アクセルとジョナサンの邂逅の回。
ソラは、川辺でちょこんと座っていた。
サラサラと流れる水の流れに沿って時折、泳いでくる魚をジッと見つめている。
「おしゃかな~」
陽できらっと水面が光る、そこに映し出されるのはソラの姿。
その後ろに、見覚えのある人物も映っていて、ソラはくるりと振り向く。
「あ、あくたんだぁ」
「よっ、迎えに来たぜ」
赤髪の青年、アクセルが笑って手をあげるソラにならい、右手をあげた。
ソラは、立ち上がるととことこと、彼のもとに近づき、足元にしがみつく。
「フー…こーら、また勝手にでていっちゃダメだろうが…」
アクセルは彼女を抱き上げて、メッ…と軽く叱った。
「ふぅ~…ごめんね」
ソラは眉を下げて謝ると、アクセルはぽふっと頭に手を置いて「よし、良い子だ」と
口元を緩める。
「コゼットとくー坊が心配してたぞ。さぁ戻るか」
「あんね、まって」
アクセルが帰ろうと言うと、意外な事にソラはそれを止めた。
今まで、迎えが来た時は素直に頷いていたのに、ソラは初めて拒否したのだ。
「どうした?」
「にーたん、ばいばいしゅる」
その言葉に、アクセルの脳裏にある少年が思い浮かぶ。
ああ、あの貴族の御坊っちゃんか…と。
「あの坊っちゃんとバイバイしたら、帰るんだな」
「うん。またあしょぼー、いう」
どうやら、ソラはまたこの世界に来る気満々の様だ。
あのジョナサンという少年と親しくなった、という証拠だろう。
「分かったよ。けど、一つだけ忠告しておくことがあるぜ」
「なーに?」
「フー…いや、ソラ。ジョナサンの前で羽を出しちゃダメだぞ」
「これぇ?」
アクセルがそう指摘するや、ソラは背中からぽんっと薄い水色に輝く光翼をだした。
そのまま、アクセルと目が合う高さまで宙に浮くと、不思議そうに「なんで?」と尋ねる。
「あ~…だから出すなっていうのに。
いいか、ソラ。羽を出すって事は、お前がエクレシアだって事がばれちまうんだ。
そうなると大変な事になる」
「たいへん?」
「ジョナサンのようないい奴ならまだいい…
けどな、中には悪い奴もいて、お前をとっ捕まえて傷つけようとする奴らもいるんだ」
「ふぅ…こあい(こわい)」
「そうだ。コゼットやくー坊、リエやお前のおふくろさんにも会えなくなっちまうんだぞ」
アクセルが真面目な表情で、そう言い聞かせるとソラはやだぁーと目をうるうるとさせて涙ぐむ。ゆっくりと地面に降りて、アクセルの足に再びしがみついた。
アクセルは両手で、ソラを抱き上げるとよしよしと頭を撫でる。
「羽は、怖い奴らが襲いかかってきた時に逃げるのには使っていい。
それ以外は気をつけるんだぞ、記憶したか?」
「うん!」
【『踊る火の風』との約束】
すると、タイミングよくジョナサンが愛犬を連れて歩いてきた。
「ステラ、此処にいたんだね…えっと…お兄さんは誰ですか?」
黒装束を纏う見かけない青年に、ジョナサンは戸惑う。
傍にいるステラ(ソラ)が怯えずに抱っこされているので、危ない人ではなさそうだ。
「ああ、俺はこの子の保護者代理みてぇなもんだ。
ほら、兄ちゃんにあいさつしな」
「にーたん…ばいばい。またあしょぼ」
ソラは小さい手を左右に振ると、待っているアクセルの後を追ってとことこと歩いていく。
ジョナサンはつられる形で手を振りながら、思った。
(あの人が…ステラの家族なのかな)
ソラ同様に、あの青年もまた不思議な雰囲気を漂わせていた。
アクセルはこの時点で気付いていなかった。
ソラと同じく、彼もまた奇妙な縁が結ばれた事に…。
【To Be Continued… ⇒】