うへぇ...。
---あかりside---
あたしって何なんだろう。
サヤマートで働いてて、一応大人になってて、先島灯の娘で、...海の人間で。
分かってたんだ。この関係が知られたら、もう元には戻れないって。
海を捨てて付き合いを続けるか、...いっその事全てを終わらせるか。
サヤマートには数日間の休みを頂いて、自分自身のこれからについて考えた。
そして今日、答えを出す。
「さてと、今日からサヤマートに行かないと」
私は食卓を囲んでいるお父さんと光に聞こえないように呟き、食器を片づける。光はもう既に食べ終えていて、残っているのは私1人。
カバンを手にして、私はゆっくりと立ち上がる。
「行くのか...。」
「うん、そろそろ行かないと。」
割り切れてなんてないけど、もうさすがに休めないから。
「そうか...。」
それから先はもう何も言わなかった。
荷物をまとめて玄関に出ると光が外に出ようとしてた。
「あっ、ちょっと待ってよ光!久しぶりに一緒に行こうよ。」
「ああ?今さらそんな年じゃねえだろ。じゃあ、行って来まーす。」
躊躇いもなく光は先に行ってしまった。
...少しは大きくなったんだな。
「じゃあ、行ってきます。」
誰にも届かない声で、私は呟いた。
何日ぶりの外だろうか。
太陽がすこぶる目に刺さってきた。
とあるカフェの前を通り過ぎると遠くに至さんを見つけた。向こうはこっちに気づくなり、一瞬だけためらって、こちらに走ってきた。
その顔は少し笑顔が浮かんでいた。
「あかり、話があるんだ......。」
「私も、至さんに話があるんだ。じゃあ、そこのカフェで話そっか。」
そうして2人で店に入っていった。
この場所には思い入れがある。みをりさんと至さんと、...美海と、来たことがある店だ。
終わりと始まりが一緒の場所なんだね。
そう、私はここで終わりにする覚悟を決めた。
これまでの関係に、生活に。
「ご注文は何になさいますか?」
「コーヒーで。」
「えっと、僕もコーヒーをお願いします。」
この店のマスターが注文を取りに来たので、適当にコーヒーを頼む。至さんも慌てたように私と同じものを頼み、マスターはその場を去った。
しばらくすると、マスターが二つのコーヒーカップを運んできた。その中には黒いコーヒーが注がれており、コーヒーらしい匂いが立ちこめている。マスターは私と至さんの目の前にコーヒーを置くと、再び下がっていった。
コーヒーの水面は揺らいでいる。
多分、私の今の心も、案外こんなものかもしれない。
そんな中、私は唐突に別れを切り出した。
「私ね、もう至さんと別れようと思うんだ。」
「何で?僕は......。」
「最初から無理だったんだよ。海の人間と陸の人間が結ばれるなんて、最初から無理だったんだよ。
美海ちゃんの為にも、私と至さんは別れるべきだと思うんだ。外から新しく人がやってきて、仲良くするってどうなんだろうね?少なくとも
美海は...受け入れてくれないと思うし。」
至さんは驚いたような顔をして、何か言おうとするが、私を見て黙ってしまう。至さんは落ち着くためにコーヒーを飲んで、一息する。
「確かに海と陸はそうかもしれないけど、僕達は......絶対に仲良くできるよ!」
「ううん、絶対に出来ない。私ね、美海ちゃん好きなの。だからその美海ちゃんが大きくなるために、その居場所に私はいらないはずだから...。だから私はもう至さんや美海ちゃんにも会わない。決めたんだ、光もいるしね......じゃあ、さようなら。」
至さんはまだなにか言いたそうにしていたが、私は自分の料金だけその場に置いて、店から出ていった。
振り返ることはしなかった。出来なかった。やったら泣きそうだから...。
道路を歩き、サヤマートへと付いた。そこで何時も通りにあの壁を見てみると、美海ちゃんがまた壁に文字を書いていた。でも、もう完成を見る必要はない。その望み通り、「どっかい」くことを決意したのだから。
私は壁に文字を書く美海ちゃんに近付くと、美海ちゃんもこっちを気づいて見上げてきた。その目はなにを考えているのかわからないが、伝えなければいけない。
「美海ちゃん、私決めたんだ。もう、美海ちゃん達には関わらないから安心して........私は、至さんの前から.......美海ちゃんの前からいなくなるから」
「......。」
美海ちゃんは何も言わなかった。そしてそのまま遠くへ駆けて行った。いいんだ、これで。もう終わりなんだから。
それから私はひたすら働いた。どうにもならない感情を抑え込むために。忘れられない何かを無理にでも忘れるために。
...本当に、忘れられるわけないのに。
「あれ、もう復帰してたんですね。」
午後7時頃、店内に入ってきたのは遥くんだった。
「あれ、遥くん。今日も買い物?」
「そりゃ一人暮らしですからね...。(次に食べに行くのもまだ時間あるしな)。...ところであかりさん、区切りをつけたんですね。」
あえて話題を逸らしたけど、やっぱり直ぐに気づかれちゃうか。
「あはは...やっぱりバレちゃうか。流石だね遥くんは。うん、そう。至さんに別れ話を切り出したんだよ。これで美海ちゃんも、どうにかなってくれるといいんだけどな...。」
遥くんは悲しそうな瞳でこちらを見ていた。
その瞳は何を見てるのだろうか。
私には到底分からないだろうな。
そんな中、すごい勢いで店内に至さんが入ってきた。
表情から緊張感が伝わる。
「た、大変だよあかり!っと遥君もか!この時間になっても美海が帰ってこないんだ!!」
黒樹さん文面お借りしました。
さて、一向に進まない。
助けてくれー!!
あ、俺ガイルSSのほうもお願いします。
では次回。
また会おうね(定期)