凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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過去編は今回がラストかな?
UAが伸びないけど趣味なので続けます。


第6話 微笑みと嘘と

---遥side---

 

「みをりさん!?大丈夫ですか!!?返事してください!」

周りなんて気にする余裕は無かった。とにかく、今は返事だけほしかった。

近づいて確認する。どうやら心臓も動いているし、一応息もある。

だがしかし、明らかに様子がおかしく、心臓の動きも不安定である。一定のリズムを刻んでいない。

「あっ...。遥くん...。ごめん...。」

「しゃべらないで大丈夫です!休んでてください!」

 

こういう場面に直面したことはなく、どう動けば良いのかほとんど分からないが、当事者を変に動かさないことが大事と言うことだけは分かっていた。

「すいません。ちょっと電話借ります!」

そう言ってダッシュで家へと戻る。

 

「どうしたの遥。そんなに急いで。」

息を切らしながら入ってきた俺に思うところあったのか美海が尋ねる。

「大丈夫、大丈夫だから。」

返しになっていただろうか。しかしそんな余裕はないので、すぐに電話に賭けつく。

「もしもし!...はい、救急です!」

美海も救急車が何なのかは知ってるらしく、ことの大きさに感づいたみたいだ。

 

「...ママ?」

「はい、お願いします。」

電話を一旦切った俺はすぐさま別の番号にかける。

「ねえ遥、まさか救急車って...。」

「大丈夫だから安心して!きっとなんとかなる!...あ、もしもし至さんですか!」

 

.......

 

 

それから救急車がやって来、みをりさんがは病院へ運ばれた。

ただ、ずっと意識はあったらしく、命に別状もなかった。

とはいえ数日~一週間程度の入院は必要らしく、みをりさんは入院を余儀なくされた。

 

 

「でもよかったです。意外と元気そうで。」

入院が始まって三日ぐらい経ったごろ、俺はひとりで見舞いに来ていた。

ほんとうはもう少し早く来たかったのだが、準備等のごたごたであまり時間が取れなかった。

「お医者さんが言うにはよく分からないが直る可能性は高いって言う話らしいよ。」

「そうですか。」

 

よく分からないと言うワードに引っかかったが、それがエナを持つもののみに起こるものだとしたら、わからなくても当然な気がした。

なんにせよ、前向きに捕らえないことにはどうしようもない。

そう思って少し下を向いた。

 

「ところで。一人で来るっていうことは何か話したいことでもあるんでしょ?」

顔を上げるとみをりさんが得意げな顔をしてこっちを向いていた。

図星である。

 

「ほら、当たった。...いいよ、聞いてあげる。」

みをりさんは母のような慈愛のこもった微笑みを向けた。

「俺が陸に上がったあのときのこと、覚えていますか?」

「うん、ちょうど一年位前だったね。」

 

「...。あのときに美海が言ったんです、『今は遥が来てくれたから』って。...たいした話じゃなくてすいませんけど、俺が来る前に美海がよく遊んでた子って誰かいたんですか?」

 

「なーんだ、そんなことか。えーっと、多分それは千夏ちゃんだと思う。」

「千夏ちゃん...?」

「あ、ごめんごめん。水瀬千夏って言う子なんだけどね、よく美海を妹のように可愛がってくれてたんだよ。...ちょっと身体が弱くて、今は会えてないけど。」

「この病院にはいないんですか?」

同じ地区の子だったらここにいてもおかしくはない。

「ううん、いないよ。あの子は今は街のほうにいるから。」

街というのは、鷲大師から電車で移動したところにある町であるらしい。

 

「次は私から聞いて良いかな。」

一区切り着いた後で今度はみをりさんから質問が来る。

「いいですよ。」

聞いてもらいっぱなしは無しである。

 

 

「...ここから見える海って綺麗だよね。」

「そうですね。」

この病室からはちょうど外が見える。夕方というのもありいっそう綺麗に見えていた。

みをりさんは少し寂しい目で海を見つめていた。

「...汐鹿生は今頃どうなってるのか知りたいなって。」

「みをりさんがいた頃の汐鹿生はどんな感じだったんですか?」

「今と同じだと思うけどねー。うーんと...」

 

 

 

 

気がつけば会話は30分を過ぎていた。

みをりさんが入院している間はあかりさんが料理を作ることになっているのだが、今日はどうしても来れないらしく、俺に担当が回ってきた。そのため、そろそろ帰らなければならない。

 

「じゃあ、そろそろ俺は家の方戻るので。とりあえず無理はしないでくださいね。」

「大丈夫、分かってるって。」

 

実は俺は後悔していた。本当に聞きたかったことから直前で逃げ出してしまい、目を逸らしたからである。

 

しかし、体調にそこまで問題がないのならまたチャンスはあるだろう。

そんな曖昧なことを思いながら、病室のドアに手をかける。

 

「あ、ちょっとストップ遥くん。」

「はい、何です?」

ストップと言われ足を止める。

「もう1つ、最後の話、聞いてくれるかな?」

「...いいですよ。」

そう言ってもう一度近くの椅子に腰かける。

するとみをりさんは似合わないほどにかしこまった。

「島波遥くん、ちょっと長いけど聞いてください。」

「え、あ、はい。」

 

 

...

 

 

 

「ごめん、長くなって。変なこと言いすぎて混乱しちゃった?」

「大丈夫です。...では、もう帰りますね。また来ます。」

それからもう振り返ることもなく病室を出た。

最後のみをりさんの表情を見ることも無く。

 

 

 

 

 

 

翌朝、みをりさんが亡くなったという連絡が俺に伝えられた。

 

 

 

 

 

 




テンプレ?
すいません。
極力他人のパクリにだけはならないように気をつけます。
では次回。

また会おうね(定期)
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