ふたつのステラ   作:ねことも

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二話分、掲載。
エリナの初登場の回となります。

  


お友達といっしょにあそぼう!

ジョナサンは、最近ある少女と付き合っている。

名前は、エリナ・ペンドルトン。

以前、近所の子どもから人形を取り上げられて、意地悪されていたのを助けた事がある。

あの時は名前を聞けなかったけれど、再会した事で二人は急速に親しくなっていった。

 

「エリナ、今日は紹介したい友達がいるんだ」

「お友達? どんな子なの」

 

「うん、妖精さんさ」

「ええっ、妖精!?」

 

冗談でしょう、と半信半疑。

けれども、心は「本当にいたら…どんな妖精なのかしら」と期待に満ちた、ワクワクした気持ちになっていた。

 

よく一緒にいく川辺までやってきた。

ジョナサンは、連れてきた愛犬に「ここにいるんだね?」と尋ねる。

愛犬のダニーは「ワン!」と自信たっぷりに吠える。

 

こっちだよ、とエリナの手を握ってエスコートするジョナサン。

人差し指で口元を抑えて、「静かにね」と小声で囁かれた。

エリナは頬をほんのりと赤らめて、コクッと頷くとそろ~と木陰を覗き込む。

 

「あっ…!」

「今はお昼寝中なんだ。起きるまで待っててあげよう」

 

ジョナサンの提案に、エリナは「ええ」と口元を緩めて同意する。

二人が穏やかな眼差しを向けるのは…白い猫の衣服をきた《妖精さん》だ。

 

 

 

【眠るその子に愛しさを感じた】

 

 

 

「ふわぁ~」

 

欠伸をして、目をしぱしぱさせるソラ。

重たそうな瞼を少し開けたまま、見上げると右と左に少年と少女がいた。

 

一人はジョナサン。

もう一人は、知らない女の子。

長いウェーブかかった金髪の可愛らしい子だ。

その子は、おそるおそる…でも、怖がっておらず友好的にソラに声をかけてきた。

 

「はじめまして、ステラ。私はエリナよ。

……友達になってくれるかしら?」

 

エリナの周りに漂うオーラはふわふわと綺麗な光の蝶が飛び交っている。

 

ソラはすぐに分かった。

…このおねえちゃんはいい人だ、と。

 

「あい!」

 

ニパッと笑って了承すると、エリナも綺麗な花のように微笑む。

こうして、こねこにんにもう一人の友達ができた。

 

 

 

 

 

*** ***** ***

 

 

 

 

 

ジョナサンとエリナ、ソラは三人一緒に川で遊んだ。

濡れていいように服を着替えたエリナは、ジョナサンは水浴びしてきゃっきゃっ…と楽しそうだ。ソラも、ジョナサンが用意してくれた簡易の服(水着のようなもの)に着替えさせられて、ジョナサンに支えてもらい、ちゃぽちゃぽと身体を動かす。

 

程よく冷たい水が心地よくて、思わず目を細めるソラ。

 

「ふぅ~」

「ステラ、気持ちいいわね」

「うん!」

 

「それっ!」

「きゃっ! もう、ジョナサンったら!」

 

ジョナサンに水をかけられ、エリナは頬を膨らませて抗議する。

御返しよ、とエリナも彼に水をバシャバシャッと浴びせると、やったな…とジョナサンも水をかける。水浴びしているダニーの上にソラは乗っかり、降り注ぐ太陽の光に向かって、手を上げる。

 

「きりゃきりゃ(きらきら)~」

「ワン!」

 

そうだね、とダニーも同意する。

それから、一時間程水浴びをすると服に着替えて、エリナが用意してきたお菓子を食べた。

 

「このクッキー、美味しいよ!」

「うまみ~」

「そう? そう言ってもらえると嬉しいわ」

 

サクサクの手作りクッキーを一口食べて、ジョナサンは絶賛する。

同じく、ソラもクッキーをもぐもぐ口に入れて満足そうな顔。

二人の感想を聞いて、エリナは満足そうに笑う。

 

ジョナサンは、幸せな心地よさに浸っていた。

家や学校が辛くても、エリナとソラ、ダニーがいるから全然怖くなかった。

 

それで気付いたのだ。

例え、周りが敵だらけであっても、誰か一人でも自分を理解してくれる人がいるだけで世界は変わる事を。苦しい事があっても哀しい事があっても、味方がいるだけで心が強くなれる事を…。

 

 

(……そう、僕はもう独りじゃないんだ)

 

 

ソラの髪の毛をタオルで拭いているエリナ。

ジョナサンは、傍からその様子を見ながら別の思いがよぎる。

 

「…エリナとステラは、僕に希望を与えてくれた。

だから…今度は、僕が二人を守らないといけない」

 

そうだよね、ダニー…と愛犬の背をなでて語り掛けるジョナサン。

ワン、とダニーは小さく吠える。

「その通りだよ」と、ジョナサンの決意に共感するかのように…。

 

そんな主の瞳が、今までとは異なる強い意志を宿している事に、この時点で彼は

気付いていた。

 

 

「ねぇ、ステラ…貴女はどこからきたの?」

 

 

ソラの髪を櫛で梳いている途中、エリナが何気なく質問した。

 

「おうち?」

「そう、貴女はどこに住んでいるのか…教えてもらえる?」

 

「くーちゃんのままのとこ」

「くーちゃん…って誰?」

「ともらち」

 

“お友達”の家に住んでいる…という事なのか。

一瞬、目を見張ったジョナサンがこう話しかけてみた。

 

「お父さんとお母さんは…?」

 

「まま、しぇんしぇーとこ。

ぱぱ…おほししゃん。にーたん、どっかいった」

 

ジョナサンとエリナはまさか…と顔を見合わせる。

「お星さまになった」…これは、この子の父親は亡くなっているという意味だ。

母親も…先生のところにいるという言葉から、身体が弱くて、病院にいるのでは…と推測した。さらに、お兄さんはそんな悲しい現実を受け入れられなくて家を飛び出してしまったのでは…!

 

「……大丈夫さ、ステラ! 君には僕とエリナがいる!

 ダニーもいる! だから、君は独りぼっちじゃあないんだ!」

 

「そうよ、寂しい時は私達に甘えていいのよ」

 

急に励ましたり、親身になって頭を撫でられたりして…ソラは「ありぇ~?」と

コテンと小首を傾げた。

 

 

 

【解説者がいたら、よかったかもしれない】

 

 

 

※補足説明

 

ソラは「ママは先生の所でリハビリ中で、パパはお星さまに住んでいるんだよ。お兄ちゃんは旅に出てどこかにいるんだ」と言いたかったのです。

 

母親のアンナさんに関しては、ジョナサンとエリナの推測は当たっていますが、父親と兄の事は完全に誤解してしまったようです。

 

といっても…事情を説明して、うまく理解してもらえるかは別問題ですけどね。

 

 

 

【To Be Continued… ⇒】

  

 

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