---遥side---
両親が死んだとわかったあの日からもう数週間が経った。
葬式も、家についてのゴタゴタも意外とあっさり終わってしまった。
俺は結局一人で暮らすことに決めた。理由は...まあ、一つだろうか。
父が一通りのお金を残しておいたみたいだったからだ。
それに、陸との交友もあり、家事スキルは多少身についてきたからだ。
〜過去〜
あの日から2日経った。
少し精神状態に余裕が出来ているということで、俺は自分の両親が暮らした陸の家へと向かった。
家に入る。が、住んだ痕跡がほとんどないくらいまで綺麗になっていた。
衣服などは綺麗にしまってあり、家電もまとめてある。
それはあたかも、これから居なくなることへのメッセージみたいなものだった。
「父さんは...母さんは、何でああなったんだろう。」
1人虚空へつぶやく。返事は帰ってこない。
去り際、机の上に1枚の手紙が置いてあった。そこには遥宛と書いてある。
...警察は一応昨日来てたみたいだが、なぜ持って行っていかなったんだ?
気にしてもしょうがないのでそこは放っておいた。
...あとからみをりさんの要求だということがわかったが。
『遥へ
迷惑ばかりですまなかった。
せめてもの償いをここに置いておく。
よければ使ってくれ。』
と書かれた手紙の裏には、俺の通帳の口座が書いてあった。
これは帰って確認したが、結構な額の金が入っていた。
普通にありがたいことであった。
でも...。
違う。俺が知りたかったのは、こんなことじゃなかった。
何故ああなったのか。結局それは、誰も知ることが出来なくなってしまった。
〜現在〜
というわけで今日に至る。ちなみに至さんにも一応挨拶はすませておいた。(余談)
というか本当にみをりさんにお世話になってしまった。もう頭は上がりそうにない。
だからせめて、これまで通りみをりさんのところと交友を続けることにした。
海で遊ぶことが少なくなった分、光がだいぶトゲトゲしながら寂しそうにしてたが、そこは事情を知っている灯さんとあかりさんにどうにかしてもらった。悪いな光。
そういえばもし、あの時みをりさんがいなければどうなっていただろうか?
別の誰かが通っていただろうか。警察に拾われただろうか。
どちらにせよ、きっと俺は心を失ってたかもしれない。
実際、最初話してた頃は心無い受け答えがほとんどだった。
でもみをりさんと話して、至さんとも話して、美海とも遊んで、その
自分は消えていった。俺という人間を繋ぎ止めてくれていた。
だから今はこう言える。
やはりあの時、俺はみをりさんに出会えてよかった。
本当に楽しいと思える時間はあっという間に過ぎてしまう。
気がつけばまた、あの日から1年くらい経っていた。
今日も学校が終わると、真っ先に陸へ向かう。
「じゃあな光。先帰るわすまん。」
「はぁ...もう突っ込まねえわ...。」
何だかんだ受け入れたのか光はもう怒りもしなかった。
そしてそのまま振り向いて、真っ先に自分の家へと向かって行った。
「最近ずっとはーくん帰っちゃうの早いよね。」
「なんか忙しいみたいだし、しょうがないね。」
「なにも負荷がないならいいけれど...。」
いつものように陸ヘ上がる。そこにはまた変わらない景色が広がっていた。
「あ、おーい!遥くーん!」
サヤマート辺りでちょうど買い物していたみをりさんが俺に気づく。
「あ、どうもです。」
軽く会釈。するとみをりさんは少し苦笑いを浮かべた。
「別に無理して毎日こっち来なくてもいいんだよ?それこそウロコ様に呪われるかもしれないし。」
あー...手遅れなんだよなぁそれ...。
「あ、言ってませんでしたね。この前呪われ回数2桁超えました。」
「...まじか。」
というか俺に構ってないでできるだけ仕事はしてて欲しいのだがあのウロコ。
「悪いね持ってもらっちゃって。」
「いいですよ。それで、今晩は何作るんですか?」
買い物が終わったあと、その買い物袋を持った俺は一緒にみをりさん宅を目指した。
「んー、たまには新しいものに挑戦しようかなと思って。ちょっと今日は焼きそばでも作ろうかなって思ってます。」
「...どこが新しくなるんです?」
流石に焼きそば作ったことないってのはないだろ...?
「色々♪まあ、具材もたまにはがらっと変えてみたり、ソースも使わないようにしてみたり...。」
指折りで変更点を数える。因みにどんなのになるのかは予想できたがここは言わない。
「まあ、もしまだ教えて貰ってないものだったら、後でレシピお願いします...。」
「おーけーおーけー。みをりさんに任せといて!」
そんなこんなで家に着いた。
が、みをりさんはその場に立ったまま動かない。
ちょっと額に汗が見えてるような気もするが...。
「?どうしましたみをりさん。」
「ん、んーん?何も無いよ。」
「そうですか。荷物もってるので先行きますね。」
そうして俺は先に家に入る。
「おかえり遥!」
「ただいま、美海。」
ぽんっと1回、出迎えに来た美海の頭に手を置く。
「あれ?ママは?」
「外にいるよ。もうちょっとで来るんじゃないかな。」
「分かった!」
元気よく返事をして美海は俺から離れていった。
しかし。
数分経った。まだみをりさんは入ってこない。
流石におかしすぎるので様子を見に行くことにした。
「遥どこいくの?」
「ちょっと外。お母さん呼んでくるから美海は待っててくれる?」
「うん!」
...本当に、元気のいい返事だ。
「みをりさーん、入らないんですかー!」
ドアを開けてまず呼びかける。が、返事がない。
「みをりさーん、います...か...?」
階段を降りようとして下を向いた。そして、そこにみをりさんはいた。
心臓を抑えるようにして倒れている状態で。
認知度ってこわひ...。
ところどころ黒樹さんの作品に似てきているので気をつけたいです。では次回
また会おうね(定期)