凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

12 / 112
GWのみのぶっ飛ばしでどこまで行けるか。
GW終わったら1日1本になりますね。


第12話 似てるし、違う

---遥side---

 

それから数分。俺達は紡の家へ到着していた。

 

「ただいま、じいちゃん。ちょっと客連れてきた。」

見る限り紡は祖父と二人暮しみたいだ。

 

...こいつも両親がいないのだろうか?

しかし、頼れる場所が身近にあるということは、少なくとも俺と似たような境遇ではないということだ。それは分かっている。

 

「ほう、海村のものか。」

紡の祖父は網の手入れの傍らこっちを見るなり、そう断言した。

 

「ああ、初めまして。島波遥です。」

 

相変わらずまなかをおぶったまま挨拶をする。

声こそなかったが、紡の祖父は小さく会釈を返してくれた。

 

 

「ふむ...。」

その後、紡の祖父は一旦手を止めてこちらを向き、また数秒後に作業に戻った。

「事情は何となくわかった。紡、風呂に塩を入れてその子を入れてあげときなさい。出来るだけ海水に近い塩分濃度でな。」

 

急に話し出したのには少し驚いた。が、事の本質をバッチリ理解していたことにもまた驚いた。

 

「あ、ついでに電話も借りますね。」

「構わん。いくらでも使え。」

 

...この人紡よりも表情少ねえなぁ...。

そんなことを思いながら風呂場へ向かう準備をする。

 

「ついてきて。風呂場、こっちだから。」

俺は言われるがままに紡について行く。この時、しっかり電話の位置も確認しておいた。

風呂場へつくと紡は水を貯め始めてその場から離れた。塩でも取りに行ったのだろう。

というわけで今は別行動。俺も電話へ向かうことにする。

まなかをそっと浴槽に下ろし、俺はさっき確認した電話へと向かった。

 

 

電話につくなり俺はダイヤルに手をかける。今日の場合、かけるべき相手は1番近いやつだ。

 

プルルル...ガチャ

 

「はいもしもし比良平ですが...。」

あの場面で1番近くにいたのはちさきだった。それにちさきの性格上いの一番にまなかを探すのは間違いない。

 

「もしもし、俺だ俺。遥。」

 

「遥!?今どこにいるの!?」

 

「紡...ああ、木原の家だ。まなかは見つけたからとりあえず探すのはストップ。親に連絡が届いてるならそっち優先で電話かけてくれ。」

 

「まなかは今そこにいるの?」

 

「ああ。ただエナが乾いている状態だからそれの対処中。責任もって送り届けるからとりあえずそう伝えといてくれ。」

 

「OK、遥に任せるわ。」

 

そう言って互いに電話を切った。

とりあえずこっち方面はとりあえずクリアだな。

 

さて、風呂場へ戻って様子でも観るか...。

そう思って振り向くと、紡の祖父がたっていた。

一体一の状況。とりあえず急ぎの用もないのでゆっくりと話をすることにした。

「あの、ちょっとお話していいですか?それと...名前どう呼べばいいですか?」

「好きなようになんなりと呼べ。それで、何が聞きたい?」

「では、おじいさんで。えっと、おじいさんは、海の方...ですか?」

 

「ああ、そうだ。と言っても陸に上がってもう結構経つかの。」

やはり海の人だった。そりゃそうだ。あの状況がすぐに分かる人間は余程海の人間との距離が近い人以外ありえない。それでもって、実は何回か肌が光っているのが見えたのである。

 

「海から上がっても、やはり海が好きなんですか?」

 

「ああ。...ところでお前さんは、陸をどう思ってるのかの?」

急に質問を返される。

「どう...ですか。そうですね。人間は海と変わりません。皆似たようなもので、一人一人違う。エナを持っているか持ってないか、そんなしょーもない違いが一つあるだけです。...こんなに似ているのに何故仲が良くならないのか、それが気になります。...あっ、ともかく、俺は陸は好きです。」

 

答えに困ったのでとりあえず答えを言ってから考えた。

確かに陸では辛いことが沢山あった。というよりか辛いことしかなかったし、今も辛いままだ。

でも、だからといって嫌いにはなれないのである。

...何故かは知らないが。

 

「そうか。存外、お前さんはわしと似とるのかもしれんの。」

そう言うなりおじいさんは外へとまた出ていった。

 

それから風呂場へと向かった。中からは声が聞こえる。ということはもうまなかは目が覚めたみたいだ。

 

「綺麗だと思ってさ...。」

 

「えっ?」

 

「この魚。...それに、お前も。」

 

 

...は?

俺の中で持っていた紡のイメージは一瞬で崩壊した。と同時に笑いがこみあげてくる。こいつ...クールな見た目して結構天然じゃねえか。

 

「はいよっと。目が覚めたみたいだなまなか。」

「あれっ!?はーくんいたんだ...。」

 

急に風呂場に入ってきた俺にまなかが驚く。

いやいましたよ。ずっとあなたおぶってましたよ。まあ、覚えてないだろうけど。

 

「まあ、お前ここまで運んだのも俺だけどな。しっかしありゃ災難だったな。」

「うぅ...。」

あの時のことを思い出したのかまなかはまた赤面し、下を向いた。

 

 

 

「とにかく、今日はありがとね。紡くんにはーくん。」

あれから数分し、まなかもかなり回復したので俺達は帰路へ着いた。

紡もとりあえず海までは一緒に来てくれるみたいだ。

 

 

しかし、こういう時に限って神様は嫌なことをするもんだ。

俺、まなか、紡と3人で海まで歩いていたところを、バッチリと光に見られていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

お察しの通り、次の日の光はすこぶる不機嫌な状態から始まった。

 

 

 

 

 

 

 




最近遥sideしか書いてないけどサブキャラの存在が薄くて...。
当分は一本化ですね...。
というわけで、次回。

また会おうね(定期)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。