---美海side---
〜これは、遥が退院する数日間の話〜
夕暮れ時。私は家から数歩出て海を眺めていた。
潮風が冷たい。こういう日には嫌な予感しかしなくて辛かったりする。
先日、光がウロコ様に会った。
それでもって色々聞いたらしい。まなかさんの状態。失ったもの。
もちろん全力で怒っていた。けれど、やっぱり少し変わったのだろう光は、冷静に考え、お船引をやろうと言い出した。
とはいえ大雑把なところは健在。
お船引を機にまなかさんが記憶を取り戻すかもしれない、と、そう考えたらしい。
どこまで現実味があるのかは知らない。
けど、現状そうするしかない以上、誰かからの批判はなかった。
お船引。思い出されるのは5年前だ。
あの日のこと、今でも忘れはしない。
またあんなことになったらどうしようと、今でも思い出すくらいだから。
...それでも、また千夏ちゃんが飲まれそうになった場合、今度は私が...。
いや、そんなことを考えるのはやめよう。
何より遥かに悪い、私はそう思った。
だから...そうだな。
このお船引が終わる頃に、遥に好きだって、ちゃんと告白しようか。
目的があれば、何がなんでも達成しようって気になれる。
それに、こんなモヤモヤした気分で過ごすのはいい加減飽きてきた。
私は、遥が好きで、好きで、大好き。
初めてであった時からずっと好きだった。
年の差は確かにある。けれど、その壁に押し返される程のやわな気持ちじゃない。
誰にも奪われたくない、私だけの遥であって欲しい。
...遥の1番が、私であって欲しい。それが私の気持ち。
5年前に決めた。一生遥のそばに居ると。
叶える時はきっと今なんだって、そう思う。
でも、恋敵がいる。
その子は親友で、同年代。
そして、私と同じくらいに遥が好き。
だから、勝負。
もちろん、負けるつもりは無いよ。
千夏ちゃん。
---千夏side---
〜同日くらいの話〜
「はぁ〜、もう1週間か〜。」
自室の机にひれ伏し、私はため息を零す。
遥君が心を壊してしまってもう1週間が経つ。
何度か面会はしたけど、どうもからっきし。
最初は正直ショックだった。
また、私がやってしまったんだって、ずっと思ってた。
先生は誰のせいでもないと言ったけど、それでも私は責任を感じてしまう。
遥の人生に影響を与えてる人の中に間違いなく私もいるから。
だから、悩んだ。私に何が出来るか。
ろくな答えはでない。でも、確信してることだってある。
責任を取っていなくなる、なんてことはもう絶対にやらない。
あの日汐鹿生で約束したいくつものこと、それはちゃんと私の体に刻まれている。
きっと、遥君は帰ってくる。自分自身の答えを見つけて。
...でも、その時にこの恋の答えも出ているかもしれない。
だから、どうしようかな...。
そうだなー...。
きっと今回がもう一度、告白する時かな?
お船引には特別な意味合いがある。
私にとっては、5年前の時の分からそうだ。
あの日、私は答えを聞けずに逃げてしまった。
でも、今も遥君が好きだ。大好きだ。
あの日告白した時よりも全然好きだ。
だから、全力でこの気持ちを伝えるんだ。
...もちろん、ライバルもいる。
ねぇ、美海ちゃん。もし、今お互いにフェアと言える状態なら..,
「よしっ!」
私は決心して、部屋からとび出た。
夕暮れ時。目的地は美海ちゃんの家だ。
...
「あれ?外に出てたんだね。」
美海ちゃんの家に着いた私だったが、インターホンを鳴らすことは無かった。
もう、美海ちゃんは家の外に立っていたから。
「千夏ちゃん、どうしてここに?」
「や、ほら。ちょっと話したいことがあるって言うか...、そんな感じ!」
「奇遇。私もね、ちょっと話したいことがあったの。...じゃあ、行こっか。」
さすがに2人だけで話したかったので人気のない場所へ移動する。
多分、2人とも本題は一緒だ。
「ねえ、美海ちゃん。私、今お互いにフェア、って判断していいよね...?」
「うん。というかこれ以上の状態はないくらいだよ。だからね...」
「だよね。だからさ...。」
「「私、遥(君)に告白しようと思う。」」
ズレること無く、被った。
「あっ...。」
「やっぱり...ね。」
そうしてお互い吹き出す。
「やっぱり好きなんだよ、遥君のこと。5年前のあの日からずっと。」
「分かってる。だって私も好きなんだから。...でも、追っかけるだけの好きは、もうやめるの。ずっと思ってたから。遥の傍で歩きたいって。これが私の決心だよ。千夏ちゃんは、どう?」
私の決心...?
...ない、なんてことはない、絶対に、ある...!
「私はね、遥君を一生傍で見ていたい。その温度に触れたくて、その声を聞きたくて、...その姿を支えたいの。これじゃ、ダメかな?」
「ううん、ちゃんと伝わるよ。千夏ちゃんが遥が好きなこと。」
美海ちゃんには、私の覚悟がちゃんと伝わったみたいだ。
こんな本心をさらけだして、恥ずかしくないのかと思う。
恥ずかしくはない。
むしろ、ここでお互い恥ずかしがるようじゃ、絶対に勝てないと分かってるから。
そうだ。もうひとつ、聞いておきたいことがあったな。
「ねえ、美海ちゃん。もし、どっちが勝ったとしても、これからも友達でいてくれる...?」
「それは...、もちろん。今更着ることの出来ない縁なんだよ、私たちは。」
そっか。そうだよね。
...ホント、ライバルが美海ちゃんでよかった。
「じゃあ、お互いお船引が終わって数日後の同じ日に告白しよう?」
「うん、分かった。」
互いの決意は固く、互いの絆は固い。
だからこそ、私は絶対に負けたくない。
ええの書けたわ!(満悦)
細かい描写ほしいけど...。
頑張ろう!!
また会おうね(定期)