凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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3日空いてしまうとは...。


第32話 夏の下で

---遥side---

 

あれから各場所で、何がどう起こったかは知らない。

けれど、今日は全員揃って署名活動を行うことにした。

 

この街において人通りが一番多いであろう部分はサヤマート付近だ。

だから、今日の集合場所はサヤマートすぐそばとなっている。

 

「さて、一通り揃ったし、始めますか。」

とりあえず署名の用紙と、案内の紙とをまとめて俺が言う。

 

「進行大体お願いできるか?遥。」

紡が任せるとなると余程頼りにされてるのだろう。

 

「ああ、そこはまかせろ。...さて、海勢。分かってると思うけど夏だ。暑いぞ。というわけで、エナはちゃんと保つように。適度に交代で休憩入れたりなんなり...、ま、適当にやってくれ。それと、再度今日やる事の確認だけど...」

 

...

 

 

そんなこんなで昼下がり。あれから色々と配ってみてるんだが捌け方がいいのか悪いのか微妙なラインだ。

ただ、意外にも署名だったり、受け取りだったりが多いのは若者なようだ。となると、問題があるのは長の方だろうか?

 

「お船引き、やりまーす!」

 

「お、お船引きします!」

エナのこともあり当番制にして行っている。今表に出てるのは光とまなかだ。とはいえ...。

 

まなかがここまで声を張れるのは意外だった。いつも内気な部分がどこか残って、誰かの背中に隠れているようなやつだった分、こういうケースは珍しく思える。

 

「結構頑張ってるなまなか。始めてみたかもな、ここまでのは。」

俺は本人に聞こえないように小さく呟く。が、隣に座っていた美海にはバッチリ聞こえてたようだ。

「そんな感じなの?」

「ああ、光は大人連中が口を揃えてやんちゃ坊主と言われてるけど、まなかは...そうだな、カクレクマノミってところじゃないのか?」

 

うん、間違いねえな。

 

 

「タコ助ー!やるー!」

十分に休憩をとったのだろう、美海の隣に座っていたさゆが立ち上がって光のところへ行く。仕事をしに行くというのは間違いないようだ。

 

俺はそんな様子をずっと見ていた。因みにさゆが座っていた場所には入れ替わるように水瀬が座った。

病み上がりな上に事情も事情。水瀬にもかなり定期的に休みを与えないとまずいことになりうる。

 

そんな中、さゆは「私も...」と小さく呟いて大きく息を吸った。

そして大きな声で...

 

「──ご・きょ・う・りょ・く・く・だ・さ───痛っ!!!」

 

...うるせえ!

最初の一言聞いた瞬間思わず目と耳を塞いでしまったじゃねえか!

それこそ光が抑制してくれたお陰で途中で止まったのだが。

 

因みに光は手でさゆの頭をグリグリしていた。痛いやつだこれ。

 

「お前は、人を脅してどうすんだよっ!!」

 

「い、痛っ痛いーー!」

うーん、本人も悪気はなさそうなのでここはあえてノーコメントで。

本気で取り組もうとしてる分には文句は言わない。

 

「おい光、そこまでにしとけ。悪気なんてないみたいだし。それと光、ちょっと配る範囲広げてもらえるか?まとまってても効率が悪そうだ。」

 

そう言って俺は少し離れた位置を指さした。遠くになるが日陰で出来るという点を考えれば悪くは無いはずだが...。

 

「ok。おーいまなかー!動くぞー!」

ついでに近くにいたまなかも呼んで光は俺が刺した場所へと動いた。

 

さて、俺も動きますかね。

 

因みにあの後のさゆは小学生らしく元気よく大きな声で作業していた。さっきのは単に力みすぎだろう。

それに釣られるように美海も小さい声ながら少しずつ作業を開始していった。

 

そして、ちょっと遠くで作業していた要が目に入ってきた。

「奥さん、そこの綺麗な奥さん。僕に、力を貸してくれないでしょうか?」

 

「ま、まあ、仕方ないわね.......!」

 

うーんこの...。

要は表情の扱い方が上手いと言ったらそうだ。

現にこうやって口説き落とし...違う、協力要請がスムーズにいってるわけだし。

まあ、これも個性というか取り柄だったりするのだろう。

 

一方休憩組の方には、水瀬とちさきがいる。お互い今までそんなに話している雰囲気は無かったが、意外と会話が弾んでいるようだ。

まあ、2人の性格上ぶつかることはないと思っていたが。

 

とりあえず盗み聞きする趣味はないので自分の作業に集中することにした。一瞬、お互いに顔を赤くしてる瞬間を見たが気にしない気にしない。

 

 

 

そんな作業の途中、サヤマートからあかりさんと至さんが出てきた。

その距離の近さを見る限りもう問題はなさそうだ。

 

「へぇ、結構やってるんだね。」

「これくらいしないと話になりませんからね。」

そう、何事もまずは熱意からである。

 

「光が言った時はどうするんだと思ってたけど、この様子なら任せても大丈夫そうかな。」

あかりさんはそう言ってほっと一息つく。たしかに無謀なことである分心配はあったのだろう。ましてや光の場合真っ直ぐに言えない部分が多少はあるし。

 

「おーいあかりー!署名してくれよ!」

出てきたあかりさんに気づいたのか光は一旦向こうでの作業を止めてこっちに走ってきた。

「はいはい焦んない。分かってるから。」

 

「そうだ、何か手伝えることはあるかな?」

至さんの問いかけに俺は一瞬考えた。

漁協の人間とはいえ、さすがに確定してない段階で漁協内で行動を起こされるとトラブルになりかねない。手助けを貰うとしたらその後になると思う。

 

「そうですね、今はちょっとないですけど漁協側からサポートできるよう説得して貰えますか?」

「分かった。」

 

 

 

こうして少しずつ、少しずつお船引きをやるという計画は進んでいった。小さいが着々と1歩ずつ進んでいる。

 

 

 

 

 

もがいてもどうしようもならないはずのイバラの道を。




リアルが忙しくて投稿間隔がおかしくなりました。
こっからは少し楽になります。
さて、相変わらずの駄文ですが
今後ともお願いします。

また会おうね(定期)
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