凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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うーん。
サブタイトルに困る。


第31話 互いの思い

---遥side---

 

「「「「で、出来たぁぁーーーー!!!!」」」」

歓喜の声が工作室に響く。あれから右折左折しながら、ようやくおじょしさまが完成したのだった。

 

壁にぶつかって人は強くなる。

なんてかっこつけた言い方はあまり好きではないが、今回できたおじょしさまは過去でもなかなかの出来だろう。俺が知ってる中ではトップではないだろうか?

 

「こ、これは───良い出来だよ、よく頑張ったね!」

先生は目を輝かせて言う。

何度も思うがこの人は、生徒を引っ張るほどの力はないのだと思うが、きっと、生徒と足を揃えるのが上手いのだろう。

 

 

「これも美海と私が来たお陰だな!」

 

「うるせぇ!お前の言える事じゃねえだろ!」

 

さゆが自分が頑張ったからと言うように自慢する。犯人だということがバレてはないが、変わりに光が頭をぐりぐりとしているので良しとしよう。

 

「しっかしこれはなかなかの出来だよな...。」

自分で作っておいてなんだが思わず声が出てしまった。

その独り言を拾ったのは体調不良から一応復帰した水瀬だった。

「今までの分で、ここまでのはなかったよね。」

 

ついでにサヤマートの狭山も乗っかる。

「ああ、クオリティが段違いだな!」

 

そんな空気を引き裂くように先生が提案する。

「そうだ、みんなアイスをおごって上げるよ!ホームランバーかガリレオ君、どっちが良い?」

 

「うわっ、先生両方とも安いじゃん!」

 

「仕方ないだろう。人数が多いんだから。」

そうだな、この人ラーメン奢ろうとしていたからな。

 

「先生、プールも無くなるほど寒いのにそれはないと思います。」

あ、これはぐう正論だな。

 

というわけで脳内自己完結をしているうちにその提案は却下されたのだった。

相変わらず燃えてんな〜この人。

 

そんなコントはさておき、俺はもう一度おじょしさまに目を向けた。

その俺の近くで、これまたおじょしさまを見てるまなかと紡がいた。

そして2人は

 

「「お船引き、やりたいな。」」

 

同時にそう呟いた。

 

周りの空気が一瞬止まる。そして追追と茶化しが始まった。

 

「......被った。」

 

「おうおう、仲良いねお二人さん。」

 

「何処までいったのかな?」

 

女子は「凄い...」といったような、男子のバカの連中はただニヤニヤとしながら茶化している。

まなかこの手のに弱いからなぁ...。そろそろストップさせるか。

 

「ふぇぇぇ!?違うよ、何もないよ!」

 

「またまた、ご冗談を。」

 

うん、ここら辺だな。

「はいはい、茶化しはもういいから。それでまなか、お前はどうしたいんだ?」

「えっと、だからお船引をやりたいなって...。」

 

うん、大体わかった。恐らくまあ、そういうことだろう。

今年は大掛かりなお船引をやらないと話がついている。だが、ここまで来たらやりたいという意味だろう。

 

それも、海、もしくは陸片方の意見ではなく、その両方の人間がやりたいと言ったのだ。

正直、俺もどうにかしたい気持ちはある。

 

「OK、分かった。...要するに、今まで通りの、街全体でのお船引がやりたい。そういうことだろ?まなか。それに、紡も。」

 

その言葉にまなかも紡も頷く。

 

「俺も、昔のようなお船引きがしたい。昔は汐鹿生と鷲大師で、凄いお船引きをしたって聞いた。それが俺らで、もう一度みんなでやりたい。」

 

しかし、現実がそう甘くないのは、俺達が1番知っている。

「でもね~、生徒だけの簡易なら出来るんだけど、それはね。みんなも知ってると思うけど、今回のお船引きが無くなったのは海と陸の喧嘩だからね。」

 

そうだ。大人になるにつれて純粋さなんてものは固まっていき、頑固な意思というものだけが残ってしまう。今回だって、きっとそれの積み重なりだ。

 

そこをたかが、されど子供の意見で、意思で、どうにか出来ないだろうか?

 

そんな俺の考えに共鳴するかのように、光が叫んだ。

「やろう!お船引き!!」

 

「でもねぇ、光君。お船引きは、陸と海の協力がないと出来ないんだよ。」

 

「───俺らだけで出来ないなら、説得すればいいんだ!汐鹿生の奴らは俺が説得する!だから紡は、漁協の奴らを説得してくれよ。紡が陸のリーダーとなって、俺らでお船引きをやろうぜ!」

 

 先生の困ったような言葉に、光は堂々と言い放った。相変わらずの無茶苦茶ぶりだが、ちゃんと考えられた事だ。

 

しかし、それでも説得力が足りない。

やれやれ、やっぱりサポートが必要だな。

「...そうだな、やろう。俺たちの手で、お船引きを。まずは交渉、署名、そこらからか。具体的な道筋を立てて、ひとつずつ丁寧に行こう。みんな、協力してくれるか?」

 

その場にいた全員から反論はなかった。

先生も困ったような顔をしながらも、うんうんと頷いた。

 

 

 

帰り道、今日は真っ直ぐ家に帰ることにしたため、光と二人で歩いている。

「なあ遥、なんでお前俺の意見をすんなり認めてくれたんだ?」

光は疑問そうにこっちを見る。

「ん、ああ。普通に俺もやりたかったからな、お船引を。」

 

「ふーん。なんか理由があったりするのか?」

「そうだな...。強いて言うなら、俺は陸が好きだからな。今までも、これからも。だから、お船引で海と、陸を、繋ぎ止めたいんだよ。」

 

「そっか。頑張ろうぜ、これから。やらなきゃいけねえこと、いっぱいあるからな。」

 

そう言って先に光が海へと飛び込んで行った。

 

そのまま後を追うように飛び込む。

 

 

 

 

 

 

足掻いても足掻いても溺れそうなほど、無理難題なイバラの道を。

 

 

 

 

 




さて、まさかの投稿ができた案件。
明日はキツそう(小並感)
では、今日はここまで。

また会おうね(定期)
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