凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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ここ重要回
黒樹さん頼んます


第33話 大人と子供

---遥side---

 

あれから数日、集まった署名を元になんとか会議を開かせるまでに至った。まあ、その間に汐鹿生の宮司である灯さんと光の間に一悶着あったそうだが、そこはあかりさんの尽力もあり、なんとかなった。

 

陸の方はと言うと漁協の若い人達が主体となり訴えかけてくれたらしい。そのおかげでこちらは多少は楽だった。

至さんにも保さんにも多少は協力してもらった訳だし、そこは感謝しなければ。

 

さて、会議の方だが案の定空気が重い。

陸の重役が3人、海の重役が3人、そして俺と紡と光と先生と、端の方に水瀬がいる。

ついでに言うと海の方には灯さんがいる。まあ、宮司だし。

結構ガタイのいい大人ばかりなぶん殴り合い発展は怖いのだが、まあ、どうにかするしかない。

 

窓の外には制作に係わったメンバーのほとんどが待機しているが、相手が大人なぶん期待はできない。

ましてや美海だけは絶対に入れれない。危険すぎる。

本人は不服そうだが仕方がない。

 

「で、では~始めましょうかねぇ?」

 

「先生、ビビりすぎ。もうちょっと堂々としてよ。」

まあ無理もない。先生の性格なら間違いなく気圧されるはずだ。

 

そんな若干震えてる声で、先生は司会を始める。

 

「ええ~、中止になったお船引きについてです───」

 

「此処に署名がある。俺と遥、波中の奴ら、それに陸の奴らみんなで集めたんだ。それに、そこのおじょしさまだって陸の生徒と俺らで協力して作ったんだ!」

 

光は先生の言葉を遮って強気で言い放った。こういうとき、気の強いやつは役に立ったりする。気圧されてばかりでは優位に進めれないからな。

 

「これが子供が頑張って生み出した協力の結果です。大人の事情がどうかは子供にはわかりません。ですが、子供にできることが大人にできない、ってのは、示しがつかないんじゃないでしょうか?」

 

遠回しに言おうと思ったが、ここは意地の一発ということで率直に意見をぶつけた。憎まれても仕方がないがそうなったらその時だ。

 

そんな俺の意見を聞いて漁協の人はおじょしさまを見上げ、おぉ...と小さく声を上げた。海の人間の方は相変わらずな態度だったが。

 

「これは、すげぇ。誰が彫ったんだ?」

 

「それに、供物もちゃんとしてらぁ。子供が作ったとは思えん。」

 

「俺らの昔も、困難だったよなぁ?」

 

「これを本当にお前らが......?」

海陸関係なく口々に感嘆の声が上がる。どうやら評価は高いようだ。

 

「そのオジョシサマ、遥が作ったんだぜ。顔を彫るのに、結構な時間をかけてな。」

光が説明する。まあ、ここで褒められても嬉しいかと言われたら微妙なところだが。

 

「ふむ、お前がか遥。」

「ええ。ここにあるもの全部が、協力のカタチです。これを見て、なんにも感じないんですか?」

 

「ふむ...。」

灯さんはそう言って腕を組んで黙る。

 

「えっと~......まあ、生徒達も頑張っていることですし、どうですか皆さん? 此処は陸と海でのお船引きをやるって言うのは、どうでしょうね?」

 

先生の言葉に、少しの沈黙が流れた。

 

そして、陸の大人がお互いに顔を見合わせると、先に口を開いたのは陸の頑固者共。

 

「しゃあねぇな、こっちとしても、お船引きはやりたかったんだ。」

 

「おうよ、こっちとしても神様を疎かにするのもいけねえしな!」

 

 それに対して、海の灯さん率いるオジサン達も......。

 

 

「坊主どもがこんな立派なもんを作り上げたんだ。灯さん。」

 

「こっちも、過去のことは水に流そうや。」

 

海の大人2人組は灯さんを見て、そう口に出した。

だが、やっぱりそう上手くは行かないものだ。

ここに来て陸の大人はまた余計なことを口にした。

 

「じゃあ、早ようせんか。」

 

「何や?」

 

 

陸の連中一人の言葉に、海の連中の一人はそう聞いた。そう言った陸の連中皆がそれぞれにニヤニヤとし、謝罪の言葉を促す。

 

「そんなの決まっとるやろ。謝罪や謝罪。」

 

「はぁ!?何でそんなもんこっちが───大体、やらないと言い出したのはそっちだろっ!!」

 

「うるせぇ!大体は数年前に海村が言い出したんだろ『金がないから小さなものにしてくれ』とか言ったのは、何処の何奴だッ!!!!」

 

突如として始まった喧嘩に先生はあたふたし、ここまで口を開かなかった水瀬も立ち上がってどうにかしようと動こうとしていた。

が、どうこうできるわけでもなく、大人は机を乗り越えて今にも殴ろうとしていた。

 

やれやれ...。"最終手段"を使うしかないのか。

 

 

 

そう思って俺は大人と大人の間に割って入った。

「なんや!ガキはすっこんでろ!」

海の大人一人が俺をつまみ出そうと腕を出してきた。その腕を精一杯潰す勢いで握り返す。

 

「まだ分からないのかよ...。おい、大人がこんなのでどうするんだよ!おい!!」

自分でも驚くくらい大きな声だった。

 

そう、俺の考えていた"最終手段"、それは、自分自身が全体の敵になることで、焦点をずらすことだった。

 

「お前らは...お前らは子供に何を伝えたいんだよ!?さっきも言ったがな!子供にできて大人にできないことがあってどうすんだよ!何のために早く生まれたんだよ!あぁ!!?」

「黙れこのガキ!!黙ってりゃいい気になりやがって!」

 

腕を抑えた、といっても大人はひとりじゃない。俺は後ろから抑えられ、思い切り殴り飛ばされた。

そのまま2撃3撃、何度も何度も殴られ、徐々に身体の感覚も鈍くなり、意識も少しずつだが朦朧としてきた。

 

遠くから光の怒声と、水瀬の悲鳴とが聞こえてくる。光は何度かこっちに来ようとしたが、目が合う度に光を睨みつけ、こっちに来ないようにと言うのを伝えた。

 

そして最悪なことに、吹き飛ばされた俺の身体がおじょしさまにあたり、しっかりと折れてしまった。

 

「やめんか!寄って集って大の大人が見苦しい。」

状況の重さに気づいたのか灯さんが抑止の声を出した。それを聞いて大人達は一旦手を止めた。

 

静かになったおかげか、ここに来る足音を俺は感じ取った。

ここで至さんが来るのだけはまずい。どうにかしなければ。

身体は腫れに腫れ、部分的にはもう感覚が麻痺してるくらいだが、アドレナリンのおかげか脳は冷静だった。

 

声に出せば大人に気づかれる。アイコンタクトで伝えれるとすれば...。

そう考えた結果、俺は水瀬にアイコンタクトを送った。水瀬はこっちを見るなり感じ取ってくれたのか外の様子を見に行った。

 

が、水瀬はその人を止めることは無かった。

 

 

 

 

 

 

なぜなら、入ってきたのは至さんやあかりさんではなく、保さんだったから。

 




とりあえず余裕がでてきた。
今のうちに進めなきゃ。
頑張るぞい!

また会おうね(定期)
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