今回はちょいとひどいかも...。
---遥side---
埃っぽい校内をぶらぶら歩く。
何人もの人が学び、遊んだであろうその光景は、やはりもう感じ取ることは出来なかった。
やがてここに刻まれた記憶も忘れられるのかもしれない。
悲しいことも、同じように消え去るのだろうか...。
校内を歩いていると、ポンポンと木琴か何かを叩く音が聞こえた。恐らく、先に出た女子二人は音楽室にいるのだろう。
とりあえず一通り見て回ったので向かうことにした。
「あっ、ウミウシ!」
マナカが地面をずるずると這っているウミウシを捕まえて、こっちに持ってきた。そのウミウシはお腹が赤くて、綺麗だ。
「あっ、赤いウミウシ!確か、願った人の思いがちゃんとしていないと、普通の石が出て来て。」
「願いが純粋で、長く続くものだったら、ウミウシが出した石は何時までも、綺麗に輝く......。」
マナカは優しげな瞳で、赤いおなかのウミウシを撫でていた。それを見たチサキは、ちょっとびっくりしたような表情で、マナカを見る。
「マナカは......紡君のことが好きなの?」
「えっ!?す、好き!?そ、そんなのわからないよ......。」
「じゃあ例えばだな、まなか。もしも、お前の好きな人が、陸の人間だとしたら、結婚したいと思うか?」
俺はまなかに質問する。この質問は恐らく、この状況なあかりさんを見てきたから出た質問だと思う。
「もし、私が陸の人を好きになって、キスしたいとか......って、私えっちだよね!?」
「ううん、マナカはえっちじゃないよ。」
「そうだぞ。誰かを好きになるってことはきっとこう、エッチとか恥ずかしがる部分じゃ無いはずだ。絶対誰もが通る道だからな。そこに海と陸なんて無いはずなんだよ。少なくとも、な。」
「「...。」」
俺が珍しく長たらしく言ったせいで沈黙が流れる。
「こほん...。で、続き教えてくれないか?まなか。」
「あっ、そうだったね。私は......それで付き合って、結婚したいって思うのかな?好きになってその人とずっと一緒にいたいと思って、海に戻れないのかな......。」
ガラッ──!!
俺達が話していると、ドアを勢いよく光が開けて、中に入ってきた。
「オーッス、帰るぞ。遥、まなか、ちさき。」
「ああ、もういいのか。じゃあ帰るか。」
とりあえず話は広げずに部屋を出る。しかし、さっきのタイミングなら絶対に光は聞いているはずだ。逆に冷静なのが少し怖かった。
結局、作戦は結構することになった。
翌日、俺たち5人はとある山の上から鷲大師漁協を見ていた。とはいえ、動きがあれば直ぐに降りれるポジションだが。
「光、本当にやるの?」
「当たり前だろ。ぜってー、ぶん殴ってやる。」
「もし、悪い人じゃなかったら?」
「軽くぶん殴る。」
答えにならないほど理不尽だった。
あかりさんを思ってのことなのだろうが、この調子だと100%仇だ。
そんなことを話していると、漁協から1台の車が出ていった。
中の人をまなかが視認する。
「あれ?あの人じゃない?」
あぁ、見つかったか。
光を先頭に俺達は追い始めた。
とはいえ車、俺らは車より早く移動できる術を持ってない。このまま諦めてくれることを願いたい。
「くそっ!あのやろう逃げやがった!」
「おい、会う約束してないのに、それはねえだろ。」
「そうだよ光。あの人、私たちのことを知らないんだよ?」
そんな中、光は1台の自転車を見つけるなり、すぐに跨り、全力で漕ぎ始めた。
...おいおい本気かよ。
「待て!絶対逃がさねえぞ、コノヤロウーー!!」
「あっ、ひーくん!」
「ちょっ!? 光!?」
「あ~あ、行っちゃったね。」
「いやいや、追いかけねえと...。」
追いかけないとあのバカは絶対に止まらなくなるからなぁ...。それこそ人一人殺してしまう勢いなんじゃないだろうか。まあ、今回はケースがケースだが。
とりあえず俺達は走って光に追いつくということから始めることになった。
数分がたった。俺の後ろにいるちさきや要も息が上がり、明らかにつらそうな顔をしている。さすがに体力的にもきつい。
ただ、俺は森の中に1台の自転車を見つけた。
「...見つけた。」
「えっ、本当?」
「遥、本当なの?」
「はぁっ、待ってよー...!」
「そこ、自転車あるだろ。」
とりあえず光が近辺にいることが確認できたので、みんな一旦動くのをやめた。さすがにこれ以上は限界だったからな。
そして俺は、木から隠れて様子を伺っている光を見つけた。
とりあえず近づく。無力化できればいいのだが。
「...おいっ、光。」
「うおっ!?...何だよ遥かよ。脅かさせるなよ。」
「だったらとりあえずストップしろよ。まだ何も分かってないんだぞ?」
光とも接触でき、ようやく状況が落ち着いたので自分のいるあたりを見回す。...あ。
紡の家だ、ここ。
「あっ!ここ、木原君の家だよ!」
俺と同じことに気づいたまなかが声を上げる。
そんな中、バッドタイミングで至さんが出てきた。
それを見た瞬間、光は一目散に至さんに殴りにかかった。
スケジュールがタイトできついっすね。
それでもスタイルは変えずに行きたいです。
というわけで、頑張るしかない。
では次回。
また会おうね(定期)