凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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やっぱ110ラインだな。


第107話 ハッピーエンドのその後で

---遥side---

 

それからの話。

陸に上がった俺を待っていたのはたくさんの人だった。

もちろん、全てが全て俺を待ってた人ではない。

俺の後に上がってきた、全体のほとんどの汐鹿生の人達と再会を喜ぶ人らもいた。というかそっちの方が多い。

 

光にしろ、まなかにしろ、要にしろ、ちさきにしろ、紡にしろ、美海にしろ、千夏にしろ、...そして、俺にしても。

 

それぞれが想い人と再開し、誰一人の不満のない状態で。

物語はハッピーエンドで幕を閉じた。

 

 

力を取り戻した海はまた5年前、それ以上のような穏やかさを見せ、温度もだんだんと上がっていった。

どうやらこの様子だと世界の崩壊もまた、随分先の話になるじゃろう、とウロコ様が言ってるので、当面は心配はなさそうだ。

 

 

 

さて。

 

 

ここから先に記すのは。

そんなハッピーエンドの後の、俺のお話。

 

 

 

〜3日後〜

 

「それで、今週末には向こうへ戻るのか?」

「ええ、ちょっと長いことこっちへ帰ってたので、流石にこれ以上だと単位も影響が出そうらしいので。...まあ、休みになればいくらでも戻ってきますよ。」

 

いつも通りの朝の食卓。今日は珍しく4人そろっている。

 

「それならありがたいね。...ところで、今日も論文?」

俺がコーヒーに手をかけた所で夏帆さんが入る。

「そうですね。書きたいこととかはまとまってるんで、あとはそれだけ。というか、まだ論文書く学年じゃないんですけどね、本来。」

 

それでも先生に無茶を言ってるので無理はない。

むしろ感謝しなければいけないくらいの無茶だし。

 

「それじゃ、ご馳走様でした。...さて、海の様子でも見に行こうかな。」

ここからはモチベーションの問題だしな。それにまだこの時間帯だったら紡が船出してるだろうし。

 

「あっ、私もついて行っていい?」

同じタイミングくらいで食べ終わった千夏が食いつく。

 

まあ、今日は平日だし、学校に遅れないならいいけど。

そもそもうちは朝が早いから遅れることは...まあ、無いだろうな。

 

「いいけど...遅刻しない程度にな?」

「流石にそこまで長居するつもりはないよ。じゃあ、用意するからちょっと待ってね。」

「早くしろよ?」

 

ということで俺は先に外に出て待つことにした。

その外もやはりぬくみ雪が降ってない分寒い事もなく、常識の範疇の気温となっている。

 

「ごめん、おまたせ。」

「いや。...じゃあ行くか。」

 

そうして2人歩き出す。

そこには初めのような緊張感も、いつかのような壁もなく。

 

ただ...あるとすれば...。

 

いや、気にしたらダメだ。向こうも同じことを思ってるだろう。

 

 

あぁ、それでも。

向こうに帰るまでには、告白した方がいいのかな。

 

 

 

 

...

 

 

 

やはり海は今までと同じ海だった。

綺麗な青に、穏やかな波。光の屈折によって時々汐鹿生が見える。

 

もちろん向こうの家に帰ることも出来たが、自分が家族と思ってるあの2人と、俺はやはりいたかった。

そういうところは、やっぱり子供と自覚している。

 

いや、一生あの人たちの子供だな、俺は。

それはたとえ、どんな未来であっても。

 

 

「ん、あれは紡か。」

こちらに気づき船の上から手を振る一人の男性。

あれは紡だな。

 

「...行くか?」

「いや、私はここで待ってるから行ってきていいよ。」

「悪い。5分くらいで戻る。」

 

そうして俺は海へ飛び込み、紡の船へと真っ直ぐ向かった。

 

「よっ、調子はどうだ?」

船上へ上げてもらって会話を始める。

「俺は特に。海の様子もよさそうだし、これまで通りの生活に戻れそうで何よりだ。もう随分と船も出せなかったからな。」

「まあ、あの氷じゃあな。...それで、お前ってやっぱり卒業したら漁師になるのか?」

「分からないな。これはあくまで好きでやってる事だし。...でも、やっぱり海は好きだから海にまつわる仕事はしたいな。」

「やっぱお前はそうだよな。」

「逆に、お前はどうするんだ?」

 

自分の将来について聞かれても流石にまだ答えられない。

残念ながら将来何をしたいかっていうのは、海がとか陸がとか関係なく自分自身が勉強していく中で見つけなければならないわけで。

 

別に俺じゃなくても、これは誰でも悩む時があるだろう。

 

「いや、分かんないから勉強してるからな。俺は地道においおいやってくよ。」

「そうか。...ところで、あいつ待たせてるけどいいのか?」

「そうだな。そろそろ戻るわ。それじゃあ、あいつらにもよろしくな。」

 

そして俺は待たせている千夏の所に戻る。

時間に遅れはないので大丈夫だろう。

 

「悪い。ちょいと待たせたか?」

「...。」

返事は返ってこない。怒ってるのだろうか?

 

「あのー...、千夏さん?」

「ねぇ、ちょっといいかな。」

 

 

少し頭を捻ったが、すぐに次に何が起こるか分かった。

「...分かった。けどここじゃ不味くないか?」

「ううん、いいの。すぐ終わるから。」

 

そう言ってお互い黙る。それぞれで覚悟を決め、向き合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、水瀬千夏は、島波遥君が大好きです。5年経とうと、5年前なんかよりずっと、あなたの事が大好きです。」




後34話くらいっすね。
ただしafterがあり。
それは予定済です。


また会おうね(定期)
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