ディオの登場で、自信喪失中なジョナサンの話。
ジョナサンは、川辺で愛犬と一緒にいた。
このところ、彼は憂鬱な気持ちに苛まれている。
その原因は、新しく家族になった少年、ディオにある。
ディオが、ジョースター家にきたきっかけは実の父親が他界したからだ。
かつてジョナサンの父…ジョースター卿が馬車の事故に会った時、彼の父親が助けてくれたのが縁で知り合った。
その父親は素行に問題がある男性であったが、助けてくれた恩から、色々と支援した。
なくなる直前に、父親はジョースター卿に手紙をあてた。
たった一人残されてしまう息子のディオを不憫に思ったジョースター卿は、引き取る事を決意した。
ディオは整った容姿の美少年だ。
初めてあった時、馬車から降りてきた彼は堂々とした態度で、ジョナサンと対面した。
けれども、その直後に飛びかかって来た愛犬のダニーを蹴り飛ばした。
『僕は犬が嫌いだ! 人間に媚び売るバカな犬に虫酸が走るんだ! あのダニーとか言うアホ犬を僕に近づけるなよッ。あと、僕の荷物にふれるな! 犬を触った汚い手で触れるつもりか、非常識にも程がある!』
彼の相手を見下した態度と罵倒は、ジョナサンの脳裏に否応にも焼き付いてしまった。
第一印象は最悪だったものの、それはまだ環境に慣れていないだけなんだ…そう思い、ジョナサンは彼の事を理解しようと努力した。
けれども、ディオはジョナサンの嘲笑うように、彼の差し伸べようとした手を拒否した。
ディオは貧民街出身だが、周囲を唸らせるほど博識だった。
テーブルマナーも完璧であり、ジョースター卿を感心させるものだ。
ジョナサンは悉く比較されてしまい、今まであった短所が目立つようになった。
見兼ねたジョースター卿は教育方針を厳しくして、ジョナサンを怒る回数が増えていく。
学校でも、ディオは他の子達の注目になり、友達だった子も、だんだんジョナサンから離れていった。家でも学校でも居場所がなくなり、ジョナサンは悲しくて寂しくて仕方なかった。
「ダニー…今日の夕食、テーブルマナーうまくできるかな。
また、父さんに叱られたらどうしよう」
家に帰りたくない。
あそこは、自分の家なのにまるで茨の城みたいだ。
こんな風に思う事自体、哀しい。
膝を抱きかかえて蹲るジョナサンに、ダニーはきゅーんと同情するように擦り寄る。
「にーたん、どーしたん?」
聞きなれた愛らしい声に、ジョナサンはハッと顔を上げた。
友達になった妖精の子ども(これは、ジョナサンと父、その他使用人達が勝手にそう思っている)が小首を傾げてちょほんと座っていた。
「久しぶりだね…」
「うん!」
元気よく返事するソラに、ジョナサンはほんのりと笑みを浮かべる。
「ないてたん? ぽんぽんいたい?」
「ううん…お腹が痛いんじゃないんだ」
この子は心配している…。
まだこんなに小さいのに、年上の自分を慰めようとしている。
手をぽふぽふと撫でるソラを、ジョナサンはぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう…もう大丈夫だよ…」
「にーたん?」
「ごめんね…僕、ジョースター家の跡取りとしてしっかりしなきゃいけないのに…それなのに、父さんに怒られるのが怖くて…ディオに苛められるのが嫌で…弱気になってた」
ポロポロと零れる涙を腕で拭い取ると、笑顔を作ってソラに向き合う。
「不思議だね。君といると心があったかくなるんだ。
君は本当に妖精さんなのかな…それとも魔法使いかな?」
「ふぅ?」
「ふふっ、なんてね…」
笑って済ませるジョナサンに、ソラは頭にハテナマークを浮かべた。
【君は妖精さん】
ジョナサンとソラ、ダニーが楽しそうに戯れる姿を、離れた木陰から覗き込む一つの影。
「はぁ…今行くと明らかに怪しまれるよな」
赤い髪の青年、アクセルは後頭部を掻きながら呟く。
「暫く様子みるか…ふぁ~、ねみ…」
欠伸をして、腰を下ろすと二人と一匹の様子を観察する事にした。
【To Be Continued… ⇒】