凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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休日に溜めておきたい。
一日2本書く!


第37話 見えない弱さ

---遥side---

 

アパートでの一悶着も終わり、荷物を受け取りそろそろ帰ろうとしたその時、ずっと無言だった美海がちょいちょいと手を招いてきた。

 

とりあえず近づいて耳を寄せる。そして美海は

「ねぇ遥。ちょっと話があるんだけど...ごまかせる?」

と言ってきた。

 

まあ、さっきの雰囲気についての何かしらだと思うんだが、とりあえず聞かない理由はないので素直に従う。

 

「すいません、美海とちょっと外へ出てきます。」

「そいつはいいけど、あまり遠くへ行かないようにね。あ、電話かけておいた方がいいかな?」

至さんはすんなりとokを出してくれただけでなく、俺の用事のほうも

気にかけてくれた。

「そうして貰えると助かります。...じゃあ、行こうか。」

そうして俺は美海と共に一旦外へ出た。

 

 

アパートの外は夜ということもあって先程よりだいぶ涼しくなっていた。降り続いていた雨はいつの間にか止み、その面影は少し濡れたアスファルト以外からは感じれない。

 

突然、遠くの方を見ていた美海が呟いた。

「...私、どうすればいいんだろう。あかちゃんと仲良くしたいって、もっと距離を縮めたいって決めたのに。全然何も出来ないままだ。

ほんと、どうすればいいんだろう...。」

その言葉からは少しの焦りと寂しさを感じた。

 

確かに、今日の様子を見る限り上手く話せてない様子だった。

一度拗れてしまった関係を綺麗に元に修復することには結構時間がかかる。それは俺が、何度も何度もやってきたことだ。

 

なら、俺もやったことの無い方法で、どうにかしてみるのはどうだろうか?

言葉にするのが難しいなら、言葉にしなければいい。そういう事だ。

つまり...

 

「ならさ、贈り物を送ってみるのはどうだ?想いを口にするのって結構難しいんだ。なら、言葉にしなくても伝わる方法を考えればいい。想いを何かに込めてそれを相手に渡したら、きっと伝わるだろ?」

 

「なるほど...そっか。」

美海は何か納得したようだ。そしてそのまま、それのついての計画を立てる。

聞くところによると、どうやら明日になるようだ。...うん、この足でいいのか?

 

まあ、街までは歩いていく訳でもないし、何とかはなるか。

 

ちょうど話が終わる頃に保さんが到着した。

「ありがとね遥。話聞いてくれて。じゃあ明日、お願いね。」

美海は手を振ってアパートに入っていく。その顔は少し満足気だった。

 

俺はそれを見送り、入れ替わりで出てきたあかりさんから荷物を受け取り、水瀬宅へ帰るのだった。

 

 

 

家へ戻って俺は夕食を取った。さすがに時間も長かったので作り置きになっていたが、まず出してもらえるだけでありがたいので感謝して頂いた。

少し奥の方から夏帆さんの視線が飛んできていた。まあおそらく、今日の担当は夏帆さんだったのだろう。

 

思えば今日が初めて夏帆さんの料理を食べた訳だが...。

悔しいくらいに美味かった、これが。

 

料理のクオリティに満足と敗北感を抱きながら俺は食事を終えた。

 

「どうだった?美味しかったでしょ?」

片付けてるとニヤニヤしながら夏帆さんが聞いてくる。

「すっごく美味かったですよちくしょう...。」

「ふふん、今度はもっとすごいの作ってあげるから♪」

 

俺から聞きたかった言葉が聞けたのか、満足して夏帆さんはどこかに行ってしまった。今度あの人に料理教わろうかな。

 

そんな中、入れ替わりで保さんが近づいてきた。

この時間に、ということは、恐らくいつものやつだろう。

「行きますか?庭。」

 

「お、おう...。分かったのか。」

先を読まれて少し驚いている保さん。まあ、無理もないね。

「そりゃ、結構ここにいますからね。」

「まあ、話が早くていい。じゃあ行こうか。」

 

 

 

 

この人と2人で話すのは、結構楽しい。

話の話題が楽しいという訳では無い。この人と話してて楽しいことは、自分の世界が広がる事だ。

真摯に、真正面から話し合うことで、自分になかった想いが生まれたりする。

そうしてまた1歩大人になれるのだろう。

 

「なあ、陸と海はどうやったら繋がれると思う?俺はあと何を頑張ればいい?」

今日は珍しく、保さんの口から弱音を聞いた。

「今日の会議のことですか?」

「ああ。...本来だったら俺があの場にいるべきだったのかもしれん。もっと早く防ぐには、きっとそれしか無かったのかもしれんしな。」

 

「無理言わないでください。今日は今日で別の用があったんですよね?なら、流石に無理にもほどがあります。」

「そう言われればそうだが...。」

 

保さんは表情を険しくする。きっと、俺の怪我のことでかなり責任を感じているのだろう。

ただの自業自得に等しいのに。

 

「それに、海の人間だってそう思ってる人はいますよ。どうにかして陸と協力したい、繋がりたいって。事情が事情で表立って言えませんがね、そんなこと。」

「ふむ...そうか。」

 

「何かしたいと思うのもいいですけど、自分一人じゃ変えられない事だって、あるんですよきっと。」

こんな立場で言えることではないのかもしれないが、それでも俺の意見はこうだ。

 

ひとしきり話し終えたところで話題を転換する。

「ところで、明日街の方へ行っていいですか?」

「本来なら止めるべきなんだろうが、そうだな...。」

どうやら保さんは判断を渋っている様子なので、究極の一手を耳打ちする。

 

...

 

「そうか。...怪我してることは忘れるなよ。」

そうしてなんだかんだで承諾を取れた。これで明日は気兼ねがなくて済む。

 

 

 

 

 

そんな訳で、足に怪我を持っていながら俺は、美海についていくことにした。

 

 




終わりが見えないンゴ...。
ふぇぇ...。
しかしとりあえず50目処に
頑張るで候。.

また会おうね(定期)
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