余裕で100超えちゃう...。
---遥side---
学校帰り、俺はいつものように買い物に来ていた。
サヤマート店内にはあかりさんが見えた。どうやら、何か進展したみたいだ。...それがいい方向とは言ってないが。
「あれ、もう復帰してたんですね。」
素っ気なく店内に入り、自然な流れで会話を始める。
こうした方が話って結構聞きやすいもんだ。
「あ、遥くん。今日も買い物?」
「そりゃ一人暮らしですからね...。(次に食べに行くのもまだ時間あるしな)。...ところであかりさん、区切りをつけたんですね。」
途中自分の内心が零れたことはまあ、なんとかなるだろう。
そして兼ねてからの考え通り、本題へ入っていった。
するとあかりさんはあはは...と小さく笑った。この人がこういう態度を取るときは、大体裏に感情を溜め込んでいるときだ。
「あはは...やっぱりバレちゃうか。流石だね遥くんは。うん、そう。至さんに別れ話を切り出したんだよ。これで美海ちゃんも、どうにかなってくれるといいんだけどな...。」
それは違う。
美海はきっとあかりさんのこと嫌いなはずはない。
なのにここまで拗れて、すれ違って、大切なものを諦めて失うのは...。
人を好きになったせいで失ってしまうことより、もっとだめだ。
そんなことを思ってると息を切らしながら至さんが店内に入ってきた。
「た、大変だよあかり!っと遥君もか!この時間になっても美海が帰ってこないんだ!!」
はぁ...やっぱ至らないか...。
おそらく今日、あかりさんは美海と会って、そして何かしら話してるな。そうでないと、急にこんな行動に出るのはおかしい。
「あかりさん、今日、美海に会って何か言いましたか?」
「...そこまで分かっちゃうのか。...もう会わないから、とは言った...かな。」
ビンゴだった。
十分なんだよ、今の美海にはその一言で。
「分かりました。...とりあえず俺は探してきます。至さん、漁協の協力もらって探して貰えますか?」
「分かった。連絡してくる。」
そう言って至さんは行動に移行した。
さて、俺も行くか...。
とりあえず買い物を中途半端にするのは面倒くさかったので、ものは買っていった。
そしてそのまま、袋を片手に店から走って出ていった。
一瞬だけ振り返った。目に映るあかりさんの瞳には涙がみえる。
やっぱり、未練だらけだろうな。
これ以上言うこともないので、再び前を向いた。
これは予想だが。
美海はおそらく人目のつかない、付きにくい場所にいると思う。
どうも行動がこそこそしてるし、こんなことになれば探されると分かってるのだろう。
というわけで、
「今度はここにいたんだな、美海。」
俺はあっさりとかくれんぼを終わらせた。
俺が倒れた場所の近くで、遠くには海が見えるちょっとした小さな山。実際、昔美海ともここに来たっけ?
まあ、たしかにここなら人目にはつかないな。
「遥...。どうしてここが分かったの?」
「俺は小さい時から美海を知ってたし、ここにも来たからな。美海が考えそうなことは、少なくとも分かる。」
そういうと、美海に軽く足を蹴られた。
「知られてもないし分かられてもない...!」
まずいな...ちょっと火つけたか。
「悪い悪い。...とりあえず、ここにいてもあれだから、海の近くまで行こうか。いいポイント知ってるし。」
美海は少し驚いていた。
「帰ろうって、言わないの?」
「言って帰るならこんな行動とらないだろ。それに、さっきも言ったけど、美海の思ってることは少しはわかってるから。」
「...そう。」
諦めたのかそれ以降の反論はなかった。
「...今日は、帰らないから。」
「はいはい、お付き合いしますよ。」
俺達は港の方へ下った。港とは言うが下りた場所は廃倉庫周辺。到底人が来るはずもない。
...ただ一部を除いて。
遠くから足跡が聞こえた。おそらくここに来るとしたら光達だろう。
今この状況に光達を介入させると話が捻れる、そんな気がした。
というわけで、事前にそれを阻止する。
「美海、ちょっと待っててくれ。」
「...うん。」
そして俺は音の鳴るほうへかけて行った。
「おーい!!...って遥かよ。お前も探してたのか?」
声の主はやはり光だった。まあ、ここに至りそうなのは光達くらいしかいないが。
「その事なんだけどな...」
〜数分後〜
「じゃあ、俺達はとりあえずあかりとあいつに安否を連絡して、そのまま帰っていいんだな?」
「そういうこと。頼めるか?」
「しゃーねえ、行ってくる。...エナには気をつけろよ?」
「はいよ。じゃあな。」
これからの行動について光に話した後、俺は小さく手を振ってその場から離れた。
さてと...。
「美海、飯、食べるか?」
「そんなものあるの?」
「あるんだなこれが。ちょっと待ってろ。」
戻ってきた俺はとりあえず食事の確認をする。どうやら昼は食べてない様子なので、ここを抜かせるのはよくない。幸い器具等は倉庫内にあったので、拝借させてもらうことにした。
〜数分後〜
色々あって出来上がった。
皿に盛ったのは野菜炒めだけ。これだけ?と思われても仕方がないが、不幸なことに買い物の途中だったため、これ以外の食材がなかったわけだ。
「いただきます。」
美海は小さい声でそういうとパクパクと食べていきだした。
俺はその表情、スピードを見た。その顔は言葉を聞かなくても良さそうな表情をしていた。
「遥って、料理上手なんだね。」
「まあな。伊達に何年も1人で生きてない。」
そんな話も混ざりつつ、食事は進んで行った。
...俺?俺は...食べてないよ?
「遥、帰らないの?ずっとここにいなくてもいいのに...。」
食べ終わった美海は木箱の上に座って足をぶらつかせてる。本当に今日は帰るつもりはなさそうだ。
「寄り添うって決めたからな。最低でも今日は。あれからまともに話せなかったんだ。もっと美海の本心を...考えを聞きたい。美海は...あかりさんが嫌い...なわけ、ないんだよね?」
「!!」
美海は一瞬だけ驚き、そしてぶらつかせた足で思い切り木箱を蹴った。
「私は好きな人なんていない!私を好きな人なんていない!いらない!」
そして、先程までなかった怒りのようなものをぶつけてくる。
でもそれは怒りではなく、悲しみが滲んでいた。
「私は、好きな人なんてもういらない! 遥も私を好きじゃない!」
そのまま美海は感情任せに続ける。そして言い終わると俺から逃げるように走り出した。
その時、美海は海ぎりぎりに転がっている石に躓いた。
まずい!
そして俺が思った通り、ふらついた体は海へと落ちていった。
あと何ヶ月の戦い。
勝ってみせますとも、ええ。
というわけで次回は明日。
ぜひ読んでって下さい。
また会おうね(定期)