凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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ここから10話くらいオリ展開は確実かと。


第62話 新たな始まり

---遥side---

 

「...。」

もう訪れなれた病院。目覚めた場所はいつもと同じ病室だった。

 

「...起きたか。さて、説教の時間だな。」

少し遠くで雑誌を読んでいた大悟先生はよいしょと椅子から腰を上げ俺のベッドの近くの椅子に腰かける。

 

「待ってください!これには事情が...」

「やかましい!お前そうでなくてもいつか絶対やらかすだろ!」

弁解の余地もない。というか足のこと2日くらいで忘れてたから結局先生の言うことはその通りだ。

 

「...まあ、理由だけは聞いてやるよ。説教はそのあとでみっちりできるしな。」

しかし、先生は優しい。素っ気ない態度ばっかとってるような気がして、実は全然思ってくれてるのだろう。

 

とりあえずそれに甘えて美海の1件を話した。

 

 

「...なるほどな。緊急を要する自体だから飛び込んだけど実は飛び込む必要は無かったって話か。これで必要があったらまだかっこよかったんだがな、お前。」

「骨折り損のくたびれもうけってやつですね。」

ハハッっと乾いた笑いを飛ばす。いや、このあとのこと考えたら笑えないしね?

 

「さてと...事情を聞いた上で説教するつもりだったが、めんどいから端的に済ますか。」

 

そう言って先生は手元に置いていた雑誌を持ち、立ち上がる。

 

助かった...?まあ、いいか。

 

「まずお前1週間入院な。投薬も1からやり直し。期間は...2週間でいいか。んで、何があろうとも1週間病院から出さねえからな。大人しく寝てろ。」

「えぇー...。まあ、そうですよね。」

「医師の忠告守れねえやつを完全じゃねえ状態で外に出せるわけねえだろ。例外だとしてもな。...俺も医者だからよ、人の命には厳しくいくしかねえんだ。」

 

そんな先生から発せられた言葉だったが、最後の一言は少し弱かった。

「じゃ、俺そろそろ戻るわ。暇になりそうなら何か持ってきてもらいな。くれぐれも安静に。」

 

そうしてドアが閉まる。先生が出て行ったあとの病室で俺ははぁ...とため息をついた。

 

やれやれ、また入院か。

まあ、今回に関しては自業自得であるので特に何も言えないが。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ。」

「!?」

なんて思ってると別の場所から小さな女の子の声が聞こえる。

一瞬驚いた後に今いる病室は個室ではないということを認識した。

 

とはいえ姿までは視認できず、辺りを見回す。

 

「あ、ごめんごめん!カーテン開けるね。」

と言うと右のカーテンが開けられ、そこに一人の少女が横たわっていた。

 

「はじめまして、おにーちゃん。」

「...えぇ?はじめまして...。」

圧倒的に不意をつかれたため、戸惑いながらの返事だった。もちろんくすくすと笑われてる。

 

「面白い人なんだね、おにーちゃんって。さっきから聞いてたけど。」

「うるさいよ...。っと、そうだ、名前。俺は島波遥な。」

するとその少女はすごく喜んだ表情をした。

 

「おにーちゃんも「はるか」なんだ!あたしは日野陽香、おにーちゃんと同じ名前!!」

「そっか。じゃあはるかちゃんって呼ぶのすごい引っかかるな...。どう呼ぼうか?」

「あたしもちょっと変に感じるから...じゃあ、はーちゃんで!」

 

はーちゃん...。どこか感覚がまなかに似てるな。

 

「...分かった。ちょっと変になるけど陽香、でいいか?」

「うん!」

 

そう言って元気よく陽香は返事をした。

 

 

 

 

それ以降は特に何も無く1週間、大人しく病院ですごした。

 

とはいえ、陽香がいたぶん、暇はしなかった。

 

どんなものが好きか、どんなとこから来たか。

 

そんな話を、色々聞いた。

 

そうして迎えた退院の日。

 

 

何かが、動き出した。

 

 

 

 

 

「...よし、じゃあひとまず退院ってことでいいかな。薬忘れんじゃねえぞ。」

問題行動は特に起こさなかったので、今日でめでたく退院である。

少し名残惜しいが、陽香ともここでお別れになるのだろう。

どうやら名家の人らしく、なら、そう易々と関わりは持てないからな。

「はい。...じゃあね、陽香。」

「...。」

 

そう言ったが、返事が返ってこない。寝てるのだろうか。

 

とはいえ、今は朝の10時。起きてるはずなんだが...。

「...先生、ちょっと待ってください。なにか、嫌な予感がします。」

「奇遇だな。...俺もだよ。」

 

俺と先生は多分、こういう所が似通っている。

そう、【第六感】が非常に強いということである。

 

俺は立ち上がると隣のベッドのカーテンを開けた。

 

そこには、心臓を抑え、苦しそうにしている陽香がいた。

 

「先生!!」

「分かってる!とりあえず人を呼べ!」

 

俺はとりあえず急いでそのベッドのナースコールを押す。

幸い、人はすぐに集まり、早めのうちに陽香は運ばれていった。

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

流石にあの状況で帰ることも出来ず、陽香の治療を待ってた俺は、それを終えたであろう大悟先生に呼び出され、そのままついてった。

 

ついてった先は屋上、先生は手すりにもたれかかると遠くを見下ろしながら話し出す。

「とりあえず治療は終わったよ。死んじゃいない。...そこは安心しな。」

「そうですか...よかった。」

俺は心からそう思う。

大切だと思ってる人を、もう失いたくはない。

短い付き合いだが、陽香は俺にとって、もう特別な存在なのだから。

だから、心から安心する。

 

しかし、現実はそう甘くはなかった。

「良くねえんだよ、これが...。むしろここからが重要だ。」

先生は苦虫を噛み潰したような顔で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子、このままだと死んじまうぞ。確実に。」

 

 




新キャラぁ...。
とはいえそんなに長くない。
後半は下手したら前半の2倍...?
ふぇぇぇ。

また会おうね(定期)
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