---遥side---
いつも通りの朝。
今日は夏帆さんを含めた4人で、朝食を食べ、そして水瀬と共に家を出て、学校に行く。
はずだったんだが...。
「あ、ちょっと待て。」
「どうしたの島波君。」
道すがら、俺はとっても最悪なことを思い出した。
そう、久しぶりの忘れ物と言うやつである。それも、借りれないもので。
「すまん水瀬、忘れ物したから一旦帰る。先行っててくれ。」
「別にいいけど...そんなに大切なやつ?」
「ほら...昨日配られたあれ。机の上置きっぱだったんだよ。」
「あー...分かった。鍵は今日母さん休みだから開いてると思う。あと、無理に走っちゃだめだからね?まだ治ってなんでしょ?」
「まあな。分かってる。」
それに、走っても痛いのは自分なので、ここは遅刻覚悟でも無理しないで行くことにした。
さて、案の定取りに帰ると遅刻の時間になってしまった。...遅刻って結構だるいんだよなぁ...。
朝早かったから一瞬期待してみたが、やはり時間は無情だった。
学校付近まで来た頃、よく見覚えのある制服の少年を見つけた。
まあ、十中八九光の事だが。
遅刻仲間が増えたことを内心ちらっと喜びつつ、光のほうへ向かっていった。
「よっ、遅いじゃねえか。」
「うおっ!?...なんだお前かよ...。」
後ろから脅かすように近寄っておはようと一言。こういう何気ないいじりが意外と楽しいものだ。
そんなこんなで教室の前。授業はとうに始まっており、普通に入るのはすごく馬鹿馬鹿しい状態である。
が、倦怠感に包まれまくったせいか、悪びれた様子もなく俺達は教室に入った。
「すいませんおくれましたー。」
「...。」
教室の空気はすごいシーンとしていた。が、これはいつもと様子が違う。何か驚いているような...。
俺はすかさずあたりを見渡す。
すると、ちょうどぽっかり、海村勢の席が空いていたのを見た。
同じくらいのタイミングで先生が喋り出す。
「あれ、海村の子は全員休みかと思ったけど、光君と遥君は来たんだね。」
休み?
ああ、やっぱり、やっぱりそういう事なんだな。
大人達の会議の結果は、もう既に現れていたようだ。
俺はひとりでに納得していた。勿論、許容した訳でもないが。
さて、一方の光はと言うと、俺よりワンテンポ遅く事に気づいたらしく「村の連中...!」といらだちを噛み潰して荷物を放り投げて教室から走って出ていった。
さっき以上に教室の生徒が驚いている。
いやもう...こうなると動きにくいんだよ。
「ちょ、光くん!?」
先生があたふたする。申し訳ないが、俺も抜けようと思う。
「先生、すいません俺もちょっと抜けます。」
「遥君もかい!?ちょ、事情だけ...」
「すいません。でも時間が無いので。」
それ以降の返事は聞かず、俺は学校を出た。
しかし俺は、光を追った訳では無い。
光は海に迷わず飛び込んでいくだろうが、今の俺には少々きつい。無理すれば帰れないこともあるが。
なら、一体俺はどうしているか。
前に要に言った。色々分かったこと。
そのひとつの話だが、この鷲大師には、海神様と結び付きの強い神社がある。
そして現状、俺が今もっとも話したい相手はウロコ様である。
だからこれから俺はそこへ向かうことにした。
普通、そんなとこに来るはずはないのだが、だからこそ、昨日要に頼んでおいたのだ。
誰もよりそうな気配のない、木に囲まれた場所。
そこにぽつんと、一つの神社があった。
辺りを見回す。どうやら姿は見えないが...。
「やっぱりお前なら、ここに辿り着くと思っておったぞ。」
その声は、すぐ近くから聞こえた。
屋根の上の方を見やると、そこにはウロコ様が座っていた。
「要から、聞きましたか?」
「おー、聞いたぞ。あやつにしては珍しいと思ったがの。」
何かに関心するようにウロコ様は言う。
「で、昨日の会議で何が決まったか、ですが。聞かせてくれますよね?」
「なんじゃ、お主、海には帰ってこんのか?...まあ、あらかた把握しておるがの。」
帰れない理由。まあ、怪我が理由の大半ではあるが、普通にこの前の騒動で、大分絶許のような状況になっているらしい。
まあ、そんな中でおめおめ帰ろうとする方が馬鹿だろう。
「帰ってこれたらそりゃここには呼びませんよ。」
とはいえ、実際調子の方がよければ俺も海に飛び込んでいたんではないだろうか。反射的に。
少しおちゃらけたウロコ様だったが、急に声音を変えた。
「お主、言い伝えのことは知っておるんじゃろ?」
「ええ、ざっと、ですがね。」
そして俺は現段階でわかっている言い伝えについて述べた。
───海神様が力を失った時
───ぬくみ雪が陸と海に降り積もり
───やがて人間が暮らせないくらいの寒さになる
「分かっとるなら話は早い。...そうじゃな。あまりこういうのは言いたくないんじゃが...。」
珍しくウロコ様は躊躇った。
そして一時ためらって続けた。
「いつか来る世界の崩壊で、海村の文明が途絶えんように、冬眠することに決まったんじゃよ。」
ここから書くのが難しくなる...なるんだ。
頑張らないといけないしね。頑張る。
では、次回。
また会おうね(定期)