凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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タイトルのセンスのNASA


第58話 紺碧の空の下にて

---遥side---

 

「光!!」

倒れてる光のそばへ駆け寄った俺は、すかさず上着を光の身体にかぶせる。全裸の状態だからこれは絶対必要だろう。

 

「先島、大丈夫か?」

後で着いた紡が声をかける。

が、意識はないみたいで、返事も当然ない。

 

どうしようかと一瞬悩んだが、俺はすかさず人工呼吸に入ろうとした。男どうしのキスになるがそんなことどうでもいい。そう思ってた。

 

もっとも、やろうとした直前に身体が動いたため、手前で止めたが。

 

「動いた...よな?」

一瞬の反応を見逃さなかった俺だが、念の為、紡に確認をとる。

「ああ、意識はあるみたいだ。だから、少しこのままにしてやった方がいいかと思う。」

 

ということだったので、光が目を覚ますまで合流した美海含めて俺らは待つことにした。

 

 

そして数分後。

 

その目が開いたと思えば、ガバッと起き上がった。

「まなか!!」

光は勢いよく起き上がりながらまなかの名を叫ぶ。

しかし、その瞳に映っていたのは巴日の白い光と、目の前に広がる凍りついた海だった。

 

光はただ、そんな光景を見つめたまま、何も言わなかった。

ただ、瞳に涙を浮かべてるだけである。

 

何を思っての涙だろうか。

大体の予想はつく。だからこそ、考えたくなくなった。

結局、俺も同じく辛いだけなのだから。

 

「光、起きたk『ドサッ』」

 

俺が声をかけようとした瞬間光が再び倒れる。呼吸はあるままなので、身体、精神両方のストレス、ショックで意識を失ったんだろう。

 

「...まいったな。とりあえず、俺が連れて帰ろうか?」

どのみち、このまま光を放っておく訳にもいかないが、紡は観測の続きが、美海も団体で来てるのでそちらに帰る必要があるだろう。

ならば、俺しかいない。

 

「ああ、そうしてくれ。」

「ごめん、遥。すぐに追いつくから。」

 

幸い承諾が取れたので、俺はすぐさま光を背負い、潮留家を目指して歩いていった。

 

 

数分後、家まであと2〜3分の所で美海が合流する。

「ごめん。足大丈夫?」

「問題ない。...さてと、もうちょいだったよな、美海の家まで。」

「うん。あ、この先右ね。」

「あいよ。」

 

余談だが、この5年の間で至さんはマイホームを購入した。

つまりのところ住所も変わってるが、何度かは訪れてるので問題はなく辿り着ける。

 

「それより、さっきの光の話だけど...。」

「5年前の話に関係してるかってこと?」

「ああ。」

 

光は5年間眠っていた。俺が気になってるのは、その間分の記憶だ。

とはいえ、起きてそうそうまなかの名を叫んだあたり、記憶は5年間止まったままで、あれは渦に飲まれる前の最後の記憶に関係してるのだろうか。

 

「うーん、はっきりは分からないかな。誰も光やまなかさんを見てなかったらしいし。ただ、誰も見てないってことは、2人は近くにいたかもしれないけど。」

 

「なるほどな...。ただ。」

俺はそう言って言葉を詰まらせる。その態度で俺が誰の話をしているのか美海は分かったようだ。

 

「千夏ちゃんは、本当に誰も知らないと思う...。光が起きてどこか知ってることがあるか、なんてところだと思う。」

「まぁ、急かさしても悪いし、光にはとりあえず十分休んでもらうか。っと、ついたな。」

 

俺の手は両方ふさがってたので美海に開けてもらう。俺個人であればインターホンあたりはやるべきだったのだろうが、幸い今は美海がいるので問題は無い。

 

「ただいまー。」

「おかえり美海。って遥君...と、光!?」

玄関で出迎えてくれたあかりさんは俺の背中を見て驚く。

そりゃそうだ。自分の弟が5年を超えてそこにいるのだから。

 

「ちょ、とりあえず美海、布団出して!客間!光寝かさないと!」

あたふたしながらあかりさん言う。落ち着いてないのは行動、精神、おそらくどっちもだ。

 

 

数分後。

落ち着いた様子なので改めて机の前に座りあかりさん、至さんと向き合う。晃は先に眠っているので乱入はなさそうだ。

 

あかりさんは光の無事を喜んで涙を流しているので、そこはそっとしておくことにした。という訳で話相手は...

 

「とりあえず、今回はありがとね遥君。光君をここまで運んでくれたこと。」

「いや、いいんですよそれは。それより、光は当面ここで住むってことになりますけど、問題ないですよね。」

 

「うん、そこはね。前のアパートも断然広いから、今回は問題ないと思うよ。...ところで、光君が海から上がってきた時に、海はどういう感じだったんだい?」

 

本題である。

信じ難い光景ではあるが、今この世の中どういうことが起こるか予測できない。であれば、こんなこともありえるだろう。

 

「それがですね...。」

 

それから俺は先程の様子を間違えることなく伝えた。

至さんは首をかしげていたが信じないには至らなかった。

 

「なるほど。その光が起点だったってことかな?」

「ええ、恐らく。ただ、あくまで細かいことは紡らに頼りましょう。

今回の件、絶対観測にも影響が出てるはずなので。」

 

「そうだね...。そうだ、今日うちに泊まってったらどうだい?.だいぶ疲れてるでしょ?」

 

んー、疲れたっちゃそうだけど、流石に条件が悪いな...。

「すいません、流石に泊まるには条件が悪そうです。なんで、もう少しだけここにいていいですか?」

「そうかい...。あと、うちにはいくらでもいていいからね。」

「ありがとうございます。」

 

そう言って俺は一旦その場を離れる。

ただ、帰る前にもう一度美海と話をしておきたかった。

さっきはそんなにゆっくりできた状況じゃなかったしな。

 

コンコンとドアを2回ノックする。

部屋から出てきた美海は、どうやら風呂上がりのようらしく、シャンプーの匂いがした。

 

「どうしたの、遥。」

「ん、ちょっと話したくてな。外、来てくれるか?」

美海はこくりと頷き、俺と共に縁側に向かった。

 

「で、話って?」

「ああ。...光が帰ってきたってことは、少なくとも冬眠が、少しずつ終わってきてんのかなって。...そんで、水瀬も帰ってくんのかなって思ってさ。」

「...。」

美海は下を向き黙ってる。

 

「...なんて、期待し過ぎだよな。まだ未来がどうなるかもわからないのに。」

「そんなこと、ないと思うよ。」

「そっか。...はぁ。また何か、この世界は変わるんだろうな。」

俺は空を見上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭上を流れた流れ星にお願いすることは、何も無かった。

 




展開が微みょい。
これは100行くぜよ
では次回。

また会おうね(定期)
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