---遥side---
それから2人に怒られながら質問攻めだったが、なんとか理解してもらった。
「...で、結局島波君は陸に残るのね。」
「よかった...。」
「残る...けど、それ以上にもう1つ考えがあるんだけど。」
「まさか、両方をとる方法でもあるっていうこと?」
「そういうこと。まあ、あくまで可能性だけどな。」
「...お船引き?」
美海がぼそっと呟く。
Exactly。その通りだ。
「そう。これはあくまで言い伝えを含めた考察だけど、海が、世界が海神様と繋がってるなら、昔みたいに大きなお船引きで、海神様に力を与えれば、世界は安定するんじゃないのか?」
そもそも、海神様が何故力を失ってきたのか、そこは未だに掴めていないが。
「いやでも...確か昔のお船引きは生贄がいるって、お父さんが言ってた。事故とかはなかったって聞いてるけど。」
「...そうだな。確かに危険がないとは言えない。それこそ、これはあくまで話だよ。実際にできるとは限らない。...ま、忘れてくれ。」
とりあえず俺が陸に残るという意思だけは2人に伝えて、俺は水瀬の家に帰った。
明日、一旦海に戻ることを伝えたら、保さんは少し渋い顔をしたが夏帆さんの方が快く送り出してくれた。
そして翌日。
宴会は夜ということで、俺は陸を18時くらいに出た。
久しぶりの海は思ったよりも冷え
あたかもそれは今後の暗示のような気がして
...やめた。考えてもいい気がしない。
まず、一旦家に帰った。
勿論誰もいない訳だったので、至る所に少しホコリが溜まっている。
俺はそれらを掃除しながら、光達にどう伝えるかを考えていた。
家の外からは大人の賑やかそうな声が聞こえる。
それはそうと、うちの家は汐鹿生の外れの方にある。
それが幸いしたのか、あの喧騒の後嫌がらせが来るようなことは無かった。大人をほとんど敵に回したわけなので、そうなっても多少はしょうがないとは思っていたが。
ふと手を止める。肌は、どこか冷たい空気を感じた。
...昔はこの家に、温もりがあったはずだったんだけどな。
もうこの家に温もりはない。
ずっと昔からそう思っているし、今も変わらない。
ただ、昔から変わるとすれば、
ここじゃない場所に温もりを見つけた。
という事だろう。
そんなことを思ってると、コンコンと窓叩く音がする。要だ。
俺は窓を開ける。
「みんないつものとこに集まるってさ。遥も来るよね?」
「ああ、そのために降りてきたからな。それと要、昨日はありがとうな。ウロコ様に伝えてくれたの、助かった。」
要は少し驚いていた。
「いいよ。言われてたことだしね。...じゃ、行こうか。」
「ああ。」
俺は窓を閉め、ドアから外に出る。
つくづくこいつは気が回るヤツだ。
理由は...まあ、どうでもいいかな。
久しぶりの学校。相変わらず埃っぽかった。
「あ、はーくん来たんだ。」
「うす。待たせたな。」
「というかお前、足はいいのかよ?」
半分いい。半分悪い。ってとこか。
「まあ、帰れないことは無い(無茶をすればな)。それに、今回ばかりは重要な話だしな。」
「それはそうと、本題があるんでしょ?遥。」
ちさきが一旦話を戻す。勿論、冬眠の話だ。
「ああ。といってももう腹の中は決まってる。...お前らが納得いく結果では、ないだろうけどな。」
「陸に残る。そうだよね、遥。」
俺が言う前に要が口を開く。なんでこいつこんな時だけ...。
まなかは驚き、ちさきは口に手を当て、光はこちらをきつく睨みつけた。
「...否定はしない。」
「お前...どういうつもりだよ!平気でいられるのか!それで!」
光が胸ぐらを掴んでくる。
そんな俺は光を軽く睨み返し、その後、要をもっと強く睨んだ。
やっぱこいつは嫌いだ。
「うるせえなぁ...。俺の口からちゃんと喋らせろよ。」
威圧感で光は手を離す。要は外を向き、女子達は少し怯えていた。
「確かに陸に残る、それは否定しねえよ。けどな、海と陸、両方助かる方法だってあるかもしれねえんだよ。」
「はぁ?そんな都合よく事が収まったら、大人達だって今更苦労してねえよ。」
「その大人達が遠ざけてること、それが答えだったらどうする?」
「それは...。」
光が黙る。というかここまでヒント与えてまだ分からないのか。
「...はぁ。とりあえず言い伝えの話から始めるか。」
俺は何度目かのセリフを告げる。
───海神様が力を失った時
───ぬくみ雪が陸と海に降り積もり
───やがて人間が暮らせないくらいの寒さになる
「それに、海は海神様の意思と繋がってる。俺はそう考えてる。」
「つまり...どういうこと?」
「昔あった大きなお船引き、あれをすれば海神様が力を取り戻せるんじゃねえかって、そういう話だよ。」
その後俺は自分の持論を話す。
それぞれ納得したような表情はしてなかったが、言いたいことは伝わったらしく、何かを考えているようだった。
さて、俺の話は終わり。
とりあえず用はこれ以上ないので、俺は学校を出て、一通り汐鹿生を回って陸へ帰ることにした。
そんな中で、俺はある場所で足を止めた。
確か昔訪れた場所。一回だけしか見れなかった場所。
そう、あの穴蔵だ。
昔閉じられていたはずの穴は空いていて、中に入ることが出来た。
(...なんだこれらは?)
見た目的にどうやらおじょしさまっぽいが...。
ん?ああ、なんだ。そういう事か。
思わずにやつく。
俺はある事に納得した。それも、説を立証させるのに十分なことを。
満足して俺は踵を返す。
だが、そこには1人の男性が立っていた。
「やっぱりお主は気づくと思っていたぞ。遥よ。」
結構オリ展開...?
とはいえまだ原作。
頑張るぞい。
また会おうね(定期)