だ・だ・だ・だ・だめですか?
(ダメです)
---遥side---
あれから数日たった。やはり幼馴染というのは分かりやすいものだ。
あれだけ派手に言い合っても、もう普通通りの関係に戻っていた。
さてそんな中、理由は聞かされてないがどうしてもついてきて欲しいとまなかに言われたので、俺は今、まなかと一緒にウロコ様のところに来ている。
そして、まなかは急に土下座を始めた。
「ウロコ様、呪ってください!!」
「...はぁ?」
呆けた顔をしたウロコ様と、真剣な顔をしたまなかと、理解が追いついていない俺がいた。...いやいや馬鹿か?
この前の魚がそんなに好きなのかなんてどうでもいいことまで思ってみる。
「お前は何故、呪って欲しいのじゃ?そこの馬鹿は、何度呪っても逆らうんじゃがのう。」
「うるさいよウロコ様。俺は自分のやってることが悪いなんて思ってない。かと言って呪われる趣味もねーよ。...まあ、まなかの理由なんて軽く予想できるんだけどな。」
そう言ってコソッとまなかに耳打ちする。
「どうせ紡だろ。」
「なんでわかるの!?」
元々まなか釣り上げの1件は紡に聞いてるし、この前の件は当事者である。完全に好きという気持ちが芽生えたかは知らないが、意識にはあるのだろう。
もっとも、好きという気持ちが1番わかってないのは俺かもしれないが。
「色々聞いたり見たりしてたからな。それと、光じゃなく俺を呼んだ理由も分かったわ。」
「あう...でも、苦しいから、嘘つくのが...。」
まなかがそう言うのをウロコ様は酒の小瓶を揺らしながら聞いていた。やがて質問へと出る。
「はぁ、なら聞くが、何故苦しいのじゃ?お前が嘘をつく必要が、何処にある?」
「えっと、わからないよ......。でも、胸がチクチクするんです。」
分からない、か。
まなかは分からないと言わんばかりの顔でウロコ様を見ている。
迷ってるというか、自分の感情を分かってないというか。やはりまだ、幼いのだろう。
そんな中、まなかは立ち上がって外の方へ出ていった。と同時に、数人の大人の怒声が聞こえる。
「おい、ちゃんと説明しろ!うろこ様の前で、ちゃんと話せ!」
その様子が気になって俺も外へ出る。
そこには、あかりさんが数人の大人達に掴まって、顔を伏せているところだった。近くには、まなかと光がいる。とりあえず、その2人の元へと俺は寄って行った。
「はーくん、あかりさんが......。」
「おい、ガキは引っ込んでろ。これは大人の問題だ。」
「ちょっと待て、そろそろ、こいつらにも教えといた方がいいんじゃないのか?村から出て行こうとしたら、どうなるか、教えとかないとな。」
どうやら、村の人間に俺の内情は知られてないようだ。なら、ちょっとだけ、反論するとしよう。
「追放、だろ。まなかや光はともかく、俺は間近でそれを見てるから知ってる。というか、1度追放された人間のことは、追放したことまで忘れるのか?」
「...あっ、そういや島波さんとこの...。」
男のひとりがそう言って思い出す。やれやれやっとか。
「何の騒ぎだ?」
そんな中、灯さんがやってくる。
大人連中は俺達が口を挟む前に事情説明を開始した。
「あ、宮司様......それが、あかりの奴、地上で男を作ってやがったんですよ。」
「地上で男とイチャついてるのを見た村の奴が居るんです」
灯さんは僅かに驚き、そして僅かに怒れる瞳をしていた。そしてそれをあかりさんに問いただす。
「あかり...本当か?」
「......。」
あかりさんは無言のまま下を向く。無理もない。
俺はどうにかしたかったがそうにもいかなかった。
なんなら俺は証人でもある。無闇矢鱈には口は出せなかった。
「宮司様......宮司様んとこから追放者が出たら、示しがつかねえぞ。」
「......悪いが、今日は帰ってくれ。俺がうろこ様のとこに連れて行く。」
そう言って灯さんは俯いたままのあかりさんをウロコ様の元へ連れていく。その場にいた俺達は何も出来ず、ただ突っ立っているだけだった。
そして数十分後、その話を聞いたちさきと要が合流する。
とりあえず話したいということだったので、大人に聞かれないように俺達は波中へと移動した。
波中は廃校になっている。そのため、使われてない分ぬくみ雪がつもり、だいぶ埃っぽくなっていた。
「うわっ!なんだよこれ!埃っぽいじゃねえか!」
「本当だね。ぬくみ雪が教室の中まで溜まってるよ。」
光は真っ先に教室に入っていく。俺達もそれについて行くように入り、椅子に腰掛けた。
「絶対、男のせいだ!アカリが苦しんでるのも、あの男のせいなんだよ!」
「ちょっと待て、光。相手の男が悪いって、なんで決めつけるの?」
「そんなの泣かしてるのは相手だろ!苦しめてるのも、相手の男だ!絶対明日、ぶん殴ってやるからな!...ここからは男の作戦会議だ。女子はどっか行ってろ。」
はぁ、やっぱりこの馬鹿は....。
少しは理にかなっているところもある。が、大体は不完全燃焼の八つ当たりだ。少しは関係が回復したとはいえ、自分自身のせいで相手へのあたりの強さは変わってない。
ちさきもよくそれがわかっているようだった。
「もう、行こうまなか。光達はほっといてさ。」
「うん、わかった。ひーくん、酷いことしないよね?」
そう言ってちさきとまなかは部屋を出た。そして少しの時間差の後で俺も部屋を出ようとする。しかし、光に止められてしまった。
「おい遥、お前は男だろ。どこいくつもりだよ。」
「すまんが、この話には乗れない。あかりさん自身から聞いてることもあるし、俺はきっと手は出せない。笑いたきゃいくらでも笑え。...ただまあ、当日は行く。...結論を見届ける必要があるからな。」
そう言って俺は返信を待たずに外に出る。
しかし、真っ直ぐにまなからのいる部屋には向かわず、1人でフラフラ歩く。
あかりさんの件も確かに気になるが、さっきのウロコ様のところでのまなかが気になっていた。
まなかは自身の気持ちを不器用ながらにウロコ様に伝えようとした。
この前の水瀬だってそうだ。水瀬は「諦めたくない。」と、そう言った。
俺はあんなに気持ちに向き合えるだろうか。
それこそ、逃げてばかりだっただろう。今でも思える。
だから二人を見て俺は思った。
たった一つ、小さな、大切なこと。
俺も、一歩を踏み出したい。
進まねえ!かと言って区切りも悪い!
どうしようこうしよう考えてます暖かくみまもってください。
では次回。
また会おうね(定期)