凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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久しぶりの別視点。
因みにまだアニメ2話くらい(・ω・ )


第16話 一歩踏み出すって決めたから

---千夏side---

 

一歩踏み出すって決めたから。

 

 

私は身体が生まれつき弱い。ついこの間だって入院してたくらいだ。

だから、学校に行く機会も人よりは少ないし、街に出ることだって人より少ない。そうして、私の周りには人がいなくなっていった。

 

...まあ、言い方を変えると、友達がいない、って事になるかな。

 

もちろん関わってくれた人もいた。...今でこそ疎遠になっちゃったけど、昔は美海ともよく遊んだし、みをりさんらにも良くしてもらった。それより前から付き合いのある紡に至ってもそうだ。

 

なんでこんな身体なのって、恨み時もあった。それこそ、エナがあるせいなのかって、ずっと思う時もあった。

 

...でも、

 

それでも私は海が好きだし、人と仲良くすることも諦めたくない。

どんなに自分に帰ってくるものが最悪なものでも、受け入れて前に進みたい。

だから中2になって学校に行けるようになった今。海村の生徒がやってきた今、私は一歩踏み出すって決めた。

 

 

 

帰りのHRが終わったあと、私は学校に残っておじょしさまを作る作業をしていた。

今年のお船引きは中止になったらしいが、先生がやりたいと言ったので、私は迷わずに手を挙げた。

というわけでこの場にいる。

二手に別れての作業、7人で4:3に別れ、私の周りには紡と、この前醜態を晒してしまった(?)島波君と、向井戸さんとがいる。

 

 

...よし、思い切っていこう。

 

「そう言えば、紡君はどうして参加したの?」

作業片手に向井戸さんが紡に話しかける。

行くならここしかない、と思ってしまったのか口が開いた。

 

「紡君のおじいちゃんは漁師なの。だからきっとそれだと思う。あ、初めましてだよね向井戸さん。こうやって面と向かって話すのは。」

 

初めまして、と向井戸さんは固くなりながら返してくれた。

「ねえ、下の名前で呼んでいいかな?」

「えっと、うん、どうぞ!」

 

「じゃあ...よろしくねまなか。」

「こちらこそよろしくお願いします!...えっと、ちーちゃんだと被っちゃうから...千夏ちゃん!」

 

よかった。対応が柔らかい人で。

そう思ってほっと一息を着いた。とその時、さっきの表現がしょっぱかったのか紡が補足を入れる。

 

「別にそれだけじゃないけどな、千夏。俺は海が好きなんだよ。普通に。船の上からだと、たまに光の屈折で白い屋根が見えてさ、綺麗なんだ。あと、ぬくみ雪とか見てみたいし、他にも知りたいことはある。でも、実物は見たことないんだよな。」

表情は変わらないが、付き合いが人より長い分わかる。スイッチ入っちゃってるなこれ。

 

「本当に紡君は海が好きだよね。」

「ずっと見てきたからな。」

 

「そういえば、紡君と千夏ちゃんは、どういう関係なの?」

まなかが質問を入れてくる。そりゃ、ここまで距離が近いとそうなるよね。

 

「普通に、昔からの知り合い。『友達でしょ?』まあ、そんなところ...。」

 

少し強気に訂正を入れる。

どうしても友達と言って欲しかった。

別に幼馴染ほどでもない。けど、それなりに長く付き合ってきて知り合いで済ませて欲しくはなかった。

 

そんな中、機を待っていたのか島波君が会話に入ってきた。

「そういえば水瀬、お前は何で希望したんだ?」

よかった。この前のこと、他言はしそうにない雰囲気だ。

 

「え、私?私は...普通に海が好きだから、かな。親がどう、とかじゃなく、普通に紡と同じように海が好きだから。ただそれだけ。」

そう、それだけ。それで十分。

 

そうして談笑しながら時間は過ぎていく。

やがて5時になり、汐鹿生の子が帰っていったが、今日は中々楽しかった、そう思えた。

 

 

 

今日の料理当番は私なので買い物をして帰ることにした。

因みに家族は私と両親との3人である。

ただ、母の仕事はある無しの差が激しいので、私にも料理の番が回る日があるのである。

 

 

さてと、前回はちゃちゃっと野菜炒めくらいしか作らなかったから...今日は煮付けでもしようかな。

そう思ってサヤマート内を回る。

しかし、魚コーナーには1人用の魚はなく、2人、4人用の分け方となっていた。

 

どうしようかな...。数が合わないとはいえほかは思いつかないし...。

迷った結果、4人用で作ることにした。

 

精算を済ませ、帰路へつく。

 

がしかし、まっすぐ帰るわけでもなく、私はまた堤防に腰掛けて海を眺めた。今日はまた別段と海が綺麗だったからだ。

 

しばらくすると、遠くから足音が聞こえてきた。

しかし、その足音はこちらまで来ることは無く、少し遠くで止まった。

 

誰だろう。

 

そう思って堤防から降り、近づいていく。その人は立ったまま海を眺めているので背後には気づいていない。

 

近づいてみると、その人は波中の制服を着ていた。

この時間にこの場所を通るのは、もう島波君しかいない。そう思って声をかける。

「ねぇ。」

 

私がそう言うとその人は振り返る。その顔はやはり、島波君だった。

 

「まだ、ここにいたんだね。」

すると島波君は少しバツの悪そうな顔をして言った。

「ちょっとトラブってな。...まあ、これから買い物しに行くつもりだったんだけど。」

「でも、もうそんなに食材残ってないよ?」

「あっ、まじか。...抜いてしまおうか。」

 

 

流石に食事を抜くのはまずいと思う。

家の事情は知らないけど、ここは大胆に行こう。

 

 

 

 

 

 

「だったらさ、うちに食べに来ない?」

 

 




【悲報】GWそろそろ終了
5/7以降は1日1本になります...。休日は2本。
長旅ですがお付き合いください。
では次回。

また会おうね(定期)
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