凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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駄文ですが?
すいません。


第35話 ひとりじゃない

---千夏side---

 

ただ見てるだけだった。

目の前で傷ついているのを見ていながら、私は何一つできなかった。

ずっとずっと、後悔だけがグルグルと回っている。まるで、車のタイヤのように。

 

そんな私を乗せて、ただひたすら走り続ける車の窓には、重く暗い雲と、止みそうにない雨だけが映っていた。

 

 

それから数分後、車は病院へと着いた。

とはいえ、私に関係することは何も無く、また、私に出来ることも何も無かった。

だからその場にいても意味が無いため、私は1人、雨の止まない外で待っていた。

 

 

それからまた数十分後、診察が終わり、処置が施されて出てきた島波君は涼し気な顔をしていた。

出てくる数分前に外に出てきたお父さんが確認をとる。

「...確認するが、診察結果はどうだった?」

 

それに島波君は表情一つ変えずに淡々と伝えた。

「全身打撲、及び足にヒビ、だそうですよ。まあ、ポッキリと折れてるよかマシですね。顔もそんなに殴られた訳でもないですし。」

 

なんで...?

 

私は1人何かに苛立ちを覚えていた。

苦しくて、痛くて、辛いはずなのに表情1つ変えない島波君にだろうか。

それとも、何も出来なかった自分にだろうか。

 

ただ、心は単純で。

気がつけば私は大声で叫んでいた。

 

「バカなんじゃないの!?あんな無謀なことして、自分だけ傷ついて終わらせて!それで何かを守ったつもりにならないで!...私が、私たちが望んだのはそんなものじゃない!!」

 

そして気づく。

 

違う。

 

私が望んだのはこれじゃない。

 

私が言いたかったことは...

 

 

そんな中、島波君は1人力なく呟いた。

これは、素の弱さだろうか。でも、今はそれを見れるだけでありがたかった。

 

「何のために私達があそこにいたか、考えてよ...。ただ見てるだけなんて、そんなの...。」

そう言って私は黙る。

 

 

けれど結局その最後の言葉でさえ、ただの自分の欲でしかなかった。

 

そこから先は、あまり考えないようにしたため、ほとんど覚えていない。

ただ一つ、お父さんが島波君をうちに泊めることを提案した事を除いて。

 

 

 

---遥side---

 

特に断る理由もなく。というかむしろ断れる状況でもなく。

俺はとりあえず通い慣れた水瀬家へと辿り着いた。

 

「とりあえず客間でいいだろうか?」

家へつくと保さんが色々と仕事の荷物を搬入しながら問う。この家は2階建てだが、客間は1階。一応杖を使わなければ行けない状況なぶん、この配慮は有難かった。

 

「ええ、そうしてくれると助かるんですけど...。色々と荷物の方、どうしましょうかね。光らに頼むのは色々と面倒なので最低限現状を理解してくれてる人だと有難いんですが。」

「ああ、そこに関しては問題ない。」

 

曰く、至さんらに、もしものことがあったら頼む、と連絡をしていたそうだ。

保さんは漁協に着いた際、そこで至さんらに会ったそうだ。

2人は部屋の中に入ろうとしていたそうだが、やめておいた方がいい、と止めたそうだ。

理由は俺が懸念した通りのことだったが、その場でストップをかけれるあたり、保さんは判断力が素晴らしい人間だと思う。

 

とのことで、どうやら今日中にあかりさんが取ってきてくれるそうだ。

...まあ、光から話を聞いたらいよいよ海から出そうな気もするが。

 

ついでに言うと、今日に限って家の鍵を持ってでるのを忘れていた。

吉と呼んでいいのか凶と呼ぶべきなのか、それはさておき、荷物のほうもこれで一件落着。

 

しばらく話した後、保さんは部屋から出ていき、俺一人となった。

いよいよ準備が整ったので、一旦休憩する事にした。

それこそ今になって身体中が痛む。

動けないことは無いのだが、変に動かして悪化させるのも良くないので、とりあえず横になった。ちょうど部屋が畳なのが助かる。

 

 

俺は1人、虚空の天井に手を伸ばした。

俺は、前に進めてるだろうか。

失うことに慣れてしまったあの日から。変わるって決めたあの日から。

考える。ただただ考える。

 

...

 

 

...はっ!

どうやら眠ってしまっていたようだ。

時計に目をやる。

時刻はしっかりと夜になっていることを告げていた。

 

ふーむ、まあ、いいか。

寝てしまった分、考えていた事を忘れてしまったが、そこまで大事なことではなかったはずだ。

 

俺のいる部屋の外からは保さんと夏帆さんの話し声が聞こえてくる。

さて、夕食のことについて全く聞いてなかった訳だが、これは外に出るべきだろうか?

そんな懸念を他所に、1つの足音がこちらに向かってきた。

 

向こうでの会話が終わってるみたいなので、来てるのは保さんか夏帆さんのどっちかだな。

そんなことを思ってると、確認なしにドアが開けられた。

 

そこにいたのはやはり保さんだった。

 

「どうしたんですか?」

「ああ、潮留から電話がかかってきたんだが、曰く彼女さんがまだ帰ってきてないそうだ。...こういうとき、大体何が起こってるかとか分かるか?」

 

なるほど、さっきの夏帆さんとの会話はおそらくこれだな。

そこで答えが出なかったからこちらに来た。

まあ、《あれ》は普通に過ごしてたら体験することはまずないからな。

 

「とりあえず、至さんらがアパートにいるはずなのでそちらに向かいましょうか。...よいしょっと。」

 

俺は杖を立て、それを支えにして起き上がる。

こういうケースの時は直に言った方が早い。とはいえ、電話越しでは厳しいだろう。オマケに、何かあったあとでどうにかして陸に上がってきてこっちの家まで来てもらうのは手間だろう。

 

「そうは言ってもお前は怪我してる状態だしな『大丈夫です。』...そうか。」

 

そうだけ言うと保さんは黙って外に向かった。俺もそれについて行く。

「あら?お出かけ?行ってらっしゃい。」

後ろから呑気な見送りがあったが気にしなかった。

 

 

 

 

 

 

そしてまた車は走る。終わりのない夜の中で、何なを目指すように。

 




一向に話が進みません(´;ω;`)
一気の内容で50話行ったら...ごめんよ。
では次回。

また会おうね(定期)
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