凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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36...普通だな!(普通じゃない)
ついに6月か...


第36話 瞳の奥に

---遥side---

 

数分後、至さんらのいるアパート付近に着いた。

至さんと美海はアパートの外に出て、至さんの方は少し狼狽えている。まあ、らしいっちゃあそうだな。

 

「ああ、遥くん!来てくれたのか!」

「ええ。というか真っ先に俺に聞けばわかるっていう発想、俺は悲しいですよ?」

「うーん...でも問題児だったってあかりから聞いてたし...。」

うーんこの...。

 

「ところで、揃ってるようだし状況説明してくれないか?」

「あかちゃん、どうなってるのか分かる?」

美海と保さん両方から催促されてるので言った方がいいだろう。

 

「ま、そんなに大層な事じゃないと思うんですが、まあ、ウロコ様に足止めかなんかされてるんだと思いますよ?」

「ふむ...。そうまでする理由が、ウロコ様にあると言うのか?」

 

ある。

 

大体の大人は子供に黙ってるが、いらないことまで勉強すると意外と大事なものまで知ってしまう。

そうして俺が知ったこと、それは...。

 

だんだんと世界の崩壊が近いということである。

 

それに、海の人間の人口も徐々に減ってきている。いずれはいなくなることも考えれる。

基本、海とりくで生まれた人間はえなを持たないとされ、さすれば衰退は間違いないはずだ。

だから、おそらく1人でも外に出したくないのだろう。

 

であれば、足止めの一つや二つあって当然だろう。

 

「あります。詳しい話は確定してませんが。海側にはきっと、あかりさんには出ていかないで欲しい立場なんですよ。」

「あかちゃん、こっちにもう来ないの...?」

 

不安げに美海が尋ねる。

そこはあかりさん次第だが、きっとそんなことは無い。

何よりあかりさんは、美海の母親になると覚悟を決めている。

 

こんなことで投げ出すはずがない。

 

「いいや、それはない。あかりさんも覚悟をちゃんと決めてる。これで終わりなんてことはきっとしない。」

「そう...そうだよね。」

それでも少し不安そうな美海だったが、今はこうとしか言えない。

 

「ところで、足止めって、どんなことなの?」

至さんが尋ねる。

「そうですね...。場合によりますけど下手すれば凍らされたりとかありますよ。あれは流石にちょっときつかったかな...?」

 

思わずポロッと零れてしまう体験談。

かなりチキンの至さんのメンタルを揺らすには十分だった。

「え、ええ!?それってあかり、大丈夫なのかい!?」

 

 

「大丈夫だって、心配しない。」

急に後ろから声がする。

そこにいたのはあかりさん、...と、光だった。

 

えーっと、とりあえずどういう状況だ?

とりあえず混乱しているので、アパートの中に入ることにした。

 

「...先に帰っておく。終わったら呼んでくれ。」

そうとだけ言い残して、保さんは帰っていってしまったが。

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、それで心配していたと。」

それからアパートの中に入り、今は机を囲んで食事に入っている。とはいえ、俺は保さんに帰って食べることを伝えておいたので食べていないが。

 

「実際、色んなパターンがあるんですけどなんだかんだでこれが一番嫌なんですよね。寒いとかどうこうじゃなくて、動けなくなるし。」

小さい頃何回これをされたことか。

 

因みに、会議の場所にあかりさんはいなかったが、状況、事情は光に伝えられたみたいだ。光の口から、となると問題がありそうだが、今回ばかりは多分まっすぐ伝わっているはずだ。

 

「俺とあかりは何も悪くねえからな!...たく、ウロコの野郎...!」

少し苛立たしげに光が言う。

 

...というか。

 

「おい、なんで光まで出てきたんだ?」

すると光はいっそう腹立たしげな雰囲気を出した。

 

「あんな大人連中と一緒にいられるかってんだ!会議もおじょしもめちゃくちゃにされて...。そうだ遥、怪我、大丈夫か?」

「ああ、まあ打撲と足にヒビが入ってるらしいけど、そこまで大事ではなかったと思う。」

「それのどこが大事じゃないんだよ...。」

 

光は呆れて呟く。

でも、こんな様子を見る限り、光もだいぶ変わったなと思う。

あの当時からすれば、今こうして陸の人間とワイワイしてる時点で奇跡みたいなもんだ。

 

「まあともかく、怪我の方はそんなに心配しなくていい。ところであかりさん、例の分持ってきてくれました?」

 

「...。」

あかりさんからの返事はなく、その顔は、どこか遠い場所を悲しげな瞳で見ていた。

 

「あかりさん...?」

「...あっ、どうしたの遥くん。」

こちらの呼びかけに今度は気づいたようで、少し驚きこっちを見る。

 

「いえ、頼んでたあれなんですけど...。」

「ああ、うん。一通り持ってきたよ。遥くん、普段から荷物を結構綺麗にまとめてたんだね。光とは大違い。」

「うるせえよ、片付けなんて最低限でいいだろ!」

「結構大事なんだけどな...。まあ、そこは置いといて、荷物のほう後で受け取りますね。」

「うん、そうして。」

 

...

 

 

「ところでさ、あかり。これでよかったのかい?」

一瞬の間を置いて至さんが話題転換をする。

「...何が?」

あかりさんはキョトンとする。が、お構いなしに至さんは続ける。

 

「いや...昔ね、みをりもそんな目をしてたんだ。」

「目...?」

 

はぁー...。なんでこの人こんなに口下手なんだろう。

でも、言いたいことはわかっている。

俺がさっき呼びかけた時に遠くに向けてた目は、まさしくそれだ。

 

「つまりですね、至さんはこういうことを言いたいんですよ。『みをりは海を抜け出す形で僕の妻になった。でも時折海の方を悲しげな瞳で見つめていた。きっと、海の人にも賛成されて結婚したかったんだと思う。今のあかりの目も、そんな目だ。』って事ですね。」

 

「な!?...でも、大体あってるかもしれない...。でも、みをりもそんな目をしていたって、気づいていたの?」

勝手に気持ちを代弁されて普通なら怒るところだが、この人にはそれがない。その優しさもまた魅力なのかもしれないが。

 

「まあ、昔ずっと通ってましたからね、ここに。ずっといれば、それだけ相手のことも分かるんですよ。」

そう、その後に起こる悲しいことだって分かる、知らされる。

でも、そこまで進まなければいけないこともあるのかもしれない。

 

「至さん...それって、プロポーズ?」

 

「えっ?あっ...そ、それは...」

慈愛と喜びが詰まった微笑みをあかりさんは至さんに向ける。至さんはあたふたしてるが顔は赤い。もう、そこまで考えているのだろう。

 

そのまま談笑は進んでいった。

時折赤面したり、時折大声が上がったり。

その雰囲気は明るいという文字そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

ただ1人、美海を除いて。

 

 

 

 

 

 




前半50超えますすいませんm(_ _)m
でも、信条ってなかなか曲がらないんですよね。
長ったらしい文章はあんまり好きじゃないので。
では、次回。

また会おうね(定期)
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