凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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なんだこれ( ˙꒳˙ )


第48話 進むべき道

---遥side---

 

やると決まれば後は早かった。

陸の大人達も協力してくれて、作業は順調に進んでいっている。そろそろお船引き当日を迎える体制だ。

 

ただ、海側がどれだけ協力してくれるかは知らない。

それに、聞いたところ冬眠の日程とお船引きの日程が一緒のようだ。

最悪のケースになるが、もしそうなら光達はどうするのだろうか。

...いや、今は目の前にだけ集中しよう。

 

 

そんな中、ある雨降る日の話。

学校が、街が、お船引きムードに包まれている中、やたらとちさきと要の様子がおかしいのを感じた。その中で1番感じるのが、要から俺に注がれる視線だ。

 

何かを訴えているんだろうか?

 

今の俺はまだ、そうとしか考えてなかった。

 

 

放課後。

今日の作業は、雨でろくに外でできることがないため、学校内でおじょし様に添える小物を作る...というか仕上げをしていた。

 

そう、仕上げと言うだけあってほとんどやることがない。

 

それくらいに現在の進捗は良好であり、一日仕事が出来なくてもさほど支障がないくらいだ。

なら、自然とおしゃべりムードができるのは当然だろう。

 

そんなおしゃべりに湧く教室を遠目で見ていると、要が教室を出て手招きしてきた。

 

来いということだろうか。

 

まあ、考えても仕方の無いことなので、俺はそれについていった。

 

 

歩くこと数分、先程まで作業していた教室とはだいぶ離れた場所だ。

 

なるほど、こいつがここまで離したかったということは、知られたくない内面的な部分の話だろう。

と俺は覚悟を決めた。

 

「悪いね、こんなとこまで呼んじゃって。」

「気にすんな。それより、言いたいことあるんだろ?」

 

こう面と向かって話すことが少なく、距離感が掴めない。

せめて悪態はつかないようにと、抑えながら話す。

 

「...僕ね、ちさきのことが好きなんだ。それこそ、ずっと前からね。」

まあ、そうだろうな。

 

要の視線はみんなにあるようで、でも実はちさきをずっと追っていた。そこが見抜けない俺ではない。

 

「それで、この前、ちさきに告白した。まあ、返事は帰ってこなかったけどね。」

「へぇ。なるほど。」

 

途端、要の目から一瞬感情が消えうせ、気がついた時には怒りを移していた。

「なるほどって...遥、君は一体なんなのさ!?...僕は知ってるんだよ、君がちさきに好かれていることも、告白されてることも!!」

「...それは嫉妬か?」

 

思ったように言葉が出ない。何故だろう?

きっと、今の自分は自分を嫌いになるくらい、嫌味ったらしく、最低な人間だ。

 

要は先程のような勢いもなく力なく返す。

「ううん、嫉妬なんてやっても意味が無い。...確かに羨ましいよ。憎いくらいに。けど、分かってるんだ。届かないことぐらい。だからさ遥....お願いだから...せめてちさきに、答えくらいは返してあげてよ。」

 

気がつけば要は泣いていた。

ただ俺には、その涙に答えることが出来ないかもしれない。

 

何度も言うが、分からないのだ。

 

こうやって告白されてまた初めて気づいた。

今までとは違う感覚で同じ問いかけ。

 

好きになるってなんだ?

 

恋としての好き、大切な人としての好き、どちらも大切でどちらも美しい。そして、脆い。

そうやって今まで何度も失ってきた。

 

俺は迷っている。確実に迷っている。

進むべきか、やめるべきか。

力もついた。自立もしてる。

もし守ることが出来ないのなら、あとはどこが足りないのだろう?

...ないはずだ。

完璧とは言わない。けど俺には守るだけの力がある。

なら、1歩踏み出してもいいんじゃないか?

 

しかし、その相手が誰か、俺には全くわからない。

 

だから俺は、これから要の願いでさえ裏切るはずだ。

許して欲しいとは言わない。ただ今は、考えさせて欲しい。

 

現状、これがちさきへの答えだ。

 

「...ああ、じゃあこうしよう。お船引きを終わらせて、ちさきに答えを返そうと思う。...とりあえず今は、考える時間が欲しいんだ。好きになることについて...な。」

 

要は溜息をつき、何かを諦め、何かからふっ切れた声をして言う。

「...約束。守ってもらうよ。」

「ああ。ちゃんと答えは出す。」

 

それから先に要は教室へと帰った。

残されたのは俺一人。場は静寂で満たされ、ただ雨の音だけが耳に入ってくる。

 

 

...今日の雨は、いつもより何倍も強かった。

 

 

 

---千夏side---

 

放課後。

今日は雨が強く、作業なんてほとんど出来ない状況だ。

何人かは教室で小物の手入れをしてるが、ホント何人かだけ。

私は教室へは行かず、ぶらぶらと歩き回っていた。

 

と、屋上出口の手前の階段に、1人の人影を見つけた。

「あら?千夏ちゃん。」

「ちさきちゃん?なんでこんなとこに。」

「ほんとは外に出たかったけどね。」

 

私も階段を上がり、ちさきさんの隣に座った。

「それにしても、なんでこんな人のいなさそうなとこに?」

「うん...ちょっと1人になりたくてね。」

少し元気なくちさきさんは話す。

 

「...何か嫌なことでもあったの?」

「ううん?違う違う。...ちょっと悩んでるだけ。」

そのままちさきちゃんが続ける。

 

「私ね、この前告白したの。相手は...言わなくていっか。それで、答えをもらってない上で別の人に告白されたの。」

「なるほど...。それで迷っているって?」

 

「うん。私さ、恋するって分からないし、それに、告白した後で思ったの。変わってしまうのはやだなって。ずっとこの楽しい時間でいたいって。...だから、お船引きで冬眠を回避できるなら、私は信じたいなって。...そんな中で人を好きになっちゃっていいのかなって。」

 

 

そうだ。

冬眠が起これば、次会うことになるのがいつになるか分からない。

 

そして気づいた。多分ちさきちゃんが告白してるのは島波君だ。

 

私は聞こえないように溜息をつく。

私も...島波君が好き。

そして想いを伝えようとしてる。これは変わりのない私の気持ちだ。

でも私は、島波君に告白してもいいのだろうか?

 

そもそも、なんで気楽に告白なんてしようとしてるんだろう。

私には冬眠がなくて、島波君もしないって言ってる、その安心感から?

 

 

違う。絶対に違う。

そんな生半端な気持ちじゃない。

私が島波君を好きなのは、そんなに軽いものじゃない。

 

いなくならないなんて嘘だ。

島波君には純正のエナがある。限界だってあるんじゃないだろうか。

そんな中でまた会えるなんて言えない。

 

 

 

 

だから私は告白するんだ。大切を失いたくないから。

 




50話に合わせるように頑張り中
がんばろーる!
では次回。

また会おうね(定期)
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