了承ください。
---遥side---
人を探すのには労力と根気がいる。
が、その相手が知人であればあるほど、行動パターンが読めたりする。
そんなこんなで美海がいそうな場所は絞られていって結局...
俺は、サヤマートについた。
辺りを見回すといつものように裏の壁際でこそこそと作業をしている美海を見つけた。
後ろからこっそり近づいて美海に声をかける。
とはいえ、こちらも強引な早退なので説教は出来ないが。
「また、ここにいたか。」
美海は一瞬だけ肩をビクッとさせ、こっちに振り向いた。
「なんで遥が...?」
「まあ、こちらも色々ありましてですね...。ま、早退したんだよ。」
「...またサボってるの、怒ってる?」
開口一番サボりについての話だった。ということは、今回の件に関しては単体の仕業っぽいな。
「んー?いやまあ、現に俺も近いことやってるしな。怒れる奴でもないだろ。ところで相方は...」
その時にタイミングよく相方こと犯人が堂々と登場してきた。なにか自信気な顔をしているが、こっちは確認済みなので先手を打つことにした。
「おかえり。どうやらおじょしさま壊しに行って満足気なようだけど、光怒らせると怖いぞ〜。」
少しだけ湧いている怒りを抑えて、まずは相手の余裕を破壊する。
「なっ!?お前はタコスケの...」
「なんで!なんでそんな卑怯なことしたの!さゆの馬鹿!!」
そのまま動揺タイムに入ると思っていたが、聞くやいなや横から美海がものすごく怒り顔で入ってきた。
そしてそのままどこかへ走り出した。
追いに行こうとするが、その前に犯人に一応釘をさしておく。
「さて、今ここで君に怒るのもありだけど、どうせ戻りはしないしね。だから一言だけ。...昨日言ったことの意味ぐらい、自分で考えろよ?」
最後の方は少し声音が低かったと思う。
その場で固まっている犯人ことさゆを放ったまま、俺は美海を追って走り出した。
小学3年ほどの女子と、成長期真っ盛りの中学2年の男子。
足の速さにはもちろん違いがある。
まあつまり...。
追いかけて数十秒後、あっさりと追いついたのだった。
俺が腕を掴むと、必死で振りほどこうとした。
「離して!私は、私は───!!」
「怒りに来たんじゃないんだがなぁ...。というか、やるつもりなんてなかったんだろ?あんなこと。」
「そう、だけど...。」
そう言って美海は抵抗をやめた。うん、そうだよな。昨日光がああまで言ったんだから多少は聞いてもらわないと困るところもある。
「...さてと、美海が犯人関与してないことは分かったとして、これからどうするかな。とりあえず早退した理由それだけだし。...なあ、美海。」
「何?遥。」
「今から家...行っていいかな。みをりさんがいなくなってから、1度も顔出せなかったら。せめてその分は。」
「...分かった。」
とりあえず空気は気まずいまま、俺と美海は歩き出した。俺にとってもうひとつの居場所だった、あの家へ。
太陽は少しずつ、西に進んでいっている。いつの間にか暗くなりそうな、そんな天気だった。
「「...。」」
沈黙が流れる。こうなると気まずいったらありゃしない。
「ねぇ。」
先に口を開いたのは美海だった。
「千夏ちゃん、今学校に行ってる?」
「水瀬か?ああ、とりあえず今のところは元気にやってるっぽいぞ。というか、何回かこっち来た時に見なかったのか?」
「教室の方まで行くと、バレちゃうから...。」
あぁ、そうか。
実のところ、水瀬は休憩時間などはあまりおしゃべりなどに花を咲かせるタイプではない。
「そっか。千夏ちゃん、ずっと調子悪そうだったから。...また会ってくれるのかな?」
「自分次第だろうな。...結局全部な。おっと、家に着いたっぽいぞ。」
見慣れたアパート。美海の家は2階だ。
それ以降は互いに無言のまま、階段を上がる。
ドアを開けようとした瞬間、向こうからドアが開いた。
「えっ?」
「はっ?」
「はーくん?」
「なんで入ってるの...?」
部屋の中には先に行ったはずの光とまなかがいた。
その奥に寝ている至さんが見える。
「えーっと、光。とりあえず何があったか教えてくれ?」
「ああ。あの後帰ろうとした時、こいつが飛び込んできたんだ。そのまま意識が飛んで...ってとこか。というかお前も何してんだよ。」
「いやまあ、さぼりみたいなもんか。」
俺と光が話していると美海がなにか言いたそうにしていた。
「おじょ...」
「あん?」
「おじょしさま、私が壊したの!私が悪いの!!」
光は少し驚いていた。が、怒ることも無く自分が間違っていたことを理解したみたいだ。
「行くぞ、まなか。...お前はどうすんだ?」
「まだ帰らない。ここに来た用がまだ終わってないからな。」
「そうか、遅くなるなよ。」
それ以降は会話もなく、互いに別れて行った。
さてと、ドアを開ける前に確認することがある。
「美海、なんで嘘ついたんだ?どうせバレるはずなのに。」
「何でだろう、自分でもちょっと分からない。」
少し不機嫌そうに美海は答える。
分からないのに反射で庇った、って言うことだろうか。
やっぱり心って、なかなか分からないな。
そういえば今日別作品の続編書きました。
そちらのほうもよろしくです。
さて次回は重要回かな?
よろしくお願いします。
また会おうね(定期)