因みに短いです。
---遥side---
これは過去の話。
まだ俺が小さくて、みをりさんがいた時の話。
みをりさんとの最後になったあの日の話。
〜過去〜
「島波遥くん、ちょっと長いけど聞いてください。」
「え、あ、はい。」
みをりさんは似合わないほどかしこまっていた。
「遥くんは、多分これからたくさん、辛いことに見舞われると思う。
でもね...自分だけは見失わないで欲しい。大事なものから逃げないで欲しいの。」
「はぁ...。」
「結局ね、...もし私がいなくなったら、美海を守って欲しいってこと。遥くんにとって美海がどうかは知らないけど...もう、美海にとって遥くんは大事な存在だから。...好きになることは、やめないで欲しいな。」
最後の方は小声でよく聞こえなかった。それに、今の俺に未来のことなんて考えれなかった。
それが今になって...
〜現在〜
そうだよ、何で忘れてたんだよ...。
俺は抜け殻の日々を送ってた分、いつの間にか欠落してた記憶の1部。
あの日みをりさんに言われた大事なこと。
俺は迷わずに後を追って飛び込んだ。そしてそのまま美海を抱きしめる。美海は少しばかりの抵抗をしたが直ぐに諦め、俯いた。おそらく泣いているだろう。
「なぁ...誰かを失うって、怖いよな。好きになったせいで、また失うのって怖いよな。」
「うん...うん...。」
美海は嗚咽を抑えながら返す。
「でも、思い出したんだ。あの日、みをりさんに言われたこと。好きになることはやめないで欲しいって。...ほんとに、今更だけどな。」
自戒の意も籠った独り言をつぶやく。
「もう一度聞いていい?美海は、あかりさんのこと嫌い...なわけ、ないんだよね?」
今度は真っ直ぐな答えだった。
「アカちゃんも好き、パパも好き、...遥も好き。あの日、ママがいなくなって、それからアカちゃんがお母さんみたいになった。でも、私は怖かった。アカちゃんも死んで、大切な人が遠ざかっていくのが嫌だった。それに、ママが忘れられるのも嫌だった。」
やっぱりそうだ。美海は、俺と似ている。
好きになったせいで失ったから、その繰り返しを恐れているんだ。
でもまだ美海は変われる。なぜなら俺より若く、俺より青い。
...俺も、変わりたい。
「...分かってる。でも、俺は前を向きたいな。今からでも、って話だけど。...水瀬がそう言ってた。」
「千夏ちゃんが?」
「ああ。「諦めたくない」って、そう言ってた。...ほんと、強いと思うよ。...変われるかな、俺も、美海も。」
いざ説得しようとするも、最後の一言に自信が出なかった。しかし、それに感づいたかのように美海は俺の服を引っ張る。
「変わろうよ、遥。...それより....」
あ。
抱きしめたままだったな...。
美海は少し照れくさそうに、「陸に上げて」と言った。因みに、今の体勢で沈むことは無い。
俺は美海を縁に捕まらせて、後ろから押し出す。その際に美海は半分登りかけたところで、こっちに振り向いて何時もより楽しそうな顔で、上がりながら聞いてきた。
「遥って、ドリコンなの......?」
「はぁ?何だ急に。」
ドリームコンプレックス...?いや、ねえな。
「さゆが言ってた。小さい子を好きな年上の人って、ドリコンだって。」
違うんだそれは。
「おい、それはロリコンって言うんだぞ。さゆに伝えとけ。それに、ロリコンじゃねえからな俺は。」
少し笑って、元気よく話す。測りそこねた距離は、今測り直されてるだろう。
美海はサヤマートの方へ向かった。用があるのはあの壁だ。
やることは何となくわかってる。そして、それを止める必要もない。
小さかった頃のように、俺は差し出された美海の手を握って歩き出した。
翌朝、俺は寝たフリをしながら、隣で寝ていた美海に説教をかまし、
その後ろの壁に出来上がった文字を見て涙を流していたあかりさんを見ていた。
俺達が作った文字は簡単だ。
そして、今1番伝えたい想い。
『どっかいかないで』
尺が悪いよ尺が。
次回は通常間隔へ戻ります。
毎日コツコツ書き上げてくで!
お願いしますm(_ _)m
また会おうね(定期)