ、この野郎ッ! よくもおれっちの親友を! ぶっ殺してやる!」

 

「ほおぉー、衛生観念のない虫けら同然のたかがじじいの浮浪者が、よくもこのディオにそんな無礼な口をきけたものだ…。今、『ぶっ殺す』と言ったな。おもしろいッ」

 

「何をごちゃごちゃ言ってるんでぇ――!」

 

ナイフをもった酔っ払いが切りかかろうとするが、それを器用に回避すると、ディオは懐から

石仮面を取り出して、その男に被せた。

 

 

「人体実験だ!」

 

 

さらに、顔を傷つけられて膝をついていたもう一人の男の首をナイフで刺した。

頸動脈から飛び出た血が、仮面まで飛び散ってしまい、起動した仮面が被せられた男の

脳味噌を貫いた。

 

…もしも、これでこの男が絶命すれば、予定通り、ジョナサンを殺すいい材料となる。

ディオはニヤリとそう考えながら、様子を見ていた。

 

しかし、その時…予想だにしない事が起こった。

仮面の目から眩い光が飛び出し、辺りを覆い尽くした。

 

「こ、この光はいったい!?」

 

しかし、光はすぐに収束して仮面を被った酔っ払いは糸が切れたマリオネットのように

背中から倒れた。腕で視界を覆っていたディオはそれに気づき、倒れた男を注視しつつ、

ゲシッと強く顔に蹴りを入れてみた。

 

何の反応もない…死んでしまったようだ。

 

「幻覚か…今の仮面からの光は…」

 

ジョナサンが大層な研究をしているので、仮面に奇妙な期待感をもっていたが、予想通りの

ただの拷問器具にすぎなかった。

 

「…まあいい。これが凶器に使える実証になったんだ」

 

ディオはそう開き直ると、落ちていた帽子を拾い、汚れを手でポンポンッと落として

被りなおした。

 

…その時だった。

背後から奇妙な気配を感じたのは…。

咄嗟に振り替えると、死んだはずの男が起きていたのだ!

 

「そんな…馬鹿な!」

 

仮面がからりと地面へ落ちた。

被っていた男性の様子がおかしい、何かへ変貌する前兆か、皺が深く刻まれた皮膚が

生きているかのように動いていく。

 

さらに、口に生えていた歯が牙へ変化した。

ディオは咄嗟に先程もう一人の男性に刺したナイフを手に掴むと身構える。

 

(そういえば…ジョジョの仮面の研究ノートに書かれてあった。

人間の脳は未知の器官! 我々の知らない能力が十分ありうる…と!)

 

ディオはすぐに察した。

石仮面は単なる拷問器具ではなかった。

古代人が制作した人間の眠った能力を開花させる道具だったのだ…と!

 

襲い掛かってくる男の手をナイフで切りつけた。

それでも、男は痛がる様子を見せるどころか、そのまま拳を後ろの建物の壁に打ち付けた。

 

 

   ドンッ グボン!

 

 

打ち付けた拳を中心にメリメリとレンガが粉砕されていき、数秒たたないうちに大きなクレーターができた。その衝撃で、ディオは吹き飛ばされてしまう。

 

「な、なんだ…あのパワーは!」

 

橋付近の装飾物に激突したディオは、あまりにも信じがたい現象に優秀な頭脳をフル活用しても、整理が追いつかない。

 

あの男は、手を負傷したにも関わらず、強烈な破壊力のある攻撃をした。

石仮面に秘められたとんでもない作用に、ディオは自らが窮地に陥っている事を実感した。

 

「く、来る…!」

 

ザッザッと音を立てて、変貌した男が近づいてくる。

さっきの衝撃で鎖骨を砕かれてしまい、身体が思うように動かないものの、なんとか逃げようと川へ飛び込もうと、身体を叱咤して這いつくばる。

しかし、顔を掴まれてしまい、男の指先がディオの首筋へ注射の針を刺すように、埋め込まれた。

 

「うっ…うああああ!」

 

痛みで苦悶の叫び声をあげるディオ。

同時に、彼の顔のところどころから血管が浮き出て、何かが外へと出ていく感覚を覚えた。

 

「!? ち…血が…吸い取られる!」

 

血液が逆流するように、男のもとへ送られていく。

この時、男の表情を目にしたディオはさらに驚愕した。

 

「か…乾く……何か知らねえがよォ……乾いて乾いてしょうがねえんだ」

 

先程まで、皺が刻まれていた男の顔が20代の若者となっていたのだ。

そして、ディオは理解した。

…石仮面に隠された最大の秘密を。

 

濃い闇が支配していた空から、朝陽が昇り始めていた。

だが、ディオは人生最大のピンチで景色を見る余裕すらなかった。

 

「ちぐしょう―――ッ、あの太陽が最後に見るものだなんていやだッ―――――!」

 

目を瞑り、絶叫するディオ。

しかし…彼の魂を死神が狩る事はなかった。

何故なら――――

 

「ぎゃあああああ!」

 

太陽の光を帯びた男の顔からじゅーと湯気が立ちだした。

まるで、子どもがつくった砂のお城が瞬時に崩れ落ちるかの如く、怪物と化した男の肉体は

分解されていく。肉体はあっという間に砂塵となり、服だけを残して、男は消滅してしまった。

 

「太陽の光……ハァハァ……た…助かった…」

 

ディオは、息切れをしながらその言葉を紡ぐのに時間がかかった。

呼吸を安定させる彼の視線の先には…地面に落ちたあの石仮面があった。

 

 

 

【石仮面の秘密】

 

 

 

「エリナ、安全が確認されるまでこの部屋から出ちゃあダメだ。

……全てが終わったら合図するよ」

 

「分かったわ、ジョジョ」

 

事情を聴いたエリナは、ジョナサンの指示にコクリと頷く。

 

「じょーちゃん…」

 

「ステラ、僕が『いい』というまでエリナと一緒にいるんだよ。

―――そう、彼との決着がつくまでは」

 

ジョナサンが優しくそう語った後、覚悟を決めた表情となり、部屋から退室した。

 

「ステラ…信じましょう。きっと、ジョジョは必ず此処に戻って来るわ」

「ふぅ…」

 

エリナの言葉を聞いても、ソラは落ち着かなかった。

 

 

――――ピカッ! ゴロゴロ…!

 

「ふぅっ!」「きゃあっ!」

 

 

屋敷の近くで雷が落ちた。

ソラは驚いてエリナの足元に抱きつく。

 

「だ、大丈夫…雷が落ちただけよ」

「こあい…」

 

エリナがあやしても、ソラの不安は消えない。

 

 

〝 怖い…雷もそうだけど、どんどん近づいてくる黒いモヤモヤが一番怖い。

 じょーちゃんはだいじょうぶかな?

 黒いモヤモヤに変なことされないかな?

 はやく、はやくモヤモヤがどっかにいってほしい…”

 

 

言葉にしたくても、まだうまく表現できない。

そんな恐怖と、ソラはこの後向き合う事になる。

 

 

 

【To Be Continued… ⇒】

  

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