凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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うーん...。


第64話 島波遥という男

---遥side---

 

「これは...?」

俺は投げ渡された携帯の音源を確認する。

起動すると、数秒のノイズの後に機械合成音のような音声が聞こえてきた。

語られた文はこうだった。

 

『1度しか言わないからよく聞け。私は貴様らの病院に爆弾を仕掛けた。起爆のするしないの権限はこっちにある。嘘だと思って探さなくても構わないが、以下の条件が守られない場合は問答無用で爆破させる。まず1つ、警察への連絡だ。こちらに情報が来た瞬間、即刻押させてもらう。そしてもう1つの条件。こちらが本題だ。』

その次の言葉に俺は戦慄した。

 

『日野陽香の手術を失敗させろ。』

 

「!!」

 

ボイスレターはそこで途切れた。

俺が少し震える手で先生に携帯を返す。

 

「...そういうことだ。そりゃ動けるわけねえだろ。」

「そうですね...。...手がかりとかあるんですか?」

「ない。...強いて言うなら、日野家そのものを恨んでいる奴の犯行ってことは、考えれなくもないが...。あそこはかなり大きい名家だ。憎まれなんて多方向からの可能性が高いだろう。」

 

目の前には、絶望しか無かった。

陽香を助けたら、他の方の命まで危なくなり

かといって、失敗させる訳にもいかない。

そして、犯人は未だ不明。

 

ちょうど、四方八方塞がれてる状況である。

 

俺は...どうすればいい。

俺に何が出来る。

 

 

一つ俺が分かっているのは、全て危ない橋を渡ることになるという事だった。

 

ただ、それが分かってたからこそ、答えには早くたどり着いた。

簡単な話だ。どれをとっても危ない橋なら、全てを助ける道を選ぶことが一番だ。

 

だから俺は...

 

「...先生、決めました。俺、やります。」

俺は真っ直ぐな視線を先生にぶつける。返ってきた視線は、奥底が燃えていた。

それは俺が見てきた、一途で、熱さの絶えない、いつもの先生だった。

 

「ああ、お前ならそう言うと思った。どうせ犯人を探しに行くんだろ?だったらもう俺は止めねえ。ただ、俺はお前を信じて、手術を成功させる。だから...約束しろ。」

先生が少し恥ずかしそうに右拳を突き出す。

俺はそれに合うよう、左拳を差し出し、拳を合わせて約束した。

 

「じゃあ俺はそろそろ戻る。仕事もあるしな。お前は...街へ戻るのか?」

「ええ。日野家があるのも街なんですよね?なら、犯人の居場所も街の可能性が高いと考えて。」

「そうか。じゃあしばらくお別れになるな。」

「大丈夫ですって。逐次電話も入れますんで。」

「ああ、そうしてくれると助かる。...っとそろそろか。じゃあな。うまくやれよ!」

先生はそういうと足早に病院に戻って行った。

 

さて。

ここからが、俺の戦いだ。

 

俺は1度深呼吸をすると、家の方へと急いで戻った。

出来れば今日中に街の方の借家に帰っておきたいしね?

 

 

しかし、家に帰った時間には、もう電車がなかったので、今日はまだこっちの家に残ることにした。

 

 

 

 

 

「夏帆さん、保さん。」

夕食が終わった頃、俺はこの件を伝えるために2人を呼び止めた。

「なんだ?」

「明日から数日、街の方へ帰らせていただきます。急に帰ってきてまた急に戻って、すいません。」

「...またなにか大きなことが、あるんでしょ?」

 

あれから5年間一緒にいた夏帆さんには、もう大分筒抜けになっていた。

内容は話せないが、できるだけ伝えようと努力する。

「...はい。内容は詳しくはいいませんが、見過ごす訳には行かない話なんです。人の命が、かかってるんです。」

「ふむ...。」

 

保さんはそれっきり腕を組んで黙り込む。変わって話し出したのは夏帆さんだった。

「別に戻るのは構わないよ、遥君。ただね、忘れちゃいけないことだけは、忘れないでね。私たちがずっと、遥君のそばにいるってこと。困ったらいつでも頼って欲しいし、もっと甘えて欲しい。...分かった?」

「大丈夫です。」

「うん、じゃあいっかな!怪我だけには気をつけるようにね。じゃあ、行ってらっしゃい!」

 

「だから行くの今日じゃないですけどね!?」

 

 

 

 

 

夜更け。

俺は部屋で、1人荷物の整理と気持ちの整理をしていた。

 

この先の事を考えると、正直不安だ。

全てが上手くいかない世の中だってことはあの日、痛いほど分からされた。

それでも抗い続けるのはきっと、いい結果になってくれると信じてるからだろうか。

全く、淡い期待だ。

 

でも今は、こうやって期待を寄せないとやってけないんだろうな。

 

 

 

荷物のまとめが終わると、俺は思い立ったように外に出た。

帰る前、どうしても寄りたい場所があった。あの堤防だ。

 

堤防に座る。

水瀬のことが思い出されるこの場所で俺は何を探してるんだろうか?

 

...いや、いい。やめよう。

考えたって変わらない。待つって決めてるんだ。

それ以上考える必要なんてないからな。

 

 

そうして俺は数分の後家へと再び歩き出した。

 

時間は進む。

それでも俺は明日へと歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう何も、大切なものを失わないために。

 

 

 




京アニの事件で亡くなった方、ご冥福をお祈りします。

✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
さて、駄文ですね。これはひどい。
うーん、語彙がないのかな?
では次回。

また会おうね(定期)
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