残酷描写、死ネタ、グロ表現があるので閲覧にご注意ください。
銃殺されたはずのディオが生き返った。
あれほどの弾丸をくらったにも関わらず、窓から屋敷内へ侵入した。
「な……なんだ、あいつは!?」
「あ、あんなに弾丸をくらったのに生きているッ!」
警官達は、蘇ったディオに動揺を隠せない。
その彼は不敵な笑みを浮かべ、警部の遺体に目を向ける事無く、ジョナサン達の方へ
一歩ずつ近づいていく。
「ディオ…まさかッ…」
ジョナサンの脳裏に石仮面が浮かび上がる。
父親を刺した直後に、血が飛び散った石仮面を被った…あの瞬間、仮面が光を発していた。
頭が混乱する中、彼はある一つの仮説にいきついた。
石仮面が…ディオに何か大きな変化をもたらしたのではないか?
「ジョジョ…あ、あの人は…ディオなの…?」
ジョナサンに守られるように抱きしめられたエリナもまた、近づいてくるディオの異変を
感じ取っていた。
青年となったディオを見るのは、エリナも初めてだが…今の彼は同じ人間に見えなかった。
まるで、人間に成りすました異質な…魔物みたいだ。
カタカタと震えるエリナに、ジョナサンが「大丈夫」と優しく囁いて不安を取り除こうとする。
(あの男が変貌した原因…やっぱ、あの仮面が原因だな)
彼等の近くにいたアクセルは近づいてくるディオを注意深く観察しながら推理を立てていた。
ディオが銃で撃たれる寸前に、ジョースター卿の血を纏った石仮面を被った。
詳しい原理はさっぱりだが、あの石仮面は人を超人…もしくは別の生物へ変えてしまう呪いが
かけられているようだ。
何故、そんないわくつきがジョースター家にあるのか経緯は不明だが、今はそんな細かい事は
言ってられない。
(…殺気と闘気がビシビシ伝わってくる…やばい)
ディオは人間だった時も、攻撃的な性格だったのに、石仮面の影響でさらに性質が悪くなった
気がする。例えるなら、性格の悪い苛めキャラがラスボス級の力を手にして、さらに最悪さが
増した感じだ。この世界では、目立った戦闘はないだろうと思っていたが…アクセルの思惑は
外れてしまった。
その時、ディオは早歩きで、ジョナサンへ接近してきた。
「アクセルさん、エリナを!」
ジョナサンは身の危険を感じ取り、エリナをアクセルに預けた。
ジョジョ!と名を呼ぶエリナに背を向け、銃を構えて声をあげた。
「ディオ、止まれ!」
しかし、ディオはそんな警告など無視してどんどん近づいてくる。
引き金を引かなければ…そう思えど、指先が固まって思うように動かせない。
銃口スレスレにディオが歩を止めると、ギパッと身の毛もよだつ恐ろしい顔つきになる。
ドオーン!
銃声が響き、ディオの額に銃弾が貫通し、後方の花瓶まで割れた。
銃を撃ったのは、スピードワゴンだ。
「ジョースターさん、しっかり!」
「あ…ああ、すまない」
これで終わっただろう…と思いきや、ディオは倒れるどころかボタボタと額から血を流しながら、立っていた。
しかも、流れ落ちる血液を指先で掬い取り、ペロッと味見している…!
その異様な光景に、ジョナサンとスピードワゴン、この場にいる人々は恐怖で支配される。
「し、死なねえ! 頭を撃たれたのに…俺には分からねえ……
今、何が起きてるのか…さっぱり分からねえ」
スピードワゴンが混乱して本音を零す。
当然だ、何度も頭部を撃たれて死なない人間なんてありえない。
「ジョ…ジョジョ」
すると、今まで無言だったディオが初めてジョナサンの名を呼んだ。
「ジョジョ! 俺はこんなにッ、素晴らしい力を手に入れたぞ! 石仮面からッ!」
ディオは高笑いをしながら舞うように天井へと飛び上がる際に、下にいた警官の頭を
指で差し込んだ。
「ぎゃああああ!」
脳内に指を差し込んだまま、警官を天井からぶら下げるディオ。
「UUURRRYYY!!」
指先から生気が吸われていき、警官の身体の肉が一気に萎んでいき、数分も経たない内に頭部の
骨がむきだしになったミイラとなった。
「見るな!」
「あっ…あああああ…」
あまりにも凄惨な殺し方だ。
アクセルは、咄嗟にエリナの視界を遮るが、既に見てしまった彼女は目から涙を流し出していた。
「うぉおおおお!」
「うあああああッ」
恐怖のあまり、スピードワゴンと警官達は叫びながら銃を撃とうとした。
攻撃を予測したディオは、屍となった警官をブオンッと投げ捨てた。
物凄いスピードで飛んできた遺体が先頭にいた警官の顔や体にあたった。
グチャッ、メキョ…ッ!
あたってしまった警官は、あまりにも強い力がかかってしまった事で首や左手が引きちぎれた。
さらに、その後方にいた警官達も首や胴体から上などが切断され、血飛沫をあげながら絶命して
しまう。
「ゲッ…」
警官のバラバラになった足の一部が、スピードワゴンの腕に直撃した。
その所為で腕が折れてしまい、スピードワゴンは痛みのあまり倒れてしまう。
「KUAAA…」
ディオの視線が再びジョナサンへ向けられた。
(なんて…なんて恐ろしいんだッ、僕は…僕は…)
「じょーちゃん」
全身を震わせて硬直していたジョナサンを我に返らせたのは…ソラの声だった。
その方向へ目を移すと、ソラが安らかな眠りについた父の傍でこっちを見ていた。
「じょーちゃん、ぴんち?」
白い犬のぬいぐるみをギュッと握りしめて、不安そうに訊いてくる。
(父さん…ステラ…)
ピタッと震えが止まった。
ジョナサンは近くに設置されている甲冑の槍を手に取った。
ギシッと重みが伝わるそれを両手で構え、ジョナサンは天井に張り付いているディオを見据える。
(……正直、僕は怖い。だが、ディオ…君をこの世にいさせちゃあいけない!
かたをつける! 僕が研究していた石仮面が魔物を作り出す道具だったなんて…
僕の責任だ…戦わなければならない!)
ジョナサンは、自らを鼓舞してディオを倒す決意を固めた。
「に、逃げろッ! ジョースターさん、あんたに勝ち目はねえ!
その怪物から逃げるんだぁああ!」
スピードワゴンが大声を出して、ジョナサンが戦う事を止めさせようとする。
しかし、腕だけでなく折れたアバラが肺に刺さっており、思うように動けない。
「きゃああ!」
エリナの叫び声に、スピードワゴンの視線が彼女の方へ向かう。
すると、ある者が彼女と第三者の男(アクセル)を襲い掛かろうとしていた。
「し、死体がッ、ディオの指で殺され、生気を吸い取られた警官の死体が生き返ったッ!」
生き返った警官は身体はミイラと化して、血を大量に出しながらも、不気味な笑みをうかべて
這いつくばって近づいていく。
「グヴァォオオ…あたっかい血…吸わせろッ―――!!」
「ひ…ひでぇッ! 化け物は化け物を生み出すのかッ」
エリナともう一人のツンツン頭(アクセル)を助けようと起き上がろうにも、どうにもならない
スピードワゴン。
「オゴォオオオ! 血ぃいいいい、よこせ――――ブゴッ!」
しかし、そんな化け物よりも不可思議な現象にスピードワゴンは目を奪われてしまった。
ガバッと口を開けて飛びかかろうとしたその化け物の顔がぼぉっ!と炎を纏った。
「ぎゃああああ! あつ、あじぃいいいッ!?」
「じゃあ、一瞬で終わらせてやるよ」
エリナを守るように肩を抱いた赤毛の青年…アクセルは冷めた顔でパチンと指を鳴らす。
「にぎゃあああああ!」
化け物の身体を炎が包み込み、瞬く間に灰となってしまった。
「あ、アクセルさん…今のは…?」
「俺の十八番さ。詳しい話はこっから逃げてからにしようぜ」
「ふー…そこで倒れてるおっさん、怪我してるぞ」
「ふぅ!」
近付いてきたソラに対し、アクセルはさりげなく、スピードワゴンの方向を指さす。
治癒魔法で治してやれるか、と遠回しに指示したのだ。
ソラは、ようやく上半身を起こす事が出来たスピードワゴンの骨折している腕に両手で触れると…
「いたいたい、しゅぎゅとんでけー(すぐ、とんでけー)」
青色の光の粒子と具現化した数枚の羽が飛び交い、スピードワゴンの負傷した腕や全身を
包み込んでいく。
「あったけぇー…」
温かい光を帯びて、スピードワゴンは思わずそう感想を口にした。
すると、どうだろう…さっきまでは感じていた腕と肺の激痛が消えていた。
「治ってやがる…!」
骨折したはずの腕も普通に動かせるし、胸の骨と肺も正常に戻っている。
大怪我が癒えた事に、スピードワゴンは驚きと歓喜が混じった表情となる。
「あれは…ッ!?」
ジョナサンと対峙しつつも、外野の一部始終を見ていたディオは愕然とした。
あのダニーの事件の際に、初めて目にして…再び確認できたソラの癒しの力。
そして、7年前に自分の劣等感を大いに刺激したアクセルが披露した炎の魔法。
(…やはり、あの二人は…)
人を凌駕した身となった今なら分かる。
…あの二人もまた、異質な存在なのだと。
【人間を捨てた男】
「(まずい…ディオがステラに興味を示している…)ディオ! 僕が相手だ!」
ディオの視線が、ソラの方へ向けられていた事に気付いたジョナサンは関心をこちらへ戻そうと
声を上げる。
(ステラとあのいけすかん赤毛野郎は後だ
…まずはジョジョ…貴様からッ!)
未だ、二人への興味は薄れていないものの、ディオはまずジョナサンを抹殺する選択を優先した。
そして、手を離してジョナサンが待ち構える場所へと降下していく。
…ディオとジョナサン。
二人の対決が今まさに始まろうとしていた。
「ジョジョ…」
「ジョースターさん!」
「……(あいつ、俺に殺気送ってたな)」
エリナ、スピードワゴン、アクセルが彼等の戦いに釘付けだった。
ただこの時…一人だけ。
ソラだけは、ハッと何か思い出したような顔を浮かべていた。
【To Be Continued… ⇒】