凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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※過去一駄文警報


第18話 それぞれの過去

---遥side---

 

「...まあ、親の前で聞くようなことではないと思ってたけどな、いいよ。そういう約束だし。」

約束は裏切るつもりは無いし、自分も多少は打ち明ける覚悟で話を切り出して来たのだろうから、それを踏みにじる訳にはいかない。

 

「ありがと。...じゃあ、さっきの場所戻ろうか。」

そう言って先に水瀬が歩き出す。俺はただ無言でそれについて行った。

 

 

 

数分足らずでさっきの場所へと戻る。

俺は先に堤防に座った。

「ごめんね、今日は。変にお節介焼いちゃって。」

隣に座った水瀬は少し苦笑しながら言った。

「いや、むしろ助かった。丁度切らしてたところだったし。それに...」

そう言って俺は踏みとどまる。

そうだ、どこまで打ち明けれるか分からないのだ。

「それに?」

 

 

あーだめだ。

モヤモヤしてても仕方ない。

そう思って俺は胸中を打ち明けることにした。

「それに、帰ったらご飯が待ってる、なんて事はもう随分と久しぶりのことだからな。」

 

「えっと、失礼な事聞いていいかな。薄々感じてたけど、島波君の両親って...。」

「ああ、いないよ。もう4、5年前の話だけど。」

 

「そう、なんだ。...何があったか教えて貰っていいかな?」

申し訳なさそうな顔をしながら水瀬が尋ねる。

しかし、話すと決めているので別に問題は無い。

 

「ああ。...さて、どこから話そうかな。そうだな...。俺の両親は、俺が小学生の低学年の頃まで俺の隣に居たんだ。海村に不満を感じながら、それを表に出すことなく。そんなある日、俺の両親は陸に上がるって決めた。」

 

「島波君は放っておかれた訳?」

「いや、ちゃんと打ち明けられた。俺達は上がる。お前も来るよな。そういう風に。」

 

「でも断った。」

「ああ、当時はまだ何も知らなかった。だから海に残るって決めた。...まあ、家にお金が残ってる訳じゃなかったから、少しの間光の家に居候させてもらったんだけど。」

「先島君?」

「そう。」

 

「そしてそれからは何事も無かった。でも、1年経ったある日、俺がたまたま陸へ上がった時に、俺は自分の両親が目の前でいなくなる瞬間を見てしまった。」

「亡くなったって事...?」

水瀬はだいぶ戸惑っている。まあ、無理もない話だと思うが。

 

「簡単に言うとそうだな。そしてその時に、みをりさんに会った。」

「美海ちゃんにも?」

先ほどの夏帆さんの言動から、水瀬家と潮留家には繋がりが少しはあるのかと思ってたが、やはり面識はあったようだ。

 

 

「ああ。ってやっぱりお前美海と面識があるんだな。まあ、さっきからそんな気はしてたけど。後でそっちの話聞かせてくれ。」

「分かった。...続きお願いできる?」

 

「おっと、そうだな。...それで、みをりさんと会ってからまた1年経った。その間俺はちょくちょく遊びに行って、みをりさんにすごいお世話になってたんだが、そんなある日、みをりさんは具合を悪くして倒れた。...そこからは、分かるよな?」

「3日ぐらい経って、みをりさんも亡くなった。」

 

「そう。...まあ、そうやって今の俺が出来上がったってわけ。聞きたいことってこういうことだろ?」

「うん、まあ、そんなところかな...。」

水瀬は歯切れの悪そうに答える。もっと聞きたいことが、言いたいことがあったのかもしれないが、もう聞かれることは無かった。

 

このままだと埒の明かない状況になるので今度はこちらから聞くことにした。

「なあ、水瀬。そういえばさっきの話で色々気になったことがあるんだが、今度はこちらから聞いていいか?」

「いいよ。」

 

「まずだな...お前、美海と面識があるってさっき言ったよな。それって今もなのか?」

「うーん、最近はちょっと会えてないかな...。向こうもどう思ってるのか分からない。」

「というと?」

 

「私さ、生まれつき身体が弱いんだ。よく調子を悪くするし、時には入院だってするくらい。」

そういえばみをりさんを見舞いに行ったあの日、そんなことを言ってた気がする。

 

「それで、中2になるまでほぼ病院に居て、ずっと美海ちゃんに会えなかった。...1番酷かったのはちょうど島波君が美海ちゃん達と一緒にいた頃かな。」

 

「だから会うことがなかったのか。お前と。」

「うん。それに、私にはエナがあるけど、海村には行けないから。」

「泳げない訳では無いよな?」

「泳げるよ。けど、今行ったら多分大人の人に止められるだけだから。それこそ、協調の姿勢なんて取られてないでしょ?」

 

その通りである。

陸と海と、共に歩く未来は今は全く見えない。大人の事情は知らないが、それが子供にまで伝わってるとなると、ますますすれ違う。

「私はさ、海が好きだよ。海村も見てみたい。」

「俺も陸は嫌いじゃない。」

「うん、分かってる。...さて、これくらい?」

 

「ああ、こんなもんだな。...じゃあ、そろそろ帰るか。」

そう言って俺はカバンを手に取る。

もうかなり時間も経った。そろそろ帰らなければいけない時間だろう。

「うん、そうだね。」

「度々言うが今日はありがとうな。...またお邪魔してもいいか?」

 

水瀬は少し驚いて、直ぐに答えた。

「うん、いいよ。」

「そうか。じゃあ、また明日。」

そう言って俺は海に飛び込もうとする。

 

「待って!」

「うん?なんだ?」

大声で止められたので思わず止まる。

 

 

「私はさ、結構苦しいこと多いけど、全部諦めたくない。そう思ってるから。...ごめんね、こんなこと聞かせるために止めちゃって。」

「...いや、いい。じゃあな。」

今度は迷わずに飛び込んだ。

 

泳ぎながら俺は考えた。

苦しみながら進む、か。

首をブンブン振って無心に帰ろうとする。

そしてふっと息を吐いて思う。

 

 

 

 

 

 

...やっぱり人間っていうのは難しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は会話多すぎて謎回です。
お許しください。
因みに最近mnemonicめっちゃ聞いてます。
では、次回。

また会おうね(定期)
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